マーベルの人気スーパーヒーロー『X-MEN』シリーズでフィナーレとなる『X-MEN:ダーク・フェニックス』。人間社会とミュータントの間で友好関係が結ばれた社会が冒頭の舞台です。本作は、念力や読心力を持つジーン・グレイがある出来事を切っ掛けに覚醒するスペクタクルを描いた物語。シリーズ3作目から脚本執筆や製作を務めて来たサイモン・キンバーグが初めてメガホンを取りました。
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『X-MEN:ダーク・フェニックス』作品情報
タイトル:X-MEN:ダーク・フェニックス
原題:X-MEN:Dark Phoenix
監督:サイモン・キンバーグ
脚本:サイモン・キンバーグ
原作:『X-MEN』スタン・リー
製作:サイモン・キンバーグ、ハッチ・パーカー、ローレン・シュラー・ドナー、トッド・ハロウェル
公開日:2019年6月7日(アメリカ)、2019年6月21日(日本)
出演者:ソフィー・ターナー、ジェームズ・マカヴォイ、マイケル・ファスベンダー、ジェニファー・ローレンス、ニコラス・ホルト、タイ・シェリダン、コディ・スミス=マクフィー、アレクサンドリア・シップ、エバン・ピーターズ、ジェシカ・タスティン
『X-MEN:ダーク・フェニックス』概要
『X-MEN:ダーク・フェニックス』は、製作スタジオの20世紀フォックスがディズニーに買収された事で、既に延期されていた公開日が更に遅くなりました。監督を務めたサイモン・キンバーグは、撮影が完了していたものの他作品の公開を受けて終盤を大幅修正しています。本作では、原作の『X-MEN:ダーク・フェニックス:サーガ』から多くの要素を用いているとキンバーグは話しています。
キャスト
本作の主人公ジーン・グレイを演じるのは『ゲーム・オブ・スローンズ』のソフィー・ターナー。新キャラクターでジーンの敵役エイリアンVukに扮するのは『ゼロ・ダーク・サーティ』のジェシカ・タスティン。ジェームズ・マカヴォイはプロフェッサーX、ミスティークをジェニファー・ローレンス、マグニートーにマイケル・ファスベンダー、そしてナイトクローラーを『アルファ』のコディ・スミス=マクフィーとお馴染みの俳優陣が出演します。
『X-MEN:ダーク・フェニックス』あらすじ・ネタバレ
1975年。自分の特殊能力を上手くコントロールできずに居る幼いジーン・グレイは、両親と車に乗っていた時、誤って交通事故を引き起こしてしまう。運転していた母親と父親は死亡するが、ジーンは無傷だった。
そんなジーンをプロフェッサーXは学園に受けいれ、何か壊しても自分が直すとジーンを勇気づける。持つ能力が問題では無く、どう使うかだとジーンにアドバイスした。
宇宙エネルギー
1992年。エンディバーが不測の事態に陥り、X-MENは緊急出動に応じる。NASAは、太陽フレアが原因でエンディバーとのコミュニケーションを失ったとプロフェッサーXに伝えた。
X-MEN達は、エンディバーを視界に捉えると、ミスティークの指示でサイクロップスが光線で宇宙船の回転を止め、ナイトクローラーとクイックシルバーが船内に侵入、更にストームがエンディバー船体のひび割れを凍らせて塞いだ。
しかし、宇宙飛行士の救出にはジーンの力が必要となる。太陽フレアが拡大する中、再びナイトクローラーがジーンを連れてエンディバーの船内へ侵入。宇宙飛行士全員の救出に成功するものの、ジーンが1人取り残された。
フレアに包まれエネルギーがジーンの体内に吸収され、大惨事を免れる。地球に帰還したX-MEN達を観衆が歓迎。プロフェッサーXは、ミュータントの功績を称えた後、ジーンを心配し医療検査を受けさせた。
凄まじいエネルギーを得たジーンは、機器が読み取れない程パワーが増幅していた。ミスティークは、人間の為に自分達が危険を冒すことに苛立つ。しかし、プロフェッサーXは再び人間に敵視される事を恐れ、半ば言いなりになっていた。
地球を狙うエイリアン
その頃、見た目を自由自在に変えられるエイリアンが民間人宅を襲い、人間に成りすます。仲間からVukと呼ばれる謎のエイリアンは、ジーンが吸収した力を利用し、自分達種族の復活を狙っていた。
一方、ジーンは増大した自分の能力を制御出来なくなって行く。プロフェッサーXが意識下に潜り込み、ジーンの中で変化が起きている事を感知した。しかし、死亡したと聞かされていた実父が生存している事を知ったジーンは、父親に会いに学園から姿を消す。
父親に再会したジーンは思考を読み、特殊能力を持つ自分を持て余した父親に捨てられ、プロフェッサーXが引き取ってくれた事を知る。そこへX-MEN率いるプロフェッサーXが現れ、ジーンを連れて帰ろうとするがジーンは激しい抵抗を見せた。
駆けつけた警察車両もジーンは攻撃する。そして、落ち着かせようとしたミスティークをジーンが吹き飛ばし誤って殺してしまう。気が動転したジーンは、その場から飛び去った。悲しみで怒りを露わにするビーストは、プロフェッサーXに非が有ると責めた。
ミュータントが暮らす島・ジェノーシャへ来たジーンは、リーダーのマグニートーに助けを求める。そこへ、警官に怪我を負わせたジーンを追い、アメリカ政府が派遣した部隊がヘリコプターで到着した。兵隊に攻撃を仕掛けるジーンをマグニートーは拒絶した。
ジーンの行動は報道され、プロフェッサーXは、大統領と結んだ友好関係を失いホットラインも解消されてしまう。そしてジーンの前に現れたVukは、気持ちが分かると語りかけ、言葉巧みにジーンを丸め込む。
ビーストは独断でマグニートーに会いに行く。ジーンを探して欲しいとビーストは頼む。ミスティークをジーンが殺した事を聞いたマグニートーは、見つけたら自分の手でジーンを殺すと険しい表情を浮かべた。
Vukに見せたい物が有ると誘われ、ジーンはエイリアンのアジトへ連れてこられる。エンディバーを救った光景を再現したVukは、ジーンが吸収したのは太陽フレアではなく宇宙に偏在する純粋なエネルギーで、ジーン自身が引き寄せたと説明した。
Vuk達はそのエネルギーを追跡中に、ジーンの体内に入るのを目撃。新世界を創造する力を秘めており、自分がジーンを助けられるとVukは話す。その頃、至る所にコネクションを持つマグニートーは、ジーンがニューヨークに居ると報告を受けた。
ミスティークの仇
マグニートーは闘いに向け、しまって置いたヘルメットを被る。ビーストと共にジーンが居る建物近くに到着した時、ビーストを介しマグニートーをトラッキングしたプロフェッサーX率いるサイクロップス、ナイトクローラー、そしてストームが現れた。
プロフェッサーXの説得に耳を傾けないマグニートーは、ジーンを倒しに向かう。一緒に突進して行くビーストをサイクロップスが光線で止め、ナイトクローラーがサイトクロップスを援護。X-MEN対マグニートーのミュータント達は戦闘に突入した。
この騒ぎを聞きつけたVukは、皆がジーンを殺しに来たと彼女に告げる。マグニートーは、地下鉄を地上に引き揚げ、エイリアンのアジトへ突入させた。ジーンを殺そうとするマグニートーだが、ジーンのパワーに勝てず逆に弾き飛ばされてしまう。
ナイトクローラーがプロフェッサーXを建物内へ移動させる。自分を殺しに来たのかと問うジーンに対し、プロフェッサーXは必死に説得を試みた。車椅子からプロフェッサーXを引きずり起こして階段を登らせるジーン。
プロフェッサーXは、ジーンに自分の思考を読めと懇願する。幼い時プロフェッサーXに出会った時の光景がジーンの脳裏に浮かぶ。家族になれるかもしれない、君は壊れてなどいないと言い、娘を手放したい父親に自分なら助けられると話すプロフェッサーXを見た。
まだ希望は有ると絞り出すプロフェッサーXに対し、ジーンは攻撃を止めた。しかし、すかさずVukが今のは過去だと囁き自分と一緒に未来へ行こうとジーンに近づく。ジーンは、備わった力は望んだものではなく、取り除いて自由にして欲しいとVukに頼んだ。
Vukはジーンの顔を両手で挟み、パワーの吸収を開始する。プロフェッサーXは、ジーンが死んでしまうとVukに止めるよう言う。Vukは、お前達の命など意味は無く、この世界が自分達のものになるとほくそ笑んだ。
自分達を皆殺しにするつもりかと訊くプロフェッサーXに対し、Yukは、そうだと言いニヤリと笑う。そこへサイクロップスが突入し、光線でVukを攻撃し吹き飛ばしてジーンから引き離す。しかし、米国政府が派遣した部隊が建物を包囲した。
団結
マグニートー、ミュータント、そしてX-MEN達は全員拘束される。プロフェッサーXは護送される車中、ビーストとマグニートーに自分がジーンを騙し嘘をついた非を認め、巨大なパワーを得た後の彼女は自分自身を失っていると説得した。
サイクロップスもミスティークはジーンを殺す事など望んでいないと訴える。そこへ残り全ての力をジーンから奪うため、Vuk率いるエイリアンが護送列車を襲撃して来た。ミュータントは全員力を合わせ、ジーンを守る為にエイリアンと闘う。
ストームが稲妻のエネルギーを集め、護送車の上に控えていたエイリアンを攻撃。マグニートーは、エイリアンが居る貨車を潰し弾き飛ばした。その様子を見ていたVukは、ストームやナイトクローラーを簡単に倒す。そこに立ちはだかるマグニートー。
車内の銃全てを操りYukを攻撃するが全く歯が立たない。プロフェッサーXは意識の無いジーンを目覚めさせようと彼女の思考に語り続けていた。そして、意識下でコミュニケーションを取る事に成功。幼いジーンがプロフェッサーXに家族を守ると言う。
ダーク・フェニックスの覚醒
その瞬間、意識の無かったジーンが目を開ける。X-MEN達の体を突然透明のバリアが覆った後、護送車が潰れ壊滅する。向かってくるエイリアンをジーンは触れる事無く粉砕。そこへ襲い掛かるVukの腕を掴んだジーンは、この力を望むなら持って行けと言った。
しかし、強大なパワーは周囲のX-MENにも被害を及ぼす。Yukを連れて宇宙へ飛んだジーンは全エネルギーを解き放った。凄まじい光が2人を包み大きな爆発が起きた。宇宙空間に炎のフェニックスが翼を広げて舞う。
サイクロップスが「ジーン・グレイ学校」のサインを学園の門に掲げる。ビーストが新しい校長に就任。一方、引退したプロフェッサーXはパリに居た。カフェでコーヒーを飲むプロフェッサーXの下にマグニートーが現れた。
命を救われ居場所を提供してくれたプロフェッサーXにお返しをしたいとマグニートーは持参したチェス盤を開ける。2人は久し振りに対局を開始。上空には、光を放つエネルギーと化したジーンが飛んでいた。
『X-MEN:ダーク・フェニックス』を観た感想
『X-MEN』シリーズで今回初めて主人公が女性となり、更に敵対者も女性という設定となった『X-MEN:ダーク・フェニックス』。これまで通りアクションは見所ですが、最終章となる本作の物語はかなりダークです。
と言うのも、ジーン・グレイが吸収した宇宙のエネルギーは、彼女自身制御不能な程驚異的なため、人格や性格を大きく変えてしまうからです。周囲との関係も壊れ、遂にはミスティークを殺してしまいます。
ジーン・グレイを演じたソフィー・ターナーは、監督を務めたサイモン・キンバーグとキャラクターについて話し合う際、統合失調症についての分厚い本を渡されました。パワーに飲み込まれてしまうジーンの精神状態と似ている言う理由だそうです。
また、ふと我に返った時、自分の行動を明確に把握できないというニュアンスを理解するため、ターナーは解離性同一障害についても調べたと話し、役作りでここまでリサーチをした事が過去に無い程時間を費やしたと明かしています。
フィナーレとなる今回、キンバーグが脚本を執筆する際に配慮した事は、ミュータントを家族として描き、それぞれのキャラクターが個々に物語の中で完結を迎える事で、編集時も特に気を使ったと製作のハッチ・パーカーがインタビューで語っています。
これはホラー要素の有るサイコスリラーだと呼ぶキンバーグですが、実際はジーンの苦悩と周りのミュータントが彼女を理解する側、反発する側に分断して行く様子を主軸に置いたストーリー展開です。
そこへジーンのパワーを狙うエイリアンと言うサイドストーリーを織り交ぜ、マグニートーとプロフェッサーXが確執を乗り越え根底に流れる友情を確かめ合うというエンディングでシリーズを終えています。
20世紀FOXがディズニーに買収されてX-MENシリーズは終焉を迎え、今後シリーズとしての続編は無いと報道されていますが、アニャ・テイラー=ジョイ出演のスピンオフ映画『The New Mutants (原題)』は2020年劇場公開予定と発表されています。
マグニートーを演じたマイケル・ファスベンダーは、自分のキャラクターをマルコムX、そしてジェームズ・マカヴォイ扮するプロフェッサーXをマーティン・ルーサー・キングになぞらえ、両方共ミュータントのためにより良い未来を望んでいると分析。
確かな演技力を持つ俳優が扮するミュータントのリーダー2人がチェス盤を挟み、1つの友好関係を結ばせる事で、ダーク・フェニックスの自己犠牲が無駄ではなかったと締め括ったキンバーグの着地点。
『キャプテン・マーベル』との差別化を図る為に、敢えて終盤の戦闘シーンを宇宙から列車内に変更して再撮影されましたが、言われる程がっかりさせる作品ではなく、むしろクリエーターの想定通り個々のキャラクターを丁寧に帰結させた壮大な物語です。
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