全世界で記録的なベストセラーとなり、映画化された作品も記録的なヒットを収めてきた、イギリスの児童文学作家J・K・ローリングの代表作“ハリー・ポッター”シリーズ。
今回は全7作(後に舞台用に書き下ろされた『呪いの子』を含めて8作となった)の折り返しとなり、大きな転換期となった第4作『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』についてのあらすじとネタバレ、感想を大特集しますので最後までお付き合いください。
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『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の作品情報
タイトル:ハリー・ポッターと炎のゴブレット
原題:Harry Potter And The Goblet Of Fire
監督:マイク・ニューウェル
脚本:スティーブ・クローブス
原作:J・K・ローリング
製作:デヴィッド・ハイマン
公開:2005年11月18日(アメリカ)、2005年11月26日(日本)
出演:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/マイケル・ガンボン/アラン・リックマン/マギー・スミス/ロビー・コルトレーン/ブレンダン・グリーソン/ロバート・パティンソン/スタニスラフ・アイエネフスキー/ジェイソン・アイザックス/トム・フェルトン/マシュー・ルイス/ティモシー・スポール/ケイティ・リューング/ロバート・ハーディ/ゲイリー・オールドマン/レイフ・ファインズ など
監督は前作『アズカバンの囚人』のアルフォンソ・キュアロンに代わり、1994年公開の『フォー・ウェディング』で英国アカデミー賞を受賞しているマイク・ニューウェルが就任しています。
脚本はこれまでのシリーズ3作品を手掛けたスティーブ・クローブスが続投、音楽はメインテーマ曲を手掛けたジョン・ウィリアムスに代わりパトリック・ドイルが新たに参戦しています。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のキャスト
主演トリオのダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンはもちろんのこと、大多数のキャストが前3作より続投しています。
本作で復活を果たす“あの人”役は第1作『賢者の石』で演じたリチャード・ブレマーに代わってレイフ・ファインズが本作から演じ、ゲストとして後に『トワイライト』シリーズでブレイクを果たすロバート・パティンソンが出演しています。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』のあらすじ・ネタバレ
ハリーの悪夢
ある夜。
とある館の庭番の老人フランク・ブライス(エリック・サイクス)は、館に何者かが来ていることを知り、中へと向かった。
そこでは、あのヴォルデモート卿が“ワームテール”ことピーター・ペティグリュー(ティモシー・スポール)とバーテミウス・クラウチ・ジュニア(デイヴィッド・テナント)なる人物、そして大蛇“ナギニ”に”あの小僧”を連れてくるよう命じていたのだ。
彼らの会話を聞いてしまったフランクは、“死の呪文”により殺されてしまったのである…。
これはハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)が見た悪夢の一部始終だった。
ハリーはハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)に起こされたのだ。
クィディッチ・ワールドカップと死喰い人
ここはロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)の自宅。
ハリーたちは“第442回クィディッチ・ワールドカップ”を観戦するため滞在していたのだ。
ハリー、ハーマイオニー、ロン一家の一行は、ロンの父で魔法省役人のアーサー(マーク・ウィリアムズ)の同僚エイモス・ディゴリー(ジェフ・ラウル)とその息子セドリック(ロバート・パティンソン)と合流、小高い丘の上に置かれた古いブーツ“ポートキー”を使って会場へと瞬間移動したのである。
ハリー一向は、一見小さそうな、しかし中は一軒家のように広く快適な魔法のテントの中に入ったのだった。
ハリーたちはスタジアムで、犬猿の仲のドラコ(トム・フェルトン)とルシウス(ジェイソン・アイザックス)のマルフォイ親子と出くわし、ドラコは自分たちが魔法省大臣コーネリウス・ファッジ(ロバート・ハーディ)に貴賓席に招待されたことを散々自慢したのだ。
決勝戦は“世界最高のシーカー”ビクトール・クラム(スタニスラフ・アイエネフスキー)を擁するブルガリアとアイルランドの世紀の一戦。
ファッジの号令により激戦の幕が開いたのである。
大会はアイルランドが優勝、ハリーたちは余韻に浸っていたその時、テント村を黒いローブに仮面の集団“死喰い人(デスイーター)”が襲撃したのだった。
大混乱の最中、クラウチ・ジュニアは上空に髑髏と蛇を現す“闇の印(モースモードル)”を掲げたのだ。
ハリーはロンやハーマイオニーと合流、駆け付けた魔法省・国際魔法協力部のバーテミウス・クラウチ・シニア(ロジャー・ロイド=パック)から死喰い人がヴォルデモート卿の配下であることを聞いたのである。
三大魔法学校対抗戦
ホグワーツ魔法魔術学校に向かう特急の車内で、ハリーは黒髪の少女チョウ・チャン(ケイティ・リューング)と目が合った。
ハリーの額の傷が痛んでいることを見抜いたハーマイオニーは、一連の出来事を潜伏中のハリーの後見人シリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)にも報告すべきと助言、ハリーはシリウス宛ての手紙をフクロウのヘドウィグに託すのだった。
4年生に進級したハリー、ロン、ハーマイオニーは、ホグワーツ校長アルバス・ダンブルドア(マイケル・ガンボン)主催の恒例の歓迎式典に出席したのだ。
ダンブルドアは、ホグワーツ・ダームストラング専門学校・ボーバトン魔法学校の3校による伝説の一大イベント“三大魔法学校対抗試合(トライウィザード・トーナメント)”の開催を宣言、3校からはそれぞれ1名ずつ代表選手が選ばれることを発表したのである。
歓迎会食にはボーバトンの校長マダム・マクシーム(フランシス・デ・ラ・トゥーア)、ダームストラングの校長イゴール・カルカロフ(ペジャ・ビヤラク)が参加、ダームストラングの一員としてあのクラムも姿を見せたのだった。
ダンブルドアは代表選手に選ばれるには3つの極めて過酷な課題をクリアする必要があるとし、クラウチ・シニアにルールを説明させようとした時、その場に闇の魔法使いを何人も捕らえたという元“闇祓い(オーラー)”のアラスター・“マッド・アイ”・ムーディ(ブレンダン・グリーソン)が姿を現わしたのである。
クラウチ・シニアは魔法省からの命令として17歳未満の生徒の代表選手への立候補を禁止、生徒たちの反感を買ったのだった。
ダンブルドアは代表選手を選出する杯“炎のゴブレット”を用意、立候補を希望する者は羊皮紙に名前を書いてゴブレットに入れるよう告げたのだ。
許されざる呪文
マッド・アイは「闇の魔術に対する防衛術」の新任教授に就任、使えば即アズカバン送りとなる3つの“許されざる呪文”について唐突に語り始めたのである。
マッド・アイはその内のひとつ“服従の呪文”をかけた蜘蛛を教室内に放ち、蜘蛛嫌いのロンは震え上がってしまうのだった。
続いては、ハリーやロンの同級生ネビル・ロングボトム(マシュー・ルイス)を無理やり助手にしての拷問の魔法“磔の呪文”だが、呪文をかけられた蜘蛛がもがき苦しむ姿にネビルは心を痛めてしまったのだ。
最後の呪文は“死の呪い”であり、マッド・アイは蜘蛛の息の根を止めたのである。
マッド・アイいわく、死の呪いをかけられて唯一生き残ったのはハリーしかいないということだった。
ハリー、まさかの代表選出
代表選手の立候補が始まり、既に17歳を過ぎているセドリック、続いて“老け薬”で年齢を誤魔化したジョージとフレッドらが次々と炎のゴブレットに立候補していったが、ジョージとフレッドは嘘がバレてゴブレッドに拒絶されてしまったのだ。
そして代表発表の日、ダンブルドアはゴブレットが選んだ代表を発表していった。
ダームストラングからはクラム、ボーバトンからは金髪の美女フラー・デラクール(クレマンス・ポエジー)、そしてホグワーツからはセドリックが選出されたのである。
ところが、ゴブレットは予想外の行動を起こし、17歳未満(当時14歳)のため立候補しなかったはずのハリーをも選出してしまったのだった。
生徒たちはハリーがズルしたのだと一斉に白けた目線をぶつけてきたのだ。
協議の結果、ゴブレットの選出は絶対であり、またゴブレットを欺くことはまだ未熟なハリーには到底不可能だとして、ハリーは特別に“4人目”の代表選手に選ばれてしまったのである。
学校側はハリーの出場を取りやめるべきだというミネルバ・マクゴナガル(マギー・スミス)と、真相を探るためにもここは成り行きを見守るべきだとするセブルス・スネイプ(アラン・リックマン)との間で意見が分かれたが、ダンブルドアは念のためハリーを“囮”にする決断をするのだった。
ロンですらもハリーに疑いを抱いてしまい、潔白を訴える彼の声に耳を傾けず、二人は仲違いしてしまったのだ。
代表4名を取材した「日刊予言者新聞」の傲慢な記者リータ・スキーター(ミランダ・リチャードソン)は、ハリーに無理やりインタビューを敢行、彼の神経を逆なでする質問を連発したのである。
気落ちするハリーの元にシリウスがフクロウを通じて手紙を送り、その日の夜に談話室で待ち合わせることになった。
談話室にはリータのデタラメな記事が掲載された日刊予言者新聞があり、ハリーは暖炉に投げ捨てたところ、暖炉の炎はシリウスの顔へと変化していくのだった。
シリウスは改めてハリーがゴブレットに立候補していないことを確認、夢の話もハリーから聞くと、シリウスは一連の出来事からホグワーツは何者かによる危機が迫っており、決して友のそばを離れるなとアドバイスしたのだ。
第1の課題:ドラゴンの金の卵
翌日、ハリーはルビウス・ハグリッド(ロビー・コルトレーン)に誘われて森の中へと入り、檻に入れられて猛烈な炎を吐く数匹のドラゴンを目の当たりにし、これらのドラゴンこそが第1の課題であることを知らされるのだった。
翌日、生徒たちは“POTTER STINKS(ポッターは汚い)”と書かれたバッジをつけていた。
ハリーはセドリックに昨晩のことを伝え、クラムとフラーは予め課題のことを知っていると告げたのだ。
ドラコは取り巻きを引き連れ、ハリーは対抗試合では5分も持たないとバカにし、マッド・アイに“変身術”で白いイタチにされてしまったのである。
マッド・アイはハリーを呼び出し、ドラゴンにどう立ち向かうかと問い、答えられないハリーに他の3人の戦術を明かしたうえで、(持ち込み禁止の)箒が使えないなら杖を使えと助言したのだった。
いよいよ試合当日、ハーマイオニーは密かにハリーの控室を訪れて励ましていたところにリータが現れ、二人を新聞の一面にすると脅してきたのだ。
控室にダンブルドアとクラウチ・シニアが現れ、それぞれ対決するドラゴンを選ぶ抽選を行い、ハリーは“ハンガリー・ホーンテール”に決まったのである。
課題とは、それぞれのドラゴンが守る“金の卵”を取って来ることであり、卵の中には第2の課題に関するヒントが隠されているというのだった。
競技は一人ずつ行われ、クラム、フラー、セドリックはいずれもクリア、残るはハリーの番になったのだ。
ハリーは獰猛なドラゴンの前に苦戦を強いられるが、杖を使ってシリウスから贈られた最速の箒“ファイアボルト”を召喚、ドラゴンと空中戦の末にかわし切り、見事金の卵を奪取することに成功したのである。
ハリーをバカにしてきた生徒たちも彼の健闘を認め、ロンもハリーへの誤解を解いて和解したのだった。
クリスマスの舞踏会
ハリーはホグワーツ特急で知り合ったチョウへの想いを募らせる一方、ハーマイオニーは日刊予言者新聞にリータがあたかも自分はクラムに想いを寄せているかのような記事を書かれて激昂したのだ。
ロンには母モリーからドレスローブが贈られたのである。
ハリー、ロン、ハーマイオニーら“グリフィンドール寮”の生徒たちは寮監のマクゴナガルから、クリスマスイブの夜に対抗試合の合間の伝統行事として舞踏会が催されるとの発表を受け、寮の名に恥じない振る舞いを要求されたのだった。
ハグリッドとマクシームが親睦を深める一方、ハリーたち男子生徒はダンスのパートナーを見つける必要があったが、誰一人として相手に名乗り出るものはいなかったのだ。
ロンはハーマイオニーを誘うが、彼女は既に先客がいると言って断ったのである。
ハリーは意を決してチョウに声をかけるも、彼女は申し訳なさそうに他の相手に誘われたことを打ち明け、ハリーの申し出を断ってしまったのだった。
ハリーは深く落ち込んでしまい、果敢にもフラーにアタックして玉砕したロンと対策を話し合っていたその時、ハリーは通りかかった双子のパーバティ(シェファーリ・チョウドリー)と妹パドマ(アフシャン・アザド)のパチル姉妹に声をかけ、ハリーとロンは姉妹をパートナーにすることにしたのだ。
舞踏会当日、ハーマイオニーは華やかなドレスを身にまとい、その美しさにハリーたちは大いに魅了されたのである。
しきたりで代表選手たちが先導してダンスを踊ることになり、それぞれペアを組んだハリーとバーバティ、セドリックとチョウ、そしてハーマイオニーとクラムは優雅に会場入りしたのである。
ところがロンは、ハーマイオニーがクラムと楽しく踊っていることに嫉妬を覚え、ハーマイオニーに「アイツは最初から君狙いだったんだな。敵と仲良くするなんて。君は利用されているんだよ」とクラムの悪口を言ってしまい、ハーマイオニーは「だったら最初から私を誘いなさいよ!」と言って泣き出してしまったのだった。
その夜、ハリーは再び悪夢にうなされていた。
クラウチ・ジュニアの腕には髑髏と蛇の刺青が施されていたのだ。
第2の課題:大切なものを取り戻せ
翌日、ハーマイオニーはハリーに、クラムとは何もなかったこと、彼からは試合に関する情報を得られなかったを伝え、過酷な課題に挑むハリーの身を案じたのである。
ハリーに近づいたセドリックは、先日のドラゴンの情報のお礼として、5階の監督生の風呂場に金の卵を持って浸かればヒントが得られると助言してくれたのだった。
その夜、風呂に入ったハリーの元にゴーストの“嘆きのマートル”(シャーリー・ヘンダーソン)が現れ、校内に大量の変身薬“ポリジュース薬”があったことを伝えると、卵を湯の中に入れてみるようアドバイスしたのだ。
ハリーは早速実行してみると、卵の中から“水中人(マーピープル)”の「探せ、水の中へ。1時間以内に、我らが捕えしものを」という歌声が聞こえてきたのである。
ハーマイオニーいわく、水中人が棲む“黒い湖”こそが次の課題の場所で間違いないという。
ロンとハーマイオニーはマクゴナガルに呼び出され、ハリーはどうやって1時間も水中に潜っていようか悩んでいたところ、相談に乗ってくれたネビルは食べると水中で行動できる“エラ昆布”を提供してくれたのである。
第2の課題の当日、黒い湖に集結したハリーら代表選手は、昨晩“大切なもの”を奪われたうえにそれらが湖の底に眠っていると告げられ、1時間以内に奪還するよう指示されたのだった。
エラ昆布を食べたハリーの手足には水かきが生え、水中でも呼吸ができるようになったのだ。
フラーは途中棄権し、ハリーは湖の底に辿り着くと、“大切なもの”であるロン、ハーマイオニー、チョウ、フラーの妹ガブリエル(アンジェリカ・マンディ)の4人が捕えられていたのである。
ハリーは水中人や“水魔(グリンデロー)”に取り囲まれている間に、セドリックはチョウを、クラムはハーマイオニーを救出して水面に向かったのだった。
ハリーは水魔に襲われながらもロンとガブリエルを助け、時間ギリギリに水面に脱出させることに成功したのだ。
ハリーはフラーから感謝され、3着目に終わったもののダンブルドアからその道徳的な行いを評価され、特例で2位とされたのである。
ハリーの勇気を称えるクラウチ・シニアの前にマッド・アイが現れ、その顔を見たクラウチ・シニアは驚愕の表情を浮かべるのだった。
悪夢の真相
その夜、ロンやハーマイオニー、ハグリッドと森を散策していたハリーは、クラウチ・シニアが死亡しているのを発見したのだ。
ダンブルドアはファッジらと協議の末、「脅しには屈せぬ」と対抗試合の続行を決断したのである。
校長室に入ったハリーは、部屋の奥にある“憂いの篩(ペンシーブ)”を覗き込んだところ、過去に行われた魔法裁判の場へとタイムスリップしていったのだった。
法廷では、元々死喰い人だったカルカロフは無罪放免を条件に証言台に立ち、魔法省内部にヴォルデモート卿と通じていた者がいたこと、スネイプは元々死喰い人であったこと、そしてあの悪夢に出てきたクラウチ・ジュニアはクラウチ・シニアの息子であり死喰い人だったこと、そしてジュニアは父に見放されてアズカバン送りとなったことを知ったのだ。
ハリーから夢の話を聞いたダンブルドアは、いつまでも悪夢に囚われるなと助言したのである。
その後、ハリーはスネイプから、誰でも真実を打ち明けてしまう“真実薬”を突き付けられ、薬草庫からポリジュース薬の材料を盗み出した者の情報を提供するよう迫られるのだった。
第3の課題:超巨大迷路をクリアせよ
第3の課題とは、超巨大迷路の中に隠された優勝杯を先に取った者が優勝するというものであった。
ダンブルドアはハリーらに「この迷路はドラゴンや水魔こと出ないものの“人を変える”という今までにない試練が待ち構えておるぞ。決して自分自身を見失わないようにな」とアドバイスしたのだ。
この時点で総合得点1位で並ぶハリーとセドリックがまず迷路に入り、3位のクラム、4位のフラーの順に入ることになった。
4人は深い暗闇と襲い掛かる植物に阻まれながらも先に進み、先に迷路の奥に辿り着いたハリーとセドリックは同時のタイミングで優勝杯に手をかけたのである。
ところが次の瞬間、ハリーとセドリックは別の場所に飛ばされてしまった。
優勝杯は実はポートキーであり、その場所とはハリーが見た悪夢と同じ場所だった。
ヴォルデモート卿復活
ハリーらはあのヴォルデモート卿の父“トム・リドル”の墓を見つけたその時、セドリックは現れたワームテールに死の呪文をかけられて殺されてしまったのだ。
ワームテールはハリーを拘束すると、墓から暴いたリドルの骨、自らの肉片、そしてハリーの腕をナイフで傷つけて血を採取すると煮えたぎる壺に混ぜ、その中から遂にヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)が復活を果たしてしまったのである。
ヴォルデモート卿はワームテールから杖を受け取ると死喰い人たちを招集、13年もの間自分を助けなかったことをなじったのだった。
死喰い人の中にはルシウスの姿もあった。
ヴォルデモート卿は、ハリーは母が自分を犠牲にしてかけた“愛の魔法”で守られてきたと語り、ハリーに杖を取らせると決闘を挑んできたのだ。
ハリーとヴォルデモート卿は魔法の火花を散らしていたその時、その場にハリーの亡き両親(エイドリアン・ローリンズ、ジェラルディン・ソマーヴィル)とセドリックのゴーストが現れ、魔法の繋がりが切れたらポートキーに向かうこと、セドリックの遺体をホグワーツに連れ帰るよう助言したのである。
ハリーは一瞬の隙を突いてポートキーに触れ、セドリックの遺体と共にホグワーツに帰還したのだった。
マッド・アイの正体
ハリーはダンブルドアにヴォルデモート卿が復活したことを伝え、その場は静まり返ってしまったのだ。
ハリーはマッド・アイに部屋へと導かれ、そこで一連の出来事を話したところ、マッド・アイはハリーが一言も語っていない“墓場”のことについて問いかけてきたのだ。
疑問を抱くハリーに、マッド・アイはドラゴンや金の卵、エラ昆布の一件は全て自分が仕組んだことであり、そしてハリーの名を炎のゴブレットに入れたのも自分であり、全てはハリーを墓場に導くためだったことを明かしたのである。
マッド・アイはハリーを殺そうとしたその時、部屋にダンブルドアやマクゴナガル、スネイプらが押しかけ、マッド・アイに真実薬を飲ませたのだった。
すると、トランクの中の隠し部屋には本物のマッド・アイが幽閉されており、今までマッド・アイに扮していたのはポリジュース薬を飲んでいたクラウチ・ジュニアだったことが明らかになったのだ。
変身が解けたクラウチ・ジュニアは腕の髑髏と蛇の刺青を見せ、ヴォルデモート卿の復活を宣言、そのままアズカバンに引き渡されたのである。
学期の終わり
ダンブルドアは3校の生徒や教職員を集め、魔法省の口止め要請を破ってセドリックがヴォルデモート卿に殺害されたことを伝え、今こそ心をひとつにして団結する時だと呼び掛けたのだった。
ハリーは、部屋を訪れたダンブルドアに、あの時ヴォルデモート卿の杖と自分の杖が魔法で繋がった話をしたところ、ダンブルドアはそれは「杖の記憶」だと言い、これから先ハリーには非常に険しい困難が待ち受けているけれども友がいるから独りではないと励ましたのだ。
学期は終わりを迎え、ダームストラングとボーバトンの両校生徒はホグワーツを離れることになった。
クラムはハーマイオニーと、フラー姉妹はロンと再会を誓って去っていったのである。
激動の4年生を終えたハーマイオニーは「ホグワーツって穏やかな時ってあったかな? これからも色々ありそうね」と不安な胸中を明かし、ハリーは優しく慰めたのだった。
ハリー、ロン、ハーマイオニーは休み期間も手紙を書くと約束、去り行く両校生徒たちを見送ったのである。
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』の感想とまとめ
2001年に第1作『賢者の石』を皮切りに始まった“ハリー・ポッター”シリーズも折り返しの4作目を迎え、主人公ハリー・ポッターを演じるダニエル・ラドクリフを筆頭とする若手キャスト陣も思春期に突入するとともに演技にも風格が現れ始めてきました。特に、中盤のクリスマスの舞踏会における、ハーマイオニー役のエマ・ワトソンのドレス姿は、後に彼女の新たなはまり役となる『美女と野獣』(2017年)の主人公ベラにも通じる美しさを放ち、物語のひとつのハイライトともなっています。
少年少女たちが魔法で活躍する児童文学の枠を飛び越え、本作はアメリカでは13歳未満の子供は保護者の注意が必要なレーティング「PG-13」指定されるなど、劇中の登場人物のみならず映画シリーズや原作の小説シリーズのファンにも成長を促す内容となっています。
本作では、散々ハリーをいじめてきた意地悪な親戚のダーズリー家は遂に登場せず、ハリーが魔法で彼らを懲らしめるショートコントのようなシーンが丸々カットされています。代わりにこれまた意地悪で高飛車なゴシップ記者のリータ・スキーター(演:ミランダ・リチャードソン)が出番は少ないながらも代役的ポジションとなっています。原作ではリータは最終的にハーマイオニーによって懲らしめられるのですが、そのシーンは映画では丸々カットされています。その後の作品でも、原作小説の内容の長大化に伴い一部エピソードを泣く泣くカットする場面も出てくることとなり、最終章(第7作)の『死の秘宝』に至っては前後編の二部作とするなど製作陣の苦慮が伺えます。それでも本作はこれまでのシリーズ作品同様に全世界で受け入れられてメガヒットを記録、黒字ながらも若干興行収入を落とした前作『アズカバンの囚人』を超える売上を記録、後にシリーズ最終作にして興行収入10億ドル超えというシリーズ最大のヒット作となる『死の秘宝PART2』へと連なる後半の怒濤のラストスパートへの格好の好スタートともなりました。
本作ではいよいよハリーの淡い初恋が描かれ、それぞれ他校の生徒とも接しながらも本格的に互いを意識し始め、それでも素直になれないロンとハーマイオニーの関係性が本作で浮き彫りになるなど、魔法ファンタジーを飛び越えて思春期の若者の揺れ動く心情をも本作の重要なキーワードとして描かれています。そして本作では遂にハリーの最大の宿敵である闇の魔法使い“ヴォルデモート卿”が完全復活を果たし、今後の波乱の展開に大いに期待が持てる内容ともなりました。
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