映画『僕たちのラストステージ』あらすじ・ネタバレと感想!スティーヴ・クーガンがコメディアンに!

『僕たちのラストステージ』は、『フィルス』のジョン・S・ベアードが監督した実在のコメディアンデュオ・スタン&オリーの伝記映画です。物語は、1953年に2人がロンドンとアイルランドを回った巡業を中心に、これまで明かされていなかった秘話やプライベートを描いています。オリヴァー・ハーディ(オリー)を演じたジョン・C・ライリーは、本作の演技で2019年度のアカデミー賞主演男優賞にノミネートされました。

僕たちのラストステージを無料視聴

僕たちのラストステージを無料視聴したい方はこちらの記事を参考にしてください。

僕たちのラストステージを無料視聴

『僕たちのラストステージ』作品情報

タイトル:僕たちのラストステージ

原題:Stan & Ollie

監督:ジョン・S・ベアード

脚本:ジェフ・ポープ

製作:フェイ・フォード

公開日:2018年12月28日(アメリカ)、2019年4月17日(日本)

出演者:ジョン・C・ライリー、スティーヴ・クーガン、シャーリー・ヘンダーソン、ニーナ・アリンダ、ルーファス・ジョーンズ、ダニー・ヒューストン

『僕たちのラストステージ』概要

監督を務めたジョン・S・ベアードは8才の時からスタン&オリーのファンで、スタン・ローレルを真似た服装で学校のイベントへ参加した時の写真が残っているそうです。脚本を執筆したジェフ・ホープは、ベアードに脚本を送り、読んだベアードは監督を引き受ける事を即決。。本作は、米国の辛口批評サイトRotten Tomatoesで93パーセントの高評価を獲得し、名立たる映画通が絶賛しています。

キャスト

ものまねの達人でもある『あなたを抱きしめる日まで』のスティーヴ・クーガンがスタンリー・ローレル、ジョン・C・ライリーは相方のオリヴァー・ハーディを演じます。スタンの妻・イーダには『ミッドナイト・イン・パリ』ニーナ・アリアンダ、オリーの妻・ルシルは『ハリー・ポッター』のシャーリー・ヘンダーソンと実力派俳優陣が出演しています。

『僕たちのラストステージ』あらすじ・ネタバレ

‐1937年の夏までスタン・ローレルとオリヴァー・ハーディは最も人気ある喜劇スターであり、彼等のコメディ映画は様々な言語に吹き替えられ世界で何百万人もの人々が観賞。スタン&オリーの全盛時代であった‐

カリフォルニア州、カルヴァー・シティ。控室で撮影の準備を終えた2人は、話ながらスタジオへ向かう。オリヴァー(オリー)は、前妻が突然やって来て離婚する時に車を渡し15年間扶養費を払ったにも拘らず更に2万ドル要求された事に文句を言う。

笑いながら聞いていたスタンは昇給について話を持ち出す。コンビを貫き押してみて駄目なら自分達だけでやろうと提案する。しかし、契約に縛られたオリーは、時期が早いと躊躇。アシスタントのルシルに結婚を申し込んだ事をスタンに打ち明けた。

スタジオに到着すると、機嫌の悪い代表のハル・ローチがやって来る。スタンが売り言葉に買い言葉でローチを成金と呼びと口論に発展。スタンが独立の話に触れた所で、オリーはギャラの昇給をやんわりと口にした。

そこでディレクターが2人のコメディ映画『ウェイ・アウト・ウェスト』の撮影開始だと割って入る。公開された映画は大成功を収め、特にコンビのダンスは観客の笑いを誘った。

黄金時代を過ぎたコメディアン

16年後の1953年、ニューキャッスル、イギリス2人はチャックインを済ませるため受付へ行くが、スタンが多くのスーツケースを抱え過ぎてドタバタする。受付の女性は2人を見てもう引退したと思っていたと笑顔を向け、スタンとオリーはぎこちなく笑顔を返す。

スタンは、16年前にハル・ローチのスタジオからFoxへ移ろうとした時の事を思い出す。オリーも後から来ると思っていたが、オリーはローチとの契約上別の相方と映画の撮影をしていた。

イギリスへの巡業は新作映画の宣伝も含めていたため、ロビン・フッドのパロディを考案したスタンとオリーはネタ合わせを始める。空席の目立つ舞台を終えた2人は次のツアー地スコットランドへ向かった。

スタンは、映画のプロデューサー・ミフィンの事務所へ連絡をするが、会議中だと言われる。その夜もガラガラの小さな小劇場でショーを終えた2人は、ツアーマネージャーのバーナード・デルフォンテに客入りの悪さを訴えた。

上司からスタンとオリーにツアーの宣伝をやらせろと言われていたバーナードは、テレビを見る習慣が浸透している観客を劇場に来させるためには宣伝が必要だと話す。バーナードから無給だと言われるが、映画製作者に好印象を与えたい2人は承諾した。

宣伝が功を奏し、次々にツアーをこなすスタンとオリーを見に多くの人が劇場に詰めかける。扉を2つ利用した十八番の芸に観客は大笑いした。予定されていた日程の終了日、バーナードは更にツアーを延長し2千席の入場券を完売できると意気込んだ。

2人は移動の際に映画用のネタを詰め、ロンドンへ到着。スタンは、連絡のつかないプロデューサーの事務所を訪れる。散々受付で待った後、スタンは事務所に強引に入室。ミフィンの側近は、資金調達が出来ないと言い訳し、やんわり映画製作の見送りを示唆した。

ショックを受けたスタンは事務所を後にすると、売出し中の別の人気コメディアンコンビのポスターを目にする。宿泊ホテルのサヴォイに戻り、アメリカから来る妻達をオリーと一緒に出迎えた。

コメディアンの妻達/ルシルとイーダ

バーナードの差し金で、スタンの妻イーダとオリーの妻ルシルの到着も宣伝にしようとマスコミが来ていた。コンビは妻の協力を得てショートコントを披露する。イーダはにこやかだが、ルシルは着いたばかりだと文句を言った。

オリーは、ルシルを見た人から映画に抜擢されるかもしれないとなだめるが、それを聞いていたイーダが有り得ないと鼻で笑う。夜、4人がホテルのレストランで食事をした際、ルシルは映画製作の進行をスタンに尋ねる。ツアー終了時に始まるとスタンは嘘をつく。

ルシルは膝が痛むオリーを心配するが、イーダは自分が大物相手に踊るダンサーだったと話しを始める。ルシルは、またかと呆れ顔。そんな事は気にもしないイーダは、膝を痛めた時敢えてもっと早くステップを踏み高くジャンプしたと煙草の煙を吐く。

痛みのコントロールは心次第よ、とオリーヴァーに助言するイーダに、痛みは膝で、頭じゃないとルシルが割って入った。名門劇場ライシーアムのオープニングを迎えたスタンとオリーは、舞台袖から満員の客席を見て満足そうな表情を浮かべる。

大盛況に終わった舞台後にレセプションが行われた。コンビが着替えを済ませている間、バーナードがルシルとイーダを来賓に紹介。

素敵なパーティーだとルシルから相槌を求められたイーダは、まあまあと答え、ロンドンの舞台オファーがたくさんあったが、ハリウッドの仕事で忙しくなったと自分の話題を持ち出す。ルシルは溜息をつく。

俳優業ですか?と尋ねられたイーダは満面の笑顔で頷く。ルシルがすかさずダンサー、と割って入った。夫を呼びに行った妻達を見送った後、バーナードは、スタンとオリーの舞台入場チケット購入で付いて来る無料漫才ですと笑顔でその場を取り成した。

16年間前のわだかまり

楽屋で映画のネタをより詰めようとするオリーに、スタンはプロデューサーとの経緯を話せないでいた。妻達に連れられてやっと会場に降りて来た2人だが、ルシルとイーダの口論から発展し、オリーが16年前にスタン無しで映画に出演した事で喧嘩になる。

スタンがハル・ローチスタジオを勝手に辞めたと主張するオリーに対し、自分は解雇されたとスタンが言い返す。それはスタンが問題を起こしたからで、まだ契約で縛られていたオリーは選択の余地が無かったと説明する。

スタンは、ハルとギャラの引き上げなど交渉しようとしたのに、オリーは側に居なかったと主張。文無しで仕事を続ける以外に道は無かったと返すオリー。スタンはオリーが自分を裏切り友情を壊したと口にした。

オリーは、ハルにコンビを組まされたのであって元は友人ではなく、長年一緒に居るのも観客が望んだからで、自分にはちゃんとした友達が居ると言った。スタンは、怠け者のオリーが売れたのは自分と出会ったからだと返す。

2人の関係を大切に思っていたと絞り出すスタンに対し、オリーは、スタンが大事にしていたのはコンビ関係で、オリーの事ではないと言い捨てた。やり取りを見ていた会場は、コントと勘違いし拍手する。オリーはルシルと一緒にその場を出て行った。

翌日、スケジュールをこなす2人だが、スタンがネタ合わせの話しを持ち掛けてもオリーはろくに口を聞かなかった。そして、水着コンテストの優勝者を発表する段になるが、突然オリーが脂汗をかきはじめその場に倒れ込んでしまう。

オリーの顔色は悪く、スタンに抱えられてホテルへ戻った。一報を聞いたバーナードは、完売したチケットの事を持ち出し、スタンにオリーの代役と舞台に立つ事を勧めた。スタンがオリーを見舞うと、オリーは引退すると言いだす。

心臓発作に襲われたオリーは、医者からツアーの継続中止を命じられていた。ルシルにも約束しアメリカに帰国すると話すオリーに、スタンはショックを隠せない。オリーに新ネタを訊かれたスタンは、考え付いたコントの内容を説明。

笑うオリーを見たスタンはオリーが寝ているベッドに潜り込んだ。バーナードの反応を訊かれたスタンは、オリーの代わりにイギリス人のコメディアンと組んでツアーを続けるよう打診された事を伝える。

一生の友

オリーは、自分は引退し、スタンは新パートナーとコンビを続ける事で決まりだと理解を示す。暫し2人の間に沈黙が流れた後、スタンは、先日喧嘩した時にオリーが言った事は本気だったのかと尋ねる。否定するオリーは、スタンに同じ質問をした。

2人はお互い言い過ぎた事を確認し合い、沈黙の中で許し合うのだった。バーナードが引き合わせた新パートナーとリハーサルを済ませ、いよいよ開演時間となる。満席の劇場に、オーケストラがイントロを演奏。しかし、ショーは始まらない。

会場がざわつく中、舞台が中止となった事がアナウンスされた。ボックス席で見守っていたイーダはホテルに直ぐ引き返す。バーのカウンターで1人お酒を飲む夫を見つけたイーダは、静かに隣へ座った。

たくさんの映画にオリーと一緒に出演して来た事を振り返ったスタンは、いつも二人三脚でやって来た事に触れ、それが自分達の望んだ形だったと感情を抑えて語る。オリーが大好きだと言う夫に、イーダは小さく頷き、家に帰ろうと声を掛けた。

スタンは、残されたアイルランドのツアーをこなすとオリーに伝えるので、何も言わぬようイーダに口止めする。残る日程をキャンセルするとオリーが知れば、心配するというスタンの思いやりからだった。

一方、オリーは物思いにふけっていた。ルシルは医者からアメリカへの帰国を許可された吉報を喜び、用事を済ませた後アイルランドへ発つ前にスタンとイーダに挨拶をしてくると言って部屋を出て行った。

ルシルを笑顔で見送ったオリーは、医者に心不全の兆候があると診断され、現状化で舞台に立つ事を禁じられた時の事を思い返す。そして、イギリスに着いて以来、スタンとオリーがまだ現役である事を出会った様々な人達から賞賛された事を振り返った。

イーダとスタンは荷物をまとめていると誰かが扉をノック。スタンが開けるとオリーがスーツを着て立っていた。驚くスタンに、オリーはまさか帰国するんじゃないよなと笑顔を向ける。舞台が待っていると言うオリーに、スタンも笑顔で頷いた。

最後の舞台へ

アイルランドへ向かう船で、スタンは新作映画の製作は無い事を遂に打ち明ける。スタンとオリーの映画は求められていないとした上で、もっと早く話していればツアーを切り上げ、オリーも体調を崩さなかったかもしれないとスタンは視線を落とした。

オリーは、分かっていたとスタンを見つめた。何故言わなかったとスタンが訊くと、自分が気づいていると知っていると思ったとオリーは答える。お互い知っていたなら、映画のネタ合わせをする必要は無かったとスタンが言う。

オリーはネタを合せるのがコンビだと微笑んだ。スタンも小さく笑んでオリーの手を優しく叩いた。港に到着した2人を大観衆が歓声を上げて暖かく迎える。ショーが始まり観客は2人のコントに大笑い。しかし、オリーは脂汗をかき明らかに体調が悪い。

それでも押して続けるオリーをスタンが気遣いながらショーが進んで行く。客席では、ルシルが祈るように見つめていた。エンディングに近づき、スタンはオリーが限界だと気遣い、他を省き歌で締めようと提案。オリーは、プロの表情を浮かべ大丈夫だと言った。

オリーが楽しい道のりだったとスタン声を掛け、スタンは何度も頷く。いよいよエンディングの幕が開く。舞台へ上がり、オリーがいつもの様に観客に挨拶した後、ダンスを最後に披露するとアナウンス。心配するスタンを見たオリーはウィンクした。

2人は、スタンとオリーのヒット映画『ウェイ・アウト・ウェスト』から人気を博したダンスのステップを踏み始める。イーダがルシルの手を強く握った。18番のダンスに合せ、観客全員が手拍子。拍手喝采の中、2人は深々と頭を垂れツアーの最終日を終えた。

‐アメリカへ帰国した後、スタンとオリーは再び一緒に舞台に立つ事は無かった。オリーは体調を回復する事無く、1957年に他界‐

‐スタンは、オリー以外とは組まないと言って仕事の申し出を全て断り引退。しかし、彼が死去する1965年まで、スタンはオリーとのコントを書き続けた‐

『僕たちのラストステージ』を観た感想

ショービジネスで成功する事が非常に難しい中、スタンとオリーは大成功を収め頂点に立ちます。しかし、時代の流れと共にその立場は追われてしまいます。長く一緒に過ごすコンビの中の悪さはよく耳にしますが、伝説と呼ばれるこの2人は真の友情を育みます。

妻でさえ入り込めない強い絆に結ばれたスタンとオリーが晩年期に再び巡業へ旅立ち、過去に2人のファンだった多くの人達が劇場に足を運び入場券は完売。テレビや映画から遠ざかっていたコンビがいかに愛されていたかがとてもよく分かります。

『ウェイ・アウト・ウェスト』はスタンリー・ローレルがハル・ローチと共に製作者として名を連ねた1937年のヒットコメディ映画で、Rotten Tomatoesでは100パーセントと批評家から驚異の高評価を得た作品でした。

動画で2人の有名なダンスを観ると演じたスティーヴ・クーガンとジョン・C・ライリーはそっくり!両俳優の見事な演技力と『グランド・ブダペスト・ホテル』及び『マーガレット・サッチャー』でアカデミー賞を受賞したマーク・クーリエのメイクの技が光ります。

2013年公開の『あなたを抱きしめるまで』でジェフ・ポープとクーガンは、脚本を共同執筆しました。本作の脚本を担当したポープは、監督のジョン・S・ベアードにクーガーがスタンリー・ローレル役に適任だと推薦。

ベアードは、クーガンの演技力を高く評価しており個人的なファンでした。そして、オリヴァー・ハーディを演じられるのはライリーしかいないと全員が同意。家族と遠方に休暇中だったライリーの下にベアードが訪れ熱心に出演交渉をしたそうです。

また、キャストメンバーで本作の成功が決まると確信していたベアードは、ルシルとイーダを演じる俳優にもこだわりました。以前一緒に仕事をしたシャーリー・ヘンダーソンとライリーも共演している事から、製作側へ強力に推してルシル役が決定。

イーダ役で圧倒的な存在感を見せるトニー賞受賞俳優ニーナ・アリアンダの名前を複数人から聞いていたベアードは、スラブ系であるイーダが持つ独特のブラックユーモアをウクライナ系のアリアンダなら表現できる思いキャストしました。

『マダム・フローレンス!夢見るふたり』に出演したアリアンダは、共演の俳優陣を食ってしまう演技で高評価を得ている舞台俳優です。2人の妻達は重要な役どころで、スタンとオリー、そしてイーダとルシルの2組の掛け合いをベアードは巧みに演出しています。

ベアードは撮影期間を削り敢えて3週間のリハーサル期間を設け、クーガーとライリーはコントとダンスを練習し一緒に時間を過ごしました。2人がお互いを知り心地良く役柄に入れることを可能にし、スタンとオリーに息吹を吹き込む事に成功しています。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)