映画『ナチス第三の男』あらすじ・ネタバレと感想!動画の無料視聴方法も紹介

世界25ヵ国で翻訳されたローラン・ピネの『HHhH プラハ、1942年』を映画化した『ナチス第三の男』。日本でも、翻訳小説部門で本屋大賞第一位に輝いた大ベストセラー小説です。1942年5月27日、チェコスロバキア(現チェコ)のプラハで実際に起きたロコーストの首謀者、ラインハルト・ハイドリヒを暗殺するエンスラポイド作戦決行までの道のりを描いた伝記映画です。

今回は「ナチス第三の男」のネタバレと映画の無料視聴方法をご紹介します。

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『ナチス第三の男』作品情報

タイトル:ナチス第三の男

原題:The Man with the Iron Heart

監督:セドリック・ヒメネス

脚本:セドリック・ヒメネス、オードリー・ディワン、デヴィッド・ファー

原作:『HHhH プラハ、1942年』ローラン・ピネ

製作:サイモン・イストレイネン、ベンジャミン・ドローイン、アラン・ゴールドマン

公開日:2017年6月7日(フランス)、2017年11月10日(イギリス)、2019年1月25日

出演者:ジャイソン・クラーク、ロザムンド・パイク、ジャック・オコンネル、ジャック・レイナ―、

『ナチス第三の男』概要

原作『HHhH プラハ、1942年』は映画化権の希望が殺到。実話に基づく『フレンチコネクション 史上最強の麻薬戦争』で脚光を浴びたセドリック・ヒメネスは、同映画のプロデューサーであるアラン・ゴールドマンから一緒にトロント映画祭へ行った際に本作の脚本を手渡され監督業を打診されました。既に原作を読んでいたヒメネスは、自分独自の視線を含みたかったため加筆修正する条件でオファーを受け執筆を開始、ゴールドマンの製作、ヒメネスが監督で本作を制作しました。

キャスト

『ゼロ・ダーク・サーティ』の実力派俳優ジェイソン・クラークが主人公のラインハルト・ハイドリヒを演じます。ラインハルトの妻、リナ役は『ゴーン・ガール』のロザムンド・パイク。仲の良い2人は、長年一緒に取り組める作品を探しており、本作で夫婦役として実現しています。

『ナチス第三の男』あらすじ・ネタバレ

 

1929年、北ドイツ、キールに位置する海軍基地。ラインハルト・ハイドリヒは、プロ並みのフェンシングの腕を披露。ある夜、社交パーティーで貴族のリナに出会い親しくなる。2人は婚約するが、関係を持っていた女性がラインハルトを訴えた。

その女性は、海軍総司令官の親戚だったため、ラインハルトは名誉裁判にかけられ、海軍における品位無き態度として不名誉除隊となる。その後ナチスに入党したラインハルトは、ある日ハインリヒ・ヒムラーに呼び出された。

ヒムラーに見出された男

ヒムラーは政治上の敵を探る目的で保安部を設立しようと計画しており、ラインハルトを面接したのだった。諜報は組織化する事が最重要であり、自分が最適な人物だとラインハルトは売りこむ。ヒムラーはラインハルトを気に入った。

ラインハルトは共産党等ナチス党と敵対する者達を実力行使で排除。遂にナチス党が政権を取り、ヒムラーの命令でラインハルトはSS(ヒトラーの親衛隊)内の粛清を開始する。ヒムラーは増々権力を増して行き、よく仕えたラインハルトを鉄の心臓を持つ男と呼んだ。

第三位の権力を獲得したラインハルト

1939年9月、ドイツはポーランドへ侵攻。血統や信仰等により選ばれた部隊を指揮する任務に就いたラインハルトを先頭に、大虐殺が始まる。ドイツ兵士が納屋へ村人を一まとめに押し込みダイナマイトを投げ入れた。

ラインハルトは、ドイツの高級官僚を陥れる方法に娼婦館を利用し、女性スキャンダルを突きつけて自分の言う事を聞かせた。

1941年、チェコスロバキア、プラハ。ラインハルトは演説を行い、全ユダヤ人は警察署へ出頭して登録し、外出時はダヴィデの星のマークを着用する事を義務付けると宣言。レジスタンスは容赦なく廃絶するが、労働者の昇給を約束した。

ホロコーストが政策へ

1942年1月20日、ベルリンでヴァンゼー会議が開かれた。議長を務めたラインハルトは、ユダヤ人が一人でもいる家族は見直しをすると冒頭に述べる。千2百万人のユダヤ人の最終的解決について決定事項が発表された。

ユダヤ人を肉体労働に組み込み、自然淘汰を促進。そこで生き残った者は排除するとラインハルトは言い、よりシステムを組織化するため、収容所へ強制的に集める政府の施策が決定した。

2人の暗殺者プラハへ潜入

プラハでラインハルトの暗殺が決行される1942年5月27日から6ヶ月前に遡る。スコットランドに在るチェコスロバキアの軍事基地に所属していたガプチークとクビシュ。2人はイギリス政府から委託されパラシュートで祖国へ戻った。

雪山を越え、偽造の就労証明書を受け取り、プラハへ潜入。街に居るレジスタンスの家族の一員として、それぞれ溶け込むように身を潜めた。しかし、山間の木に絡みついたパラシュートがSSに発見される。

ラインハルトは締め付けを強化し、SSはレジスタンスの隠れ家を襲撃。捉えたラビ(ユダヤ人の宗教指導者)を凄まじい拷問にかける。そこへやって来たラインハルトは、男を立たせろと部下に命じた。拷問で下半身が麻痺したと部下が言う。

ラインハルトは脇を抱えて立たせろと怒鳴った。パラシュートで降下した男達の居場所とイギリス政府の狙いを吐けと迫るラインハルトに対し、ラビはチェコスロバキア万歳と絞り出した。ラインハルトは銃を連射してラビを殺害した。

コードネーム・エンスラポイド

ガプチークとクビシュは、ラインハルトの邸宅に勤める内通者と密会する。2人はラインハルトの外出及び帰宅時間や細かい癖に至るまで報告するように頼んだ。情報は、多くのレジスタンスの手を介して届けられた。

日々集まるデータを基に、クビシュは、ラインハルトが毎日朝10時に必ず通る場所に気がつく。しかし、プラハのレジスタンス指導者が特定されSS部隊が突入。彼は、捕まる前に部屋に乱入する兵士を射殺し、ラインハルトの見ているまで自殺した。

エンスラポイド作戦決行

ラインハルト暗殺決行の日。ガプチークは神に祈りを捧げた後、入手した短機関銃をベッドから取り出した。見張りの男は、小銃と鏡をポケットへ入れる。クビシュは、電球に火薬を詰めて作った手製の手榴弾を最終チェックした。

3人は、別々にホレショヴィチツェ通りへ到着すると、多くの人が行き交う中を縫って持ち場に着く。この計画を知るレジスタンスのメンバーは、それぞれ時計を見ながら緊張の表情を浮かべる。時刻は、10時15分になろうとしていた。

見張りの男の視線の先に、ラインハルトが乗ったベンツのオープンカーが見えて来る。鏡をポケットから出し、ガプチークに合図した。続いて、ガプチークはクビシュを見て頷いて知らせる。

ガプチークは路上電車に沿って歩きながら、コートの下に隠していた短機関銃を取り出す。電車が過ぎた瞬間、近づいてきたラインハルトの車の前に飛び出して銃を向けた。しかし、ジャミングを起こして弾が発射しない。

ラインハルトが立ち上がって発砲する中、ガプチークは走って逃げる。そこへ、クビシュが走って車に近づき、手榴弾を投げた。通り沿いの荷車の陰から見届けようとしたクビシュだが、運転手が下りてきて追いかけて来る。

クビシュはその場から逃走。怪我を負ったラインハルトが乱射し、通りは混乱に陥る。ラインハルトが倒れ込むと、見張りの男が小銃を取り出して近づく。しかし、SSの部隊を乗せたトラックが到着したため、仕方なく踵を返す。

ガプチークは、執拗に追い掛けて来たラインハルトの運転手を射殺。家に戻ったガプチークは、被っていた帽子を壁に叩きつけて悔しがった。

一方、ラインハルトは駆けつけたSSによって病院へ搬送される。病院へ来た妻のリナが怒りを露わにして、この事態を防げなかった側近を怒鳴り付けた。ラインハルトのお腹から出血しているのを見たリナは気丈に振舞った。

街中にサイレンが鳴り、SS部隊が駆け回る。怯える市民達。クビシュが潜伏していた家にSSが捜索に来るが、クビシュは窓から外へ出て難を逃れた。そして、暗殺計画実行後の隠れ家である教会へ訪れ、牧師の案内で地下の小部屋でガプチークと落ち合う。

ベルリンから見舞いに来たヒムラーに、ラインハルトが作成した「ユダヤ人問題の最終的解決」と題した計画書を、付き添っていたリナが手渡す。ラインハルトが死去し、そのニュースを聞いたガプチークとクビシュは小躍りして喜んだ。

大き過ぎた代償

しかし、高官が暗殺された事で、ナチスによる壮絶な報復が始まる。プラハ郊外のリディツェ村に住む家族がレジスタンスを匿ったらしい、と言う不確かな情報でも全村民が射殺され、村は焼き払われ壊滅したのだった。

情報提供を呼びかけるナチスの街宣車が街や村を回り、暗殺実行者を匿った者は処刑され、価値ある情報を提供すれば報奨金を与えると呼びかける。遂にレジスタンスの一人だった青年が出頭し、ガプチークとクビシュの潜伏を手伝った者達の名前を明かす。

ガプチークとクビシュを棺桶に入れてプラハから逃がそうと計画していた男性の家にSSの車両が横付けされた。それを見た男性は、自分の若い息子と一緒に抱き合って毒を飲む。

食料を教会へ運んでいた女性も常に備えていた毒を飲んだ。SSは、その女性の幼い息子まで拘留して縛り上げ、口を割らない父を拷問する所を見せて、暗殺実行者が教会に潜んでいる事を聞きだした。

夜、ラインハルトの側近が指揮するSS部隊を乗せた多くの車両が教会へ到着。機関銃を構えた兵士達が正面扉をこじ開けて中へ入って行く。暗殺を実行した3人を含むレジスタンスは柱に隠れ、近づくSS部隊に向かって機関銃を撃ちまくった。

中の銃撃戦を聞き、外で待機していた部隊が次々に突入。最後の抵抗は、圧倒的な数に叶わずガプチークとクビシュ以外全員射殺された。2人は教会の地下へ逃れるが、SSは小窓からホースで水を入れ溺死させようとする。

ガプチークとクビシュは、壁の向こう側を走る下水道を目指し、のみと金槌で壁に穴を開けようと懸命になるが、上昇する水量に諦める。お互いに小銃を取り出すと、クビシュがこの世の向こう側でまた逢おうと言い、それぞれ頭を撃ちぬいた。

『ナチス第三の男』を観た感想

平時に振り返ると、有事における残虐行為は目を背けたくなるような事ばかりです。ラインハルト・ハイドリヒはその冷酷さから「金髪の獣」と呼ばれた事は有名で、上司のヒムラーをも震え上がらせたと言われています。

一方で、ラインハルトはクラシック音楽を愛しフェンシングはプロ級の腕前。劇中にある通り、良き父だと言われていました。この事は多くのSS部隊に所属した父や夫を持つ家族達が後に証言。

残虐行為を極めた悪名高いナチスの男達もまた人間だったのです。非人間的な悪人だと切って捨てる事は非常に簡単ですが、何が人間をそこまで駆り立てたのかと言う事実を無視すれば、また人は同じ事を繰り返してしまう危険があります。

過去に、アメリカはベトナムで、イギリスはインドで、そして日本もまたアジア諸国において非人道的と呼ばれる様々な行為を犯しており、ドイツ同様に、帝国主義を謳い他国へ侵攻して行きました。

本作で最初に描かれているのは、第一次世界大戦後ドイツが経済的に弱体化した時代からヒトラーが台頭するまでの時期です。ソビエト崩壊後、長く苦しんだロシアにプーティンが現れた様に、経済が低迷すると強いリーダーを求めるのはどの国も同じです。

本作は、こうした歴史的な詳細を敢えて省き、鬼畜だと呼ばれたラインハルトの人間の部分に光を当て細やかに描写しています。但し、この時代の歴史に馴染みが無いと、説明されない分、物語に着いて行くのが少し難しいかもしれません。

ナチス政権は、野心溢れた高官が愛国心を掲げて自分達を純粋な血統だと定義し、そうでない人達を生きる資格の無い者と烙印を押しました。ホロコーストは、ユダヤ人を標的にした人類史上最悪の大虐殺の1つです。

劇中にある通り、この基礎になる計画書を策定したのがラインハルトです。チェコスロバキアを解隊し、更に、欧州各地へ次々に侵攻していたドイツに危機感を持ったイギリス政府が主導して若いチェコ人青年達をプラハへ潜入させます。

これは、イギリスのチャーチル政権が決定した片道切符の特攻作戦。自国の人間は使わずに他国の人間を暗殺に駆り出し、共産主義を敵視していたにも拘らず、ヒトラーより人を殺していたスターリンと組んで英ソ軍事同盟を成立しました。

本作でも、ラインハルトがプラハへ侵入した者達の裏にはイギリスが居ると知っていた事が描かれています。結局、どの国でも、権力者は自国の利益になる事を優先するため、そこに正義などは存在しない事がよく分かります。

逆に、正義や理想を声高に宣伝する思想に振り回される事の方が怖い事なのだと、この映画を観て改めて気づかされたように思います。

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