【完全暴露】映画『ワイルド・ストーム』あらすじ・ネタバレと感想!ハリケーンが大迫力!

ディザスターパニックとクライムアクション全てを網羅したアメリカ映画。

アメリカでは、台風の強さを5段階で示すが、本作で取り上げる台風は最強のカテゴリー5である。

今世紀最大の台風上陸が迫る中、財務省の保管施設に蓄積された額600万ドルの強奪を目論むグループとの攻防を描く。監督は、好きなアクション映画の1つが黒澤明監督の『七人の侍』だと話すロブ・コーエン。

 

『ワイルド・ストーム』作品情報

タイトル:ワイルド・ストーム

原題:Hurricane Heist

監督:ロブ・コーエン

脚本:スコット・ウィンドハウザー、ジェフ・ディクソン

製作:ロブ・コーエン、カレン・ボールドウィン、ウィリアム・J・イマーマン、マイケル・タドロス・Jr、ダニー・ロス、ダミアーノ・トゥッチ、マーク・ダモン、クリストファー・ミルバーン、モシュ・ディアマント

公開日:2018年3月9日(アメリカ)、2019年1月4日(日本)

出演者:トビー・ケベル、マギー・グレイス、ライアン・クワンテン、ラルフ・アイネソン、ベン・クロス

 

『ワイルド・ストーム』概要

監督のコーエンは、『トリプル・エックス』や『ワイルド・スピード』等たくさんのアクション映画を手掛けてきた。大仕掛けの自然災害パニック映画は、100億ドル単位の予算が組まれるのが最近のハリウッドだ。しかし、コーエンは3500万ドルで本作を制作。キャストした俳優達には、本物の台風さながらのセットで演じる事を条件にした。

 

『ワイルド・ストーム』キャスト

本作で政府の重警備施設でセキュリティ担当官マギーを演じるのは、『96時間』で人身売買の犯罪集団に誘拐されるリーアム・ニーセンの娘・キム役で出演したマギー・グレイス。そして、ウィル・ラトリッジに扮するのは、『キング・コング:髑髏島の巨神』のトビー・ケベル。

 

『ワイルド・ストーム』あらすじ・ネタバレ

1992年、台風アンドリューがアラバマ州の町ガルフポートに接近していた。父親が運転するトラックに乗るブリーズとウィル・ラトリッジは兄弟げんか。

父親がいさめるが、ウィルはブリーズに時間を取られたせいで台風に巻き込まれたと責める。父親は、幼い息子2人を小脇に抱えて近くの家に駆け込み待機する様に言う。

直ぐに外へ出た父親は、トラックが飛ばされない様にケーブルで固定しようとするが、時すでに遅く巨大台風による暴風で飛来した障害物が激突し命を落とす。兄弟が避難した家は、屋根が吹き飛ばされ基礎部分からめくり上がるものの2人は九死に一生を得る。

巨大台風が再び襲う故郷

ウィルは、成長して現在気象学者としてアメリカ国立気象局に勤めている。フロリダ、及び故郷のガルフポートに台風タミーが接近しており、調査のため久しぶりに戻る。

町では、ディクソン保安官の指示により25年前に町を襲った台風を教訓にし、全住民を緊急避難させていた。

港から観測した空の様子から、幼少時に遭遇した台風より強いと感じたウィルは5年ぶりに兄のブリーズを訪れて、町から自分と一緒に退避するよう警告する。

アメリカ気象局は、ウィルの分析を真剣に受け止めず彼が台風に備えるため州兵の配備を求めたが無視される。熱帯低気圧から台風の強さを示す5段階の内、一番弱い1に分類した。

一方、古い紙幣をシュレッダーにかけるアメリカ政府財務省の重警備施設では、セキュリティ担当官のケイシー・コービンが念のために集められた紙幣が保管されている金庫のパスワードを変更した。

狙われた600億ドル

施設の電源が落ち、モバイルの電波を失った事から、ケイシーは町で修理工を営むブリーズを訪ねる。その頃、ケイシーの同僚・コナーが手引きする強盗集団が財務省の施設に保管されている600億ドルを狙い押入った。

しかし、ケイシーがパスワードを直前に変更していたため、システムに再度ハッキングするのに2時間かかる足止めを余儀なくされる。

ブリーズを連れて帰って来たケイシーは、ゲート付近の警備室が破壊されているのを見て警戒するが、待ち構えていた強盗達に襲われ、止む無くブリーズを置いて町まで引き返す。

追跡されて銃撃を受けるものの、災害用特殊車両を運転するウィルが通りかかりケイシーを救出してその場を退避する。

電源を確保できなければ金庫を開けられないため、唯一修理できるブリーズを殺す事は無いだろうとケイシーが言い、2人は一先ず地元保安官事務所へ助けを求めに行く。

多勢に無勢・味方ゼロ

幼い頃から知るウィルを見て顔を崩すディクソン保安官だが、日頃から古い紙幣をシュレッダーに掛けている事に目をつけており、実は強盗集団に肩入れしていた。無線で連絡を入れたディクソンとコナーの会話を聞き、ケイシーは、コナーが内通者だと気付く。

一瞬の隙をついて保安官事務所を脱出したケイシーとウィルを車で猛追するディクソンと強盗集団の1人だが、ウィルの運転する特殊車両が機関銃の弾を弾いてしまい思うようにならない。

ケイシーの銃が弾切れになり、ウィルは急停止させて車両に装備されたピンで地面に車両を固定させ敢えてディクソン達の車を激突させる。衝撃で怪我を負い意識を失ったディクソンと強盗団メンバーの車から、ケイシーは無線と武器を奪う。

ケイシーが施設を出た時に見た見知らぬ二人がインターネットにアクセスしていた事を思い出し、ウィルとケイシーは強盗集団が衛星へのアップリンクを利用している事に気づく。

ハッキングを阻止せよ

町に在る携帯電話の中継塔に近づくと強い電波を探知したため、ウィルは台風による暴風雨で視界が最悪な中、ケーブルを担ぎ中継塔に上り始める。

強風であらゆる物が飛来するが、ウィルは何とかケーブルを中継塔に固定させるとケイシーが慣れない手つきでケーブルを巻き戻す。

ディクソンの元へ駆けつけたコナー等は、施設に引き返す途中、全住民が避難し閑散とした町にウィルの車両から照らし出された強い照明を見て確認に来る。その時、ケイシー達は中継塔を倒壊させる事に成功し、施設の金庫のハッキングを寸での所で阻止した。

町に接近している台風は、命を危険に晒すほどの猛威で荒れ狂い、コナー達は仕方なくケイシーの確保を当分諦めディクソンを置き去りにして退避する。しかし、部下である警官達がディクソンを救出して施設へ向かう。

施設では、ブリーズが拘束されている施設所属の隊員達を助けようとするが失敗し、一緒に拘留されてしまう。コナーに続きディクソンが施設に現れると、600億ドルを最初からコナーと分ける事など考えていなかったディクソンと警官達がコナーに銃を向ける。

台風を利用するつもりが計画通り運ばずに苛立っていたコナーは、躊躇する事無くディクソンを射殺し、警察官達に2000万ドルずつの分け前を餌に寝返らせた。

無謀な返り討ち作戦

 

ウィルとケイシーは策を講じ、施設責任者のモレノとウィルの兄ブリーズをケイシーとの人質交換をコナーに申し出る。衛星からの電波が届かずハッキングが叶わなくなり、金庫を開けるには是が非でもケイシーからパスワードを聞き出す必要があるため、コナーは取引に応じる。

落ち合う場所は、ガルフポートのショッピングセンタ―。コナーの手下となった地元警察官がブリーズを連れてショッピングセンターに現れた。ウィルは、大気圧が735以上を計測した所で、ケイシーに合図する。

ケイシーが天井のガラスを撃つと、猛烈な強風が警察官達を空へ吸い込んでしまう。ウィル達も建物の外へ同じように吹き飛ばされてしまうが、計画の準備で安全ベルトをしていたため難を逃れる。しかし、ブリーズと逸れてしまう。

ケイシーの提案で、施設の強盗団を車爆弾で攻撃を仕掛ける事になり、園芸店で物資を調達しに向かう。カテゴリー5に威力を増した巨大台風が遂に上陸した町は、大型タンカーを飲み込んだ津波の様な高潮が港を襲い始めていた。

園芸店にケイシーとウィルを追った警察官達4人が入ってくるが、怒涛のごとく海水がガラスを窓を破り店内に流入した。海の浮遊物にそれぞれしがみついたケイシーとウィルは、低体温症になりながら耐えている。

そこへ、ボートに乗ったブリーズが探しに来てウィルを救出するが、ケイシーはコナーに捕えられてしまう。施設に戻るとモレノを殺そうとするコナーにケイシーは仕方なく金庫を開ける。だが、コナーはケイシーの目の前でモレノを射殺した。

ケイシーの奪還

ブリーズの修理工場に戻ったウィルとブリーズは、ケイシー救出のために準備をしていると窓から日が射し、町が台風の目に入った事を知る。武装した2人は、トラックに乗り修理工場を出発。

車中、幼い時に父親を亡くした日にお互いを傷つける事を言い合い、それが兄弟の間にわだかまりを生んでいたが、2人は共に謝罪し和解する。

町を知り尽くした2人は近道を通り、600億ドルを摘んだトラックが3台に分かれ列をなして走る最後尾に追いつくが、背後には台風のどす黒い雲が激しい稲光を伴い接近していた。

ブリーズが運転し、ウィルが最後尾のトラックに飛び移り、次いでブリーズもジャンプする。2人は屋根を伝って運転手を襲い、トラックを強奪。ブリーズが運転し、ウィルが更に前方のトラックに飛び移る。

同じように屋根を伝い運転席に辿り着くが、乗車しているケイシーと強盗集団メンバーが口論から乱闘に発展しており、ケイシーが銃を誤射して運転手を射殺。ハンドルが取られ、トラックは大きく道路から逸れた。

その間、先頭を走るコナーは、真後ろに着いてくるトラックをブリーズが運転している事に気づき、銃撃してくる。そこへ、追いついたウィルのトラックからケイシーがコナーを銃撃。

ウィルとブリーズはコナーのトラックを両側から挟み込んで体当たりし、コナーは仕方なく急ブレーキを踏んで2台をやり過ごす。スピードを増した台風の黒い暴風がコナーのトラック後部を巻き上げると、扉が開いて財務省施設から盗んだ大量の紙幣が宙に激しく舞う。

悔しがるコナーの頭上からトラックの後部が落ちてきて全体が炎上する。ブリーズが運転しているトラックはエンジントラブルが起きて加速できなくなり、ブリーズはウィルとケイシーが乗るトラックに再び飛び乗る。

その途端、乗り捨てたトラックは、強い暴風に巻き上げられた。ウィルは速度を上げて後方から迫る台風に何とか追いつかれずに逃げる事に成功する。ケイシーは、ウィルとブリーズの兄弟が自分の相棒だと言い、積んだ200億ドルを戦利品と例えみんなでメキシコへ行こうと2人に提案。

まんざらでもない表情で兄弟が顔を見合わせると、ケイシーが冗談だと言い、3人はやっと表情を崩して微笑む。彼方前方には、黒い台風雲の切れ間からオレンジ色に輝く夕日が見える。

『ワイルド・ストーム』を観た感想

大量の水をかぶり強風に煽られ、更に飛んでくる様々な物を避けながらの戦闘シーンを観ていると、演じる俳優達が気の毒になるほど、台風の迫力がよく再現されている。

主演のマギー・グレイスは、数カ月に及ぶ撮影期間、昼夜全身ずぶ濡れで殆どのスタントを自分でこなし、LAPDから戦闘術の特訓を受けて役作り。普段の柔らかい雰囲気とは一転して精神的にタフで信条を曲げない政府職員を演じ、彼女のファンはまた別の顔を楽しめる作品だ。

監督のロブ・コーエンは、非常に限られた予算の中、どうやって本作を制作し得たのかと言うインタビューの質問に対し、2015年公開でジェニファー・ロペス主演の『戦慄の誘惑』でコツを得たと語る。

400万ドルと言う低予算だったが興行的に成功を収めた同作品で、お金の配分をしながらも、いかに安っぽく見えないかを学んだと言う。

本作の脚本を大きな製作スタジオが作るとすれば、数100億ドルの予算が拠出され、もっと有名なスターを起用しろと注文される。しかし、スター俳優は苦労する様なシーンはスタントに任せたがるとコーエンは言う。

観客にそれでは通用しないと言えば、自分のエージェントと交渉してくれと言われてしまうので、低い予算であっても工夫し自分の撮影手法に同意してコミットする役者を使ったと明かす。

また、コーエンはリアリティに対するこだわりには妥協をせず、本作の撮影前に相当な時間をかけてリサーチをし、気象学者を顧問に迎えて制作にあたる徹底ぶりだ。

ディザスターやパニック映画に欠かせないのがCGによる特撮であるが、実は本作におけるアクションシーンでCGが使われたのは全体の僅か20パーセント。

実に劇中描写される残り80パーセントは、セットを作り物理的に再現されたのである。コーエンは、台風上陸のアクションシーンに殆どCGを使わず、台風を再現して迫力を追求したと語る。

ケイシー役のグレイスは、600万ガロンの水と風速44メートル/秒を起こす機械を使って台風を再現し、津波に至っては4.4万ガロンの水を使い、特殊装置で高潮を作り出したと話す。

アクション映画制作に長いキャリアを持つコーエンだが、『THE MENTALIST メンタリストの捜査ファイル』のサイモン・ベイカー主演のテレビドラマ『堕ちた弁護士‐ニック・フォーリ‐』の監督も務める等多才である。

本作はジェットコースターに乗るような感覚を楽しむディザスター映画が好きな人は楽しめる作品で、アクションシーンやパニック要素が盛り込まれている事から『ジオ・ストーム』より迫力があると言える。

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