耳をすませばのネタバレと感想を紹介!フル動画の無料視聴方法もご紹介

『耳をすませば』は柊あおいの同名コミックをベースにしたスタジオジブリ作品です。読書が大好きな中学3年生の雫が、図書カードで見た名前しか知らない男子生徒に思いを馳せる一方で、ふとしたことで知り合った少年に心惹かれていくことから始まる恋と成長が情感豊かに描かれています。

ファンタジックな要素も盛り込みながら、この年代の少年・少女にありがちな日常の出来事が時にはコミカルに、時には切なく表現されている『耳をすませば』についてご紹介いたします。

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『耳をすませば』の作品情報

タイトル:耳をすませば

監督:近藤喜文

脚本:宮崎駿

原案:柊あおい「耳をすませば」

製作:鈴木敏夫/宮崎駿

公開:1995年7月15日(日本)

声の出演:本名陽子/高橋一生/露口茂/立花隆/室井滋/山下容莉枝/小林桂樹 など

本作は、高畑勲監督作品の『火垂るの墓』『おもひでぽろぽろ』でキャラクターデザインと作画監督を、宮崎駿監督作品の『魔女の宅急便』『もののけ姫』で作画監督を務めた近藤喜文の映画監督デビュー作です。しかし、近藤監督は1998年1月21日に亡くなり、本作は近藤監督にとって唯一の劇場公開された長編監督作品となりました。

そして、本作は日本で初めてドルビーデジタルが採用された映画でした。しかし、公開当時はドルビーデジタルに対応した映画館が非常に少なく、スタッフがこだわって作ったいい『音』を聴けた観客は多くはありませんでした。

『耳をすませば』のキャストについて

雫の声優を務めた本名陽子は子役として大活躍し、『おもひでぽろぽろ』が声優デビュー作でした。本作で彼女が歌った主題歌『カントリー・ロード』はシングル発売されて、オリコンでは最高位22位となりました。聖司の声優を務めた高橋一生もまた子役として活動していましたが、一時期、芸能活動を休止したことがあり、復帰作が初めて声優の仕事をした本作となりました。

また、バロンの声優を務めた露口茂はそれまでにも声優の仕事をしていたものの、アニメーションの声優は初めてでした。しかも、ネコの声ということで引き受けるべきか悩んだそうですが、宮崎駿に説得されて引き受け、納得するまでアフレコをしたとのことです。

『耳をすませば』のあらすじ・ネタバレ

月島雫(声:本名陽子)は、図書館司書として働く郷土史家の父・靖也(声:立花隆)、大学院(修士課程)に通う母・朝子(声:室井滋)、大学1年生の姉の汐(声:山下容莉枝)と団地で暮らす、向原中学校の3年生の少女だ。父から図書館が本の貸出データをバーコード化すると聞いた雫は、図書カードのままが好きだと言う。

読書が大好きな雫は夏休みのある夜、図書館で借りた本の図書カードを見ていて、他の2冊の本の図書カードにも『天沢聖司』という名前があるのに気づいた。雫は自分よりも先に本を読んでいる人に「どんな人だろう? 素敵な人かしら」と関心を抱く。

その翌日、雫は親友の原田夕子(声:佳山麻衣子)との約束で中学校に行くと、保健室の高坂先生(声:高山みなみ)に図書室を開けてもらった。図書室で借りた本を全部読んでしまい、その日は市立図書館が休みのため、夏休みに本を20冊読むと決めていた雫はまた本を借りたかったのだ。

雫が借りようとした本は市立図書館にはない貴重なもので、寄贈者印は『天澤』となっていた。雫がどんな人かたずねても高坂先生には知る由もない。そこに待ち合わせ場所にいなかった雫を捜していた夕子が現れ、校庭のベンチに移動すると、雫は夕子に頼まれていた『カントリー・ロード』の訳詩を見せた。

雫と一緒に訳詩を歌った夕子は「悪くないよ」と評価する。だが、ありきたりだと不満な雫は、替え歌風の『コンクリート・ロード』の詞も見せた。実は夕子が雫を呼び出したのは恋の相談で、他のクラスの生徒にラブレターをもらったという。返答に困るのは、雫の男友達である野球部の杉村(声:中島義美)が好きだからと打ち明けた。

帰路についた2人だが、雫が本を置き忘れたのに気づいて戻ると、知らない少年(声:高橋一生)がベンチで本を読んでいて、「ほらよ、月島雫」と言って本を返す。本に挟んだままの歌詞を見たらしく「『コンクリート・ロード』はやめたほうがいいと思うよ」と言って去った。少年のことを「やなヤツ!」と連呼しながら帰宅した雫は歌詞を破り捨てる。

『地球屋』の主人と猫の人形のバロン

ある日、雫は家事で忙しい汐に頼まれ、父に弁当を届けるため図書館に向かった。電車に乗ると車内に太った猫がいて、気になって話しかけた雫は自分と同じ駅で降りた猫を思わず追いかける。一度は見失った猫を見つけて追いかけた雫は、坂の上のロータリーの前にあるアトリエ『地球屋』に入ってみた。

初めて入った古道具屋で、雫はステッキを持ったスーツ姿の猫の人形に目を止める。素敵な人形に「あなたがさっきの猫くん?」と話しかけると、微笑んだように見えて雫は驚いた。老店主の西司朗(声:小林桂樹)は、猫の人形はフンベルト・フォン・ジッキンゲン男爵という名前だと教えてくれる。

西は大きな古びた時計を修理し、雫はからくり人形のドワーフの動きに見とれた。その時計は12時になると文字盤にドワーフの王が現れ、文字盤の上の飾り窓にいた羊が12時の鐘の音を打つ間だけ本当の姿のエルフの王女となって現れる仕掛けになっている。西が語る2人の悲しい愛の物語に感動した雫だが、用事を思い出して店を出た。

物語に出てくるような素敵な店を見つけて喜びながら図書館に到着すると、雫が『地球屋』に忘れた弁当箱をベンチで会った少年が持ってくる。少年は弁当箱の大きさをからかい、『コンクリート・ロード』を歌いながら去ったが、彼の自転車にはあの太った猫が乗っていた。

父に弁当箱を渡しながら、雫は「とてもいいことがあって、洞窟で宝物を見つけた感じだったのに、それが心無いひと言で生き埋めになった気分」と説明しにくい心境を伝える。借りる本を探す雫は貸出カードに『天沢聖司』の名前を見つけてどんな人か想像すると少年の姿が浮かび、思わず「違う。あんな人じゃない」と大きな声を出した。

本の寄贈者の正体と杉村の告白

新学期が始まり、雫は夕子からラブレターの返事はまだで相手も何も言ってこないが、断ろうと思っていると聞かされて賛成する。雫は杉村とくっつけようとするのを夕子は断った。昼休みに雫は職員室で昔からいる先生に『フェアリーテール』の寄贈者の天沢についてたずねる。その人は何年か前にPTA会長を務めた人で、末っ子が雫と同学年にいると知らされた。

その直後、雫は廊下であの少年と出会うが無視されて怒る。保健室で夕子たちや高坂先生と弁当を食べながら、雫は貸出カードの男子生徒と少年の話題でからかわれた。完成した『カントリー・ロード』の訳詩を見せると絶賛されたが、コーラス部へ同行せずに図書館に向かう。

途中で雫は『地球屋』を思い出して行くが、店は閉まっていた。猫の男爵の人形の姿は見えず、雫は「買われちゃったのかな」と落胆する。その夜、雫を電話で呼び出した夕子は瞼を腫らして泣いていた。杉村が友達に頼まれてラブレターの返事が欲しいと言ってきたので「何でそんなこと言うのよ」と泣きながら怒ってしまったという。

鈍感とはいえ杉村は夕子の気持ちを知らないので仕方がないため、杉村に謝るつもりの夕子だが、こんな顔では学校に行けないと翌日は休んだ。放課後、杉村と神社で話をした雫は、頼まれ事をしただけで泣いた理由がわからないと言う杉村に、夕子の気持ちを伝えてしまう。それを聞いて「困る」と言う杉村は、雫のことが好きだと告白した。

その告白に驚いた雫は「冗談を言わないで」と言ったが、ずっと前から雫が好きだった杉村は雫にはっきりとした返事を求める。しかし、雫は杉村は好きでも『友達』で、その気持ちはこれから先も変わらないと伝えた。帰宅した雫はこれまでの自分の鈍感さに気づき、嫌になって泣いてしまう。

『地球屋』の店主の孫だった天沢聖司

泣いたあとに雫が『地球屋』に行くと店は閉まっていた。だが、店の前にいた太った猫に、昔とは違って素直でなくなった自分のことを語っていると、少年が自転車でやって来る。少年は満月みたいな体形だからと猫をムーンと呼んでいるが、飼い猫ではなく、いろんな家を渡り歩いていると言う。

雫は電車でムーンと出会ったことで『地球屋』を見つけたこと、ムーンに「かわいくないね。私そっくりだ」と言ったことを少年に話した。すると、少年は「全然似ていないよ」と否定し、ムーンのことを「半分化け猫だ」と言う。雫は店がずっと閉まっているため店主の西を心配して少年に聞くと元気とのことで、店は開いているほうが少ないと教えてもらった。

少年はバロン(男爵)と呼ばれている猫の人形を見せるため裏側の入り口に案内し、そこから見える景色に雫は「空に浮かんでいるみたい」で素敵だと感じる。店内に入ると大きな時計はなくなっていて、少年の話では雫が店を訪れた日に3年がかりの修理が終わり、今日、届けに行ったのだ。少年に言われて光が入った人形の眼を見ると、キラキラと不思議な輝きが見える。

それは布張りをする時に偶然、職人がつけた傷による『天使の部屋』と呼ばれるものだった。少年はバロンが祖父の西の宝物で、話しはしないが思い出があるという。好きなだけ見ていていいと言われた雫は、バロンに「ずっと以前から知っていたような気がする。時々、会いたくてたまらなくなる。今日は何だかとても悲しそう」と話しかけた。

階下の工房に行くと、少年はヴァイオリンを作っている。ヴァイオリン制作の教室もやる工房には少年が作った完成品もあったが、少年は「全然だめだ」と反省していた。雫がヴァイオリンの演奏を頼むと、少年は雫に歌うように言う。音痴だからと断ろうとするが、少年が『カントリー・ロード』を弾いたため自分の訳詩で歌った。

そこに西が音楽仲間の北(声:鈴木敏夫)と南(声:井上直久)と来て、ヴィオラ・ダ・ガンバ、リュート、タンバリン、コルネットやリコーダーも加わって合奏する。そこで少年が天沢聖司だと知り、少年の名字は西と思っていた雫は驚いた。イメージの人物像との違いもあり、今まで名乗らなかった聖司と言い合いになるものの仲直りする。

帰宅の道すがら、雫は聖司からヴァイオリン作りの職人になるため、中学卒業後はイタリアのクレモナにあるヴァイオリンの制作学校に行くという夢を聞いた。だが、家族は大反対で味方は祖父だけのため、どうなるかわからないという。すでに自分の進路を決めている聖司と比べて何もない自分を卑下する雫に、聖司は詞の才能があって『コンクリート・ロード』が好きだと言った。

イタリア行きの夢をかなえる聖司

帰宅した雫は汐に「進路はいつ決めたの?」と聞くが、汐は「それを探すために大学に行っている」と答える。翌日、遅刻しそうになった雫と一緒になった杉村はいつものように「おはよう」と声をかけた。1時間目は運よく自習で、雫は夕子から「夕べ、別のクラスの男の子と歩いていて、恋人同士みたいだった」と噂になっていることを聞く。

その直後、杉村は夕子に「ラブレターのことだけど、俺から断っておく」と言いに来て謝った。複雑な心境の雫だが、昼休みに聖司が教室に来て雫を呼び出し、クラスメートは大騒ぎする。聖司は父親が許可してイタリアに行くことを一番に雫に伝えたかったのだ。2人はクラスメートたちが見ている廊下から屋上へ行くが雨が降っている。

屋上のドアを出たところの屋根の下で2人は話し、聖司は祖父の友人が紹介したアトリエでの2カ月の見習いが条件だと言う。アトリエの親方は厳しい人で、聖司に見込みがあるのか才能をチェックしてくれる一方、聖司が我慢できるかも試されるのだ。それで駄目なら進学という父親の考え方は逃げ道を作るようで嫌だと思う聖司だが、パスポートができ次第、出発するという。

雨が上がり、2人は屋上の手すりのところで空を見ながら話し、雫はどんどん夢に向かって進む聖司に比べて、同じ高校に行けたらと考えていた自分はレベルが低いと言った。すると、聖司は図書カードでずっと前から雫に気づいていたと打ち明ける。図書館で何度もすれ違い、隣の席に座ったこと、雫よりも先に図書カードに名前を書くため本をたくさん読んだことも話した。

2人の様子をクラスメートは屋上のドアの陰から覗き見し、気づいた雫はみんなのところに行って怒る。ほとんどのクラスメートが逃げて行くと、雫は涙をこぼした。その夜、雫は夕子の家に行き、中学卒業後はイタリアに10年くらい修業に行くかもしれない聖司の話をするが、夕子は運命の赤い糸の話を持ち出して素敵だと雫を励ます。

落ち込んだままの雫に夕子は『カントリー・ロード』の訳詩の話をして、雫には才能があると勇気づけようとした。雫は聖司が才能を確かめに行くことから、自分も才能を確かめるため物語を書くことにする。帰り道で雫はムーンに偶然会うが、ある家の少女はムーンを『ムタ』と呼んでいた。

バロンが主人公の物語を書く雫

雫は物語の主人公をバロンにする許可を得るため会いに行った西に、物語の最初の読者になる条件を提案される。ちゃんと書けるか自信がない雫はためらうが、西は最初から完璧を期待してはいけないのは職人も同じだと語った。西は雲母片岩の中の緑柱石というエメラルドの原石を見せ、雫も聖司もその石と同じで磨いていない自然の状態だという。

西はそのままでも好きだが、ヴァイオリン作りも物語を書くのも違っていて、自分の中に見つけた原石を時間をかけて磨かなければならないと言った。雫はバロン(声:露口茂)とラピスラズリの鉱脈を探す旅をする物語を書くことにする。図書館で調べ物をしていると、出発が翌日の聖司が会いに来て、別れ際に握手をした雫は「行ってらっしゃい」と言った。

雫は勉強や食事もそっちのけで物語を書くことに没頭し、中間テストの成績の順位が100番も落ちて母が教師に呼び出される。塾の講師の仕事を見つけて一人暮らしを始める汐も、雫の様子がおかしいことに気づいていた。その夜、父が帰宅すると汐が雫に説教して喧嘩になり、理由を聞いた父親は母親と一緒に雫と話す。

雫は「あと3週間のうちにやらないといけない。自分を試すと決めたの」と言うだけで、何をやっているか言わなかった。雫が図書館で何か一生懸命やっている姿を見ていた父は「1つしか生き方がないわけじゃない」と、信じるとおりにやることを許可する。ただし、「人と違う生き方はしんどい。誰のせいにもできない」と忠告し、母も食事はとるように言った。

物語の完成と聖司のプロポーズ

『地球屋』で西が昔の恋人の夢を見て目覚めると雫が来て、『耳をすませば バロンのくれた物語』をすぐに読んでほしいと頼む。読み終えた西は褒めるが、雫は出来に納得していなかった。だが、西は「荒々しくて率直で未完成。聖司のヴァイオリンのようだ」と評し、「切り出した原石を時間をかけて磨きあげてください。あなたは素敵です」と言った。

その言葉に雫は思わず号泣する。書き手としての勉強不足を痛感したが、聖司がどんどん先を行くことに焦ったのだ。西は聖司を好きになった雫に鍋焼きうどんをふるまい、聖司が初めてヴァイオリンを作った時はラーメンだったと話す。そして、ドイツでバロンを譲ってもらおうとしたが、修理に出した恋人の貴婦人の人形と引き離せないと店主に断られた話をした。

それは、魔法使いの血をひく職人が工房を連ねる町がある遠い異国の地で、見習いの貧しい人形作りがバロンと許嫁のルイーゼを作ったという雫の物語に酷似している。帰国が迫っていた西はあきらめようとしたが、一緒にいた女性が貴婦人の人形を引き取り、2つの人形を必ず一緒にすると店主に約束した。だが、その後に始まった戦争が終わり、女性と貴婦人の人形を探しても見つからない。

店主との約束を果たせず、追憶の中にいたバロンを希望の物語にしてくれたお礼に、西は雫に緑柱石の入った雲母片岩をプレゼントした。帰宅した雫は母に「受験生に戻ります」と宣言する。風呂に入っていた父が部屋に行くと、雫は部屋着のまま寝てしまっていた。

翌朝早く目覚めた雫が窓から外を見ると聖司がいる。帰りの飛行機を1日早くした聖司は「奇跡だ」と会えたのを喜び、雫を自転車に乗せて走り出した。早く会いたかった聖司は心の中で何度も「雫」と呼んだら、窓が開いたという。「秘密の場所」という高台に登った聖司は、雫に朝靄が雲海のような町の景色と昇る朝日を見せたかったのだ。

祖父から話を聞いた聖司は雫の物語のことなど何も知らず、自分のことばかりだったと謝る。だが、雫は聖司がいたから頑張れたし、背伸びをして試してよかったと言った。雫がもっと勉強するため高校に行くと伝えると、聖司は「俺と結婚してくれないか。きっと一人前のヴァイオリン作りになるから」とプロポーズし、雫はうなずいて「うれしい」と言うのだった。

『耳をすませば』の感想とまとめ

雫と聖司の一途な姿が微笑ましく、胸を熱くさせられます。特に、ヴァイオリン作りの職人という、そう簡単にはかなえられない夢に向かって突き進む聖司に触発され、物語を書くことに没頭する雫は、応援しながら見ている一方で、何もそこまで思い詰めなくてもと心配になるほどです。しかし、それがあの年代の少年・少女ならではの『若さゆえの熱さ』なのかもしれません。

本作では『耳をすませば バロンのくれた物語』は一部しか紹介されません。雫は書きたいことがまとまらなくて、特に後半の構成がダメと反省していますが、どんな長編ストーリーなのか読んでみたくなります。

図書カードの『天沢聖司』はあの少年ではないのかと、観客は話が進むにつれて薄々感じてくるものの、いっこうに気づかない雫はかわいいですね。でも、イメージしていた『天沢聖司』の人物像と少年(聖司)の性格や言動が違うにしても、『気になる存在』であることに変わりはなく、雫にも何か予感めいたものがあったのではないでしょうか。

聖司もこの年代の男の子にありがちな、最初は意識するところから始まって好きになった女の子に、つい憎まれ口をたたいてしまう姿がかわいらしいです。図書館で雫の隣に座ったのは大胆ですが、それに雫が気づいていないのは彼女が本を好きすぎるところが伝わってきます。そして、ラストシーンでの聖司のプロポーズは男らしくてかっこいいですね。

初恋という初々しくて瑞々しい感情とはまた別に、バロンにまつわる西の昔の恋、ハッピーエンドにならなかった大人の愛はとても切なく、苦いです。つらくて悲しい思いをしたからこそ、西は優しく、温かく雫の想いを受け止め、数々のアドバイスをしてくれたのでしょう。両親や姉も含めて、雫はとても素敵な大人たちに囲まれて育ち、成長していると思います。

『地球屋』の描写も興味深く、行ってみたいと思ってしまいます。昔の愛を胸に秘めている西ならではの、古き良きものを大切にしている骨董屋だと伝わります。遠い未来であっても、バロンと貴婦人の人形には再会してほしいです。

思いどおりにならないことがあっても、とにかく前を向いて挑んでいく大切さが感じられる作品だと思います。本作のエンドロールでは定点で道を行く人々が描かれますが、夕子が杉村を待っていて2人で歩いて行く姿も見られ、こちらもハッピーエンドの気配がします。大人が見ても「自分も頑張っていこう」と思わされ、ホッとするような作品です。

 

 

 

 

 

 

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