映画『スパイダーマン:スパイダーバース』あらすじ・ネタバレと感想!ピーターパーカーが中年の親父?ラストの結末とは?

『スパイダーマン:スパイダーバース』は、マーベル・コミックの人気キャラクター、スパイダーマンがアニメーション映画化された作品です。笑い溢れる最高に楽しいアニメーション映画で、2019年度アカデミー賞長編アニメ映画賞を受賞しました。批評家から絶賛されており、Rotten Tomatoesは97パーセントとほぼ満点スコア。漫画とCGを見事に融合させた新コンセプトで描かれ、コミカルでありながら迫力満点のスーパーヒーロー映画です。何と未来の東京を守る女の子のスパイダーマンが登場!

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『スパイダーマン:スパイダーバース』作品情報

タイトル:スパイダーマン:スパイダーバース

原題:Spiderman:Into the Spider-Verse

監督:ボブ・ペルシケッティ、ピーター・ラムジー、ロドニー・ロスマン

脚本:ロドニー・ロスマン、フィル・ロード

原作:『スパイダーマン』スタン・リー、スティーヴ・ディッコ、ブライアン・マイケル・ベンティス

製作:フィル・ロード、クリスティーナ・スタインバーグ、クリス・ミラー、エイミー・パスカル、アヴィ・アラッド

公開日:2018年12月14日(アメリカ)、2019年3月8日(日本)

出演者:シャメイク・ムーア、ジェイク・ジョンソン、ヘイリー・スタインフェルド、ニコラス・ケイジ、キミコ・グレン、ジョン・ムレイニー、ブライアン・タイリー・ヘンリー、マハーシャラ・アリ

『スパイダーマン:スパイダーバース』概要

本作の原案を創作したのは、これまで一緒にヒットを飛ばしてきたフィル・ロードとクリス・ミラーのコンビ。ソニーピクチャーズから依頼を受けて製作しました。原作に登場するマイルス主人公にして、『美少女戦士セーラームーン』を含むあらゆるアニメを代表するキャラクターを創り上げました。

キャスト

主人公のマイルスにはミュージシャンでもあるシャメイク・ムーア、日系アメリカ人俳優キミコ・グレンが未来の東京から来たスパイダーマン役でそれぞれ選ばれました。才能豊かな『ビール・ストリートの恋人たち』や『妻たちの落とし前』のブライアン・タイリー・ヘンリーがマイルスの父・ジェファーソン、叔父のアーロンをマハーシャラ・アリ、グウェンには『バンブルビー』のヒロイン役を務めたヘイリー・スタインフェルドが演じます。異次元から迷い込むピーター・B・パーカーを『New Girl /ダサかわ女子と三銃士』のジェイク・ジョンソンが扮します。

『スパイダーマン:スパイダーバース』あらすじ・ネタバレ

マイルス・モラレス

ニューヨーク、ブルックリン。親の決定で進学校へ転向したマイルスは、友達が多くいる元の学校近くを通り過ぎ挨拶を交わす。転んで車道に倒れた所をパトロールしていた警察官の父ジェファーソンと鉢合わせした。

警察車両に乗せられ、スパイダーマンを英雄視しないジェファーソンの文句を聞きながら学校に到着。前の学校へ戻りたいと言うマイルスに、叔父のアーロンみたいになりたくなければ良い学校で機会を活かせと父は励ます。

寮住まいのマイルスは、キャリーケースを引いて金曜日にまた会おうと父に言って車を降りる。ジェファーソンは、「愛しているよ」と言葉を掛けた。マイルスが登校する生徒達に紛れて学校へ入ろうとすると、ジェファーソンはサイレンを鳴らす。

スピーカーを通し、「愛しているよと返せ」とジェファーソンの声が響く。周囲が父と息子のやり取りをじっと見つめる中、諦めない父に対し、マイルスは仕方なく「お父さん愛しているよ」と返した。ジェファーソンは「了解」と言いニヤリと笑う。

進学校の生徒は皆制服を着用しており、硬い雰囲気だ。科学の授業で転校生のグウェンに出会う。授業は、フィスクの下で働く主任研究員オクタヴィアス博士が同じ時間軸に同時に存在するパラレルユニバースを紹介する内容だった。

マイルスは何冊も教科書を抱え次から次へと授業に出席して勉強をこなす日々に辟易としていた。テストで0点を取った結果を教師から突きつけられたマイルスは、これが続けば退学ですねと尋ねる。

しかし、教師は、目隠しをして適当に二択の試験に解答しても50パーセントは正解する統計を基に、マイルスが答えを知っていながら敢えて間違えた事を見抜いていた。学校を辞めさせたりしないと教師は言い、マイルスに論文の課題を渡して宿題とする。

蜘蛛に噛まれて大変身

タイトルは「Great Expectations(大きな期待)」で、自分が将来どんな人間になりたいのか記述するよう指示された。放課後、寮に戻ったマイルスは、ノートに向かうが何も書きたい事が浮かばず、大好きな伯父・アーロンの所へ遊びに行く。

アーロンはマイルスを電車の高架下の一画に連れて来る。寂れた場所で落書きされた壁を見たマイルスはスプレイペイントでグラフィティを楽しむが、一匹の蜘蛛に噛まれてしまう。

一夜にして特殊能力が備わったマイルスは、転校生のグウェンにふと触れた拍子に髪の毛が手にくっついて離れなくなる。仕方なくサイドを剃りあげたグウェンはふて腐れ顔。その後も足の裏や手の平があらゆる所にくっつき、マイルスを大いに悩ませた。

寮を出たマイルスは車に引かれそうになるが、意識する事無く高くジャンプして車を回避。見ていた通行人が拍手した。変化の理由が分からず、前夜噛まれた蜘蛛を見つけるため、マイルスは高架下を訪れた。

スパイダーマンとの約束

そこで、グリーンゴブリンと戦闘中のスパイダーマンに遭遇。巻き込まれるマイルスは逃げ回り広い研究施設へ辿り着く。そこは、フィスクの大規模な加速器を実験する場所で、異次元へ続く扉を開ける企みをスパイダーマンが阻止しようとしていた。

マイルスを救ったスパイダーマンは、自分同様の能力を持つと察知。最初は変化に混乱するだろうが、巨大加速器を壊した後にマイルスを助けると言い残し、スパイダーマンは華麗に蜘蛛の糸を操りジャンプして行く。しかし、そこへプロウラーが現れる。

邪魔が入りスパイダーマンが格闘している隙に、フィスクが加速器を起動。他に存在する5つの異なる次元に続く扉が開いた。爆発が起きニューヨークの街全体に地震の様な大きな揺れが生じる。

衝撃でグリーンゴブリンは死に、スパイダーマンも重傷を負った。再び装置を動かせば全て消滅すると言い、マイルスに加速器を停めるオーバーライドが組み込まれたフラッシュドライブを託す。顔を隠し誰にも正体を明かさぬようマイルスに助言した。

スパイダーマンを探しに近づくフィスクから姿を隠したマイルスは、スパイダーマンがフィスクに殺害される所を目撃。それに気づいたフィスクから殺せと命令を受けたプロウラーがマイルスを猛追して来るが、何とか巻いて自宅へ戻った。

家で眠りたいとマイルスは頼むが、ジェファーソンは平日で学校があるだろうと言い聞かせる。心配する母・リオが取り成し、マイルスは自宅で一晩過ごす事になる。テレビでピーター・パーカーが亡くなった事が報道され、街中の人にショックが広がった。

マイルスは、スパイダーマンのコスチュームを買い、群衆が集まる追悼会へ参列した。意志を継ごうと決意したマイルスは、スパイダーマンのコミックを読み自分の能力を使いこなす練習を試みる。

高層ビルの屋上へ行き呼吸を整えて眼下へ視線を向けるマイルス。やっぱり少し高すぎるので少し低めのビルへ移動。勢いよく駆け出すが、ジャンプする直前に靴ひもを踏んで落下。更に、スパイダーマンから託されたオーバーライドをその際に壊してしまう。

40才のスパイダーマン

うな垂れたマイルスは、ピーター・パーカーの墓を訪れて謝る。そこへ、別の次元から移動して来たピーター・B・パーカーに出会う。顔は全く同じだが死んだスパイダーマンに比べ年上で髪の色も異なりメタボ。スーパーヒーローとは思えない風貌だった。

2人はお互い同様の能力を備えていると察知した。元の世界に戻りたいB・パーカーと加速器を壊したいマイルスは、オーバーライドのデータを入手するためフィスクの研究施設に潜り込んだ。

主任研究員オクタヴィアスが加速器をもう一度起動すれば、街の地下にブラックホールが生まれ、複数の次元が衝突するとフィスクに報告しているのを盗み聞き。オクタヴィアスのオフィスに忍び込んだマイルスはふとした拍子に透明になる。

B・パーカーが気を引いているうちに、マイルスはオクタヴィアスのパソコンからデータを盗もうと悪戦苦闘。オクタヴィアスは、B・パーカーがこの世界に長く居れば、凄まじい痛みを伴い体が崩壊すると言った。

マイルスはハードドライブを持ってこっそり逃げようとするが、科学者に見抜かれる。本性を現したドクター・オクトパスは、B・パーカーとマイルスを追った。

スパイダーウーマン

それまで全く出来なかったスウィングだったが、マイルスは必死に逃げる間にB・パーカーの助けも借りてコツを掴む。しかし、足を引っ張りオクトパスにハードドライブを奪われてしまう。その時、2人を助けハードドライブを取り返したのは、グウェンだった。

実は、彼女も異次元から爆発時に移動して来たスパイダーウーマンだったのだ。オクトパスから加速器が効果を発揮し、多次元からスパイダーマンがこの世界へ来た事を聞いたフィスクは、事故で亡くなった自分の家族を他の次元から取り戻せると確信する。

亡くなったピーター・パーカーの叔母・メイを訪ねた3人は、壊れたフラッシュドライブを修復できる場所を知らないかと訊く。メイは巨大な地下施設へ案内した。

6人の最強?スパイダーマン

そして、放射性の蜘蛛に噛まれて以来特殊能力を備えたスパイダーマン・ノアール、ペニー・パーカー、そしてピーター・ポーカー(スパイダーハム)に3人を引き合わせる。元の世界へ戻るためには、異次元の扉が開いた後、誰かが残り加速器を壊す必要があった。

5人全員この世界では生きられないと分かったマイルスは、スパイダーマンとの約束を守り、自分が破壊して皆を帰すと宣言する。しかし、自分がまだ未熟で重圧に耐えかねたマイルスは、相談しにアーロンのアパートへ行く。

留守の叔父宛に手紙を書いていると、プロウラーが現れる。上手く透明になったマイルスは、プロウラーがマスクを脱ぎフィスクに必ず子供を捕まえると話している所を目撃。実はアーロンがプロウラーであった事を知り、マイルスは驚愕した。

ペニー・パーカーがオーバーライドの修復に成功。しかし、メイの自宅を嗅ぎつけたオクトパス、スコルピオン、そしてプロウラーが襲撃して来る。加速器を破壊しろとB・パーカーがマイルスを送り出し皆で加勢するが、プロウラーがマイルスを拘束。

マイルスはマスクを脱ぎアーロンに命乞いをする。背後でフィスクが殺せと命令するが、甥だと気付いたアーロンは服従できない。フィスクは、アーロンを射殺してしまう。伯父の体を抱いてその場を脱出したマイルスは路地でうな垂れた。

騒ぎの通報を受けたジェファーソンがその光景を目撃し、新しいスパイダーマンが自分の兄弟を殺害したと思い込む。学校の寮に戻ったマイルスが悲しみに暮れ荒れている所へ、他のスパイダーマン達がやって来る。

皆同じように大切な人を失っており、スパイダーハムは全ての人を救う事は出来ないとマイルスを慰めた。そして、まだ能力を使いこなせないマイルスに危ない橋を渡らせたくないB・パーカーは、自分がやると言ってオーバーライドを取り上げ去って行く。

加速器を破壊せよ

奮起したマイルスは、遂に高層ビルの屋上からジャンプ。蜘蛛の糸を自由自在に操り、ビルの間を飛ぶように駆け抜けスウィングをマスターする。一方、他のスパイダーマン達は加速器のあるビルへ忍び込んでいた。地下ではオクトパスが準備を整えている。

B・パーカーがオーバーライドを挿入しようとした瞬間、来ると予測していたフィスク達の妨害に遭う。そこへマイルスが到着し、入り乱れて戦闘に発展。ニューヨーク全体を大きな揺れが襲う。6人は力を合せてオクトパスとスコルピオンを撃退。

マイルスがオーバーライドを差し込み、無事に異次元への入り口が開く。ペニー・パーカーが1人では無いと分かって良かったと言い帰って行く。ノアールとスパイダーハムが続き、グウェンもマイルスと握手を交わして戻って行った。

B・パーカーの番になった所でフィスクが立ち塞がる。フィスクの相手をしている間に加速器を遮断しろとB・パーカーは言うが、マイルスは自分の役割だと強い視線を向けた。マイルスの成長と言葉を信じたB・パーカーは自分の住む世界へ帰って行った。

フィスクを相手に大苦戦するマイルス。駆けつけた父の姿を見て力を振り絞り、フィスクに対し遂にヴェノムストライクを繰り出す。フィスクを倒し加速器を破壊する事に成功。一部始終を目撃したジェファーソンは、スパイダーマンを誤解していた事に気づく。

それぞれのスパイダーマン達は自分の日常に戻り、マイルスは学校へ論文を提出。父と一緒にアーロンを称えるグラフィティを壁に描いた。

『スパイダーマン:スパイダーバース』を観た感想

鮮やかな美しいグラフィックと漫画を切り取ったような画像を挟んで描かれた不思議なブルックリンの街がとても魅力的です。多感な年ごろの少年マイルスとその家族を要に置き、6人のスパイダーマンがパラレルユニバースの衝突を防ぐ物語。

フィスクの野望に立ち向かうのは、豚や白黒の世界から来たスパイダーマンであり、更に異次元から移動して来た2人の女性スパイダーマン、そして40才になりスーパーヒーロー業に疲れたメタボのピーター・パーカーと非常にユニークなキャラクターです。

これまで、スーパーヒーローは主に白人でしたが、製作者の1人フィル・ロードは、マイルスに着目した理由をきちんとした両親に育てられた少年で黒人の父とヒスパニックの母を持つ異なる文化を背景に育ったバイリンガルだった事だと語ります。

舞台になるニューヨークは人種のるつぼ。劇中登場するマイルスのルームメイトはアジア人の男の子で、ペニー・パーカーは日系アメリカ人という設定。舞台出身の俳優キミコ・グレンが演じています。多様性豊かな街の特徴をよく掴んだ物語と言えます。

マイルスの声に抜擢されたのは、ミュージシャンでもあるシャメイク・ムーア。プロデューサーのクリス・ミラーは、ムーアの声がマイルスの優しさと威勢の良さを窺わせる雰囲気がぴったりで、オーディションを通し第一候補だったと明かします。

ピーター・B・パーカーのキャラクターは、声を担当したジェイク・ジョンソンを想定して書かれており、スパイダーマン・ノアールには、製作者と監督3人が話し合う中でニコラス・ケイジの名前が上がり全員賛成してキャストしたそうです。

複数の監督が必要だった理由は、本作が多岐分野にまたがる構成だったためで、ドラマ/コメディ/アクション全てを盛り込み、原案を活かす手描きのアニメやCGを融合させるため異なるスキルと経験を有する3人が順次監督として参加しました。

「何度倒れても立ち上がる」と言うキーワードが度々台詞の中で使われています。性別や年齢、過去や未来を問わず誰でもヒーローに成り得る可能性を秘め、マスクを被っていても個性は光るものだと言うメッセージを込めたと製作者は明かしています。

子供だけでは無く大人も楽しめる物語で、これまで『スパイダーマン』を見たことが無い人でも満足できる大変エンターテイメント性の高い快作です。9千万ドルで製作された本作は、既に興行収入3億6千万ドルを超える大ヒットを記録しています。

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