世界最大のスーパーヒーロー集団“アベンジャーズ”を擁する「マーベル・シネマティック・ユニバース」(MCU)シリーズ。
今回はMCUシリーズの第18作であり、マーベル・コミック史上初となる黒人ヒーローの闘いを描いた『ブラックパンサー』のあらすじとネタバレ、感想を特集しますので最後までお付き合いください。
Contents
『ブラックパンサー』の作品情報
タイトル:ブラックパンサー
原題:Black Panther
監督:ライアン・クーグラー
脚本:ライアン・クーグラー/ジョー・ロバート・コール
原作:スタン・リー/ジャック・カービー
製作:ケヴィン・ファイギ
公開:2018年2月16日(アメリカ)、2018年3月1日(日本)
出演:チャドウィック・ボーズマン/マイケル・B・ジョーダン/ルピタ・ニョンゴ/ダナイ・グリラ/マーティン・フリーマン/ダニエル・カルーヤ/レティーシャ・ライト/ウィンストン・デューク/アンジェラ・バセット/フォレスト・ウィテカー/アンディ・サーキス など
監督は“ロッキー”シリーズのスピンオフ第1弾『クリード チャンプを継ぐ男』(2015年)で注目されたライアン・クーグラー。
クーグラー監督をはじめスタッフの大半が黒人で固められたことが大きな話題となり、後に白人中心だったハリウッドで黒人のみならずアジア系が大いに台頭するきっかけともなりました。
『ブラックパンサー』のキャスト
『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』(2016年公開)で先行登場を果たした主人公ティ・チャラ/ブラックパンサー役は引き続きチャドウィック・ボーズマンが演じ、悪役のキルモンガー役は『クリード チャンプを継ぐ男』でライアン・クーグラー監督とタッグを組んだマイケル・B・ジョーダン、その他にも『スター・ウォーズ』のルピタ・ニョンゴや『ロード・オブ・ザ・リング』のアンディ・サーキスなどが参加しています。
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『ブラックパンサー』のあらすじ・ネタバレ
ワカンダ国の誕生
父が子に昔話を聞かせている。
これはアフリカの辺境にある小国「ワカンダ国」についての物語だ。
遠い昔、何百万年も前のこと。
遥か彼方の銀河から、宇宙一頑丈な金属“ヴィブラニウム”の隕石がアフリカ大陸に落下したのだ。
隕石は周囲の植物や生態系にも影響を与え、やがてこの地に5つの部族が移り住み戦争を始めたのである。
そんな中、黒豹の女神“バースト”に導かれたひとりの戦士がハートの形をした神秘的なハーブを飲み、超人的な力とスピードを誇る最強の戦士“初代ブラックパンサー”となったのであった。
やがて初代ブラックパンサーは4つの部族を束ねて「ワカンダ国」を建国、初代国王に即位したが、5部族のひとつジャバリ族だけは新たな国に加わることはなく、山に引き籠っていったのだ。
ワカンダ国はヴィブラニウムの力で独自の発展を遂げたのだが、戦争に明け暮れる世界からヴィブラニウムの真の力を隠すため固く国を閉ざしたのである。
1992年
アメリカ・カリフォルニア州オークランド。
とあるアパートの1室で、当時のワカンダ国王ティ・チャカ(アタンドワ・カニ)の弟ウンジョブ(スターリング・K・ブラウン)は犯罪組織と密かに繋がっていた。
そこにブラックパンサーに変身したティ・チャカが親衛隊“ドーラ・ミラージュ”の女戦士2名を引き連れてアパートに乗り込んできた。
ティ・チャカは弟との再会を喜ぶ素振りを見せつつも、武器商人ユリシーズ・クロウ(アンディ・サーキス)がワカンダからヴィブラニウム250kgを奪って逃走した件を挙げ、ウンジョブがクロウと内通してワカンダの情報を売った疑いをかけてきたのである。
疑惑を完全否定するウンジョブだったが、犯罪組織の一員ジェームズを装って潜入・密着してきた密偵のズリ(デンゼル・ウィテカー)が彼の悪行の全てを把握しており、ティ・チャカは直ちに帰国して罪状を告発するようウンジョブに命じるのだった。
現代、シビル・ウォー後
現代。
ティ・チャカ国王(ジョン・カニ)は爆弾テロに巻き込まれて死亡、息子のティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)が新国王に即位することになり、ブラックパンサーの称号と戦闘服をも受け継いだのである。
(詳しくは『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』を参照)
アベンジャーズの分裂騒動“シビル・ウォー”に参戦したティ・チャラは、その帰りにドーラ・ミラージュ隊長のオコエ(ダナイ・グリラ)と共にナイジェリアの密林地帯へと飛び、拉致した黒人女性たちを連れて移動中だった奴隷商人の一団を襲撃、内偵していた元恋人の女戦士ナキア(ルピタ・ニョンゴ)やオコエと共に商人たちを壊滅させたのだ。
戴冠式を翌日に控えるティ・チャラは、ナキアにも出席を促すと専用機に乗せて飛び立つのだった。
専用機は国中を防衛するエネルギー・シールドを超え、豊かな自然と美しい町並みが融合したワカンダ国に凱旋したのである。
帰国したティ・チャラを、母ラモンダ(アンジェラ・バセット)と妹シュリ(レティーシャ・ライト)が出迎えた。
戴冠式
その頃、ロンドンのグレート・ブリテン博物館では、黒人男のエリック(マイケル・B・ジョーダン)が展示品のアフリカの古代発掘品に見入っていた。
実はエリックはクロウと繋がっており、係員に毒を盛ると救急隊員に扮したクロウ一味を館内に招き入れ、展示品の中からヴィブラニウム製の武器などを奪って逃走したのだ。
一方、ワカンダではティ・チャラの戴冠式が執り行われようとしていた。
ワカンダの王となるものは一旦ブラックパンサーの力を失い、国の5つの部族の中から選ばれた挑戦者との決闘に挑む“挑戦の儀式”を受けなければならないのである。
儀式は断崖絶壁の聖地で行われ、ルールは相手の降伏か死のみで決するものなのだ。
ティ・チャラは司祭となったズリ(フォレスト・ウィテカー)から授けられたハーブの能力を打ち消す薬を飲み、久々に表舞台に姿を現したジャバリ族の長エムバク(ウィンストン・デューク)の挑戦を受けることになるのだった。
エムバクはかねてからティ・チャラら歴代王族をワカンダの王として認めておらず、挑発的な態度で挑んできた。
序盤は劣勢だったティ・チャラだったが、「あなたが何者か示しなさい」というラモンダの檄で闘志に火が付いたティ・チャラは勢いづき、打撃戦からエムバクに関節技を決め、エムバクが降伏したことにより晴れてティ・チャラはワカンダの新国王の座に就いたのである。
ティ・チャラは国民に一致団結を呼びかける。「ワカンダよ永遠に!」
その後、ティ・チャラは再び神秘のハーブを与えられ、幻想の世界へと誘われた。
壮大なアフリカの大自然でティ・チャラは黒豹と出会い、やがて黒豹はティ・チャカへと姿を変え、まだ国を預かることに不安を抱える我が子に王の心得を諭すのだった。
釜山の激闘
新国王となったティ・チャラはナキアを伴い、庶民の暮らしぶりを視察しながら彼女に戻って来てほしいというのだが、ナキアは国の外で苦しむ同胞たちを放っておけないとして任務を優先するのだった。
続いてティ・チャラは農村地帯に赴き、友人であるボーダー族の長ウカビ(ダニエル・カルーヤ)と談笑したいたところで、急遽オコエからグレート・ブリテン博物館での盗難事件の方がもたらされたのである。
ティ・チャカの代から追い続けてきた主犯のクロウが翌日にも韓国・釜山で裏取引を行うとの情報があり、ティ・チャラは各部族の長を招いて急遽対策会議を招集した。
ティ・チャラは両親をクロウに殺されており処刑を強く望むウカビを制して国境警備を任せ、天才科学者であるシュリから改良型スーツや最新鋭装備を受け取ると、オコエとナキアを連れて自ら釜山に乗り込んだのだ。
ティ・チャラら3人は商店街の裏にある秘密のカジノに潜入、同じくクロウを追っていた旧知のCIA捜査官エヴェレット・ロス(マーティン・フリーマン)に遭遇した。
老人(スタン・リー(カメオ出演))と共にギャンブルに臨んでいたロスはクロウの身柄をアメリカ政府が引き取るとし、ワカンダに連れ帰りたいティ・チャラとは意見が合わなかった。
やがてクロウが手下を引き連れてカジノに現れ、ロス自らクロウと交渉しようとしたその時、オコエとナキアの変装が手下にバレてしまい大混戦となり、クロウは隙を突いて逃走してしまうのだった。
ティ・チャラはブラックパンサーに変身、シュリがワカンダから遠隔操作するレクサスの屋根に飛び乗ってクロウらの跡を追った。
オコエとナキアも別の車で二手に分かれたクロウ一味を追うも、クロウの左腕の義手に組み込まれたヴィブラニウム製の武器で車を破壊されてしまい、駆け付けたロスの車に拾われたのだ。
ブラックパンサーもレクサスを破壊されてしまったが、軽やかな身のこなしで遂にクロウを捕らえ、身柄はロスに引き取られることになったのである。
地元警察に連行されたクロウの取り調べの際、ティ・チャラは密かにロスに盗聴器を仕込んでおいた。
クロウはロスの取調べに対し、左腕の武器などは全てワカンダで手に入れたものであり、ワカンダの鉱山には今なお大量のヴィブラニウムが貯蔵されていることを明かすのだった。
ロスがティ・チャラにワカンダの秘密の件を問おうとしたその時、警察署をエリックの一味が襲撃、ティ・チャラはブラックパンサーに変身するも退けられ、クロウは奪還されてしまったのである。
襲撃の際、ロスは手榴弾からナキアを庇って脊椎に重傷を負ってしまい、ティ・チャラはロスにワカンダの最先端治療を受けさせるためやむなくワカンダに一時撤退せざるを得なかったのだ。
ロスの治療はシュリが担当することになった。
ウカビはクロウを取り逃がしたティ・チャラに失望して王宮を去って行った。
父と叔父の秘密
釜山の飛行場に着いたエリック一味。
しかし、エリックは仲間たちを皆殺しにすると、逃げ出したクロウを追い詰めて射殺したのである。
クロウは死の間際、エリックはワカンダ人であることを知るのだった。
その頃、秘密のハーブ畑では、ティ・チャラはズリに行方不明になっている叔父ウンジョブのことを尋ねていた。
釜山で対峙した男(エリック)がウンジョブのものと同じ指輪をしていたのだ。
ズリは重い口を開き始めた。
かつてウンジョブはワカンダの諜報部隊“ウォー・ドッグ”の一員としてアメリカの任務に赴き、ズリはティ・チャカの命で密かに監視役として帯同していたのだった。
やがてウンジョブはアメリカ人女性と恋に落ち、子が生まれたのだが、ウンジョブはアメリカで迫害される黒人たちを見るにつれていつしか過激思想に染まっていき、黒人の解放のために祖国を裏切ってまでもクロウと手を組み、ワカンダから武器を横流ししていたのである。
ウンジョブはティ・チャカからワカンダでの評議会への出頭を命じられたのだが、咄嗟にズリに銃口を向けてしまい、彼を庇おうとしたティ・チャカのヴィブラニウムの爪にかかって命を落としたのだ。
ティ・チャカはズリに隠蔽を命じ、まだ少年だったウンジョブの息子は真実を知らないまま置き去りにされたのである。
ズリの告白に言葉を失うティ・チャラ。
キルモンガー
ロスはシュリの治療によりわずか1日で全快、ワカンダの優れた科学技術に目を釘付けになっていた。
父の秘密に苦悩するティ・チャラに、ナキアは「前王の過ちとあなたは関係ないの。どんな国王になるかは自分自身で決めないと」と諭すのだった。
セスナ機を奪ったエリックはワカンダに向かい、ウカビの村を訪れると“手土産”としてクロウの死体を引き渡したのだ。
シュリの情報によると、エリックの本名はアメリカ国籍のエリック・スティーブンスという。
エリックは米海軍学校を19歳で卒業後は超名門校のマサチューセッツ工科大学に進み、その後は米軍特殊部隊シールズに入隊後は紛争地帯を転々とし、ゲーム感覚で次々と人を殺したことから周囲からは“死の商人”を意味する“キルモンガー”と呼ばれるようになっていったのである。
ロスによると、その後工作員となったエリックは外国政府の転覆や暗殺などの任務を請け負っていたのだという。
その後、ティ・チャラの召集した評議会に出頭したエリックは、ワカンダのヴィブラニウムとテクノロジーをもって世界中で迫害されている黒人を解放すると宣言、ティ・チャラに対して王位を譲り渡すよう要求してきたのだ。
エリックは自らの正体をウンジョブの遺児ウンジャダカであることを明かし、亡き父の形見である指輪を提示するとティ・チャラに王位継承権を巡る決闘を申し込み、父の件で負い目のあるティ・チャラは受けて立つことにするのだった。
王位争奪戦
聖地で再び挑戦の儀式が行われることになった。
ティ・チャラは再びハーブの力を失う薬を飲み、挑戦者のエリックは敵意を剥き出しにして飛びかかりティ・チャラを追い詰めたのである。
エリックがティ・チャラにとどめを刺そうとした時、ズリが「全ての責任は私にある。私を殺せ」と止めに入ったのだ。
エリックは「ならば二人とも殺す」と叫んでズリを刺殺、ティ・チャラに激しい罵倒の言葉を浴びせながら谷底へと突き落とすのだった。
遂にエリックはワカンダ国王の座に就き、身の危険を感じたシュリはラモンダに逃げるよう促した。
オコエは逃げようと促すナキアに対し、自分は国に忠誠を誓っていると告げて二人は袂を分かつことになったのだ。
シュリとラモンダ、ナキアとロスが脱出を試みるなか、エリックは神秘のハーブを飲んで幻想の世界に誘われていた。
かつて親子で暮らしていたオークランドのアパートで、ウンジャブは自らの過ちを認めてエリックと一緒に帰国すべきだったと後悔の念を述べたが、エリックは「間違っているのはあいつらだ。あいつらは俺たちを受け入れてはくれない」と叫びながら現実に引き戻されるのだった。
ブラックパンサーの能力を手に入れたエリックは全てのハーブを焼き払った。
しかし、密かに儀式の場に潜入していたナキアは一掴みのハーブを摘み取って脱出したのである。
ティ・チャラ復活
エリックは評議会を招集すると、ワカンダの武器を全世界の同胞に提供して迫害してきた者たちを抹殺する考えを示し、ワカンダを中心とする新たな世界の創造を訴えたのである。
オコエはワカンダが栄えたのは不毛な争いを避けてきたからであると諫めるが、ウカビはエリックに同調したため計画は予定通り決行されることとなったのだ。
その頃、シュリとラモンダ、ナキアとロスはハーブをエムバクに飲ませるためジャバリ族の集落へと向かった。
エリックからワカンダを取り戻すため協力を求められたエムバクは、ハーブを差し出そうとしたシュリたちをとある場所へと連れて行った。
そこには何とティ・チャラが匿われていたのである。
ジャバリ族の漁師によって助けられたティ・チャラは一命を取り留めたものの意識が戻らないままだったのだ。
シュリたちは早速ハーブをすりおろしてティ・チャラに飲ませるのだった。
ティ・チャラの意識は幻想の世界に飛び、ティ・チャカや先祖たちと対面した。
真実を隠していたティ・チャカに、ティ・チャラは「あなたは間違った選択をした。正義を行わなかった。私はあなた方のもとには行けません。私はワカンダが生んだ怪物から祖国を取り戻します」と力強く宣言したのである。
現実世界に舞い戻ったティ・チャラはシュリからブラックパンサーの変身アイテムである首飾りを受け取り、エムバクに協力を求めたのだが、エムバクは長きに渡って疎外されていたことを理由に申し出を断るのだった。
ワカンダ奪還の戦い
エリックはウカビと共に、ヴィブラニウム製の兵器を輸送機に載せて世界中の工作員に送り届ける準備に入っていた。
その時、ブラックパンサーに変身したティ・チャラが現れ、「私は死んでもいないし、降伏もしていない」と告げると挑戦の儀式は無効だとして再開を要求したのだ。
エリックはティ・チャラを殺すようウカビに命じ、ウカビはボーダー族を率いてティ・チャラに襲い掛かった。
一方、ティ・チャラの意見を支持したオコエはドーラ・ミラージュを率いてエリックに反旗を翻し、キルモンガーに変身したエリックと交戦を開始したのである。
王宮の研究施設を奪還したシュリはナキアにドーラ・ミラージュの戦闘服を、元空軍パイロットだったロスには戦闘機の遠隔操作を任せるのだった。
シュリとナキアは連携してキルモンガーに立ち向かったが敵わず、ブラックパンサーはシュリを助けるためにキルモンガーに飛びかかって一緒に地底深くのヴィブラニウム鉱山へと落下していったのだ。
ヴィブラニウムを運搬するリニアモーターカーの軌道に着地したブラックパンサーは、輸送列車にヴィブラニウムの力を無効化する能力があることから、シュリに輸送列車を遠隔操作させたのである。
ロスは敵機に遠隔操作ルームを攻撃されるも、パイロットとしての勘を取り戻して輸送機を全て撃墜するのだった。
一方、苦戦を強いられていたドーラ・ミラージュに何とエムバクがジャバリ族を引き連れて加勢、遂にはウカビを降伏に追い込んだのである。
ほぼ互角の闘いを続けていたブラックパンサーとキルモンガーだったが、ブラックパンサーは輸送列車が通過した一瞬を狙ってキルモンガーに小剣を突き刺し、激闘に終止符を打ったのだ。
致命傷を負ったエリックはせめてワカンダの美しい景色が見たいとティ・チャラに告げ、彼の計らいにより国中を見下ろせる高台に連れて行かれた。
景色に満足したエリックは延命を拒み、「俺を海に葬ってくれ。祖先は海に身を投げたんだ。服従よりも死を選んだんだ・・・」と言い残して絶命したのである。
戻った平和
ワカンダに平和が戻った。
再び王の座に返り咲いたティ・チャラはナキアと愛を確かめ合うのだった。
ティ・チャラはシュリを伴ってオークランドに飛び、ウンジョブとエリック親子が住んでいた取り壊し寸前のアパートを買い取り、ワカンダ初の国際支援センターを設置する考えをシュリに明かすと、ナキアとシュリにセンターの運営を託したのである。
その後、ティ・チャラはかつて父が暗殺された場である国連のウィーン事務局の演説台に立ち、「人類同士の対立は存亡の危機を招くだけです。危機に瀕した時、賢者は橋を作り、愚者は壁を作る。他者を受け入れて慈しみ合うべきです。我々は“ひとつの民族”なのですから」と語り、ワカンダが持つ全ての知識と技術を開放すると宣言したのだ。
エンドロール後
ワカンダの小さな村。
ここでは、秘密結社ヒドラの洗脳を解くためキャプテン・アメリカからティ・チャラに託された“ウィンター・ソルジャー”ことバッキー・バーンズ(セバスチャン・スタン)が静かに療養生活を送っていた。
シュリは、ティ・チャラから“ホワイトウルフ”の称号を与えられたバッキーを呼び、山ほど話があるといって彼を連れ出すのだった。
(『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』に続く)
『ブラックパンサー』の感想とまとめ
マーベル・コミック史上初の“黒人ヒーロー”として、これまで白人がメインだったスーパーヒーロー作品に新風を吹かせた本作は全世界で反響を呼び、アメリカ本国ではあの『アベンジャーズ』(2012年公開)をも上回る興行収入を挙げるという快挙を達成しました。
人類の歴史上、黒人が長きに渡って差別と迫害を受け続けてきたことは本作のメインテーマにも掲げられ、全人類の融和を訴える主人公ブラック・パンサーことティ・チャラ(チャドウィック・ボーズマン)と、黒人が武力で世界に風穴を開けるべきだと主張する過激派のキルモンガーことエリック・“ウンジャダカ”・スティーヴンス(マイケル・B・ジョーダン)との意見が真っ向から対立する様は現実世界を投影しているかのようです。世界は残念ながらティ・チャラがラストで唱えた融和にはまだまだ程遠い状況であることに変わりはないのです。しかしながら、この映画が大ヒットし、世界中で受け入れられたことは素直に喜ばしいことであり、この映画を観てくれた若い世代に何か訴えかけるものがあれば幸いだと感じています。
『アベンジャーズ』を軸とする一大プロジェクト“マーベル・シネマティック・ユニバース”の世界的・歴史的大成功により、ここ日本においても本作のほか「ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー」「アントマン」などこれまで知られていなかったヒーローも日の目を浴びるようになってきたことは非常に喜ばしい限りです。本作を始め、「アイアンマン」「マイティ・ソー」「キャプテン・アメリカ」「スパイダーマン」などのマーベルが誇るスーパーヒーローが、点と点が線で結ばれていくように一致団結、やがて“アベンジャーズ”という名の巨星へと集結していくさまは我々全世界の映画ファンを大いに魅了してきましたし、これからも魅了し続けていくことでしょう。
ここからはネタバレになるので『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』を未見の方はこれから先をご覧になることは要注意ですが、ブラックパンサー/ティ・チャラをはじめワカンダはこの先とんでもない災難が待ち受けることになります。しかし、既に『アベンジャーズ』シリーズ完結後に本作の続編の製作が決定していますので、果たして『インフィニティ・ウォー』でとんでもない目に遭ったブラックパンサーがどのようにして這い上がるのか、その答えはまず続編の前にアベンジャーズ・シリーズの完結編であり、マーベル・シネマティック・ユニバースのひとつの区切りともなる『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年4月26日公開予定)をご覧になる必要があることでしょう。
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