カーズ3/クロスロードのあらすじネタバレと感想!新たなキャラクターが登場!

命を持った車や乗り物が暮らす世界を舞台に、天才レーサーのライトニング・マックィーンと仲間たちの絆を描いてきたディズニー/ピクサーの『カーズ』シリーズ。
今回は、今やベテランとなり、人生の岐路に立たされたマックィーンと仲間たちの姿と決断を描き、シリーズの転換点ともなった第3作『カーズ/クロスロード』についてのあらすじとネタバレ、感想を大特集しますので最後までお付き合いください。

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『カーズ/クロスロード』の作品情報

タイトル:カーズ/クロスロード
原題:Cars 3
監督:ブライアン・フィー
脚本:ロバート・L・ベアード、ダン・ガーソン、キール・マレー、ジャレド・ブッシュ、ボブ・ピーターソン、マイク・リッチ
製作:ケヴィン・レハー、ジョン・ラセター(製作総指揮)
公開:2017年6月16日(アメリカ)、2017年7月15日(日本)
声の出演:オーウェン・ウィルソン、ラリー・ザ・ケーブル・ガイ、クリステラ・アロンゾ、クリス・クーパー、ネイサン・フィリオン、アーミー・ハマー、ボニー・ハント、トニー・シャルーブ、グイド・カローニ、リー・デラリア、ケリー・ワシントン、ボブ・コスタス、マーゴ・マーティンデイル、ダレル・ウォルトリップ、イザイア・ウィットロック・Jr、ボブ・ピーターソン、トム・マグリオッチ、レイ・マグリオッチ、ジョン・ラッツェンバーガー、カイル・ペティ、ルイス・ハミルトン、ロイド・シェアー、ジュニア・ジョンソン、リチャード・ペティ、ポール・ニューマン(アーカイブ音源) など

監督は本作が監督デビュー作となるブライアン・フィーが務め、シリーズの生みの親であるジョン・ラセターは前作に引き続いて製作総指揮を執っています。
音楽は第1作『カーズ』以来にランディ・ニューマンが復帰しています。

『カーズ/クロスロード』のキャスト

主演のオーウェン・ウィルソン(ライトニング・マックィーン役)やラリー・ザ・ケーブル・ガイ(メーター役)などレギュラー陣は一部を除き続投しています。
新キャラクターとしては、本作のヒロインであるクルーズ役をクリステラ・アロンゾ、その他にも重要な役どころでクリス・クーパー、ネイサン・フィリオン、アーミー・ハマーらが参加しています。
また、第1作『カーズ』でマックィーンの師匠だったドック・ハドソン役を演じ、2008年に他界した ポール・ニューマンが生前に収録していた未発表音声などを使用する形でシリーズへの“復帰”を果たしています。

『カーズ/クロスロード』のあらすじ・ネタバレ

新世代の台頭

ここは命を持った車や乗り物が暮らす世界。

今やカーレースの最高峰“ピストン・カップ”で7度の優勝を飾るなど数々の栄光に輝く天才ベテランレーサーとなったライトニング・マックィーン(オーウェン・ウィルソン)は、“ダイナコ・ライト350”出場直前にいつものように専用トレーラーのマック(ジョン・ラッツェンバーガー)の中でレース前の瞑想に耽っていた。
大親友のレッカー車のメーター(ラリー・ザ・ケーブル・ガイ)をはじめとするピットクルーももちろん一緒だ。

マックィーンの脳裏には、今は亡き師匠ドック・ハドソン(ポール・ニューマン)との思い出が焼き付いていたのである。

マックィーンは友人にして良きライバルのボビー・スウィフト(アンヘル・オケンド)やキャル・ウェザーズ(カイル・ペティ)らと楽しむかのように渡り合い、その後もシーズンを転戦していったのだった。

マックィーンの活躍によりスポンサーの「ラスティーズ」の製品も売り上げは上々、ライバルの大企業ダイナコ石油からも一目置かれていたのだ。

しかし、このシーズンから大物新人レーサーのジャクソン・ストーム(アーミー・ハマー)が台頭し始め、次第にマックィーンたちを脅かす存在になりつつあったのである。

ストームのふてぶてしさや自信過剰ぶりは若き日のマックィーンのようだとマスコミたちはこぞって取り上げたのだった。

マックイーン、大事故に遭う

マスコミは連日のように、最先端のハイテクで武装した次世代レーサーのストームの強さの秘密について大々的に特集を組むとともに、マックィーンの時代もこれで終わりかと報じていたのだ。

ストームのボディは徹底的に空力力学を追求したフォルム、トレーニングは最新鋭コンピューターを駆使したシミュレーションマシーンで行い、このシーズンはなんと9連勝を果たしたのである。
ストームは表彰台で「マックィーンはあなどれないベテランだ。全力でつぶす」と宣戦布告、マックィーンは「生意気な奴だな」と呟くしかなかったのだった。

この年のシーズンはストーム以外にも次世代レーサーが続々と台頭する一方、キャルは今季限りでの引退を表明したのだ。
キャルはマックィーンに「叔父さん(第1作『カーズ』で登場した“キング”ことストリップ・ウェザーズ)が教えてくれたんだ。辞め時は若者が教えてくれるってね。今まで楽しかった。寂しくなるよ」と心境を語ったのである。

その後も次々とベテランレーサーの引退や解雇が相次ぎ、世代交代の足音が迫るなか遂にシリーズ最終戦を迎えたのだった。
レース開始直前、マックィーンは目の前で馴染みのレーサーがスポンサーから戦力外通告を受けている様を見て肩を落としてしまったのだ。

いよいよレースは始まり、マックィーンはストームの挑発に負けずに次世代レーサーたちと互角に渡り合い、残り40周のところでマックィーンはストームに次ぐ2番手についたのである。
ピットインしたマックィーンはクルーのグイド(グイド・カローニ)にタイヤ交換を急がせ、余裕たっぷりのストームより先にピットアウトしたのだった。

マックィーンは一時トップに立ったが、すぐさま追い付いたストームに「見事な走りだった。あとは任せろ。余生を楽しめよ」と言われて調子を崩し、追い抜かれてしまったのだ。
それでも必死に食らいつこうとしたマックィーンだったが、突然タイヤがバーストしてしまい、マックィーンは宙に投げ出されてコースに叩きつけられ、大クラッシュを起こしてしまったのである。

再起にかけろ

4ヶ月後の“ラジエーター・スプリングス”。
次のシーズン開幕まで2週間に迫っていたが、マックィーンの去就はまだ未定だった。

大怪我の癒えたマックィーンはまだ下地塗り状態のまま、ドックの遺したガレージで古いフィルムを見ていた。
それは、ドックが現役時代、自分と同じように大クラッシュに見舞われた時の映像だったのである。

ドックはその後復帰はしたものの、今と同じように新人の台頭にさらされて引退せざるを得なかったのだった。

マックィーンは心配してやってきた恋人のサリー・カレラ(ボニー・ハント)に、「ドックの引退は周りが決めた。僕は彼と同じ目に遭いたくない」と心境を語り、新しいことを始めるべきだというサリーやメーターの励ましを受けて「自分の引き際は自分で決める」として、まずは「ラスティーズ」社長のラスティー(トム・マグリオッチ)とダスティー(レイ・マグリオッチ)のラスティーズ兄弟に身の振りを相談することにしたのだ。

マックィーンはメーターや仲間たちと共にラスティーズ兄弟にテレビ電話をかけ、現役を続行することとストーム対策を万全にすると宣言したのである。

ラスティーズ兄弟は最先端のトレーニング施設「ラスティーズ・レーシング・センター」を新たに設立したことを明かし、翌日旅立つよう要請したのだった。
マックィーンはカスタムペイント店のラモーン(チーチ・マリン)に新車同様の塗装を施してもらい、マック、クルーのルイジ(トニー・シャループ)、グイドと共に旅立ったのだった。

マックィーン再生プロジェクト

ラスティーズ・レーシング・センターに到着したマックィーンはマスコミの問いかけにも一切応じず、ラスティーズ兄弟の出迎えを受けたのだが、兄弟はセンターの設立と引き換えに会社を“泥よけの帝王”ことスターリング(ネイサン・フィリオン)という新スポンサーに売り払っていたのだ。

センターにはこれまでのマックィーンの輝かしき軌跡が展示されていたのである。

スターリングに挨拶したマックィーンは速度やコンディションを記録できる特殊なフィルムを全身に貼ってもらい、ストームのものよりも新しく高額な最新鋭シミュレーターの説明を受けたのだった。

マックィーンはスターリングから、女性トレーナーのクルーズ・ラミレス(クリステラ・アロンゾ)を紹介された。
クルーズはやる気を出させることに長けた優秀なトレーナーであり、レーサーの個性に合わせた指導法に定評があるのだ。

クルーズはマックィーンの活躍を見て育ったことを明かし、ネガティブをポジティブに変えることの大切さを説いたあとに早速“再生プロジェクト”を始めると告げたのである。

マックィーンは基礎的な準備運動から始めさせられ、ランニングマシンを使ったトレーニングなどにチャレンジしたのだが、ラジエーター・スプリングスの荒野を駆け回って腕を磨いてきたマックィーンにとっては物足りないものだった。

マックィーンは「訓練に近道はない」というクルーズの反対を押し切って勝手にシミュレーターを使い、たまたま居合わせたスターリングの前でシミュレーションを開始したのだが、使いこなせずに暴走して壊してしまい、施設の電源も破壊して停電させてしまったのだ。

クルーズはスターリングにもう一度チャンスをあげてほしいと懇願するが、スターリングはマックィーンを呼び出して「君をレースには出さない。今のレベルでは勝てない」と引退を勧告、会社のイメージキャラクターとして自社商品の宣伝をするよう求めたのである。

マックィーンは絶対に勝つからとスターリングに現役続行を懇願、スターリングは1レースのみチャンスを与えることにし、ピストン・カップの開幕戦に負けたら引退、勝ったら引き際はマックィーンが決めることを条件に施設付近の砂浜“ファイヤー・ボール・ビーチ”で特訓を開始することにしたのだった。

スターリングはクルーズを帯同させることを条件に了承したのだ。

修行の旅

マックィーンはルイジとグイド、クルーズと共にファイヤー・ボール・ビーチに入り、クルーズが持ってきたランニングマシンに乗ることを拒否して実際に浜辺を走り始めたのである。

クルーズは並走してマックィーンの速度を計測しようとしたが、慣れない砂地の走行でスタックしてしまい、マックィーンは特訓を中断してクルーズに砂地での加速の仕方を教える羽目になったのだった。

マックィーンは足手まといのクルーズに「君は本当にトレーナーなのかい?」と問い、場所を変えて“サンダー・ホロウ”のダートコースで特訓することにしたのだ。

現地は沢山の車が集まっていることから、マックィーンはマスコミの目から逃れるためにマックの提案で全身に泥を被り、“チェスター・ウィップルフィールター”と偽名を名乗ってレースに参戦しようとしたが、参加車は荒くれ者ばかりであることから逃げ出そうとしたのである。

しかし、マックィーンはクルーズと共にレース“クレイジー・エイト”に半ば強制的に出場させられ、マックィーンは過激なレースに挑みながらダートが苦手なクルーズにアドバイスしていったのだった。

次々と脱落車が相次ぎ、優勝争いはマックィーン、クルーズ、そして幾度もこのレースを制してきた強豪“破壊の女王”ことミス・フリッター(リー・デラリア)の3台に絞られたのだ。

マックィーンがミス・フリッターと対峙している間にレースは何とクルーズが優勝してしまった。

信じられない表情のクルーズは勢い余って給水タンクローリーのミスター・ドリッピーに衝突しそうになり、転倒したドリッピーはタンク内の水を放出してしまったのである。
マックィーンは水を全身に浴びて泥が剥がれ落ち、その正体が観客やマスコミにバレてしまい、マックに乗り込んでその場から脱出していったのだった。

クルーズはトロフィーを手に満悦の笑みを浮かべたが、マックィーンは思わず「君は何もわかってない。僕には最後のチャンスなんだ。なのに君との特訓は無駄の連続だ。君は足手まといだ。君はレーサーじゃないから僕の気持ちは分からないだろ?」と責めてしまったのだ。

クルーズはマックを止めて車を降り、自分は元々トレーナーではなくレーサーになりたかったこと、子供の頃にテレビや小遣いを貯めて観に行ったレースでマックィーンに憧れを抱いていたことを打ち明けたのである。

しかし、クルーズは家族から「大きな夢は見るな。夢をみたところで失望するだけだ」と抑圧され、それでも夢を叶えるためにレースに出場したのだが、野心に満ちた強者たちを目の当たりにしたクルーズが感じたのは「ここに自分の居場所はない」という絶望感だけだった。

クルーズはマックィーンたちと別れて単身ラスティーズ・レーシング・センターに戻ることを選び、別れ際にマックィーンに初めてのレースの時の心境を尋ねてみた。
マックィーンは「できないとは思わなかった」と答え、クルーズは「羨ましいわ。頑張って」と告げて走り去っていったのだ。

ドックの師匠スモーキー

マックィーンはマックの中のテレビで、快調な仕上がりを見せるストームの開幕戦での勝利の確率は95.2%、かたや自分の勝つ確率はわずか1.2%との分析結果を見せられ、「マックィーンのキャリアは1週間以内に終わるでしょう」と報じられて落ち込んでしまったのである。

マックィーンはラジエーター・スプリングスに残したメーターにテレビ電話をかけ、引退も考えていると悩みを打ち明けたところ、メーターは「俺が力になるよ」とドックのかつて師匠だったスモーキー(クリス・クーパー)に会ってみることを勧め、マックィーンはスモーキーが住む“トーマスビル”に向かうことにしたのだった。

マックィーン一行は途中の道でクルーズを見つけ、説得して同行させることにしたのだ。

道中、マックィーンはドックの絵が描かれた“トーマスビル・スピードウェイ”の看板を見つけ、クルーズに「史上最高のレーサーの地元を見てみないか」と語ったのである。

マックィーンはクルーズと共に寂れたダートコースを駆け抜け、たまたま居合わせたスモーキーと出会ったのだった。

マックィーンとクルーズはスモーキーの経営する酒場に誘われ、そこでかつてドックに憧れを抱いていた女性レーサーの草分け的存在のルイーズ・ナッシュ(マーゴ・マーティンデイル)らドックとしのぎを削っていた同世代の元レーサーたちと出会い、憧れのレジェントたちを前に目を輝かせたのだ。

レジェンドたちはマックィーンの抱える悩みに気付いており、彼にドックの思い出話を語ってくれたのである。

ドックは現役時代、自ら“伝説のハドソン・ホーネット”と名乗り、その名に恥じない活躍を見せていたのだった。
しかし、当時最速を誇っていたドックの前にも新人が立ち塞がっていたのだ。

あるレースの時、トップに立ったドックに新人がわざと体当たりを仕掛けてきたのだが、ドックは巧みに宙返りの技を使ってかわしたのである。

スモーキーはその時を「見たこともない走りだった」と振り返り、マックィーンは「見たかったな、ドックの笑顔を」と感嘆するのだった。

ドックの真意

スモーキーと2台きりになったマックィーンは、「このままだと負けてしまう。ドックの二の舞になる。レースはドックの生き甲斐だった。引退してから彼は変わってしまった」とこぼし、スモーキーに力を貸してほしいと頼んだのだ。

スモーキーは「見せたいものがある」とマックィーンを自分のガレージに連れて行ったのである。

あの大事故により、心と体に深い傷を負ったドックは引退後ラジエーター・スプリングスに移り住み、それ以来は50年間にわたって音信不通だったという。
しかし、50年後を過ぎてからドックはスモーキーに手紙を送るようになり、それはいずれもマックィーンの活躍を喜ぶものばかりであった。

手紙をマックィーンに見せたスモーキーは、「ハド(ドック)は確かにレースを愛していた。に見せてもらい、マックィーンはだが、君に教えている時の彼はとても幸せそうだった。ハドにとっては君こそが何よりの生き甲斐だったんだ」と語ったのだった。

そしてスモーキーは「ハドは君の秘めた才能を見抜いていた。それを探すか?」と快くマックィーンに稽古をつけることにし、マックィーンは夜のサーキットで早速猛特訓を開始したのだ。

マックィーンの猛特訓

スモーキーはマックィーンに「まずは自分の“老い”を認めろ。速さで勝てなくても頭脳がある。考えすぎなきゃ上手くいくさ」とアドバイスを送ったのである。

クルーズの秘めた才能を見抜いたスモーキーは彼女をマックィーンの練習相手に指名、3周先を走るクルーズを抜かす訓練や反射神経を磨く訓練、トラクターの大群の中から抜け出す訓練、現役時代のドックの走りの研究、暗闇の森の中をライトを点けずに勘だけで走る訓練など様々なメニューをこなしていったのだった。

いつしかマックィーンがラスティーズ・レーシング・センターで施された特殊フィルムは剥がれ落ち、ラモーンに塗ってもらった塗装が露わになったのだ。

マックィーンは出発直前まで猛特訓を続けたが、それでも自らの老いを克服することはできず、納得のいく仕上がりが得られないままレースの開催地であるフロリダへと出発したのである。

その頃、ストームは順調な仕上がりをみせ、他の次世代レーサーたちにとって既にマックィーンは眼中にすらなかったのだった。

進退をかけた一戦

フロリダ・インターナショナル・スピードウェイ。

遂にピストン・カップのシリーズ開幕戦“フロリダ500”の当日を迎えた。

ピットにはメーターやサリーなどラジエーター・スプリングスの仲間たち、そしてスモーキーも駆け付けてくれたのだ。

仲間たちの励ましを背に受けて、マックィーンは遂に自らの進退をかけたレースに挑んだのである。

マックィーンはドックやスモーキーの教えを胸に次世代レーサーたちと互角に渡り合い、序盤から飛ばしていたのだが、ピットではクルーズがスターリングからラスティーズ・レーシング・センターに戻るよう命じられていたのだった。

スターリングはクルーズに「そのスポイラーは外せ。君はレーサーじゃない」と告げているのを無線で聞いたマックィーンは、クルーズが今まで自分の本心を押し殺して生きてきたことを思い、スモーキーに今すぐクルーズを呼び戻してくれるよう頼んだのだ。

その時、十数台を巻き込んだ多重クラッシュが起こり、レースは一時中断となったのである。

マックィーンの決断、クルーズの闘い

ピットに呼び戻されたクルーズは、マックィーンから思いも寄らぬ一言を告げられたのだった。
マックィーンは仲間たちに「準備をしてくれ。僕じゃない、彼女だ」と指示すると、グイドはクルーズに新しいタイヤを履かせ、ラモーンが塗装を施したのだ。

マックィーンはクルーズに「チャンスを掴むんだ。僕が始めて君が終わらせる」と告げて背中を押し、スモーキーは“ゼッケンさえあれば誰でも参加できる”というルールを確認してスターリングを牽制、メーターはクルーズを連れ帰ろうとするスターリングを足止めしてくれたのである。

マックィーンはクルーズに自らのゼッケン“95”を託して送り出し、クルーズは戸惑いながらも車生初の大勝負へと踏み出したのだった。

ストームはクルーズを小バカにしたが、マックィーンやスモーキーの的確なアドバイスを受けたクルーズは秘めた才能を開花し始め、これまでマックィーンと一緒に特訓してきた技を活かして徐々に先頭を走る次世代レーサーたちに追いついたのだ。

クルーズは遂にトップのストームに迫るところまで来たが、ストームはクルーズを口説くフリをして「君はただのコスプレだ。本物のレーサーにはなれない」と貶め、クルーズは一時自信を失いかけたが、マックィーンは「違う。奴が君を恐れているんだ。僕は君を信じている。君はレーサーだ。やってやれ」と励ましたおかげでクルーズは自信を取り戻し、最終ラップで再びストームに次ぐ2番手に躍り出たのである。

焦ったストームは卑劣にもクルーズを壁に押し付けてクラッシュさせようとしたが、クルーズはかつてドックが使った宙返りの技を披露して見事にかわし、ストームを追い抜いて見事に優勝を飾ったのだった。

マックィーンや仲間たち、スモーキー、超満員の観客、そして次世代レーサーたちもこぞってクルーズの快挙を称えたのだ。

クルーズは今更レーサーとしてオファーを出したスターリングの会社を辞め、自分の才能を高く買ってくれたダイナコ石油に移籍することにした。その後、ダイナコ石油はスターリングからラスティーズを買収したのである。

スターリングはマックィーンに改めて引退を勧告したが、会場のアナウンスで優勝はマックィーンとクルーズの2台であることが発表されたのだった。

新たなる道

マックィーンはサリーに、今後は現役を続行しながらもクルーズを師匠兼クルーチーフとして支え導いていく意思を伝えたのだ。

かつてドックが付けていたゼッケン“51”を受け継いだクルーズはラジエーター・スプリングスの住民たちに温かく出迎えられ、全身をドックと同じ紺色に塗り替え“伝説のライトニング・マックィーン”“ドックに捧ぐ”と書かれたステッカーを貼ってイメチェンしたマックィーンも姿を現したのである。

マックィーンとクルーズはラジエーター・スプリングスのダートコースを勢いよく駆け抜けていったのであった。

『カーズ/クロスロード』の感想とまとめ

第1作『カーズ』ではまだルーキーだった頃の主人公ライトニング・マックィーンが、ひょんなことから辿り着いた寂れた田舎町“ラジエーター・スプリングス”の個性豊かな住民たちと触れ合い、また人生の師匠となるドック・ハドソン(本作では物語の鍵を握る最重要キャラクター)との出会いを通じて、これまでの自己中心的で高飛車な性格を改めて成長していく姿が描かれました。

第2作『カーズ2』ではガラリと作風を変え、マックィーンと相棒のメーターとの友情を描きつつも全体的にスパイアクション要素を取り入れた娯楽路線に転換、前作を超えるヒットとなるものの内容に不満を抱くファンも続出しました。

本作では前作『カーズ2』の娯楽路線から転換して原点回帰ともいえる重厚なヒューマンドラマ路線となり、またマックィーンも年を重ねてベテランとなったことで、後継者となる新たな相棒のクルーズ・ラミレスが登場、第1作におけるドックからマックィーンへの継承を引き継ぐ形で本作ではマックィーンからクルーズへの継承が描かれることとなりました。マックィーンは例えるならばあのシルヴェスター・スタローンの“ロッキー”を彷彿とさせるものがあり(マックィーンは将来有望な大物ルーキー、ロッキーは売れない三流ボクサーというスタート地点の違いはさておき)、永遠のライバルにして大親友だったアポロの息子アドニスの師匠となったロッキーの姿にマックィーンを重ね合わせた方も少なからずいるのではないでしょうか。

前作で大いに活躍したメーターは本作では出番は激減していますが、それでもマックィーンを新たな師匠となるスモーキーに引き合わせるという役どころで貢献しています。そもそもメーターの軽いおっちょこちょいなキャラクターが本作の目指すカラーとは違うというのもあるでしょう。

本作は、アスリートならば誰もが決して避けることのできない“次世代の台頭”“引退”“戦力外”といったキーワードがストーリーの根幹となり、それはアスリートのみならず我々人間にとっても非常に重いテーマです。ピクサーはこの重いテーマを、まるで困難から這い上がってひと花を咲かせたディズニー不朽の名作“シンデレラ”をマックィーンとクルーズに重ね合わせることでこの2台のメインキャラクターをファンが共感、応援したくなるように描き上げ、子供のみならず大人にも十分鑑賞してもらえる重厚なドラマに仕上がりました。まさにシリーズ最高傑作といっても過言ではない作品です。

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