映画『運び屋』あらすじ・ネタバレと感想!フル動画を無料視聴する方法も紹介

『運び屋』は、『グランド・トリノ』以来久しぶりにクリント・イーストウッドが監督・製作・主演を務めた映画です。87才の麻薬の運び屋・レオ・シャープの実話を基に製作されました。アメリカの麻薬取締局が麻薬カルテルのオペレーションを察していたにも拘らず、長い間大量のコケインを移送する運び屋を逮捕できなかった訳とは…。

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『運び屋』作品情報

タイトル:運び屋

原題:The Mule

監督:クリント・イーストウッド

脚本:ニック・シェンク

製作:クリント・イーストウッド、ティム・ムーア、クリスティーナ・リベラ、ジェシカ・マイヤー、ダン・フリードキン、ブラッドリー・トーマス

公開日:2018年12月14日(アメリカ)、2019年3月8日(日本)

出演者:クリント・イーストウッド、ローレンス・フィッシュバーン、ブラッドリー・クーパー、ダイアン・ウィースト、アンディ・ガルシア、アリソン・イーストウッド、タイッサ・ファーミンガ

『運び屋』概要

「ニューヨーク・タイムズ・マガジン」が掲載したレオ・シャープの記事にクリント・イーストウッドが興味を持ちます。『グランド・トリノ』を書いたニック・シェンクの脚本を気に入り映画化を決定。当初は主演するつもりはありませんでしたが、他のプロデューサーに勧められ、自分より年上の運び屋を演じてみようと思ったと明かしています。

キャスト

主人公アール・ストーンをクリント・イーストウッドが演じ、その妻・メアリーをダイアン・ウィースト、そして娘・アイリス役にはイーストウッドの実娘アリソン・イーストウッドをキャスト。麻薬取締局管理官にローレンス・フィッシュバーン、また部下の新任捜査官コリン・ベイツには『アメリカン・スナイパー』後イーストウッドと2度目のタッグを組むブラッドリー・クーパー。麻薬カルテルのボスをアンディ・ガルシアが扮し豪華俳優陣が結集。

『運び屋』あらすじ・ネタバレ

農園一面にユリが咲き乱れている。園芸家アール・ストーンは、温室で栽培したユリの世話をしていた。2005年度開催デイリリー品評会に参加したアールの花は大人気だ。通路で男がインターネットで簡単に物を購入できると話すのをアールは小耳にはさむ。

家族は二の次

審査結果が発表され、アールのユリが優勝した。その頃、娘アイリスは自分の結婚式に父親が現れないため、落ち着かずシャンパンを飲み干して気を静めようとする。まさか娘の結婚式には来るだろうと言う娘に対し、母・メアリーは期待しない様に忠告した。

これまでもアールが子供の洗礼式やアイリスの卒業式、更に夫婦のアニバーサリーにも無頓着だった事を話す。アイリスは更に気が動転し、花婿がアイリスを気遣う。一方、アールは品評会の後、友人達とバーでお酒を飲んでいた。

12年後、農園を閉鎖したアールは、手伝いのヒスパニック達に僅かな給金を支払うと自宅を出る。孫娘ジニーが結婚を控えて近親者や友人を自宅に招いている先へアールは出向いた。アイリスは父に嫌悪し、娘にアールとは一緒には居られないと立ち去る。

メアリーは、アールのトラックの荷台に積まれた荷物を見て、ジニーの結婚の為に姿を現したのではなく、またしても行く所が無くてやって来たのかと問い詰める。ジニーに結婚式費用を支払う手助けをすると空約束した事も責めた。

アールは、週に60時間働き家族を養ってきたと言い張るが、大切な時に家族の側に居なかった夫に対し、メアリーはうんざりしていた。居辛くなったアールはメアリーを罵りながら立ち去るが、やり取りを見ていた参加客の一人がアールに近づく。

舞い込んだ新たな仕事

トラックに貼られたステッカーを見て、アールが41州を回り交通違反1つ犯した事が無い事を知ると、その男はリチャードと名乗り、ジニーの知り合いだと自己紹介した。運転手を探している人間を知っていると言い、住所が書かれた紙を渡す。

アールは何が目的だと尋ねるが、孫を助けるんだろう?と言われ、黙って、紙を受け取る。ジニーを見つめ、ただ運転するだけでお金を貰えるならと気を良くしたアールはその住所へ向かう。国道沿いのタイヤ店へ来るとガレージの中に誘導された。

複数のメキシカンが近寄り、アールのトラックをチェックする。リーダーのエミリオが携帯電話を渡し、電話が掛かってきたら何時であろうと出ろと言う。しかし、決して自分からかけるなと釘を刺し目的地に到着したらテキストメッセージが送信されると説明。

アールが携帯電話のテキストメッセージの使い方を知らないと気が付いたエミリオは、連絡が入ったら出ろと言い、ホテルに着いたら車を駐車してグローブボックスに車の鍵を入れて1時間車を離れるよう指示。グローブボックスに報酬と車の鍵が置いてあると話す。

車や報酬の盗難を心配するアールに、メキシカン達は監視の目が行き届いているので大丈夫だとうすら笑う。妙な真似をしない方が良い、アールの身元は割れていると1人がにじり寄った。

ニューヨークやワシントンDCで手柄を立てて新しく赴任したコリン・ベイツ捜査官は麻薬取締局監理官に挨拶を終え、続けて新パートナーのトレヴィーノに会い自分のオフィスへ案内を受ける。

アールは音楽を聴きながら国道を走らせシカゴへ入り指示されたモーテルへ到着。時間を潰して車に戻ると、グローブボックスに車の鍵と封筒を見つける。中には輪ゴムで留めた100ドル札の束が入っていた。

仰天するアールは、窓の外にメキシコ人の男が立っているのに気づく。その男は、よくやったとアールを労い、次回また電話しろと番号の掛かれた紙を手渡そうとする。アールは、今回限りだと言うが、気が変わったらで良いと言われ紙を受け取った。

手にした大金

ジニーの結婚式当日。簡素ながら知人を集めた暖かいパーティが行われ、ジニーは挨拶の際、花や仮説バーを揃えてくれたアールに感謝を述べる。メアリーにダンスをしようと申し込むが、メアリーは過去を直ぐには忘れられないとやんわり断った。

花は美しいが時間やお金を際限なく費やしたアールを理解できないのだった。ある日、アールが住んでいた家に立ち寄ると差し押さえの看板が立っていた。そして、新しい黒色のトラックを購入したアールは、再びタイヤ店へ行く。

最初の時とは違い、皆笑顔でアールを迎え新車を褒めながら積み荷だと言って、荷台へ乗せる。エミリオが新しい携帯をアールに手渡す。前回貰ったのがまだあると見せたアールの携帯を手に取ると、仕事が終了する度に新しい電話に替えると言い目の前で壊す。

ベイツとトレヴィーノはカルテルと繋がるルイスの自宅から麻薬を押収。資金洗浄等の余罪も併せ2度の終身刑は免れないと脅し、麻薬取締局にシナロア・カルテルの情報を流すよう取引を持ち掛ける。最初は嫌がっていたルイスだが、仕方なく応じた。

アールは、借金を返済して差し押さえられた家を取り戻す。過去に従軍し戦争を経験したアールは、退役軍人クラブが火事で被害を受けた事を知った。タイヤ店を訪れたアールは、積み荷が大きくなっているのを見る。中身を聞く事も無くアールは国道へ向かう。

疑われない理由

気になったアールは路肩へ車を停め、荷台の積み荷を見に行く。ダッフルバッグを開けると大量のコケインがビニール袋に詰められていた。そこへK9を連れた警察官が大丈夫かと近寄って来て、何を載せているんだとアールに尋ねる。

姪にピーカンを届ける途中だと言って、アールはナッツの入ったメッシュの袋を見せた。すると、警察車両の中に居たK9が吠え始める。トイレが近い犬だとこぼしながら警官は犬を車から出す。

アールはダッシュボードに置いておいた筋肉痛用のクリームを手に取り、走り寄った犬を撫でる振りをして鼻先にクリームを撫でつけた。慌てた警察官がK9には触れないようアールを注意するが、犬が好きだとアールは作り笑いを浮かべ難を逃れた。

証人保護プログラムを餌に協力し始めたルイスは、複数箇所から麻薬が運び込まれると話す。その頃、荷物を届けたアールの報酬は、輪ゴムの束が3つに跳ね上がっていた。退役軍人クラブの修復費用を賄い開催されたパーティへ参加。アールを皆が称えた。

その後も運び屋を続け、荷物は大きくなり、アールは大金を手にして行く。シナロア・カルテルのボス・ラトンは、次の積み荷の末端価格が2千7百万ドルである事から、部下のジュリオに念のためアールと一緒に走り積み荷の番をするよう指示した。

タイヤ店に現れたジュリオは、エミリオ達を顎で支持し早く出発するよう急かす。アールのトラックの後から別の車で着いて行くジュリオ。途中寄り道するなと言う指示を無視したアールは、タイヤのパンクで立ち往生する家族を手助けする。

ルイスは、ベイツとトレヴィーノに積み荷の到着時等詳細が記載されたノートをこっそり見せた。ベイツは、スマホで写真を撮る。ルイスはタタ(お爺さん)と呼ばれる新顔の運び屋が大量の荷物を運送していると話す。

苛つくジュリオを余所にアールは昼食に立ち寄る。帰り際、パトロールしていた警察官にジュリオは言いがかりをつけられた。アールは、自分の引っ越しを手伝って貰っているとその場を取り成す。

無事麻薬を目的地に届けたアールは、ラトンから招待を受ける。メキシコに在るラトンの豪邸へ訪れたアールをラトンは歓迎。夜自宅で開いた盛大なパーティでアールは美女達に囲まれ大いに楽しんだ。

麻薬取締局の包囲網が狭まる中、ラトンの部下がクーデターを起こし緊張が高まって行った。大きな荷物を運ぶアールの監視も厳しくなる。その頃、ルイスが持ち込んだノートから、麻薬取締局はアールが走るルートと黒のトラックである事を掴んだ。

更に、タタが許可を受けてモーテルに一泊するとルイスから連絡を受けたベイツはそのモーテルに張り込む。体格のある30代の男が拳銃を所持しているのを見たベイツは喧嘩を仕掛けて男を確保するが空振りに終わる。その光景を部屋からアールが見つめていた。

翌朝、モーテルを出たアールは、近くのカフェでコーヒーを飲みに寄り、居合わせたベイツと世間話を交わして様子を窺う。結婚記念日に仕事で妻と過ごせないと愚痴るベイツに、アールも仕事を優先して家族を二の次にし、娘は12年半口も聞かないと話す。

お金より、仕事より、大事なもの

麻薬を届けるため先を進むアールの下にメアリーの体調が悪いと病院に居るジニーから連絡が入った。直ぐ来て欲しいと頼む孫娘に、スケジュールがあるとアールは難色を示すと、ジニーは憤慨して電話を切った。逡巡したアールは、メアリーに会いに行く。

家でゴロゴロするダメ男より、外で働く事を選び家族の側に居なかったとアールはメアリーに謝る。よく来てくれたと喜ぶ母親の様子をアリソンはじっと見つめていた。一方、荷物が届かない事に苛立ったカルテルはアールの携帯に電話をするが応答が無い。

モーテルで待ち伏せしていたベイツとトレヴィーノは、運び屋が現れず1日経過している事を不信に思う。カルテルも運び屋の行方を探しており、見つけ次第殺害すると言う会話を盗聴器で拾った。

メアリーは、どうして金回りが良いのかアールに尋ねる。麻薬カルテルの運び屋で305キロのコカインをトラックに積んでいると答えたアールに、メアリーは吹き出し、お金持ちにならなくても家族はアールを迎えたのにと微笑んだ。

ベイツと会ったルイスは、1週間以上千2百万ドル相当のコカインと共に姿をくらましたアールの行方を探し、カルテルが国道を張っていると言う情報をもたらす。監理官の許可を受けたベイツは大掛かりな捜査に出た。

アールは、メアリーに残された時間を一緒に過ごし最期を看取る。葬儀を終え、アイリスは初めて父を感謝祭に自宅へ招いた。必ず行くと答えたアールは、麻薬を運ぶ仕事に戻るが、カルテルに発見される。

危篤の妻を亡くし葬儀があった事が分かったカルテルは、アールに麻薬の輸送を続けさせた。盗聴で事情を把握したベイツ達はヘリコプターの要請を出す。GPSで場所を特定するとサイレンを鳴らして急行する。

黒いトラックを発見した捜査官達が道路を封鎖。停車したアールの車に向かって一斉に銃を構え車両を出る。投降したアールの顔を見たベイツは、カフェで会った男だと気が付いた。

裁判が始まり、アールの弁護士はカルテルに利用された弱い老人だと訴える。しかし、弁護を途中で制止したアールは、自分が有罪だと裁判長に告げた。連邦刑務所収監を言い渡されるアールを傍聴席で見つめるアリソンとジニーは涙を浮かべた。

チャンスが有る毎に面会に行くとアリソンは言い、少なくとも今度は父親の所在が分かると微笑んだ。刑務所に服役するアールは、園芸に精を出す。美しいデイリリーが広い花壇に美しく咲き乱れ、アールは丹念に世話する日々を送った。

『運び屋』を観た感想

デイリリー栽培に情熱を注ぐ孤独な主人公アール・ストーン。農園と家を持ち園芸業で忙しい生活を送り、アールの育てた花は高評価を得ます。しかし、インターネットで簡単に物を購入する時代が到来し、花や植物もその例外ではなくなります。

廃業に追い込まれたアールがふと周りを見回せば、家族とはすっかり疎遠になっており、年老いた自分が一人残されます。カルテルの運び屋となり大金を手に入れても、やはり最後は家族との関係修復を望むと言う物語でした。

長期間大量の麻薬を運び続けたアールが麻薬取締局の網に掛からなかった理由はただ1つ、高齢であったこと。誰も80代でカルテルの為に麻薬を運ぶ人間を想定していなかったのです。実在した本名レオ・シャープが逮捕された時、彼は87才。

90才で3年間の実刑を言い渡されます。シャープは実際にタタとカルテルから呼ばれ、報酬を使って小児病院へ大金を寄付していました。当局が何か月も捜査を進めたシャープの雇い主であるシナロアカルテルは、メキシコに本拠を置く大規模な犯罪集団。

過去にドラマ化されその名を知る人も多いホアキン・グスマン、別名エル・パチョが仕切っていた悪名高い麻薬密売組織です。メキシコとアメリカ国境下にトンネルを掘り麻薬を密輸していた人物です。

犯罪歴が無く交通違反も皆無だった高齢のシャープは、カルテルにとって魅力的な運び屋。200キロ単位の麻薬を毎月移送して大金を受け取り、関係者の間では都市伝説的存在でした。報酬の相場は、当時1キロにつき千ドルだそうです。

本作のシナロア・カルテルのボスを演じるアンディ・ガルシアと麻薬取締局捜査官役のブラッドリー・クーパーは、脚本を読む前に出演を即決しました。2人共クリント・イーストウッドと仕事が出来る事を優先。どんな役でも構わなかったと話します。

ガルシアとクーパー、そして妻・メアリー役のダイアン・ウィースト、更に娘アイリスには実娘アリソン・イーストウッド等、クリント・イーストウッド自身が選んだキャストが出演しています。

しかし、俳優業から引退していたアリソン・イーストウッドは、直ぐには決められなかったと話します。アイリスがアールと対立する役柄だったため、仲の良い父娘関係に在る自分には演じる事は難しいと考えた事をインタビューで語っています。

まもなく89才を迎えるクリント・イーストウッド。ウェスタンに始まり、ダーティ・ハリー等ヒット作に主演後、監督として人間の本質に迫る数多くの映画を制作してきました。既に様々なマテリアルに目を通し、今後も映画を作りたいと笑顔で明かしています。

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