バグダッドスキャンダルの動画を無料視聴!ネタバレと感想を紹介

バグダッドスキャンダルは、2003年に明るみになった実際の事件、国連最悪と呼ばれる不正事件が主題である。

内部告発者マイケル・スーサンの著書『Backstabbing for Beginners』を基に映画化され、デンマークでは著名なペール・フライが監督と脚本を務めたポリティカル・サスペンスドラマである。当事者達がどの様な思惑でこのスキャンダルに関与しているかをドキュメンタリー調で克明に描いた力作である。

バグダッド・スキャンダルの予告動画

バグダッド・スキャンダルの映画情報

タイトル:バグダッドスキャンダル
原題:Backstabbing for Beginners
監督:ペール・フライ
脚本:ペール・フライ、ダニエル・パイン
原作:『Backstabbing for Beginners』マイケル・スーサン
製作:ラース・クヌードセン、ダニエル・ペーカーマン
公開日:2018年1月18日 デンマーク、2018年4月17日 アメリカ、2018年11月3日 日本
出演者:テオ・ジェームズ、ベン・キングズレー、ジャクリーン・ビセット、ベルシム・ビルギン

概要

映画を製作するにあたり監督兼脚本のペール・フライは、この大事件を世間に告発したマイケル・スーサン氏と実際に会い話を聞いている。この映画で伝えたい事は、世の中は黒か白ではなく、複雑で灰色だと言う事だと話す。そして、観た人には、真実とは何か、蔓延る嘘を便利さのためにどこまで許容し得るのかを問いかけたいと本作の意図を語る。

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バグダッド・スキャンダルのキャスト

主人公のマイケル・サリバンを演じるのはテオ・ジェームズ。2014年公開の『ダイバージェント』でトビアス役に扮し注目を浴びた。共演するのは、名優ベン・キングズレーとトルコ人女優のベルシム・ビルギン。

バグダッド・スキャンダルのネタバレとあらすじ

2003年9月、ニューヨーク。ウォール・ストリート・ジャーナル社前。マイケル・サリバンが新聞社を見上げ中へ入って行く。

「僕の名前はマイケル・サリバン。重要な話がある。」

サダム・フセインの功績を称えるテレビ番組の実写が流れる。

2002年10月、ニューヨーク。国連本部。

マイケルは履歴書を持参して仕事の面接に訪れる。2年間ロビーストとして従事したが、父親が国務省の外交官であった事から自分も後を継いで世の中に貢献したいと語る。面接官を務めたルースは、1983年にレバノンで起きた米国大使館爆破事件に触れ、お悔やみを申し上げると言った。

マイケルの姉、リリー宅。

マイケルは義兄のトレバーと握手して挨拶を交わし、姪に誕生日のプレゼントを渡す。

「僕の姉も、母親同様に国連でインターンをしていた時に出会った男に嫁いだ。2002年秋までに、僕は国連の職に就こうと4回応募した。」

人道支援という名の表と裏

マイケルは初心者の仕事に就くと想像していたため、国連事務次長コスタ・パサリスの特別補佐官と言う職務に意気込む。国連史上最大のプロジェクト、石油食料交換プログラムの運用責任者がパサリスである。

国連本部でマイケルをルースが迎え職務の説明をする。

「プログラムの名称は石油食料交換。1995年に国連安保理決議986に基づいて施行。国連がイラクの石油売買を管理し、その利益をイラク国民の苦境軽減のために利用。つまり2000万人からの国民を食べさせなければならないの」更にルースは、マイケルの前任者がバグダッドで交通事故により死亡したが、明日上司のパサリスに会い概要を報告する予定だったので引き継ぐようにと言う。

帰宅途中マイケルは食料品店に立ち寄る。トレンチコートを着た男が近づいてくる。CIAのジャスティン・カッターと名乗り、石油食料交換プログラムが個人の利益のために悪用されているので、関係者を特定するため内部に通じる者の協力が必要だと話す。

マイケルはやっと今の職を手に入れた事に触れスパイ行為などしないと答える。カッターは、それはプロがやる。神と国のために動向をよく観察して欲しいだけだと言い残し名刺を渡して立ち去る。

マイケルは夜を徹して資料を読み込み、独自にリサーチを開始。

「石油食料交換プログラムに年間予算100億ドルが投入されるのに対し、国連が担うその他全てのプロジェクトの総予算は20億ドル。尋常ではない額だ。」

「フセインがクウェートに侵攻した湾岸戦争以降に課された経済制裁のため、イラク経済は崩壊し国民は飢餓に苦しみ多くの人が死亡。そこで国民を救済すると同時に大量破壊兵器の保持が噂されていたフセインを阻む目的で石油食料交換プログラムが立案されたのだ。僕達の仕事はプログラムの継続的な資金確保と規則に則った実行であった。」

パサリスのオフィス。

マイケルは資料をパサリスに手渡すが全部読んではいられないから要点だけを話せとパサリスが不遜な態度で言う。マイケルは、先ずプログラムにより栄養失調率の減少、小児死亡率の縮小、水と電力利用に大きな前進があった事を報告する。

そして、特にイラク北部のクルド人自治区で組織的不履行がありリベートのための水増し請求がある事、結果としてクルド人への物資が不足している事、契約書には多額のアフターサービス費用が請求され、恐らく裏金になっているだろうと続けた。パサリスは北部がサダム・フセインの故郷であり驚く事ではないと言うと報告書をシュレッダーにかけてしまう。

「外交に一番重要なのは総意であって事実ではない。現在の総意は、経済制裁は継続すると言う事だ。つまり不正が有ったとしてもイラク国民を生存させるためには石油食料交換プログラムを継続する必要があるのだ。」とまくし立てた。そして、パサリスは表情を和らげマイケルの父親に会った事があり善良な人間だったと言い、夜行便でバグダッドへ向かうので帰宅して荷物をまとめるように指示した。

イラク、バグダッド。

国連のバグダッド本部へ向かう車中、パサリスはバグダッド本部代表のクリスティーナ・デゥプレが国連安保理に経済制裁を解くよう画策していると言い、そうなればイラクがクウェート侵攻前に逆戻りしフセインと取引していた連中が潤うと話す。そして、石油食料交換プログラムは6ヶ月毎に国連安保理に承認して貰う必要があり、継続するために正当化する必要があると話す。

国連バグダッド本部。

クリスティーナがパサリス一行を迎える。パサリスは「あれが裏切り者のデュブレ婦人だ」と苦々しく言いながら笑顔で車を降りる。

クリスティーナはパサリスに「このプログラムは失敗よ。経済制裁は機能していないわ。誰もが詐取し不正が蔓延りまるで成長する癌みたい。」と吐き捨て、プログラムを承認しないと断言し、自分の安保理への報告書が事実を伝えると言いきる。

夜、宿泊先のアル・ラシードホテル。

パサリスは、現在イラクは世界中から注目されており、このホテルが外交のメッカになっている事、全ての部屋は盗聴器が仕掛けられメジャーな諜報機関が集合しており、自分達の情報やサービスを日夜物々交換していると説明する。「情報が全てであり権力が通貨だ

ホテルの外。マイケルと通訳のナシーム・フセイニは煙草を吸いながら話を始める。彼女はバグダッドの外はもっと酷い状況だと言う。

「あなたの前任者アペックは交通事故で死んだんじゃないわ。彼は秘密を探り当てて殺害されたのよ。国連内部にプログラムの不正を手助けしている者が居ると怖がっていた。あなたも十分に気をつけた方がいいわ」

マイケルが部屋に戻るとレジネツォフが満面の笑顔で椅子に座っている。背後には手下が立っている。

「監視装置が無いか調査しました。勿論あなたの安全を考えての事です。」マイケルは表情を崩さず何者だと尋ね、要件を話せと言う。レジネツォフは背後の手下に片手を上げて合図をし、封筒をナイトスタンドに置かせると「イラク国民に対するあなた方の働きに敬服しております。」と笑顔で言う。マイケルは時刻も遅いので引き取るよう丁寧に言う。そして部屋を出ようとするレジネツォフに、封筒を持ち帰るように言う

翌朝朝食を共にしたマイケルはパサリスに昨夜の出来事を報告する。

「連中が試みる手だ。大したことじゃない。上手く対処したな」とマイケルを褒め、ナシームはサダムのスパイで探りを入れてきている、アペック殺された話など信じないと話す。

マイケルは自分のリサーチから、一番の懸念は北部のクルド人居住地であるクルディスタン地域だと気付いた。イラク国内の1世紀に及ぶ紛争がもたらした負の遺産を振り返る。

「フセインはこの民族紛争を次元の異なるレベルに持って行った。クルド人達を家から強制退去させ拘留し拷問。上手く機能していないと思ったフセインは地雷やクラスター爆弾、更にサリン等の神経ガスを使い何万人ものクルド人を虐殺した。」

大量の人々が山越えをしている。小さな子供を含めるたくさんの民間人が口から泡を流し道路で死亡している実写が流れる。

「フセインが実行したクルド人の民族浄化は、化学兵器使用において人類史上最悪の犠牲者を出している。」

ホテルへ戻るとナシームが待っており、見せる物があると言って車に乗る様にマイケルを誘う。同乗するのは、自分の友人達だから心配するなと付け加える。到着した先は、フセインに殺害されたクルド人が眠る広大な墓で、ナシームは自分の両親も殺されたとある墓石を指し示す。マイケルは初めて彼女がクルド人であると知る。ナシームはバグダッドでは彼女の素性を誰も知らないと言い、もしフセインの手下に知られれば殺されると話す。

更に、同行した友人達はアペックを助けて石油食料交換プログラムの陰謀を突き止めた事、不正は組織的に構築されて経済制裁を支持する各国政府の最高レベルが関与している事、フセインは自分が賄賂を配った全ての個人と組織をリスト化している事、そしてアペックは実際にこのリストを見た後に身の危険を感じて逃げる間際に殺害されたが、ナシームにリストのバックアップを渡していた事を話す。フラッシュドライブをポケットから取り出したナシームは、マイケルに暗号化されているので解読して欲しいと頼む。

国連バグダッド本部にナシームを探す現地捜査官が現れた後、マイケルは難民高等弁務官事務所に連絡してナシームを米国へ逃がす手続きを取る。

金・金・金

ニューヨーク。JFK空港。

マイケルは税関国境警備局にパスポートの提示を求められ別室へ連れて行かれる。そこへCIAのカッターが現れ、数時間前クリスティーナが心臓発作で死亡したと話す。

部屋に戻るとクリスティーナの訃報を悼むパサリスから電話があり、彼女の後任が石油食料交換プログラムを継続させる報告書を承認すると話し、マイケルにサマリーを策定し安全保障委員会でプレゼンをするように指示する。

姉の家を訪れたマイケルは、この大役を報告し姉は名誉だと喜ぶ。そして義兄にリストの入ったファイルを解読するよう頼みフラッシュドライブを渡す。

マイケルがアパートに着くとナシームが外で待っている。2人は一夜を過ごし関係を持つ。

国連安保理常任理事会開催。多くのメディアが報道する。マイケルのプレゼンは成功し、満場一致で石油食料交換プログラムは180日間の延長が採決される。

義兄のトレバーから解読に成功したと連絡が入る。

姉の家。

トレバーは興奮気味に汚職の図式について説明を始める。石油食料交換プログラムを通じてフセインは石油の引換券を安く売り、その引換券を所持した者達が転売して大儲けした後フセインにリベートを流す構図で、フセインは何十億ドルと稼いでいる。ビジネスや政界の著名人や各国の政府要人の名前がリストに記載されており何百万ドルもの賄賂を受け取っているが、証明するには実際の売買取引の書類が必要だとトレバーは補足する。また、暗号化されたファイルには動画が含まれていたと言い再生する。そこには、街角でレジネツォフと行き交う際に封筒を受け取るパサリスの姿が映し出される。

アパートに戻ったマイケルとナシームはレジネツォフの手下に襲われ、ナシームが連れ去られる。

マイケルはパサリス宅を訪れ、望みの物を渡すのでナシームを解放するよう友達に連絡しろと詰め寄る。パサリスがレジネツォフは友達などではないと答えると、マイケルはビデオで見た事を話す。すると表情が一変したパサリスは、賄賂を受け取った事を認め、皆そうだと開き直る。レジネツォフはフィクサーであり危険人物である事、彼無しにはイラクで何も進まないとパサリスは話す。マイケルは、レジネツォフを雇っているのは誰かと尋ねる。

「モスクワ、北京、フセイン、ヘッジ・ファンド、マフィア、誰か分からないが一番高い給料を払った者だ」とパサリスは答え、レジネツォフに電話をすると言って席を立つ。戻ったパサリスはナシームが移民局に引き渡されたと言う。亡命したクルド人であるナシームがイラクに戻れば反逆罪で殺害されるとマイケルが言うと、バグダッドにはコネがあるから大丈夫だ、信用しろとパサリスは言う。

「ブッシュと同盟国が数日中にイラクへ侵攻する。総意は変わりつつある。新しい真実は、フセインの終焉だ。そして石油食料交換プログラムがイラク復興の枠組みに成り得る。国連こそがその役目を担える!おまえと私でやれるんだ!世界を救えるんだぞ。そして、彼女も救えるんだ」

ブッシュがイラク戦争開戦時に行ったテレビ演説の実写が流れる。

イラクに3000個の爆弾が落とされるとレポートするCNNのニュースとフセインの銅像が倒される実写が続く。

マイケルとパサリスは連合国のイラク侵攻から6週間後にバグダッドに入る。国連主導で自由市場と平等な選挙を実行し自由になった新イラクの復興が目的である。

パサリスが約束を守ってバグダッドのコネを使い、ナシームが生存している事をマイケルは知る。2人は久しぶりの再会を果たす。しかし、ナシームを救う代わりにマイケルがフセインのリストをパサリスに渡した事を話すと、ナシームは怒り出す。マイケルは、パサリスがまだ国連で良い仕事が出来るしフセインが退陣した今希望を持てると彼女を説得しようとするが、犯罪者達と関わって何を達成できるのだと言い捨て、ナシームは去っていく。

国連のバグダッド本部。

マイケルがパサリスのオフィスへ行くと、レジネツォフが座っている。「また会えて嬉しいよ、マイケル」と言いレジネツォフが出て行く。

パサリスは、自分も好まないがレジネツォフはイラク復興に当たり世界中の要人を掌握していると語る。

真実

フセインを退陣させた後の計画を誰も詰めてはおらず、米国はフセインの側近を全員粛清したためイラクを動かせる者は居なくなり、権力の空白を埋めたのはレジネツォフの様なフィクサーばかりになった。その結果、イラクは混迷を極めテロが横行する。

マイケルは何も信用出来なくなる。そこへナシームから会いたいと連絡が入る。約束の場所へ行くと、CIAのカッターが一緒に居り、以前会ったクルド自治区の代表を紹介される。そして、カッターはレジネツォフがイラクの混乱を招いていると言い、パサリスが関与している情報を得ているので協力して欲しいとマイケルに頼む。

パサリスのオフィス。マイケルは新しい薬品会社が自社製品を独占的に北部で供給したいという意向をパサリスに話すと、10万ドルの手付金を請求しろと指示される。

クルド自治区を訪れたパサリスとマイケル。代表室にはカッターが居り、テープレコーダーを取り出し再生すると、パサリスが手打ち金を要求するようにマイケルに指示した会話が流れる。パサリスがマイケルを睨みつける。カッターは、レジネツォフを差し出し辞職するようにパサリスに迫る。レジネツォフは多国籍企業に守られ、その企業はフセインを倒した国々が守っている、自分も殺されるとパサリスは答える。カッターは、薬品会社の話をして落ち合い、裏金を渡せばその後レジネツォフを拘束すると話す。

クルド自治区では、イラクの暫定政権内に重要なポストが決定した代表が宗教の違いを越えて平和に共存しようと演説している。壇上には笑顔のナシームが座っている。

会場を出た代表とナシームが車に乗り込んだ途端、車が爆発し炎上。

2003年9月、ニューヨーク。

国連では、パサリスの退官式が行われ、石油食料交換プログラムを通し世界平和と人道支援への功績を称えている。

マイケルはトレバーと国連の地下の資料室へ行き、サダム・フセインのリスト関連資料を盗み出す。

マイケルはウォール・ストリート・ジャーナル社を訪れる。

新聞社の人間は、この事が公になった瞬間、マイケルが沢山の敵を作る事になるので情報元を秘匿扱いにして守る事が出来ると申し出る。

「匿名性がこの問題の一部でもあります。誰も真実に責任を取らないから利権保持者達の総意に委ねられる。この真実は私の実名で公表してください」「真実は、互いにつく嘘ではなく自分に嘘をつくことです。」

メディアが一斉に国連の石油食料交換プログラムを取り巻くスキャンダルを報じる。

国連事務総長コフィ・アナンに対する辞職を要求する声が米国上院議会で上がっていると報道する実写が流れる。

「56ヶ国から2000社以上の企業が賄賂を受け取り、リベートがフセインに還流した。それらの国々の政府内中枢である172の機構と個人が裏金を受け取っており、実に石油食料交換プログラムから200億ドルが横流しされていた。」

その後マイケルは米国や欧州の新聞社に属すジャーナリストになり、コンゴ、アフガニスタン、そしてイラクへ赴く。彼の告発は、国連史上最も重要な改革の1つとなった。

パサリスは追放されたままでFBIから現在も起訴された状態にある。

バグダッドスキャンダルを観た感想と考察

2003年当時大きく報道されたこの事件は、国連事務総長の息子が関与していた事も明るみになっている。しかし、大規模な調査が実施されたものの国連を始め全面的な協力が得られなかったために全貌は明らかになっていない。

1つ言える事は、多額のお金が動けば各国入り乱れて利権を得ようとし、人道支援と言う大義名分は実際にその財源を賄う一般市民に向けたプロパガンダに過ぎないと言う事実である。本作は、この真実を国連のスキャンダルを通して丁寧に伝えている。

石油食料交換プログラムは、飢えで苦しむイラク国民を助けた部分もあると力説する識者も居るが、実際は「犬も食べない」と現地の人達が揶揄するような食料ばかりが配給されていた事を本作で製作総指揮を務めたテオ・ジェームズはインタビューで語る。

ウィキ・リークスや元NSA局員のスノーデン氏で一躍内部告発が有名になったが、告発者達は非常に苦悩している。概ね25才から35才と若く正義や道徳を重んじる人達によって隠された犯罪が表沙汰になるが、皆ジレンマを抱えておりその後の人生は決して平たんではない。

この映画で取り上げた事件を告発したマイケル・スーサン氏も例外ではない。彼は過去に戻った時同じ行動を取るかと質問され、取ると答えた一方で現時点なら難しいと話す。スーサン氏は今40代であり、家族を守る事を最優先するからである。

また、彼は『バグダッドスキャンダル』を鑑賞して当時を思いだし涙が出た、もっと多くの人が消息を絶ち辛い思いをしたと話す。一方、当時ロシアとCIAは相当スーサン氏に怒っていたがどちらも彼が本当に1人で行動していたとは思わず、ロシアはCIA、CIAはフランス諜報機関の協力者だと疑っていたために命拾いし、この勘違いは幸運だったと話す。

尚、国連の存在に価値はあるのかと訊かれたスーサン氏は、困窮する人々を救済するプログラムが存在し機能している場合は非常に価値があると前置きしたうえで、世界を牛耳る武器商人だけが常任理事国であり特権である拒否権を行使できるため、彼ら無しでは何も決まらないという状況では限りがあると語る。

イラクを統治したサダム・フセインの様に独裁制ならトップは何でも出来、それが法であるため国民は大人しくなりある意味で安定が生まれる。しかし、民主主義はもっと複雑である。自由を謳歌する代償は責任を取る事であるが、人は便利さゆえに自分に嘘を言ってしまう。つまり、目の前の醜悪な事実に対し猿を決め込んで無視してしまう事は、権力者に都合の良い環境を作る事に関与している事である。これが本作の神髄と言え、勇気を奮い犠牲を払った告発者が伝えたい事だろうと考える。

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