「キャビン」は2013年3月9日に日本で公開されました。
ただのホラーに終わらないひねりの効いたストーリーで、先に公開されたアメリカのレビューでは「フレッシュ(新鮮)」作品として評価されました。
今やスター俳優のクリス・ヘムズワースの大学生役での若き姿も楽しめる作品です。
過去のホラー作品へのオマージュがいくつも盛り込まれた「キャビン」について今回はご紹介いたします。
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キャビンの予告動画
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キャビンの作品情報
タイトル:キャビン
原題:The Cabin in the Woods
監督:ドリュー・ゴダード
脚本:ドリュー・ゴダード/ジョス・ウィードン
製作:ジョス・ウィードン
公開:2012年4月13日(アメリカ)2013年3月9日(日本)
出演者:クリステン・コノリー/クリス・ヘムズワース/アンナ・ハッチソン/フラン・クランツなど
実は3D上映の予定や配給元の財政難などで当初の予定から公開が延び、一時は無期限延期になりました。
ドリュー・ゴダード監督は人気ドラマ『LOST』の第1シリーズから脚本家として参加し、『クローバーフィールド/HAKAISYA』で監督デビューしています。
ストーリーが一筋縄ではいかないのも納得で、無事に公開されてよかったですね。
キャビンのキャスト
ヒロインを演じているクリステン・コノリーは本作が初のメイン出演でした。
『マイティ・ソー』でブレイクする前のクリス・ヘムズワース、そして最後にちょっとだけ登場するシガニー・ウィーバーにも注目です!
あらすじとネタバレ
ある研究施設で任務に就いているゲイリー・シッターソンとスティーヴ・ハドリー。
コーヒーブレイクを楽しもうとする2人にスウェーデンのミッションが失敗に終わったことが伝えられる。
残るはアメリカと日本となった『重要なシナリオ』はある若者たちの運命を大きく変えるものだった。
山小屋への出発
失恋したデイナ・ポークは友人のジュールズ・ローデン、ジュールスの恋人のカート・ヴォーンのいとこの別荘で夏休みを過ごすことになっていた。
同行するのは友人のマーティ・ミカルスキと、ジュールスがデイナの恋人にと考えるホールデン・マクレアだった。
キャンピングカーで出発するデイナたちの様子を男がどこかに連絡する。
デイナたちが寄ったガソリンスタンドの主のモーデカイは、山小屋がバックナー家のもので何度も持ち主が変わっていると話した。
トンネルを抜けていくデイナたちの車の近くを飛んでいた鳥は空中で見えない何かにぶつかって消滅した。
若者を監視する者
別荘は見るからに古びた平屋の山小屋だった。
ホールデンに割り振られた部屋には山羊が殺されている絵が飾られ、絵を外すとマジックミラーで隣の部屋のデイナが丸見えだった。
それをホールデンはみんなに伝えてデイナと部屋を替える。
その様子を管制室のモニターで見て対応していたのが操作班のシッターソンとハドリーだ。
デイナたちはあるミッションの『重要なシナリオ』の登場人物にされていた。
化学班のウェンディ・リンは金髪にしたジュールスのヘアダイの薬品を操作して認知能力を下げ、今度は性欲増強剤の投与を実行する。
デイナたちが湖で遊ぶ一方で管制室では研究施設の職員がある賭けをしていた。
新人の守衛のダニエル・トルーマンだけは苦々しく思って参加しない。
賭けを締め切るとシッターソンは叫んだ。「パーティーの始まりだ!」。
『パーティー』の始まり
山小屋でのパーティーで『挑戦』と『告白』の王様ゲームをやっていると地下室の扉が開く音がした。
『挑戦』の命令をされたデイナが地下室に下りると古びたいろいろなものが置かれている。
カートはほら貝のあとに球体のからくり細工を、ジュールスはドレスにかかっていたペンダントを、ホールデンはバレリーナのオルゴールを、そしてマーティは8ミリフィルムを手に取る。
デイナはアナ・ペイシャンス・バックナーが1903年に書いたという日記を見つけた。
そこには殺人鬼と化した家族の虐待の様子、そんな家族を救う方法を見つけたことが記されていた。
何者かのささやき声によってデイナは日記に書かれたラテン語を声に出して読んでしまう。
すると山小屋のそばの墓の中からゾンビと化したバックナー一家が這い出て来る。
地下室で何を選ぶかで若者たちを襲う怪物が決まり、その予想を的中させたものが勝つ賭けだった。
襲いかかるゾンビ一家
山小屋ではジュールスがセクシャルなダンスを披露してマーティを誘惑すると、カートがジュールスを手荒に扱って外に連れ出す。
マーティは普段とは違うジュールスとカートの様子を訝しんでデイナと話す。
デイナが2人は酔っていることとマーティはラリっていることが理由と言うとマーティは自室に戻った。
森の中のジュールスとカートをその気にさせるため、管制室は気温を調整してフェロモンの霧を発生させる。
セックスを始めるとゾンビたちが襲いかかり、抵抗するカートの目の前でジュールスは殺される。
それを管制室で見たハドリーが機械のレバーを操作すると、ある場所に血が注ぎ込まれていった。
気づいたマーティ
自室にいるマーティに何者かが「散歩に行け」とささやきかける。
誰かに人形みたいに操られることを拒もうとするマーティだが散歩に出かける。
リビングではマーティと親密な雰囲気になったデイナが処女であることを打ち明けていた。
マーティが外に出ると血だらけのカートが走ってきて2人は山小屋に戻る。
ジュールスを心配してデイナがドアを開けてしまうと、ゾンビはジュールスの生首をデイナに投げた。
管制室の策略で別行動をする4人が各自の部屋に逃げるとマーティは監視カメラの存在に気づく。
そこに現れたジュダ・バックナーに襲われたマーティは森の中へ引きずられて姿を消した。
死者が出るたびにある場所に血が注ぎ込まれるのだが、今度は施設全体が大きく揺れた。
トンネルの爆発
山小屋も大きく揺れ、ゾンビの襲撃を受けたデイナはホールデンと地下に逃げる。
虐待に使用されたと日記に書かれた『黒い部屋』で出口を探す2人をゾンビが襲ってホールデンは負傷する。
デイナの反撃でゾンビが動かなくなると、現れたカートと3人でキャンピングカーで逃げる。
日本では小学生の女の子たちが女性の幽霊を除霊したためミッションは失敗となる。
すでにアルゼンチンもスペインも失敗しているためすべてはアメリカに託される。
シッターソンらは命令はないものの電気系統のトラブルを修復し、トンネルを爆破して逃げ道をふさぐ。
助けを呼ぶためカートは崖に阻まれた反対側の道へバイクでジャンプするが、見えない何かに激突して落下する。
デイナは山小屋でマーティが口にした『人形つかい』を思い出して彼が正しかったと確信する。
絶体絶命のデイナ
脱出を図るデイナとホールデンだが車中にひそんでいたゾンビにホールデンが殺され、車は湖へ転落する。
管制室のシッターソン、ハドリー、リンは祝杯をあげるがデイナは沈んだ車から脱出していた。
それを指摘するトルーマンにハドリーは「”処女”は苦しんで最後まで残れば死ななくていい」と告げる。
勇気のあるデイナを応援したくなる心境のハドリーも集まった職員たちとパーティー状態で盛り上がる。
そこにかかってきた緊急用の電話はデイナ以外に生き残っている者がいることを告げた。
ゾンビに襲われて絶体絶命のデイナを救ったのはマーティだった。
普段から吸っていた大麻で耐性がついて認識力低下用のガスが効かなかったのだ。
マーティは連れ込まれてゾンビを倒したバックナー家の墓の中へデイナを連れて入る。
そこはエレベーターで中からは操作できないが下には行けるようだった。
施設に秘められた真実
エレベーター内で2人は狼男や煙状のゴースト、バレリーナなど小部屋にいる多くの怪物を見る。
地下室でどう死ぬかを選ばされていたと知ったデイナは怒りと悔しさに絶叫する。
“愚者”=マーティが”処女”=デイナよりも生き長らえることは許されないため管制室は対応に追われる。
エレベーターを降りた2人に施設のアナウンスを介して女性が語りかける。
施設の地下に眠る怪物である『古きもの』を鎮めるための生贄を捧げる儀式で惨劇が起こっていたのだ。
コントロール室に逃げこんだ2人は怪物を収めた倉庫のシステムを解除するボタンを押す。
解き放たれた怪物たちはエレベーターから現れて施設内の職員たちに襲いかかる。
ハドリーは自分が好きな半魚人に殺され、シッターソンは逃げる途中でデイナにぶつかって刺されて絶命する。
デイナとマーティは血が注ぎ込まれた石板の偶像がある部屋にたどり着く。
究極の最後の選択
そこに現れた館長は5人の若者が必要な儀式には”処女”と”愚者’、””淫乱”=ジュールス、”戦士”=カート、”学者”=ホールデンの役割があって死ぬ順番が重要だと明かす。
デイナとマーティが日の出まで生き残れば儀式は失敗で全人類が苦しんで死ぬという。
デイナはマーティを銃で撃ち殺そうとするが狼男に襲われる。
銃を拾ったマーティは狼男を撃退して館長と戦っているとバックナー家のアナが現れる。
それをデイナに知らされたマーティはアナが館長を襲うと2人を穴の中へ蹴り落とす。
「きっとカートにいとこはいない」と言うデイナは銃を向けたことを謝り、マーティは狼男に襲わせたことを謝る。
デイナが「人間はほかの種に道を譲る時よ」と言うと施設は崩れ始め、『古きもの』の巨大な手が山小屋を木っ端微塵にして地上へ出る。
「キャビン」感想と評価
若者たちが偶然に怪物に襲われるのではなく、勝手に選ばれたあげく死に方まで選ばされていたなんて!
その設定ももちろんおもしろかったですが、研究施設職員がホラー映画には定番のHシーンやバストがポロリを期待したり、好きな怪物に殺されたりというコメディ要素けっこうあっておもしろかったです。
ドリュー・ゴダード監督は怖くて震えてしまうようなシーンばかりがホラー映画のおもしろさではないことをわかっていて、そのツボをうまく押さえている感じです。
それに普通のホラー映画はだいたいその世界では最強の怪物が1種類だけですが、今作はメインこそゾンビではあるものの古今東西のあらゆる怪物が登場していました。
正直、それぞれの怪物をもっと細かく詳しく見たかったなと思いましたが、そうするとスプラッターシーンが長くなってしまってストーリーのテンポが悪くなりそうですね。
そしてモンスター映画である「エイリアン」シリーズでおなじみのシガニー・ウィーバーの起用の仕方が本当に贅沢でした。(怪物の中にエイリアンがいたのかはわからなかったです)
そういった起用も含めて、ストーリー展開に驚かされながらも監督の遊び心が感じられる楽しい作品です。
まとめ
襲われるのはなぜ5人くらいのグループなのか、清楚系のヒロインが生き残ること多いのかなど、ホラー映画の定番ポイントをしっかりと押さえつつ、それにはちゃんとした理由があることを盛り込んだ設定の作品でした。
「いつものパターン」がミッションを成功させるための人的なものだという設定は斬新だと思います。
何よりも斬新なのは、普通のホラー映画はほとんどの場合若者たちの生死がストーリーの重要ポイントなのに、今作では重要ポイントが最終的に人類の滅亡にまで広がっていってしまうことですね。
人類のために友人を殺すのか、自分が死ぬのか、最後にデイナとマーティがどう選択するのかは考えさせられる場面でした。
そして、今作では倉庫にいる怪物(たとえば『ヘルレイザー』)だけでなく、過去のホラー映画をオマージュするシーンも多いです。
地下室の扉が開いたり、そこにあった日記に書かれたラテン語の言葉を読んだりするのは『死霊のはらわた』と同じですからね。
ホラー映画が大好きで詳しい人はそんなところをあちこちに発見できて楽しいし、まだそこまで詳しくない人は今作を見たあとに違うホラー映画を観て「元ネタはこれだった!」と気づくこともあると思います。
楽しみが今作の中だけで完結するのではなく、これまでに観た作品、そしてこれから観る作品にまで派生していくような新しいホラー映画と言えるでしょう。
ホラー映画ファンを名乗るからには必見の一作だと思います。
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