『ワンダーウーマン』や『スーサイド・スクワッド』に続き、DCコミックのスーパーヒーロ―『アクアマン』がいよいよ実写映画化。時速160キロで泳ぐ怪力の持ち主であり、海洋動物とテレパシーで交信できる能力を備えた弱い者の見方です。2018年12月8日に劇場公開された中国では、最初の週だけで、1億3千5百万ドルの興行収入を叩きだし大きな注目を集めています。
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『アクアマン』の作品詳細
タイトル:アクアマン
原題:Aquaman
監督:ジェームズ・ワン
脚本:デヴィッド・レスリー・ジョンソン、ウィル・ビール
製作:ピーター・サフラン、ロブ・コーワン
公開日:2018年12月21日(アメリカ)、2019年2月8日(日本)
出演者:ジェイソン・モモア、パトリック・ウィルソン、アンバー・ハード、ウィリアム・デフォー、ドルフ・ラングレン、ヤーヤ・アブドゥル=マティーン2世、テムエラ・モリソン、グレアム・マクタヴィッシュ、ニコール・キッドマン
『アクアマン』の概要
アクアマンは水陸両生の海底王国アトランティスの王。監督のジェームズ・ワンは、自然世界の海を舞台にする以上、環境問題を物語の中で無視できなかったと語り、本作に独自の視点を盛り込みました。また、伝統的な英雄像だけは避けたかったと話すワンは、神話に着目しファンタジー世界を創造する事を目的として本作を制作。
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キャスト
監督が選んだ主役には、『ゲーム・オブ・スローン』のジェイソン・モモア。メラ役にはアンバー・ハード、そしてオームを演じるのは、ワンと5回目のタッグを組むパトリック・ウィルソンです。アトランナ女王に扮するのは、ニコール・キッドマン。また、ジェームズ・ワンの盟友リー・ワネルがカメオ出演しています。
『アクアマン』のあらすじ・ネタバレ
ある嵐の晩、灯台守のトーマスは、意識を失って打ち上げられた女性を発見し保護した。翌朝、目を覚ました彼女はトーマスの水槽で泳いでいる子魚を掴んで食べる等奇妙な行動をとった。海底王国アトランティスの女王・アトランナだと分かるが、2人は恋に落ちる。
やがて男児が生まれアーサーと名付けられた。トーマスが息子は国王なのかと訪ねると、アトランナは地上と海を統治し皆が共存できる世界の国王になると話す。そんな中、アトランティス王の命令で、無理矢理アトランナを国へ連れ戻そうと兵士が派遣されて来る。
アトランナは圧倒的なパワーとトライデント(三又の槍)で撃退。しかし、自分が戻らねば次は軍隊が来ると危機感を表すアトランナは、安全を確信した時に戻るとトーマスに約束して海へ1人帰って行った。
小学校の遠足で水族館を訪れるアーサー。巨大水槽の前に立ち、泳ぐ魚と話しをする。それを見ていた苛めっ子達はアーサーをからかい、腕を掴んでアーサーの体を水槽にぶつけた。すると突然、ホオジロザメが苛めっ子達に向かって突進して来る。
ドンッと言う音でガラスにヒビが入った。尚もサメは突進して来る。アーサーはサメに向かってテレパシーで交信。子供達や教師が呆気にとられていると、アーサーの真後ろに水族館全ての魚が控えるのだった。アーサーの目が金色に輝く。
弱者の味方アクアマン
時は現在へ。ブラックマンタ率いる軍団がロシアの潜水艦を乗っ取った。救出に駆けつけたアクアマン(アーサー)は水上まで潜水艦を押し上げ、中へ入ると驚異的なパワーで次々に軍団を倒し、ブラックマンタと近接戦を繰り広げた。
しかし、剣を手刀で切断してしまうアクアマンの怪力には歯が立たず惨敗。乗組員はアクアマンに救助され、ジェシー・ケインは命を落とした。息子のデヴィッドは復讐を誓う。
灯台岬で沈む夕日を見ていたトーマスの所へ、海から飛び出てくるアクアマン。親子は再会を喜ぶ。2人がバーでビールジョッキを飲み干しているとテレビで潜水艦救助のニュースが流れた。そこへ厳つい顔つきで大きな体格をしたライダーグループが親子に近づく。
お前が潜水艦を救助した漁師だろう、と鋭い視線。何か用かといきり立つアクアマン。リーダーの男がピンクのスマホを取り出し地元の英雄と一緒にセルフィーしたいと笑顔で頼む。仕方なく応じるアクアマン。結局、みんなで飲み交わしたくさん写メを撮って楽しんだ。
異父弟オームの野望
その頃、大西洋の海溝奥深くでは、サメを従えたアトランティス王国のオームと馬サイズのタツノオトシゴを従えたゼベル王国のネレウス王がアトランティスの科学者ヴォルコを介し会議を開いていた。
人間に反感を持つオームは戦うべきだと主張するが、ネレウスは、どうぜ人間は自滅するという考えを示す。そこへ、突然魚雷攻撃を浴びた2人は力を合わせて撃退。戦争は既に始まっていると言うオームに、ネレウスも警告するべきだと事態を重く見るのだった。
アクアマンの前にネレウスの娘メラが現れ、オームが人間に戦争を布告すると告げる。お互い多大な犠牲が出るためアクアマンに止めてくれと頼むが、アトランティスとは関係が無いと断るアクアマン。
しかし、メラはアトランティス女王の第一子であるアクアマンこそ王位継承する生得権を保持すると主張。そして、この戦争を防ぎ人間と海底王国に無駄な犠牲を出さない唯一の方法は、アクアマンが王座に就く事だと説得する。
戦争を仕掛けて来るなら、母親を殺した様に自分も無慈悲に闘うとアクアマンはメラに忠告した。一方、ブラックマンタとオームは密会していた。
アクアマンに邪魔され父を殺されたと憤るデヴィッド・ケイン(ブラックマンタ)。約束の報酬だと言ってオームは金貨を置いて行く。ブラックマンタは、代わりにアクアマンも差し出せと叫ぶ。
酔った父を乗せトラックで走るアクアマン。突如大津波が押し寄せ一気に飲み込まれる。アクアマンは水圧で海へ投げ出され猛烈な海流に父が乗ったままのトラックを見失ってしまう。そこにメラが現れ、海水を割ってトーマスを救出する。
感謝するアクアマンに、これはオームの仕業でまだ序の口だとメラは言った。翌日、津波により海沿いの街が大きな被害を受けたと報道される。アクアマンはメラにヴォルコから戦闘や水泳を習った幼い頃の思い出を語った。
アトランティス人の血を引くアクアマンは、水圧や低温に耐え得る能力を備える。そして、光の当たらない海底でも見えるよう順応する目を持つと教えられた。ヴォルコとアクアマンは、エイの大移動とイルカの大群が泳ぐのを一緒に水中で眺めた。
母を恋しく思う幼いアクアマンがいつ会えるのかと尋ね、ヴォルコは王子であるアクアマンにその準備が出来た時にアトランティスへ連れて行き、母と再会させると約束した。
メラは隠していた水中船へ案内するとアクアマンを海底王国アトランティスへ連れて行き、ヴォルコに引き合わせた。ヴォルコは、人間が潜水艦で攻撃をしてきたと話す。アクアマンは人間にとって神話でしかないアトランティスを攻撃する事は有り得ないと返答。
メラの言った通り、ヴォルコもまた大津波はオームの警告だと忠告した。メラは、オームがオーシャンマスターの地位を得れば、手にする力は想像を絶する程強くなると危機感を露わにする。アクアマンは半分人間である自分を海底王国では誰も認めないと言った。
ヴォルコは、初代王アトランが作らせたトライデントを発見できれば、王国の民は納得しアクアマンを支持すると主張した。かつて繁栄を遂げたアトランティスは、地上で豊かな国を構築。しかし、より権力を欲したアトランの野心が災い国は海底へ沈んでしまった。
そこで新しく誕生した文明では、水中で呼吸が出来るように進化した者達が生き延びた。ヴォルコは、考古学者が発見した古い記録装置を取り出し、アトランが自国の民に向けた最後のメッセージと聖なるトライデントの所在も分かるはずだと意気込む。
しかし、オームに動きを感ずかれ、アクアマンは拘束されてしまう。オームは人間によって汚された海や苦しんだ海洋動物に対する怒りを露わにした。2人は一対一の決闘へと発展。闘いの直前、アクアマンはいつか異父弟に会いたいと思っていたとオームに明かす。
オームは、母が結婚前にアクアマンを生んだ事を知った自分の父親・アトランティス王の怒りを買い、アトランナが殺された事でアクアマンを恨んでいたと話す。
だがオームはアクアマンを殺したい訳では無く、二度とアトランティスへ戻らないと誓えば解放するとオームは約束。だが人間との戦争は避けられないと警告。世界をまたがる七つの海の怒りと共に闘いを挑むと弟は兄に告げた。
アクアマンは、そんな事はさせないと答えた。オームは分かっていると言い残し、闘技場へ飛び出していく。アトランティス国民が観客席で歓声を上げる中、兄弟の闘いが始まった。
アクアマンは、母から受け継いだトライデントを使うが、オームの持つ王譲りのトライデントには敵わない。劣勢に立たされたアクアマンをメラが加勢しアトランティスを脱出するが、軍隊が追って来て執拗に攻撃を受ける。オームの放った砲弾が2人の乗る水中船に直撃。
何とか2人は海底マグマに飲み込まれる直前に脱出成功するのだった。アクアマンが遊泳していたクジラに頼み2人は口の中へ身を隠して難を免れた。
伝説の武器・聖なるトライデント
地上へ戻ったアクアマンとメラは、伝説のトライデントを求め、かつて地上に栄えたアトランティスの探索を開始。サハラ砂漠を歩き、地底に長く眠っていた砂漠の王国へ到着する。トライデントの鋳型を発見した2人は、持参した記録装置を起動した。
すると水をまとったアトラン国王の姿が現れる。正式な継承者が聖なるトライデント手にすれば地上と海底全ての王国を一体となるが、悪の手に渡れば破壊をもたらす。我が力を欲するなら世界の果ての海を探し自分を証明せよ。
真の王が瓶の中を見れば路は開けると言う言葉で、アトラン王の姿は消滅。瓶に入った地図を発見したアクアマンとメラは、トライデントを探す旅へ出た。地図を辿りイタリアの猟師町に在る古代の神殿へやって来た。
アクアマンは、立ち並ぶ彫刻の中からローマを創建した初代の王ロムルス像の手に地図の入っていた瓶を乗せてみた。後ろから瓶の中を覗くと太陽光を受けたトライデントが浮かび上がる。喜ぶ2人だが、そこへブラックマンタが襲撃してきた。
オームからアトランティスの兵器を供与され凄まじい破壊力を携えていた。メラがオームの新鋭隊と、アクアマンはブラックマンタと激しい戦闘を繰り広げる。辛くも敵を撃退した2人は、世界の果てを目指し船で海へ出た。
しかし、メラの命が危険に晒されたため、アクアマンは躊躇していた。自分はリーダーでも王でも無い、メラが信じていてもそのために死なせる訳には行かないとアクアマンは諭すように言った。
メラは、人間だからこそ王国を率いるに値する、何故なら地上と海底を結ぶ橋と成り得るからだと説得する。その頃、アトランティスでは、オームがアクアマンを支持した裏切りでヴォルコを拘束。
最愛の母アトランナ
トレンチ王国の魚族に襲われた2人は海溝深く潜るが、光に覆われた激しい海流に飲み込まれて離れ離れになってしまう。意識を失うメラ。そこへ、何者かがメラを救い猛烈なスピードで泳いでいく。後を追ったアクアマンは、地核に在る秘境国へ到着する。
空を観た事も無い生き物が飛行する不思議な場所でアクアマンが見たのは、浜辺に打ち上げられたメラの側に立つ母・アトランナであった。驚愕の表情を浮かべるアクアマン。アトランナは微笑み、アーサーと息子の名前を呼ぶ。母子は抱きしめ合う。
アトランナは、トレンチによって殺害されそうになったが、この地で生き延びたと明かす。許しを請う母に、アクアマンは自分のせいで母がこんな目に遭ったと言う。自分を責めないで欲しいとアトランナは気遣い、息子と夫を守るために去る決断をした事を話す。
トーマスの事を教えて欲しいと頼む母に、アクアマンは毎日欠かさず灯台岬に立ち妻が帰るのを待つ父の話をした。何故戻らないのかと尋ねるアクアマン。アトランナは、聖なるトライデント無しでは戻れないと言う。
伝説で語り継がれた生き物は実在して前方の滝で護衛しており、アトランナが何度試みてもトライデントへ辿り着けなかった。真の王だけがトライデントへの路を通れるのだと説明した。
自分を信じられず恐れる息子の心を見抜いたアトランナは、アトランティスに今必要なのは英雄であり、全ての者の為に闘えと母はアクアマンを勇気づけた。滝の中へ姿を消すアクアマンを見守るアトランナとメラ。
アクアマンの前に護衛をしていた巨大な生き物が現れ、アトラン以降真の王だけが聖なるトライデントを手に取れると挑む。アクアマンはテレパシーで怪物と交信。自分を理解できる人間を初めて見たその生物は、アクアマンにチャンスを与える。
前方に鎮座する像の両手に握られたトライデントは、真の王だけが手にできると伝説の生物は言う。アクアマンが泳いで近づき、トライデントを掴むと像が崩壊した。アトランナの前に、金色に輝くトライデントを手にしたアクアマンが真の王として滝から姿を現す。
その頃、アトランティスではゼベルと組み人間界に対する戦争準備で大艦隊が集結していた。そこへ海底から巨大な怪物に乗ったアクアマンがやって来る。艦隊は一斉に攻撃するが、トライデントを持つアクアマンは強力なテレパシーで海洋動物を味方に付けた。
兵士に仕えていたサメやタツノオトシゴも皆アクアマンに従い、反旗を翻してアトランティスの艦隊に猛反撃を開始。メラはシャチに乗り父のネレウスの下へ駆けつけ、戦争を思い止まるよう説得した。
ネレウスは、伝説のトライデントを手にしたアクアマンを真の王であると受け入れた。諦めないオームとアクアマンの一騎打ちが始まる。しかし、伝説のトライデントがオームのトライデントを粉砕。
慈悲を知らないオームは自分を殺せと言うが、弟は殺せないとアクアマンはトライデントを収めた。そこへ殺戮はもう十分だと言いながらアトランナが現れる。
アーサー王誕生/地上と海の共存
息子よと両手を広げたアトランナはオームを抱きしめた。アーサーに助けられた事を話し、オームが誤った指導を受けていたと諭す。地上と海底は別の世界だと教えた前アトランティス王は間違っており、海と陸は繋がる1つの世界だと言う母にオームはうな垂れた。
メラに救出されたヴォルコがアトランティスの兵士を引きつれて来ると、アトランナに跪き女王への敬意を示す。そして、オームを拘束せよと兵士たちに命じた。アクアマンは、お前がその気になった時に話そうとオームに声を掛けた。
兵士たちと共に、オームは海へ姿を消す。ネレウスを含めた全員がアクアマンを真の王として称え、アーサー王の下で一致団結するのだった。
日没を迎える岬の階段を下りるトーマス。行く先へ視線を向けると、海へ続くデッキの先にアトランナが夕日を浴びて立っている。駆け寄り抱きしめ合う2人。やっと戻ったなと感情が溢れるトーマス。何度も頷くアトランナはトーマスにキスをした。
‐父は灯台守。母は女王。出会うはずの無い2人によって俺は生まれた。人間界で育ち海を統治する王、私がアクアマン‐
『アクアマン』を観た感想
『アクアマン』は伝説の古代文明アトランティスを舞台にした物語。ジェームス・キャメロンの『アビス』の様に、海底の生命体に対する関心は以前から現実社会に在り、宇宙のそれと同様に人々から関心を集めてきました。
監督を務めたジェームズ・ワンは芸術学校で学んだ事があり、海底王国アトランティス作りを楽しんだとしながら、その苦労を理解してジョージ・ルーカスやピーター・ジャクソンを改めて称賛しています。
乗り物や登場する動物からキャラクターが履く靴まで、全てデザインする所から始めたワンは、『スターウォーズ』、そして『ロード・オブ・ザ・リング』の様に自分もディテールを大切にしてこだわったそうです。
アトランティスで光るクラゲが太陽光の届かない海底における明かりの役目をする等、数秒の映像に写りこむ小さな積み重ねを緻密に描写し、全体像となった時の雄大さは圧巻です。そして、全てCGに頼るのではなく、戦闘シーン等はセットを使って撮影しました。
本作のスタント担当は、『マトリックス』や『マッド・マックス』で活躍したチームです。また、これまでテレビドラマや文学ドラマ映画等に出演してきたニコール・キッドマンがワイヤーアクションに初めて挑戦し、華麗なマーシャル・アーツを披露しています。
はまり役と言えるのは、主人公アクアマンを演じたジェイソン・モモアです。普通の服装でも王たる風格が滲み出ており、伝説のトライデントを手に滝から姿を現す場面は、正にキング。
ワンがモモアのカリスマ性とチャーミングな一面に魅かれてキャストしたと話す通り、劇中の写メを撮るシーン等はお茶目で愛らしいモモアの自然なキャラクターが活かされています。
自身の両親が異人種であるためアクアマンの置かれた状況がよく分かると話すモモアは、その胸の内を表現したかったとインタビューで明かしています。トーマスとアトランナの恋は純粋であり、エンディングを飾るに相応しい場面でした。
本作で大きな注目を集めたモモアがフィリピンへ映画のプロモーションに訪れた際、空港でファンが写真を撮りSNSへ投稿。フィリピンのネットが一時ダウンする程アクセスが殺到しました。
斬新な発想で次々にヒットを飛ばし快進撃を続けるジェームズ・ワン。ホラー界では既に有名なワンがメガホンを取った「DCエクステンデッド・ユニバース」の第6作品目『アクアマン』。
アジア人監督として世界中で認知され功績を上げた黒澤明、小津安二郎、ジョン・ウー、アン・リー、宮崎駿、ポン・ジュノ等に続き、ワンの今後の作品に期待が集まります。
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