映画『ヴィクトリア女王 最期の秘密』あらすじ・ネタバレ!無料動画を視聴する方法も紹介

「ヴィクトリア女王 最期の秘密」はこれまでイギリスで知られていなかったヴィクトリア女王の晩年13年間を描いた作品です。覇権国としてイギリスが君臨していた時代で、女王とイスラム教徒の青年との親交を後の王室がひた隠しにしたのでした。統治する君主と統治される側のインド人アブドゥル・カリム。2人の交流とそれを取り巻く王室の騒動を実際の出来事を基に映画化した伝記ドラマです。

ヴィクトリア女王 最期の秘密を無料視聴

ヴィクトリア女王 最期の秘密のフル動画を無料視聴したい方はこちらの記事を参考にしてください。

『ヴィクトリア女王 最期の秘密』作品情報

タイトル:ヴィクトリア女王 最後の秘密

原題:Victoria and Abdul

監督:スティーヴン・フリアーズ

脚本:リー・ホール

原作:シャラバニ・バス

製作:ティム・ビーバン、エリック・フェルナー、ビーバン・キドロン、トレイシー・シーワード

公開日:2019年1月25日(日本)

出演者:ジュディ・デンチ、アリ・ファザル、エディ・イザード、アディール・アクタル、ティム・ピゴット=スミス、ポール・ヒギンズ、ロビン・ソーンズ、マイケル・ガンボン

『ヴィクトリア女王 最後の秘密』概要

同名の著作を書いたシャラバニ・バス。5年掛けてリサーチをして本を執筆し出版。直ぐに多数の映画制作会社から連絡が入り、『ビリー・エリオット』や『戦火の馬』を見て、リー・ホールの脚本なら安心できると映画化の話を了承。本作で、名優ジュディ・デンチはゴールデングローブ賞ミュージカル・コメディ部門の主演女優賞にノミネートされました。

キャスト

ヴィクトリア女王を演じるのは、本作で2度目のジュディ・デンチ。アブドゥル・カリムに抜擢されたのは、アリ・ファザル。そして、ソールズベリー首相にはハリーポッターシリーズで知られるマイケル・ガンボンが扮します。

『ヴィクトリア女王 最後の秘密』あらすじ・ネタバレ

1887年インド、アーグラ。タージ・マハルを臨む建物の屋上で、アブドゥル・カリムは額を地面につけて祈りを上げている。イギリスがインドを統治してから29年が経とうとしていた。

インド統治政府はアブドゥルが見立てた絨毯を王室へ贈り好評を得る。アブドゥルは、ヴィクトリア女王在位50年を祝う記念に発行されるモハール金貨を贈呈する大役に任命され渡英する事に。一方、同行するモハメッドは貧乏くじを引いたと思っていた。

大英帝国へ行く

ウィンザー城へ到着した2人は早速贈呈のリハーサルをさせられ、決して女王と目を合せないよう忠告を受けた。そして、金貨の贈呈後は背中を向けず後ずさりで下がり、ホールの柱に晩餐が終わるまで立っているよう命ぜられた。

正装した各国の来賓客が次々にダイニングルームに現れる。ファンファーレと共にコース料理のスープが運ばれ、壇上から女王ヴィクトリアが登場。上座に座る女王の後、全員が着席。女王はウンザリした面持ちでスープを平らげる。

給仕が女王のスープ皿を下げると、来賓客全員のスープ皿も一斉に下げられてしまう。侍医のリードは、女王の食事が済む前に早く食べるよう周囲にアドバイス。

ヴィクトリアはメインの鶏肉を手で掴みどんどん食べ、いびきをかいて居眠りを始める。デザートのプロフィトロールがテーブルに置かれポンソンビー男爵に起こされた女王は、シュークリームを豪快に頬張った。モハール金貨の贈呈の時間がやって来る。

アブドゥルとモハメッドは伏し目がちに女王の側へ行き、女王に金貨を贈呈。男爵がムガルコインですと紹介するが、ヴィクトリアは全く興味が無い。下がる際中アブドゥルはつい女王を見てしまい、目が合ってしまう。注意され、慌てて目をそらすアブドゥル。

翌日、びっしり詰まったその日の予定を口述する男爵は、モハール金貨の印象を女王に尋ねた。ヴィクトリアは、背の高いアブドゥルがハンサムだと述べた。一同目を合わせる。

王室職員のアーサーは、荷物を馬車に運ぶアブドゥルとモハメッドを呼び止め、庭園で行われる食事会でゼリーを運ぶように命じた。食事会で女王の隣に座ったソールズベリー首相は政治状況を説明するが、憂鬱な話だと女王はコメントするだけだった。

そこへ、アブドゥルとモハメッドがゼリーを運んでくる。テーブルにデザートを置いたアブドゥルは、女王の靴に口づけをした。気分がとても良くなったと嬉しそうな女王。しかし、アブドゥルはアーサーにこっ酷く叱られてしまう。

そこへ男爵が駆けつけ、女王がアブドゥルとモハメッドを式典が終わるまで自分の個人的な従僕となるよう要請したと告げた。インドへ帰りたいモハメッドは、アブドゥルに文句を言い、男爵とアーサーも信じられないと言う顔つきだった。

ヴィクトリアとアブドゥル

執務室で2人きりになった女王とアブドゥルは言葉を交わし、飾らない正直なアブドゥルにヴィクトリアは好感を持つ。それから、女王の傍らには常にアブドゥルが立ち、余りに身分が違うため周囲は君主の真意が掴めず右往左往。

出身地を尋ねられたアブドゥルは、アーグラに在るタージ・マハル建立の経緯を話して聞かせた。女王は、皇帝が亡くなった妻のために建てた墓廊の話に俄然興味がわく。

そして、金色の王座やタージ・マハル内の宝飾品がイギリス兵によって破壊された事をアブドゥルから聞いて胸を痛めた。会話に花が咲き、インドで育つ果物・マンゴーに関心を持った女王は、インドからマンゴーを取り寄せるよう命じた。

当時インドからイギリスまで船で6週間かかる時代で、男爵は難色を示す。ヴィクトリアは、自分はインドの皇帝であると威圧し、1つ届けさせるように再度命じる。更に、議会の記録簿を精査する時もアブドゥルだけで、後は退室させる女王。

召使いの身分であるインド人のせいで、自分達は蔑ろにされていると王室職員は感じ始めていた。ヴィクトリアは、教本を取り寄せたのでヒンディー語を教えて欲しいとアブドゥルに頼む。アブドゥルは、標準語であるウルドゥー語を女王に教えると申し出た。

執務室の外で耳をそばだてている側近は、モハメッドからイスラムの言語だと聞いて震え上がる。侍医のリードは聴診器を扉にくっつけて中の様子を聞く。ヴィクトリアが発音の練習をしている声が聞こえた。女王は新しい言葉を学ぶ事に楽しさを見出す。

息子のバーティが城を訪れ、ウルドゥー語を学ぶヴィクトリアをたしなめると、プライバシーが無いとして私邸へお付きを連れずアブドゥルと2人きりで女王は出かけると言った。

湖畔の私邸で、以前寵愛した従僕ジョン・ブラウンや夫のアルバート公を思い出し、女王は涙を流す。心を許し愛した人はみな亡くなり、後に取り残され公務に追われる毎日は、ヴィクトリアにとって孤独な人生であった。

大英帝国の君主である自分の立場を理解できる者は居らず、何百万人もの人から憎まれ、更に、生んだ子供9人は皆ひがみっぽく対立してばかり。特に次期国王となる息子のバーティー(後のエドワード国王)は恥だと女王は言う。

そして、年を取り足の不自由な自分を愚かな年寄りだと女王は嘆く。自分の存在に価値を見い出せないヴィクトリアに、アブドゥルは、自分の為ではなく他へ尽くす事が大切だとコーランにある一節を紹介した。

イスラム教徒のアブドゥルは、父からコーランを教わったと話し、自分にとって父は師だったと語った。自分の先生になって欲しいと言うヴィクトリアに、召使いの身分であるアブドゥルは、女王に教える立場にないと躊躇。

女王は、今後は召使いではなく自分の教師であり、ウルドゥー語、コーラン、その他考え付く物は何でも教えて欲しいと言った。

それを聞いたバーティは、女王はキリスト教会の頂点だと騒ぐ。しかし、ヴィクトリアは休暇を過ごす旅へアブドゥルを同行させる。

フィレンツェはヴィクトリアにとってお気に入りの場所で、アブドゥルの初訪問と自分の教師就任を祝い、女王は宝石をあしらった自分の写真入りロケットペンダントをアブドゥルにプレゼントした。アブドゥルは、永遠に仕えると言い感無量。

イタリアへ着くと、かつてフィレンツェをとても愛し、メディチ家と親しかったアルバート公が名立たる芸術家達に後世に伝えるため芸術品制作を委託したと女王が話をする。アブドゥルは、インドでは皇帝がそれぞれ宮廷の部屋を持ち芸術品を置いたと語った。

インドの皇帝である自分も宮廷の部屋を持つべきだと女王は思い立つ。オペラ作曲家のプッチーニが女王に歌を披露。宮廷の外で、ヴィクトリアとアブドゥルは、手を取りワルツを踊る。こんな楽しい一時は、久しぶりだと女王は満面の笑顔だった。

しかし、アブドゥルが結婚している事を知ったヴィクトリアは、早急にインドへ戻り妻を連れて直ぐ戻るように命じた。私邸オズボーン・ハウスでアブドゥルの到着を待つ女王はそわそわと落ち着きが無い。

馬車が到着し、豪華な服装に勲章のアブドゥルに手を引かれブルカを身にまとう妻とその母が馬車から降り立つ。ソールズベリー首相は、宮廷の部屋を建設する事など聞いていないとポンソンビー男爵に文句を言い始めた。

アーグラに在った金色の王座の完全な複製を作らせた女王は、集めたインド由来の芸術品を前に、やっとインドの皇帝になった気がすると満足そうに話す。バーティは、侍医に女王はもう長くないと言った筈だと咎める。そこへ男爵がマンゴーを運ばせた。

運搬に時間が要したマンゴーはすっかり腐っていた。夜、アブドゥルが主役で駆り出された王室の人間とインドの劇も開かれ、常軌を逸していると憤慨した首相は「Munshi-mania(アブドゥル狂)」だと言い、男爵に事態を即刻収拾しろと圧力をかけた。

王室の反乱

ウンザリしたバーティは、アブドゥルの家族の身辺を探り策略を練ろうと考える。男爵を口説き、一緒にモハメッドを訪ねた。インドへの帰国とお金で釣り、モハメッドにアブドゥルの悪口を広めさせようと持ちかける。

モハメッドは、アブドゥルが昇進を望み女王の機嫌を取っているとした上で、インドの恵まれない環境から這い上がろうとしているイスラムの召使いであるアブドゥルが、大英帝国の得意とする手法でイギリス王室を逆にやっつけていると静かに言い放つ。

バーティは、地上で一番力を持つのが大英帝国であり最高の影響力を保持していると誇示した。モハメッドは、最高であるならば後は落ちるだけだと言い返し、苦しそうに咳をした。吐血するモハメッドに、この場所で死んでもらうとバーティは言い残す。

手を尽くして調べ上げ、アブドゥルが教育を受けて居らず、父は身分の低い薬剤師だと女王に突きつけるポンソンビーとバーティ。しかし、その行為に腹を立てたヴィクトリアは、王室で正式な敬意を得られるようアブドゥルに爵位を授けると言いだす。

このニュースは、王室の側近達全員から大きな反感を買い騒ぎとなる。貴族ではない庶民のアブドゥルが爵位を受ける事は、特権階級を持って生まれた者達には我慢が出来なかった。女王が意思を変えないなら全員去るべきだと声が上がった。

しかし、実際にこの総意を女王に伝える度胸は誰も持ち合わせておらず、貧乏くじを引いたお付きの女性が渋々やらされる事になった。女王と謁見し、身分が低く有色人種であるアブドゥルに爵位を与えれば、爵位の概念そのものの品位を落とすと話す。

拒絶すれば王室全員が退職すると聞いたヴィクトリアは、君主に対する反逆だと怒りを露わにした。バーティは男爵と侍医を引きつれ、もしアブドゥルの件を撤回しなければ、精神異常を公に認定して権力の座から即刻引きずり下ろすと迫った。

そして、侍医が自署した認定書を女王の前に置く。ヴィクトリアはバーティを一瞥すると9人の子供と42人の孫、10億人の市民を持ち、数々の病気を抱え片耳は不自由、しかし、これまで11人の首相と仕事をし、2347の法案を通したと述べる。

そして、在任期間62年と234日間である自分は、故に世界史上最長の君主であり、気難しく欲深い短絡的な81才の自分は権力に固執する性格だが、決して精神障害ではない!王室の人間が自分に背くなら、堂々と目の前で示せと女王は威厳を見せた。

宮廷の部屋に直ぐ集まるよう指示された側近達。女王はペナルティーを課さないので、自分の決断に反対なら職を辞するよう皆の前で言い、少なくとも面と向かって意思を表明する礼儀を尽くせと声を荒げた。

口先ばかり文句を言っていたが、結局誰も辞職する者は居ない。あざける様な表情を浮かべた女王は、爵位授与を考え直し、アブドゥルには彼の貢献を称え、ロイヤル・ヴィクトリア勲章の3等級に当たるコマンダーを授け決定をしたと言い放つ。

心を許した友との別れ

晩年体調を崩したヴィクトリア女王は車椅子の生活となる。そして、床に伏し最後の時間を迎えるのだった。側近の者が見守る中、女王は自分の先生は何処かと周りに尋ねた。部屋の外に居たアブドゥルを不機嫌な表情で侍医が呼びに来た。

女王は、アブドゥルと2人だけにするように命じ全員退室させた。ベッドの隣にひざまずいたアブドルに、ヴィクトリアは死ぬのが怖いと呟く。アブドゥルは、両手で女王の手を握る。

「小さな滴、よくお聞き。悔やまずに身を任せなさい。代わりに海を得られるだろう」アブドゥルは、著名な詩人であるジャラール・ウッディーン・ルーミーの一節を語って聞かせる。貴方は詩人だと言う女王に、アブドゥルは、アラーが師ですと答えた。

ヴィクトリア女王は、落ちて行くような気がすると漏らす。アブドゥルは、落ちても良い、これからもっと安全な場所へ行くのですから、と微笑む。アブドゥルと入れ替わるように側近達が入出。そして、女王は静かに永眠するのだった。

バーティは、部屋から出てくるとアブドゥルを睨みつけながら通り過ぎた。事態を察したアブドゥルは、むせび泣く。直後に国王の座に就いたバーティは、警備官を伴ってアブドゥルの家族が住む離れへ赴き、女王に繋がる全ての物を焼却するよう命じた。

アブドゥルの妻が泣き叫ぶ。外で火か焚かれ女王とアブドゥルが一緒に映る写真を含めた様々な品が炎に包まれる。駆けつけたアブドゥルを警備官が取り押さえ、バーティは冷たくイギリスを即刻出国しろと言った。

火の前で泣き崩れるアブドゥルに妻が近づき、女王から貰ったロケットをそっと夫の手に握らせた。

時は流れ、髭に白髪の混じるアブドゥルは、タージ・マハルが見える庭園に建つヴィクトリア女王像の側に折りたたみ椅子を開く。ひざまずいて像の足に口づけると、お早うございます、陛下。今日のご機嫌は如何ですか?と話しかけ、朝食を食べ始めた。

‐アブドゥルは1901年にアーグラへ戻る。彼が息を引き取ったのは、それから8年後の1909年。そして、インドは1947年にイギリスから独立を獲得した‐

‐2010年、アブドゥルの個人的な日記が発見される。やっと彼の物語が世界に明かされることになった‐

『ヴィクトリア女王 最後の秘密』を観た感想

朝目覚めた時から夜眠るまで常に周りにお付きや貴族が仕えている生活を送る君主が本当に気を許せる人は、当時敵対していたイスラム教徒。人種差別を嫌い、相手の身分より心の豊かさを大切にした女王をジュディ・デンチが見事に演じます。

立っているだけで権威を感じさせる迫力のある表現力は観る者を魅了し、物語にぐっと引きこんで行きます。御年84才の名優。他にデンチを凌ぐ現存の俳優は他に思いつきません。

本作で監督を務めたスティーヴン・フリアーズは、ジュディ・デンチがヴィクトリア役でないのなら、監督は受けないと最初に話した事を自ら明かにしています。そして、原作者シャラバニ・バスは、マンゴーのエピソードを物語に含む事をこだわりました。

インド人俳優のアリ・ファザルは、長いオーディションを経て役を獲得。また、熟年の演技を見せたモハメッド役のアディール・アクタルは、2017年度の英国アカデミー賞でテレビ部門主演男優賞を受賞しており、バーティを演じたエディ・イザードが賞賛します。

実際のイザードとは全く風貌が異なるバーティ。彼は、役作りのため12キロ体重を増やして撮影に臨み、母に対する片思いを表現したと役の心情を語りました。

劇中に出てくる「Munshi」は、インドの言語で教師と言う意味です。ヴィクトリア女王がアブドゥルを慕い、彼をそう呼称した事は記録にあり、実は侍医のリード医師の伝記に「ムンシマニア」と記述が残っているそうです。

脚本を書いたリー・ホールは、この表現をソールズベリー首相に扮するマイケル・ガンボンの台詞に織り込みました。当時、周囲が女王をどの様に見ていたのか伺われる場面と言えます。

また、ヴィクトリア女王とアルバート王子が実際に住み、女王が息を引き取ったのもオズボーンハウスですが、撮影を許可されたのは本作が初めてです。特に、インドの美術品で飾られた宮廷の部屋や廊下は殆ど知られていませんでした。

女王とアブドゥルの記録を徹底的に排除しようとしたのは、イギリス国内だけでは無かったとフリアーズが話します。インドまで使者を2度も派遣して、アブドゥルの身辺を調べ、女王と繋ぐ物が無いか探しに来たほど執着していたそうです。

出会いがあり意気投合して親しくなる。そんな細やかな人間の営みを阻む差別や身分と言う障害を物ともせず、13年間傍らの友を大切にしたヴィクトリア女王の人としての大きさを伺わせるハートフルな本作。圧倒的な演技力で物語る見応え十分な伝記ドラマです。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)