名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)のあらすじネタバレと感想!ラストの結末は?

名探偵コナンは今や『サザエさん』『ドラえもん』『ちびまる子ちゃん』『クレヨンしんちゃん』などと並んで日本を代表するアニメ長寿シリーズとなりました。

今回は1998年に公開された劇場版第2作であり、主要人物である探偵・毛利小五郎にスポットを当てた『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』についてのあらすじとネタバレ、感想をご紹介します。

『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』の作品情報

タイトル:名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)
監督:こだま兼嗣
脚本:古内一成
原作:青山剛昌
製作:諏訪道彦、吉岡昌仁
公開:1998年4月18日(日本)
声の出演:高山みなみ、山崎和佳奈、神谷明、山口勝平、茶風林、緒方賢一、岩居由希子、高木渉、大谷育江、高島雅羅、松井菜桜子、塩沢兼人、鈴木英一郎、鈴置洋孝、内海賢二、岡本麻弥、中尾隆聖 など

監督のこだま兼嗣、脚本の古内一成は共に前作(劇場版第1作)『時計じかけの摩天楼』に引き続いて続投しています。
音楽はテレビシリーズでおなじみの大野克夫、主題歌はテレビシリーズにも数多くの楽曲を提供していたZARDの「少女の頃に戻ったみたいに」です。

『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』のキャスト

テレビシリーズおよび前作『時計じかけの摩天楼』に出演したレギュラー陣はそのまま続投、新たに毛利小五郎の妻で蘭の母である妃英理役で高島雅羅が劇場版初参戦しています。
ゲスト声優も物語の鍵を握るソムリエ役の中尾隆聖をはじめとする大物声優陣が参加しています。

『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』のあらすじ・ネタバレ

蘭の夢の中

とある湖のほとり。
毛利蘭(山崎和佳奈)は神殿の廃墟で母・妃英理(高島雅羅)を見つけた。

笑顔を見せた英理だったが、蘭が駆け寄ろうとすると「来ちゃだめ!蘭!」と止めたのだ。
次の瞬間、英理は何者かに拳銃で撃たれたのである・・・。

・・・夢から覚めた蘭は、朝早く別居中の英理に電話をかけて夢の内容を語ったのだった。
蘭は「弁護士って人から恨まれたりするんでしょ?」と弁護士である母を気遣ったが、英理は「考え過ぎよ。あなたは色んな事件を見てきてるから」と笑ってみせたのだ。

ところが、蘭は「夢に出てきたお母さん、今より少し若かったよ」と言うと、英理はこの時は笑っていたものの、電話を切ると太腿の傷に目をやりながら「あの娘、覚えているかしら・・・」と思ったのである。

蘭は英理、父で探偵の毛利小五郎(神谷明)、そして江戸川コナン(高山みなみ)と夕食の約束をしていたのだった。

航空博物館

その頃、米花刑務所では、服役していた元ディーラーの村上丈(鈴木英一郎)が小五郎の住所のメモを手に仮出所していたのだ。

米花駅前のゲームセンターでは、コナンと仲間の「少年探偵団」の三人(吉田歩美(岩居由希子)、小嶋元太(高木渉)、円谷光彦(大谷育江)が遊んでいた。
歩美は占いタロットゲームで「Aの予感」を引き当てたのである。
“A”とは古い隠語で“キス”を意味するものだが、元太と光彦ははぐらかしたのだった。

コナンたちは阿笠博士(緒方賢一)と合流して東都航空記念博物館へ向かったのである。
コナンはかつて自分が工藤新一(山口勝平)だった頃に展示物のヘリコプターの模擬操縦体験をしていたことを思い出したのだった。

光彦はここでクイズを出題したのだ。
(クイスの問題および解答は後述の「感想とまとめ」にて)

コナンが見事に正解を言い当てたその時、展示物のヘリコプターをカメラマンの宍戸永明(内海賢二)が撮影していたのである。

その頃、村上は「毛利探偵事務所」を訪ねたが誰もいなかったのだった。

小五郎と英理の別居

蘭は親友の鈴木園子(松井菜桜子)と共に、大ファンであるエッセイストの仁科稔(鈴置洋孝)のサイン会に参加していた。
会場のデパートには、モデルの小山内奈々(岡本麻弥)が車で乗り付けていたのだ。

蘭は園子に、両親が10年前に別居した理由は性格の不一致だと明かしたのである。
別居直後から英理は弁護士として頭角を現す一方、小五郎は刑事を辞めて探偵業を始めたのだった。

園子は「蘭のお父さんは今でこそ(コナンのおかげで)“名探偵”だけど、蘭がいなかったら身を持ち崩していたかもね」と語ったのである。

小五郎、蘭、コナンはフランス料理店「ラ・フルール」で英理と合流したところ、小五郎の知人であり来週の全米オープンへの出場を控えるプロゴルファーの辻弘樹(谷口節)が入店してきたのだった。
辻はヘリコプターの免許を持っており、小五郎一家とコナンをヘリに乗せる約束をしたのだが、高所恐怖症の小五郎は断ったのだ。

このレストランには小五郎夫妻の知人であるソムリエの沢木公平(中尾隆聖)が勤務しており、蘭は仁科の著書で得たソムリエの知識を披露してみせたのである。
沢木は仁科の著書の誤りを指摘したのだった。

コナンは自分の口を拭こうとする蘭の姿に思わず「Aの予感」を連想してしまったのだ。

窓の外では、小五郎が常連のクラブのママ・岡野十和子(一城みゆ希)とニュースキャスターのピーター・フォード(アンディ・ホリフィールド)が談笑していた。
十和子にデレデレしている小五郎の姿に不快感を覚えた英理は帰ってしまったのである。

狙われた目暮警部

1週間後。
公園でジョギングをしていた目暮十三警部(茶風林)は、何者かにボウガンで脇腹を撃たれてしまったのだった。

コナン、小五郎、蘭、少年探偵団は目暮警部を見舞いに行き、白鳥任三郎刑事(塩沢兼人)から警部は幸いにも軽傷であり数日で退院できると告げられたのだ。

目暮警部は、小五郎はかつて警視庁で一二を争う拳銃の名手であったことを明かし、コナンたちを驚かせたのである。
現場には段ボールでできた西洋の短剣が落ちていたのだった。

今度は英理、阿笠博士が・・・

「妃法律事務所」では、何者かから英理の好きなスイス製チョコレートが届けられていた。
小五郎が贈ったものだと思った英理は早速食べてみたのだが、その途端に苦しみ出して倒れてしまったのだ。

病院に搬送された英理は幸いにも命に別状はなかった。
チョコには農薬が混入されており、包装紙には紙製の花が添えられていたのである。

コナンは阿笠邸で、阿笠と今回の事件について語り合っていたが、その時突然、玄関のガラスが割られたのだった。
外にはバイクに乗った怪しげな人物がおり、阿笠はドアを開けた直後に尻をボウガンで撃たれてしまったのだ。

コナンは急いでバイクの後を追い、通信機能付き探偵団バッジで少年探偵団にバイクを追うよう指示したのである。
コナンは三人と連携してバイクを追ったが、轢かれそうになった老婆を助けた際に取り逃がしてしまったのだった。

阿笠邸には紙で剣を象ったようなものが残されていたのだ。

狙いは小五郎の関係者?!

コナンは阿笠が入院した米花中央病院に小五郎と蘭、白鳥刑事を呼び、犯人はトランプの絵札に基づいて犯行に及んだとの推理を披露したのである。
最初の被害者・目暮十三=13=スペードのキング、段ボールの短剣はキングの短剣
第2の被害者・妃英理=妃(きさき=英語でクイーン(Queen))=Q(12)=スペードのクイーン、チョコの紙の花はクイーンが持つ花
第3の被害者・阿笠博士=博士の“士”=11=スペードのジャック、阿笠邸で拾ったものはトランプの絵柄のものとそっくり

スペードは白鳥警部曰く「死」を意味するものであり、コナンは小五郎に関係する“13”から“1”の人間を狙っていると推測したのだった。

そこへ病院を抜け出した目暮警部が現れ、犯人は村上だと考えたのだ。
10年前に殺人事件を起こした村上は、当時刑事だった小五郎の手によって逮捕されていたのである。

小五郎は次に狙われるのは十和子(十和子の“十”=10)だと考え、目暮警部と共に彼女のクラブへ向かったが、十和子は事件には巻き込まれておらず無事だった。
そこには近日オープン予定の海洋娯楽施設「アクアクリスタル」のオーナー・旭勝義の姿があった。

小五郎の過去

白鳥刑事はコナンと蘭に小五郎の過去を語り始めたのだ。

10年前、小五郎は当時の同僚だった目暮警部と共に村上を逮捕、取り調べの時に英理が蘭を連れて署を訪れたのである。

取調室から逃亡を図った村上は英理を人質に取り、小五郎が放った最初の弾は英理の太腿をかすめ、2発目の弾で村上の肩を撃って取り押さえたのだった。
その後、人質に発砲したことを問題視された小五郎は警察を辞めたのであった。

コナンは新一の声で蘭に電話をかけたところ、蘭は「わかったのよ、父さんと母さんが別居した理由が。腕に自信があるからってお父さんのこと信じられない。新一だったら絶対そんなことしないよね?」と胸の内を明かしたのだ。
コナンは「おじさん(小五郎)がおばさん(英理)を撃ったのは事実でも、それがイコール真実とは限らないんじゃねえか」と諭したのである。

蘭にはその言葉の意味が理解できないままだった。

“10”のターゲット

小五郎は帰宅した十和子を見張ったが何も起こらなかった。
コナンはなぜ村上が服役中に小五郎とその周囲に関する情報を得たのか不思議でたまらなかったのだ。

その時、コナンは次のターゲットは辻(漢字の中に“十”=10)であることに気付いたのである。

その日、辻はヘリポートに向かっており、コナンから事情を聞いた目暮警部らは辻を説得したが、辻は目暮警部と小五郎が一緒にヘリに乗れば大丈夫だとして取り合わなかったのだった。

コナンを連れて来た蘭は、小五郎に「私たちも事件の当事者だから」として協力しようとしたが突っぱねられてしまった。
村上がヘリの行き先の空港で待ち伏せしていると考えた白鳥刑事は先回りすることにし、小五郎は目暮警部に無理やりヘリに乗せられてしまったのだ。

辻は離陸前に目薬を差し、コナンも乗り込むことに成功したのである。
ところが、ヘリはコナンの住む米花町上空に差し掛かった頃、辻は突然目の不調を訴え出して操縦不能に陥ってしまい、コナンは模擬操縦の経験を活かして自ら操縦桿を握り、少年探偵団の協力を得てヘリを学校の校庭に不時着させたのだった。

ヘリは漏れた燃料の引火で爆発、コナンたちは何とか一命を取り留めた。
辻の目薬は何者かにすり替えられており、辻は目の回復が遅れることから全米オープン出場を断念せざるを得なかったのである。

現場からはスペードの10のカードが発見され、一同は次に狙われるのは「9」絡みの人物と考えたが思い当たる節はなかった。
そこで一同は「8」の者は沢木公平(名前の“公”の上の部分は“八(8)”になる)だと考えたのだった。

ようこそアクアクリスタルへ

コナンたちは沢木の自宅を訪れて話を聞いているうちに、実家が果樹園を経営しており、ワインセラーに数百本のワインを貯蔵しているという沢木は将来自分の店を開くという夢を語り始めたのだ。

沢木は旭からレストランを任せてもいいという打診を受けており、これから打ち合わせに行くというのだが、白鳥は旭の漢字に“九(9)”が含まれていることに気付いたのだった。

小五郎や目暮警部らは沢木の警護も兼ねて旭に会うことにし、コナンと蘭も小五郎の反対を押し切って同行することにしたのだ。
アクアクリスタルにはコナンたちの他にも、小山内、仁科、宍戸、ピーターも招待されていたのである。

一行はアクアクリスタルへ向かうモノレールに乗り込み、仁科は小五郎に自分は極度のカナヅチで水が大の苦手であることを明かしたのだった。

んだ時、コナンは招待された4人に重要な特徴があることに気付いたのだった。

その後、一行は海底レストランへと到着したが、なぜか旭の姿はなかった。
コナンたちは手分けして旭を探したがどこにもいなかったのだ。

数字を持つ者たち

目暮警部から事情を聞いた招待者らは、自分たちにも一連の事件の被害者同様の“数字”を持っていることに気付いたのである。

小山内奈々→奈々(なな)=7
宍戸永明→宍の中に“六(6)”
毛利小五郎→小五郎の中に“五(5)”
ピーター・フォード→フォードの中に“フォー(4)”
白鳥任三郎→任三郎の中に“三(3)”
仁科稔→仁の中に“二(2)”

蘭は、残る“1”は新一ではないかと推測したのだった。
(蘭をはじめ、この一行の中でコナンが新一だと知る者は誰もいない)

目暮警部は招待者らに村上との関係を尋ねてみたところ、仁科はかつて犯罪ルポライターだった頃に村上の事件を取り上げたことがあり、宍戸は自らの写真集「殺人犯の肖像」で村上を撮影したことがあると告白したのだ。
仁科も宍戸も村上とは特にトラブルを起こしていないというが、小山内は村上が8日前に仮出所したことを確認すると、自分には関係ないと笑ってみせたのである。

それどころか、小山内は仁科がエッセイで取材した店に行ったところ酷く不味かったと文句を言い、旭へのお土産として持参したワインでブラインド・テイスティング対決を申し込んできたのだった。
沢木は見事に正解したが、仁科は思いっきり外して赤っ恥を掻いてしまったのだ。

厨房には誰もいなかったので、一行は冷蔵庫から勝手に飲み物を取って旭を待つことにしたのである。
ピーターはワインを飲むなり突然苦しみ出したが、それは冗談であり、一行の顰蹙を買ったのだった。

コナンは沢木が厨房で唐辛子の味見をしているところを見かけ、彼にミネラルウォーターを勧めたのだ。

小山内は旭からもらったというフランス製のマニキュアでワインのコルクに落書きをして遊び始めたのである。
その時、ピーターはいつの間にか足元に落ちていた、旭が沢木宛てに書いたメモを拾ったのだった。

狙われた招待者たち

メモには「遅れるかもしれないので、ワインセラーの棚からお好きなワインを出して皆さんに出しておいて下さい」と書かれてあった。
沢木は一行を連れてワインセラーへ向かったが、ここはワインの管理に適した温度よりも高い温度だった。

その時、コナンは室内に罠が仕掛けられていることを見抜いた直後、ボウガンの矢が沢木に向けて放たれたのだ。
沢木は間一髪でかわして無事だったが、ボウガンが仕掛けられていた場所にはスペードの8のカードが置かれていたのである。

村上がこの建物内にいると確信した一行は脱出することにしたが、レストランの水槽で旭が溺死体で発見され、胸ポケットにはスペードの8のカードが入っていたのだった。

エレベーターは動かず、携帯電話は圏外、レジの電話も回線が切られており、非常口までも塞がれていたのだ。
再度村上について心当たりがあるか問われた小山内は、3ヶ月前に夜道を爆走していたところ危うくバイクの男を轢きそうになって逃げたことを打ち明けたのである。

蘭、コナン、小山内を部屋に残し、男性陣は手分けして出口を探したが、突然館内の電気が何者かに落とされ、小山内のマニキュアに仕込まれていた夜光塗料が光り出したのだった。
小山内は逃げようとしたが、小五郎が電気を復旧させた時には彼女は背中を刺されて絶命しており、傍にはスペードの7とジョーカーのカードが落ちていたのである。

コナンの推理

コナンは小山内の左手中指のネイルが剥がれていることに気付き、遺体の痕跡から犯人は右利きだと見抜いたのだ。
そういえば、コナンが以前見せてもらった写真の村上は左利きであり、阿笠を狙撃した犯人は右利きだったことから、コナンは真犯人は村上ではないと断定したのである。

真犯人は招待者の中にいると確信したコナンは、犯人が床のジュース缶を蹴飛ばしていたことを思い出し、招待者のうち一人の足にジュースの跡が付いているのを発見したのだった。

沢木は小五郎に、自分はソムリエを辞めて実家の果樹園を継ぐつもりであると語ったのだ。

コナンはミネラルウォーターを一行に飲ませ、そして犯行の証拠を発見したのである。

ところがその直後、海底レストランの一角で真犯人が爆発を起こし、館内に大量の海水が流れ込んできたのだった。
一行は何とか水面に這い上がったが、蘭だけが浮かび上がって来なかったのだ。

蘭を救え

コナンは空気を詰めたペットボトルを手に水中に潜り、置物のフェラーリに足を挟まれた蘭に空気を吸わせたのである。
蘭はコナンに新一の面影を見、コナンは何とか蘭を救おうとしたが、今度はコナンが足を引っ掛けてしまったのだった。

絶体絶命に陥ったコナンに、蘭は口移しで空気を与え、息を吹き返したコナンは伸縮サスペンダーで車を持ち上げて蘭を救ったのだ。

蘭は小五郎から「コナンに感謝するんだな」と促され、改めて「ありがとう、コナンくん」と感謝したのである。

真犯人の正体

目暮警部の傷口が開き始め、水面にはスペードの6、5、4、3、2のカードが浮かび上がった。

一行は爆破されて開いた穴から脱出を試み、小五郎は蘭を、白鳥刑事は目暮警部を、宍戸は仁科を連れて水中に潜り、無事に陸上へ脱出したのだった。
ところが仁科だけが溺れて気を失ってしまい、沢木が人工呼吸を買って出たが、コナンは蝶ネクタイ型変声機で小五郎の声になり、白鳥刑事に人工呼吸を任せると小五郎を時計型麻酔銃で眠らせて“眠りの小五郎”状態にしたのだ。

コナンは推理を展開し始めた。
犯人は標的そして自分自身の名に数字が入っていると気付き、村上に接触して経歴を調べ上げ、あたかも村上の犯行であるかのように思わせようとしたのである。
目暮警部、阿笠、英理が襲撃されたのはカモフラージュであり、本当の標的は旭、小山内、辻、仁科の四人だった。

コナンは更に、犯人は人工呼吸のフリをして仁科にとどめを刺そうとしていたことを見破り、真犯人は沢木であると断定したのだ。

沢木は慌てて否定したが、コナンは動機が沢木が人知れず患っていた味覚障害にあると断言、その要因は精神的ストレスや外傷であると告げたのである。
小山内が轢きそうになったバイクの男は沢木であり、それが原因で味覚障害を発症した沢木は視覚と嗅覚で何とかソムリエを続けていたのだが、それは完璧主義者である沢木の美学に反することだった。
沢木はソムリエを辞める前に自分を味覚障害に陥れた者たちへ復讐しようと考えたのだ。

ソムリエは普段刺激物を舌に入れることをせず、沢木が唐辛子を味見していることに疑問を抱いたコナンは一行に振舞ったミネラルウォーターのうち沢木の分だけ塩を混ぜておき、改めて沢木の味覚障害を突き止めていたのである。

それでもしらを切る沢木だったが、そのポケットには小山内が落書きしたコルクが紛れ込んでいたのだった。
それは沢木に襲われた小山内が必死でポケットに突っ込んだのであり、その際にネイルが剥がれたのだ。

そして沢木は新一を指すスペードのエースのカードを持っており、沢木はカードを蘭に投げると一連の事件の真犯人は自分であることを認めたのだった。

小山内に轢かれそうになったことで味覚障害を患った沢木は、金に物を言わせて海外の高級ワインを買い漁った挙句杜撰な管理をしていた旭、知ったかぶりの知識でワインの間違った知識を読者に植え付けた仁科、4ヶ月前にパーティーに誘われた時にソムリエの職業を小バカにした辻にプライドを踏みにじられたと一方的な恨みを抱き始めたのだ。

沢木は小五郎に謝罪をしようとしていた村上を利用することを思いつき、用済みになった村上を殺害していたことまで白状したのである。

旭、小山内、仁科、辻以外はただ数合わせに利用されただけだった。

コナンの行動

沢木は建物内に仕掛けていた全ての爆弾を爆発させ、蘭を人質に取って屋上のヘリポートへと向かった。
一行は仁科、宍戸、ピーターを避難させて沢木の後を追ったが、建物は崩壊を始めており、沢木も待機させていたヘリコプターに乗れないまま立ち往生していたのだ。

白鳥刑事は銃口を沢木に向けたが、銃の腕前に自信のない彼は撃つことができない。
沢木は白鳥刑事に拳銃を渡すよう要求してきたのである。

蘭の「助けて、新一」との声に反応したコナンは拳銃を手にすると、かつて小五郎が英理に発砲した時のことを思い出し、あえて蘭に向けて発砲したのだった。
蘭の脳裏には新一の姿が浮かんでいた。

小五郎は沢木を背負い投げし、コナンは蘭を救出したのだ。
目暮警部と白鳥刑事、そして蘭は、あの日の小五郎と今のコナンは怪我した人質は犯人にとって逃走の足手まといになると考え、人質を助けるためあえて発砲したのだと理解したのである。

建物は大きく傾き、沢木は海に転落しそうになった。
傷をこらえながら手を掴んだ目暮警部に、沢木は死なせてくれと叫んだが、小五郎は沢木の手を掴むと「死なせはしねぇ。てめぇに自分の犯した罪の重さを分からせてやる!」と告げたのだった。

一行はヘリで脱出、その直後に建物は全壊していった。

蘭は救急車で搬送される際、スペードのエースのカードを握りしめながら「もしかしたら新一が守ってくれたのかもね」と語ったのである。
コナンの脳裏には「Aの予感」がよぎったのだった。

『名探偵コナン 14番目の標的(ターゲット)』の感想とまとめ

それではまず最初に、劇中で「少年探偵団」の光彦が出題したクイズを取り上げてみましょう。
問題は「“元旦”と“エイプリルフール”と“こどもの日”に生まれた三人が集まって会を作りました。され、何という会でしょうか?」。

ヒントは「ペガサスのように空を飛ぶ動物」。
(答えは一番最後で)

主人公・江戸川コナンの真の姿である高校生探偵・工藤新一の幼馴染で後に恋人同士となる毛利蘭の父であり、「毛利探偵事務所」の所長兼探偵である毛利小五郎。
いつもはとんちんかんで的外れな推理をしてコナンや周囲を呆れさせ、コナンに眠らされて“眠りの小五郎”にされてばかりの小五郎ですが、本作では小五郎の知られざる過去と一面が明らかになり、普段はお調子者でもいざとなると家族への愛の強さを見せてくれます。本作を通じて小五郎への目線が変わったファンの方も多くいらっしゃることでしょう。
実際に、本作以降は小五郎の隠された有能な一面が次第に現れるようになっていき、劇場版第9作『水平線上の陰謀』ではコナンをも凌ぐ大活躍を見せていくこととなります。

一方の主役であるコナンの方も、シリーズが進むにつれて次作『世紀末の魔術師』から劇場版に登場する仲間の灰原哀に頼んで一時的に工藤新一の姿に戻れる解毒剤を用意してもらったり、変装の達人であり容姿も声も比較的新一に似ている怪盗キッド(キッドも『世紀末の魔術師』で劇場版初登場となります)に新一の変装をさせたりして蘭の目を欺いていますが、そんな作戦がまだ使えない状況の最初期においてのコナンと蘭との駆け引きやコナンの対処の仕方なども前作『時計じかけの摩天楼』に引き続いての本作の見どころのひとつとなっています。

また、本作のゲスト出演者である中尾隆聖は、はまり役である『ドラゴンボール』の悪役フリーザ役を彷彿とさせるような緩急織り交ぜた時には意味深な、時には狂気をむき出しにした迫真の演技で味覚障害を外に陥りプライドを引き裂かれた孤独なソムリエの内面を演じきっています。

それでは最後に、先程のクイズの解答を発表しましょう。
答えは「トナカイ」でした。
(三人の誕生日「元旦=1月1日」「エイプリルフール=4月1日」「こどもの日=5月5日」を足したら「10月7日」。それに「会(かい)」を加えると「10=ト、7=ナ、会=カイ」であり、サンタクロースと共に空を飛ぶトナカイになります)

それでは、真実はいつもひとつ!

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