ネットフリックで公開された映画『バード・ボックス』あらすじ・ネタバレ!サンドラ・ブロックはなぜ目隠し?!

2018年12月にNetflixが世界同時配信したSFスリラー『バード・ボックス』。画家のマロリーは臨月を迎え姉と一緒に病院へ定期検診に行きます。しかし、帰り道に突然パニックに陥った人々に遭遇。得体の知れない“何か”を見た人は次々と自ら命を絶って行きます。何事も無かった穏やかな日常が一気に崩壊する中、マロリーのサバイバルが始まります。

『バード・ボックス』作品情報

タイトル:バード・ボックス

原題:Bird Box

監督:スサンネ・ビア

脚本:エリック・ハイセラー

原作:『バード・ボックス』ジョシュ・マラーマン

製作:ディラン・クラーク、クリス・モーガン、クレイトン・タウンゼント、バルバラ・ムスキエティ、スコット・ステュバー

公開日:2018年12月21日 世界同時配信

出演者:サンドラ・ブロック、トレヴァンテ・ローズ、サラ―・ポールソン、ローサ・サラザール、ダニエル・マクドナルド、リル・レル・ハウリー、ジョン・マルコヴィッチ

『バード・ボックス』概要

本作のメガホンを取ったのは、『未来を生きる君たちへ』でアカデミー賞外国語映画賞を受賞、そして話題作『ナイト・マネジャー』でエミー賞を受賞したデンマーク人監督のスサンネ・ピアです。10年以上前に脚本を手にしています。『メッセージ』の脚本家エリック・ハイセラーが本作の原作者ジョシュ・マラーマンと共にアイデアを出し合い完成させた物語です。

キャスト

主人公・マロリーを演じるサンドラ・ブロックは、母親になった事がきっかけで出演を決意。マロリーの恋人役に扮するのは、『ムーンライト』のトレヴァンテ・ローズ。他に『オーシャンズ8』に続きサンドラとは2回目の共演になるサラ・ポールソンやジョン・マルコヴィッチも出演します。

『バード・ボックス』あらすじ・ネタバレ

Bird Box Movie

雑音が混ざる無線から男性の呼び掛けが聞こえる。「ここには安全な施設があります。そちらは何名ですか?子連れですか?一番の近道は川を利用する事ですが、子供が一緒だと難しいと思います」

マロリーは、幼い男の子と女の子にこれから家を出て厳しい旅に出る事を伝え、静かにしながら注意を怠らず、必ず自分の言う通り行動するよう強い口調で言い聞かせる。何あっても目隠しは取らず、見れば死んでしまうと話す。2人は黙って何度も頷いた。

マロリーはケージの中から3羽の小鳥を箱に入れる。自分も目隠しをしたマロリーは、女の子を腕に抱き、男の子の手を引いて庭に張った釣糸のリールを巻きながら、川へ到着しボートに乗り込んだ。マロリーは、オールを漕いで静かな水面を進み始めた。

時は5年前に遡る。家に籠って絵ばかり描いているマロリーの所へ姉のジェシカが食料品を持って訪れ、ロシアや欧州で発生した原因不明の集団自殺を伝えるニュースをマロリーに見せた。姉妹は連れだって病院へ行き、臨月を迎えるマロリーは定期検診を受ける。

ラファム医師は、エコーで成長する胎児の様子を見せながら、もし望まないのなら子供を希望するカップルへ養子に出す選択もあると説明した。診察を終えたマロリーは、病院の廊下で見かけた若い女性が自分の頭をガラスに何度も打ちつける場面に遭遇。

この世の終わり

車で待つ姉の下へ急ぎ、欧州で起きている異変はここにも派生していると危機感を露わにする。病院の周囲が見る見る慌ただしくなって来た。道路に出ると、刻一刻と様子が変わって行く。人々は歩道を走り後方の車が突然爆発。そこへジェシカのスマホが鳴る。

運転している姉の代わりにマロリーが後部座席にあるジェシカのバッグに手を伸ばす。ジェシカが動揺し怯えた声を上げる。前を向き直るマロリー。突然ジェシカが反対車線の車に突っ込んでいく。

マロリーは必死にハンドルを掴むが、ジェシカは尚も別の車へ突っ込もうとする。辺りはパニック状態となっており、人が車の前に飛び出す。マロリーとジェシカが乗る車は路上駐車中の車に乗り上げ横転した。割れた窓から何とか這い出た姉妹。

マロリーの目の前で、ジェシカが走ってきたトラックへ一歩踏み出し激しく跳ねられた。あちこちで車が爆発炎上し、人々が逃げ惑う。群衆に押し倒されたマロリーを見た、近隣住民リディアが夫・ダグラスの制止を聞かずに助けに来る。

しかし、「お母さん?行かないで」と呟いて目の前で燃え盛る車の扉を開けて自ら腰掛けた。呆然とするマロリーを救い上げたトムは、家の玄関を叩いて開けてくれと叫ぶ。

妻の焼身自殺を目撃したダグラスは開けるなと言うが、グレッグは自分の家だと答えてドアを開ける。家の中には、グレッグが助けた人達が他に居た。お互いの情報交換で、正体不明の何かを見た人は自殺してしまう事が分かる。

手分けして家中の窓のシェードを下ろした。グレッグがテレビを点けると、大統領が非常事態を宣言し全ての国境を閉鎖したとメディアは報道。絶対に外へ出ないように呼びかけが続く中、電波の受信が途切れた。

混乱の原因が分からぬまま、みんな途方に暮れる。真夜中、眠れないマロリーが見つめる窓の外を、葉が舞った後何か大きな物が通る影を見た。翌日、オリンピアと名乗る女性が助けを求めて玄関のドアを叩く。

食料も底を突きかける中、ダグラスは人を増やす事に反対するが、トムはみんなが目を手で覆うと扉を開けた。オリンピアもまた妊婦であった。グレッグは家の周りに設置した防犯カメラのライブ映像で様子を見ようと提案。

物体の色を温度で識別してデジタル化した信号によって送信しているため、正体不明の何かが何であれ、直接見ていない事になるとやる気満々だ。リモートコントロールでスイッチを入れたグレッグは、外の様子を監視し始める。

暫くすると、庭に敷いた石畳を風に乗るように枯葉が流れ、後から黒い影が大きく伸びて来た。グレッグの瞳が見る見る充血し虹彩が変化する。部屋から物音を聞いた皆が慌てて駆け込んだ。グレッグは椅子を激しく揺らし座ったまま倒れ頭を打ち付けた。

トムが目を閉じろと叫び、ダグラスがモニターを足で壊す。目を開けたまま死亡したグレッグの頭から大量の血が流れていた。翌日、食料が尽きたため調達に出かける事になる。

鳥の警告

混乱が起きた時にスーパーマーケットの閉鎖をした従業員のチャーリー、マロリー、ダグラス、女性警官そしてトムで出かける事になった。窓に目隠しをして外が見えないよう準備。GPSを起動させて出発した。

道路に無数に倒れた人の遺体を乗り越え、路肩を掠りながら低い速度のまま近接センサーを頼りに進む。すると、センサーが車の前と後ろに物体を感知してアラームが鳴り続ける。トムが停めた車の前方から真上を何かが通り過ぎた。

車の外で枯葉が大きく舞い上がり、近接センサーが360度物体感知と表示。車が左右に大きく揺れ始める。トムは、車を発進させたGPSを見ながら店まで走った。みんな恐怖で動揺し、ダグラスはショットガンを抱えたまま目をつむる。

植木に突っ込んで車が停車すると、目的地に到着した事を音声ガイダンスが伝えた。全員、目の周りを目隠しして車の外へ出る。チャーリーが持っていた鍵で扉を開けて店内に入った。皆お腹が空いていたため食べながらカートに食料や必需品を入れて行く。

マロリーは、カウンターの中に下げられていた鳥かごに生き延びた3羽の小鳥を見つけた。搬入扉を誰かが外から叩く音が聞こえて来る。扉を開けてくれと懇願する男性の声がした。扉を開けるので目隠しをするようトムが言う。

扉を細く開けると男性の声がよりはっきりして、チャーリーは、鮮魚売り場で働いていたバイト仲間だと気が付く。突然、マロリーがカートに入れていた籠の鳥達が羽を激しくバタつかせて騒ぎ出す。店の外に大きな黒い影が伸びて来る。

そのバイト仲間は、見てみろよと叫びながら扉をこじ開けようとした。みんなでドアをブロックしようと懸命になるが、男の力の方が勝っていた。チャーリーが走り出し男にぶつかって行く。反動で扉が閉まる。

綺麗だろと、男がチャーリーに話しているのが聞こえる。物音がした後、扉の隙間から大量の血が流れて来た。そして、中へ入れてくれと男がまた訴え始める。ダグラスは、何故あの男だけがまだ生きているんだと訝しんだ。

無事帰宅したが、散々自分に任せろと強がっていた女性警官と仲良くなった男性は、こっそり車を奪い自分達だけで逃げてしまう。更に、オリンピアが誰にも断りなく、勝手に家の中へ男性を招き入れた。

ゲイリーと名乗るその男性は、精神病院から脱走した患者達に押入られ仕方なく逃げて来たと話す。彼らは正体不明の物を無理やりゲイリーに見させようとしたが、何とかその場を脱出しここまで走って来たと説明。

また、患者達は目隠しを必要とせず、反対に見たがっていたと言う。もし自分に何かあれば赤ん坊の面倒を見て欲しいと頼むオリンピアの願いを聞き入れるマロリー。その後、オリンピアが産気づき、マロリーも破水。

初老のシェリルとトムが2人のお産を2階で手伝う。その間、ゲイリーは自分のノートに挟んでおいた不気味な手描きの絵をテーブルに並べ、鉛筆でまた一枚描きはじめた。マロリーに男の子が生まれ、元気に産声を上げた。

それを聞いたゲイリーは、窓のシェードを開け始める。階下へ来たトムの背後からゲイリーが頭を殴った。ガレージに居るダグラスを見つめながら、ゲイリーはシャッターを開けるボタンを押す。様子を伺うゲイリーの目の虹彩が変化していた。

その頃、オリンピアが女の子を出産。2階へ来たゲイリーは、綺麗だから見ろと言って窓のシェードを開けて行く。マロリーはタオルケットで自分と息子を覆うが、オリンピアは思わず窓へ視線を向ける。オリンピアの目が充血し、虹彩が変化。

生まれたばかりの娘を抱いたまま窓へ近づくオリンピアに、抱かせて欲しいと説得したマロリーが女児を胸に受け取る。窓を突き破ったオリンピアは落下した。咄嗟にオリンピアの後を追って窓へ近づくシェリル。ゲイリーは、シェリルを羽交い絞めにする。

もがく彼女の目を外に向かって指でこじ開けると、シェリルが赤ん坊のへその緒を切断した鋏で自分の首を突き刺した。ゲイリーはベッドに座り、鋏を握りながら子供達を寄こせとマロリーを脅す。そこへ、ガレージから脱出したダグラスがショットガンを持って駆け付けた。

しかし、ゲイリーと揉み合い階段から階下へ転落。ゲイリーはシェリルの鋏でダグラスを殺害した。意識を取り戻したトムが反撃し、ダグラスのショットガンでゲイリーを射殺し、マロリーと赤ん坊を救助する。

終末の生き方

それから5年間、マロリーとトムは一緒に暮らしながら子供達を育てた。マロリーは、2人の子供を目隠しのまま外へ出し、音を頼りに感覚を研ぎ澄ます訓練をさせる。トムは無線で呼び掛け、他に生存者を探していた。

ある日、初めてリックと名乗る男性から、安全な施設が在ると無線で呼びかけが入った。子供が居るかと訊かれたトムは、居ないと嘘をつく。下流に位置したそのコミュニティーは、急流を越えて行かなければならず距離もある。

そのため、子供連れでは無理だろうとリックは話す。旅は2日間かかると見込んで十分な物資を持ち流れに沿って下流を目指せと説明してくれた。急流を過ぎれば、施設に住む多くの鳥達の声で場所が分かると聞いた所で、無線は雑音が混ざり途切れた。

普通の子供の様に生活を送れない子供達を厳しく育てたマロリーは、名前を付ける事もせず自分の息子を少年、オリンピアの娘を少女と呼んでいた。夢は大切であり、子供達を直ぐに失うかもれしない状況下でも母親として愛せと言うトムとマロリーは口論する。

翌日、2人は子供達を連れ、旅の準備をするため無人の民家を訪れた。戸棚を開け、使えそうな物をバックパックへ詰めて行く。そこへ車が走ってきて外に駐車する音が聞こえる。目隠しをしていない男女がガラス扉を割る。

トムは、自分が気を引く間に、子供達を連れて先に行けとマロリーの背中を押す。もし15分経っても自分が帰宅しなければ、施設を目指しボートで川へ出ろと言う。

反発するマロリーに自分が大切にしていた思い出のネックレスを渡し、トムは目隠しをするとダグラスのショットガンを持って家の外へ出て行った。目隠しをしていない複数人の男女が立っている。その内1人が女と2人の子供が居ると叫ぶ。

トムは躊躇せず声のする方へ発砲して射殺するが、自分も肩を撃たれてしまう。1人の男が銃を構えながら、こっちへ近づいて来る、綺麗だぞと言いながらトムが倒れた場所へ歩いて来た。トムは、目隠しを外す。後ろへ回り込み、2人の男を射殺した。

もう1人残った男を追うトムの背後で枯葉が舞い上がる。ふと振り向いたトムの目の虹彩が瞬く間に変化。歯を食いしばって男を射殺したトムは、自分の顎に銃を当てた。戻らないトムを想い泣き崩れるマロリーだが、意を決し子供達を連れて旅に出たのだった。

川へ出て42時間後、ボートは急流にさしかかる。ボートは転覆するが、3人共川岸へ辿り着く。森へ足を踏み入れる3人の行く手に、謎の存在が目隠しを外させようと偽の声を聞かせるが、手を取り合いマロリーと子供達は小鳥のさえずる声を追った。

鳥が羽ばたく場所

建物に行き着いたマロリーは扉を叩き、リックと話をして川を越え鳥の声を追って来たと必死に叫ぶ。背後の木々が風で大きく揺れ、枯葉が激しく舞い上がる。連れて来た小鳥たちが箱の中でバタバタと騒いだ。扉が開いて中へ入ると誰かに目隠しを外される。

フラッシュライトがマロリーの瞳を照らし、問題無しだと誰かが言った。リックが現れ、マロリー達を中へ案内する。そこは、視覚障害者の学校で、リックも盲目であった。広い中庭へ導かれると、学校の生徒に混ざり、生き延びた多くの人達が居た。

天井は蔦で目隠しがされ、たくさんの鳥が飛んでいる。箱の中の鳥達を自由にしてやるとラファム医師が歩いて来た。名前を尋ねられ、女の子が少女と答える傍らで、マロリーは、それぞれ名前をオリンピア、トムだと言い、自分が母親だと初めて名乗った。

『バード・ボックス』を観た感想

久し振りにスリラー映画に参加したサンドラ・ブロックとトレヴァンテ・ローズ、そしてジョン・マルコヴィッチの存在感が際立つ作品でした。複数のキャラクターが登場するアンサンブルの様ですが掘り下げた描写無しに謎の死を遂げて行きます。

そのため、複数の視点へ移動し正体不明の生物も明らかにならずに終わってしまい、作品が分かり辛いかもしれません。マロリーは、他とコミュニケーションを取らずに1人家に籠って生活をしており、ニュースも見ない日々を送っています。

臨月を迎えても、母としての自覚や責任についても認識を持てないため、担当医師から誕生した子供を養子に出す選択を提示されるくらいです。ところが、世の中が突如終わり、唯一良好な関係を持っていた姉が死んでしまいます。

残されたトムと一緒に5年間生き延びますが、家族である子供達にも名前さえつけず母親である事も教えません。自分がこの世に絶望しているため、子供にも希望を持たせません。トムを失った後、無線で聞いた安全な住処を求めて目隠しのまま川を下る旅へ出発。

ボートで到着した先の森で謎の生物に襲われ、子供達を失うかもしれない状況に追い込まれた時、初めてマロリーは子供達へ愛情を表現します。やっと到着した視覚障害者の学校で安息を感じたマロリーは、鳥達を箱から自由にします。

これは、やっと気持ちが晴れ、マロリーの心に平穏が訪れた事を表しています。また、謎の生物についての解説ですが、この生物を見ると、それぞれ個人が内に秘める最悪の恐怖が実態として表れると劇中何度か示唆されています。

ゲイリーの絵は不気味な何かを描写し、自分が何度か遭遇した生物ですが、ダグラスの妻・リディアは10年間に亡くなった母に関連した現象が目の前に現れ、自殺します。見る人によって異なるのは、死んでしまいたい程怖いものは個人によって異なるからです。

物語を通し明確な説明はされませんが、監督のスサンネ・ピアや主演のサンドラ・ブロックのインタビューからまとめて要約し本作の補足とします。尚、一度は謎の生物を登場させる事になりましたが、出来栄えが悪かったため、謎のままで終わらせる方針に決定。

冒頭に起こるパニックの連続シーンは見応え十分で、観る者を引き込む迫力満点だったため、未消化部分が非常に残念。特撮も良くアイデアもオリジナル性が高いので、もう少し話の肉づけが欲しかったところです。

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