映画「ハリー・ポッターと謎のプリンス」のあらすじネタバレと感想!ドラコが大きく関わっている?!

イギリスの児童文学作家J・K・ローリングの代表作にして、小説および映画版は全世界で旋風を巻き起こした“ハリー・ポッター”シリーズ。
今回はシリーズ第6作であり、最終章への序章となる『ハリー・ポッターと謎のプリンス』についてのあらすじとネタバレ、感想をご紹介します。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の作品情報

タイトル:ハリー・ポッターと謎のプリンス
原題:Harry Potter And The Half-Blood Prince
監督:デイビッド・イェーツ
脚本:スティーヴ・クローヴス
原作:J・K・ローリング
製作:デイビッド・ヘイマン/デイビッド・バロン
公開:2009年7月15日(全世界同時公開)
出演:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/アラン・リックマン/マイケル・ガンボン/マギー・スミス/ロビー・コルトレーン/ジム・ブロードベント/トム・フェルトン/ヘレナ・ボナム=カーター/ティモシー・スポール/デヴィッド・シューリス/デイビッド・ブラッドリー/ワーウィック・デイヴィス/ジェマ・ジョーンズ/ヘレン・マックロリー/ナタリア・テナ/ジュリー・ウォルターズ/マーク・ウィリアムズ/ボニー・ライト/イヴァナ・リンチ/マシュー・ルイス/ジェシー・ケーブ/ヒーロー・ファインズ・ティフィン/フランク・ディレイン など

監督は前作(第5作)『不死鳥の騎士団』からシリーズに加わったデイビッド・イェーツが続投、脚本は第4作『炎のゴブレット』以来にスティーヴ・クローヴスが復帰しています。
また、音楽も前作に引き続いてニコラス・フーパーが担当しています。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』のキャスト

主演のダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンをはじめとするレギュラー陣に加え、本作では物語の鍵を握る復職した教授スラグホーン役でジム・ブロードベントが初参戦しています。
なお、ロン役のグリントは本作公開前年の2008年に、ハリー役のラドクリフは本作公開直後の2009年7月に20歳の誕生日を迎えています。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』のあらすじ・ネタバレ

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(L-r) JIM BROADBENT as Professor Horace Slughorn, ROBBIE COLTRANE as Rubeus Hagrid and DANIEL RADCLIFFE as Harry Potter in Warner Bros. PicturesÕ fantasy adventure ÒHarry Potter and the Half-Blood Prince.”

闇の脅威

復活を果たした闇の帝王ヴォルデモート卿に挑んだハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)とホグワーツ魔法魔術学校のアルバス・ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)は今やマスコミに追っかけられる存在となっていた。

そんなある日、ヴォルデモート卿に忠誠を誓う集団“死喰い人(デスイーター)”がダイアゴン横丁を襲撃、続いてテムズ川に架かるミレニアム・ブリッジを破壊する事件を起こしたのである。

ダンブルドアの旧友スラグホーン

ハリーはとある駅のカフェで、一連の事件およびライバルのドラコ・マルフォイ(トム・フェルトン)の父で死喰い人のルシウスが逮捕されたと報じる新聞を読んでいたところ、駅のホームにダンブルドアが現れ、“姿現しの術”で“バドリー・ババートン”という村へと瞬間移動するのだった。

ダンブルドアはハリーを旧友で元同僚のホラス・スラグホーン(ジム・ブロードベント)の元へと連れて行き、死喰い人の勧誘から逃れるためにソファーに擬態していた彼を見つけるが、ダンブルドアの狙いが自分をホグワーツへ復職させることにあると見抜いていたスラグホーンは即座に断ったのだ。

しかし、ハリーに対面したスラグホーンは、ハリーの後見人だった亡きシリウス・ブラックの弟レギュラス(トム・ムーアクロフト)の写真をハリーに見せ、シリウスを除くブラック家はかつて自身が寮監を務めていた、闇の魔法使いを数多く輩出しているスリザリン寮の出身であることを打ち明け、思い直したスラグホーンは高額報酬と引き換えにダンブルドアの申し出を引き受けることにしたのである。

破れぬ誓い

ハリーはダンブルドアの姿現しの術でロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)の家に向かい、そこでロンやその妹ジニー(ボニー・ライト)と母モリー(ジュリー・ウォルターズ)、そしてハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)らと合流したのだった。

ロン一家やハーマイオニー一家は我が子をホグワーツに行かせることを躊躇っており、史上最高の魔法使いとはいえ高齢のダンブルドアを心配する声もあったのだ。

その頃、シリウスの従姉で死喰い人のベラトリックス・レストレンジ(ヘレナ・ボナム=カーター)、ドラコの母ナルシッサ(ヘレン・マックロリー)、ピーター・“ワームテール”・ペティグリュー(ティモシー・スポール)は、元死喰い人で“不死鳥の騎士団”メンバーでもあるセブルス・スネイプ(アラン・リックマン)の元を訪ねていたのである。

ヴォルデモート卿への忠誠を口にし、ドラコを守るというスネイプに、彼の忠誠心に疑問を抱くベラトリックスは決して背くことのできない“破れぬ誓い”を立てるよう迫るのだった。
そしてスネイプはドラコがヴォルデモート卿の望みを果たすのを見守ること、万が一ドラコが失敗した時は自分が望みを果たすことを誓ったのだ。

ドラコの不穏な動き

ホグワーツを退学したロンの双子の兄フレッド(ジェームズ・フェルプス)とジョージ(オリバー・フェルプス)はダイアゴン横丁で魔法イタズラ用品専門店「ウィーズリー・ウィザード・ウィーズ」を開いており、新学期の準備と称して学生たちに様々なイタズラグッズや“惚れ薬”などを売りつけていた。

“今こそ笑いが必要だ”という兄弟の気合いとは裏腹に、ダイアゴン横丁から活気は失われていたのである。

そんな時、ハリー、ロン、ハーマイオニーは、ドラコとナルシッサが夜の闇横丁の一角にある店「ボージン・アンド・バークス」に入り、怪しげな集団と合流するのを目撃したのだった。

ホグワーツ行きの特急の車内では、ルーナ・ラブグッド(イヴァナ・リンチ)が自らの父が編集長を務める雑誌「ザ・クィブラー」を売り歩いていたのだ。

ハリーはドラコが父ルシウスと同じ死喰い人ではないかと疑いを抱き、透明マントを羽織って彼に近づくが、特急がホグワーツに到着した際にハリーはドラコに魔法をかけられて石化されてしまったのである。
ハリーは居合わせたルーナに助けられ、ホグワーツに向かおうとした時、スネイプと行動を共にするドラコを目の当たりにしたのだった。

半純血のプリンス

恒例の歓迎会食の席上、ダンブルドアは復職したスラグホーンが魔法薬学の教師を務めること、“闇の魔術に対する防衛術”の教師はスネイプが担当することを発表したのである。
続いてダンブルドアは、かつて“トム・リドル(後のヴォルデモート卿)”が皆と同じくホグワーツで学んでいたことを振り返り、闇の力が今やホグワーツにも及ぼうとしていると警告するのだった。

ハリーとロンは所属するグリフィンドール寮の寮監ミネルバ・マクゴナガル(マギー・スミス)から魔法薬学の授業を受けるべきだと勧められ、教科書を持っていないハリーは教室の棚から参考になりそうな書物を探そうとしたところ、“半純血のプリンス”なる人物の蔵書を見つけたのである。

ハリーはこの本を参考に、これまでたった一人しか成功したことのない“行ける屍の水薬”の調合という課題を完璧に成し遂げ、褒美としてスラグホーンから飲めば効果が切れるまで幸運をもたらすという“幸運の液体(フェリックス・フェリシス)”を授けられたのだった。

トム・リドルの記憶

謎の指輪と破れた日記を机に隠したダンブルドアはハリーを校長室に呼び出し、ヴォルデモート卿ことトム・リドルと初めて出会った頃の記憶を“憂いの篩”にかけて見せたのだ。

かつて孤児院暮らしだったリドル(ヒーロー・ファインズ・ティフィン)は他の子供たちとも交わらない孤独な日々を過ごしていたが、ダンブ憂いの篩ルドアに魔法の才能を見出されてホグワーツに誘われたのである。

ダンブルドアはリドルの将来までは予測できなかったと語り、その後リドルはスラグホーンと親しくなったことから、ダンブルドアはスラグホーンがリドルに関する“何か”を握っているとして、ハリーにスラグホーンに取り入って真意を探るよう命じたのだった。

その頃、ドラコはかつての“ダンブルドア軍団”の練習場だった“必要の部屋”に“あるもの”を隠していたのだ。

呪いのネックレス

クィディッチの試合に向けて練習を開始したハリーらグリフィンドールは、キーパーの座を巡ってハーマイオニーに一方的な想いを抱くコーマック・マクラーゲン(フレディー・ストローマ)とロンが争うことになったのである。
ロンが不利だと見たハーマイオニーは密かにコーマックに錯乱の呪文をかけ、その甲斐あってロンはキーパーに選出されたのだった。

ハリーはすっかり半純血のプリンスの本に夢中となり、常に片身離さず読み歩いていた。

冬になり、魔法の村ホグズミードに向かったハリー、ロン、ハーマイオニーは、スラグホーンがパブ「三本の箒」に向かっているのを見かけたのだ。
パブに入ったハリーたちは名物バタービールを注文したところ、ドラコが個室に入っていくのを目撃したのである。

ジニーが恋人といちゃついているのが面白くないハリーとロンだったが、スラグホーンからハーマイオニーも交えて“選ばれし生徒”だけが参加できる食事会に招待されるのだった。

その帰り道、ハリーたちは一人の女生徒ケイティ(ジョージーナ・レオニダス)が倒れ込んでいるのを発見した。
ケイティは突然宙に舞い上がり、絶叫を上げたかと思うと再び倒れてしまったのだ。

すぐさまルビウス・ハグリッド(ロビー・コルトレーン)が駆け付けてケイティを助けたが、彼女が持っていた包みからは謎の首飾りが発見されたのである。

マクゴナガルがケイティと一緒にいたリーアン(イザベル・ラフランド)から事情を聞いたところ、この首飾りは何者かからダンブルドアに届けてほしいと頼まれたものだというのだ。
スネイプが首飾りを鑑定したところ、それには呪いがかけられており、ハリーはドラコの仕業だと断定するもスネイプやマクゴナガルに否定されたのだった。

ロン、クィディッチで大活躍

寮に戻ったハリーは、忍びの地図でドラコの行動を探りながら、ジニーがなぜ女たらしと付き合っているのかロンと語り合ったのだ。
ハリーはいつしかジニーを、ロンはハーマイオニーを“女”として意識するようになっていたのである。

その後、ハリーとハーマイオニーはスラグホーン主催の食事会に出席、彼氏と喧嘩したジニーも遅れて参加したのだった。
参加者が帰った後、一人残ったハリーはスラグホーンにリドルのことを尋ねてみると、スラグホーンは非常に驚いた表情でリドルは元々物静かで聡明な生徒だったことを明かしたのだ。

クィディッチの試合当日、ロンは同級生から負け犬呼ばわりされ、プレッシャーに押しつぶされそうになっていた。
ハリーはそんなロンに飲み物を勧め、わざと手元に幸運の液体をちらつかせたのである。

ハリーは校則違反だというハーマイオニーの指摘も意に介さず、上機嫌になったロンは試合で好セーブを連発する大活躍を見せ、生徒たちから拍手喝采で出迎えられたのだった。

試合後、ハリーはハーマイオニーに実は幸運の液体を飲ませていないことを明かし、ロンを勇気づけるためにしたと告げたが、ロンは同級生の女子ラベンダー・ブラウン(ジェシー・ケーブ)から告白されてキスをしてしまい、ショックを受けたハーマイオニーはその場から飛び出してしまったのだ。

ハリーはハーマイオニーを慰めるが、彼女はハリーがジニーに想いを抱いていることに気付いていたのである。

姿をくらますキャビネット

クリスマスパーティーの日が近づき、ハーマイオニーは舞い上がっているロンへの当てつけとして名前こそ明かせないもののある生徒をパートナーに誘っていることを明かし、ハリーはルーナをパートナーに誘ってパーティーに参加したのだった。

ドラコはパーティーには参加せず、校内で見つけた“姿をくらますキャビネット”の力を試していた。

そうとも知らぬハリーはスラグホーンと記念写真を撮り、誘った相手であるコーマックから迫られて逃げ出したハーマイオニーを匿っていたところ、スネイプに声をかけられたのだ。

ハリーはスネイプからダンブルドアの伝言として「休暇を楽しめ」と告げられ、ダンブルドアは旅に出ており新学期までは戻ってこないことを知らされたのである。
ハリーはダンブルドアの行き先を尋ねたその時、管理人アーガス・フィルチ(デイビッド・ブラッドリー)に捕まったドラコが会場に連行されてきたのだった。

ドラコを連れ出したスネイプは“破れぬ誓い”のことを話し、ドラコは自分が“あの人”に選ばれたとしてスネイプを遠ざけようとするが、ハリーはその一部始終を盗み聞きしていたのだ。

ホグワーツは休暇に入り、ロンドン行きの特急でハリーはロンから“破れぬ誓い”を破った者は死に至ることを知らされたのである。
ロンの家でハリーは恩師で不死鳥の騎士団メンバーであるリーマス・ルーピン(デヴィッド・シューリス)に一部始終を伝えたところ、スネイプはドラコの味方のフリをして実は探りを入れているのではないかとルーピンは持論を述べ、全てはスネイプを信用しているダンブルドアの判断に委ねると告げたのだった。

翌日、ハリーはロンの父アーサー(マーク・ウィリアムズ)から、騎士団は全員命を狙われていること、ダンブルドアの旅は魔法省にも明かされない極秘のものであることを告げ、そして“姿をくらますキャビネット”について説明したのだ。
キャビネットは死喰い人から姿を隠すためのものであり、扱いづらいもののあらゆる場所へ移動できるという代物であり、もう1台同じものが以前ドラコが立ち寄った「ボージン・アンド・バークス」にもあるということだった。

ハリーとジニーは惹かれ合い、ルーピンは帰路に就こうとしていたその時、ベラトリックスが死喰い人仲間のフェンリール・グレイバック(デイヴ・レジェノ)共に現れ、ハリーを挑発してきたのだ。

ハリーたちはベラトリックスを追うが、ロンの家は炎に包まれてしまい、一家は全員生き残ったものの呆然と立ち尽くしていたのである。

その後、魔法省職員が次々と行方不明になる事件が多発したのだった。

スラグホーンの記憶

ホグワーツに戻ったハリーは旅を終えたばかりのダンブルドアに呼び出され、憂いの篩を通じてスラグホーンの記憶を見せられたのだ。
そこでは、リドル(フランク・ディラン)がスラグホーンから、図書館の禁書の棚で見つけたという魔法について聞き出そうとしていたのである。

しかし、魔法の名までは聞き取れず、スラグホーンは魔法を決して明かすわけにはいかないと告げたところでハリーは現実へと戻ったのだった。
ダンブルドアいわく、その記憶はスラグホーンによって改竄されたものであり、ハリーはダンブルドアから真実を突き止めるよう命じられたのだ。

その記憶こそが非常に重要なものだと知らされたハリーはスラグホーンに近づき、リドルと全く同じ質問をぶつけてみたが、スラグホーンは担当のスネイプに聞くよう返したのである。
更に追求を続けるハリーに、ダンブルドアの差し金であることに気付いたスラグホーンは口をつぐんでしまうのだった。

ハリーは部屋に戻ると、同級生ロミルダ・ベイン(アンナ・シェーファー)がハリーに仕込もうとした惚れ薬をロンが勝手に飲んでしまっており、ハリーはスラグホーンに頼んで解毒剤をロンに飲ませたのだ。

ロンはスラグホーンから、バタービールとハチミツで作られた酒をふるまわれたが、飲んだ途端に倒れて痙攣を起こしてしまったのである。
ハリーは急いで解毒剤の原料であるベゾアール石を飲ませ、一命を取り留めたロンは医務室で静養することになったのだった。

見舞いに訪れたダンブルドア、マクゴナガル、スネイプに、スラグホーンはこの酒はダンブルドアに贈るものだったと明かしたのだ。
そこにラベンダーが駆け付け、看病していたハーマイオニーと口論となったが、ロンはうわ言で「ハーマイオニー…」と呟き、ショックを受けたラベンダーはその場から走り去っていったのである。

ハリーはロンとハーマイオニーを二人きりにさせ、ドラコを探ったところ、彼は必要の部屋に隠れてしまったのだった。
ドラコはホグワーツと「ボージン・アンド・バークス」にある二つのキャビネットを繋げようと試みていたのだ。

ハリーは“半純血のプリンス”の本に敵に用いるという“セクタムセンプラ”の呪文を見つけたのである。
ハリーはケイティから当時の状況を聞き出そうとするが、その様子を見ていたドラコが逃げ出し、首飾りの件を問い質そうとしたハリーに攻撃してきたのである。

ハリーはドラコに“セクタムセンプラ”の呪文を放ち、ドラコは血まみれになって倒れ込んでしまった。
駆け付けたスネイプは回復魔法でドラコを治療するも、プリンスの魔法の威力に恐れを抱いたハリーはジニーから今すぐ本を手放すよう促されたのだった。

ハリーとジニーは必要の部屋に本を隠そうとしたが、そこで姿をくらますキャビネットを発見したのだ。
ジニーはハリーのわからない場所に本を隠し、そしてハリーとキスを交わしたのである。

ハリーは幸運の液体を飲んだところ、なぜかスラグホーンに会う前にハグリッドに会おうと思いつくのだった。
ハリーは薬草学部にいたスラグホーンを見つけ、彼を連れてハグリッドの元に向かったのだ。

ハグリッドはちょうど巨大蜘蛛“アラゴグ”の臨終に立ち会っていた。
その後、スラグホーンはハグリッドの小屋で酒を飲みながら、ハリーの母リリーの思い出話を語り始めたのである。

ハリーはスラグホーンに額の傷を見せ、命と引き換えに自分を守ってくれた母の愛はヴォルデモート卿よりも強いと語り、自分は唯一ヴォルデモート卿を倒すことのできる“選ばれし者”であることを伝えたのだった。

ハリーの覚悟を読み取ったスラグホーンは彼に自らの真の記憶を託したのだ。

分霊箱

ハリーは憂いの篩でスラグホーンの記憶に入り、リドルが口にした闇の魔法は“ホークラックス”であることを知ったのである。
“ホークラックス”は別名“分霊箱”といい、魂を分けて箱に入れることで不死身の存在になれるというものだった。

魂を切り分けるためには殺人を犯さねばならず、リドルはこのことは二人だけの秘密にしようとスラグホーンに持ち掛けたのだ。

ダンブルドアはヴォルデモート卿が少なくとも7つの分霊箱を作ったことに気付き、そのうちの2つである“トム・リドルの日記”(ハリーが“秘密の部屋”で破壊したもの)とリドルの母の指輪は破壊したことをハリーに伝えたのである。

残りの分霊箱を破壊すればヴォルデモート卿を倒すことができるため、ダンブルドアは休暇中に箱の痕跡を求めて旅をしていたことを明かし、また1つ見つけたとしてハリーに協力を求めたのだった。

スネイプにホグワーツを任せたダンブルドアは、ハリーに自分の命令には絶対に従うよう誓わせると、姿現しの術で断崖絶壁の海岸の洞窟へと向かったのだ。

ダンブルドア死す

洞窟の奥で痕跡を見つけたダンブルドアとハリーは分霊箱を探し当てたが、水晶の中に封印されている箱を取り出すにはそこに溜まっている液体を飲まねばならない。
ダンブルドアは飲めば身体が弱ることを承知のうえで、ハリーの助けを借りて液体を飲み干し、封印を解いて分霊箱のひとつであるロケットを取り出したのである。

ハリーは水を飲みたいというダンブルドアのために水を汲もうとするが、無数の怪物たちに水中に引きずり込まれそうになり、ダンブルドアの決死の魔法で助けられたのだった。

その頃、ドラコは姿をくらますキャビネットを使い、ベラトリックスら死喰い人をホグワーツに呼び寄せていた。

ホグワーツに戻ったダンブルドアはハリーにスネイプを呼ばせ、塔の下に隠れるよう命じたところ、その場にドラコが現れたのだ。
首飾りや毒入り酒など一連の事件は全てドラコが企てたことを見抜いたダンブルドアに、ドラコは腕の“髑髏と蛇”の刺青を見せ、自分が死喰い人になったことを告げたのである。

現れたベラトリックスらが見つめるなか、ドラコは「あなたを殺さねば僕が殺される」とダンブルドアに杖を向けるが殺すことはできなかった。
そこにスネイプが現れ、ダンブルドアは「頼む」とだけ告げると、スネイプが放った死の呪文を身に受けて塔から転落していくのだった。

プリンスの正体

勝ち誇るベラトリックスは上空に髑髏の印を揚げ、ホグワーツを荒らし回り、スネイプはドラコや死喰い人と共にハグリッドの小屋へと向かった。
ベラトリックスが小屋に火を放ったところに怒りに燃えるハリーが駆け付け、スネイプに戦いを挑むも一蹴されてしまったのだ。

スネイプはハリーにとどめを刺さず、「私が”半純血のプリンス”だ」と告げて去って行ったのである。

ロンやハーマイオニー、ホグワーツの生徒・教職員たちはダンブルドアの死を悼み、魔法で上空の髑髏の印をかき消すのだった。
ジニーは嗚咽するハリーに寄り添ったのだ。

マクゴナガルは「あなたはダンブルドアにとって大事な存在でした」とハリーを慰めたのである。
ハリーは校長室に掲げられたダンブルドアの肖像画に目を向けたのだった。

ハリーはロンとハーマイオニーに、見つけた分霊箱は偽物だったこと、本物は“RAB”と名乗る者が盗んだことを告げたのだ。
6年生を終えるハリーは来年度はホグワーツには戻らず、ダンブルドアの遺志を継いで残りの分霊箱を破壊する意志をロンとハーマイオニーに伝えるが、ロンとハーマイオニーはハリーについていく決心を固めていたのである。

ホグワーツの上空には、ダンブルドアの飼い鳥だった不死鳥のフォークスが羽ばたいていたのだった。

『ハリー・ポッターと謎のプリンス』の感想とまとめ

いよいよシリーズも終盤を迎え、本作では最終章に向けて一気に物語が加速しました。
劇中終盤で自らの死期を悟ったダンブルドア校長がハリーの成長を褒めるシーンがありましたが、これはまもなく20代を迎えようとしていたハリー役のダニエル・ラドクリフを含む若きキャストたちの目覚ましい成長にも当てはまった名台詞ともなりました。

本作では、シリーズで最もハードでシリアスな展開になるであろう最終章を見越してか、久しぶりにハリーと仲間たちの学校生活と青春の日々が描かれ、ハリーと親友ロンの妹ジニーとのロマンス、そして紆余曲折を経てのロンとハーマイオニーの接近がより一層浮き彫りになってきました。

本作では、いよいよ次回作から始まる最終章に向けて、下記に記した新たな伏線が浮かび上がりました。
・ダンブルドア率いる“不死鳥の騎士団”のメンバーでありながらヴォルデモート卿率いる“死喰い人”側にもついている“謎のプリンス”ことスネイプの行動
・父ルシウスと同じく死喰い人となったハリーのライバル・ドラコ
・ヴォルデモート卿の唯一の弱点である“分霊箱”の存在
・ダンブルドアが死の間際にスネイプに言った「頼む」という言葉の意味
・なぜスネイプはハリーにとどめを刺さなかったのか

スネイプの行動の理由は最終章『死の秘宝』二部作で明らかになりますが、これは本作の劇中でハリーの恩師で不死鳥の騎士団員でもあるルーピンの推測「スネイプは(死喰い人となった)ドラコに従うフリをしてその行動を探っている」「ダンブルドアはスネイプに完全な信頼を寄せている」、そして前作『不死鳥の騎士団』で明らかになったスネイプとハリーの父ジェームズとの過去の因縁が大いに関連してきますので要チェックです。

なお、スネイプ役のアラン・リックマンは原作者J・K・ローリング直々からただ一人だけシリーズの結末やスネイプの目的と顛末について明かされており、シリーズ全体を通じてネタバレしないよう細心の注意を払っていたというエピソードはファンの間では有名であり、このことによって今後真実が明らかになるスネイプの存在に深みを増すこととなりました。

次回作はいよいよシリーズ最終章、原作の世界観を忠実に再現するため二部作に分けて製作された『死の秘宝』へと突入していきます。ハリーと仲間たち、スネイプ、そして宿敵ヴォリデモート卿の物語にどのようにして幕が引かれるのか注目ですね。

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