映画「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」のあらすじネタバレと感想!登場人物とキャストは?

イギリスの児童文学作家J・K・ローリングの世界的ベストセラーを完全映画化、世界中に旋風を巻き起こした“ハリー・ポッター”シリーズ。
今回はシリーズ第5作であり、今後の壮大なクライマックスへの序章となる『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』についてのあらすじとネタバレ、感想を大特集しますので最後までお付き合いください。

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『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の作品情報

タイトル:ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団
原題:Harry Potter And The Order Of The Phoenix
監督:デヴィッド・イェーツ
脚本:マイケル・ゴールデンバーグ
原作:J・K・ローリング
製作:デヴィッド・バロン/デヴィッド・ハイマン
公開:2007年7月13日(アメリカ)、2007年7月20日(日本)
出演:ダニエル・ラドクリフ/ルパート・グリント/エマ・ワトソン/マイケル・ガンボン/アラン・リックマン/マギー・スミス/ロビー・コルトレーン/ゲイリー・オールドマン/トム・フェルトン/デイビッド・ブラッドリー/ヘレナ・ボナム=カーター/ブレンダン・グリーソン/リチャード・グリフィス/ジェイソン・アイザックス/フィオナ・ショウ/デヴィッド・シューリス/エマ・トンプソン/ワーウィック・デイヴィス/ロバート・ハーディ/ジョージ・ハリス/ナタリア・テナ/ジュリー・ウォルターズ/マーク・ウィリアムズ/イメルダ・スタウントン/レイフ・ファインズ など

監督は本作から最終作『死の秘宝 PART2』までメガホンを執ることになり、スピンオフ『ファンタスティック・ビースト』シリーズも手掛けることになるデヴィッド・イェーツが就任しています。
脚本はシリーズのほとんどを手掛けるスティーヴ・クローヴスではなく、本作のみマイケル・ゴールデンバーグが執筆しています。音楽はイェーツ監督と旧知の仲であるニコラス・フーパーが手掛けています。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』のキャストと登場人物について

主演のダニエル・ラドクリフ、ルパート・グリント、エマ・ワトソンをはじめ、主要キャストはほとんどが続投しています。
本作から新たに登場する悪役として、『ヴェラ・ドレイク』『マレフィセント』のイメルダ・スタウントン、『アリス・イン・ワンダーランド』『英国王のスピーチ』のヘレナ・ボナム=カーターが参戦しています。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』のあらすじ・ネタバレ

ハリー、ホグワーツ退学の危機

猛暑のロンドン。
夏休みのため親戚のダーズリー家に帰省していたハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)は公園で物思いに耽っていた時、取り巻きと共に年下の少年をいじめていた従兄弟のダドリー(ハリー・メリング)と口論となったのだ。
その時、空は闇に包まれ、危険を感じたハリーとダドリーはトンネルに逃げ込んだところ、突然現れた2匹のディメンター(吸魂鬼)に襲われて魂を抜かれそうになってしまったのである。

ハリーは守護霊の呪文“パトローナム”を使ってディメンターを退け、ホグワーツ魔法魔術学校アルバス・ダンブルドア校長(マイケル・ガンボン)からハリーを見張るよう指示されたという近所のフィッグおばさん(キャスリン・ハンター)に助けられるのだった。

ハリーは連絡が来るまではダーズリー家で待機するようフィッグに命じられ、叔父バーノン(リチャード・グリフィス)や叔母ペチュニア(フィオナ・ショウ)から叱られていた時、魔法省から手紙が届き、ハリーは“未成年魔法使いの制限に関する法令”で禁じられているマグル(魔法を使えない一般人)の目の前で魔法を使った罪によりホグワーツの退学処分を受けてしまったのだ。

叔父叔母はダドリーを病院に連れて行っている間、ハリーは宿敵ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)が復活した時のフラッシュバックに苛まれていたのである。

不死鳥の騎士団

ハリーの元にホグワーツ教師アラスター・“マッド・アイ”・ムーディ(ブレンダン・グリーソン)が仲間のキングズリー・シャックルボルト(ジョージ・ハリス)やニンファドーラ・トンクス(ナタリア・テナ)らと共に訪れ、ダンブルドアが懲戒尋問が終わるまでは処分を保留にするよう大臣らと交渉していることを告げたのだった。

ハリーを家から連れ出したマッド・アイらは箒を召喚してロンドンの街中を飛び回り、ハリーをあるアパートへと導いたのだ。
そこでは、ハリーの後見人シリウス・ブラック(ゲイリー・オールドマン)や恩師リーマス・ルーピン(デヴィッド・シューリス)、ロン・ウィーズリー(ルパート・グリント)の母モリー(ジュリー・ウォルターズ)らが、魔法大臣コーネリウス・ファッジ(ロバート・ハーディ)は今やただの政治屋に成り下がっており、ヴォルデモート卿復活という現実と向き合っていないことに懸念を示していたのである。

ハリーは屋敷しもべ妖精のクリーチャー(声:ティモシー・ベイトソン)の愚痴を聞きながらロンやハーマイオニー・グレンジャー(エマ・ワトソン)の待つ部屋に入り、ハーマイオニーらは魔法省のやり方に不満を露わにするのだった。

ハーマイオニーいわく、ここはかつてダンブルドアがヴォルデモート卿と戦うために結成した秘密結社“不死鳥の騎士団”本部だという。

ハリーやハーマイオニー、ロン兄弟はシリウスらの会議を盗み聞きし、セブルス・スネイプ(アラン・リックマン)も騎士団の一員であることを知ったのだ。
その後、夕食に招かれたハリーらは、魔法省役人であるロンの父アーサー(マーク・ウィリアムズ)から新聞を見せられ、ヴォルデモート卿復活に怯えるファッジがマスコミに圧力をかけてハリーやダンブルドアの中傷記事を書かせていることを伝えたのである。

シリウスはヴォルデモート卿が軍団を再編成して“あるもの”を探そうとしていることをハリーに告げようとするが、マッド・アイやモリーは固く口留めするのだった。

ウィセンガモット法廷

8月12日。
ハリーはアーサーに連れられて地下鉄に乗り、公衆電話型の秘密の出入り口を使って魔法省に入ったのだ。
初めて魔法省内部に足を踏み入れたハリーは、“神秘部”付近でファッジに話しかけるルシウス・マルフォイ(ジェイソン・アイザックス、ドラコ(トム・フェルトン)の父)の姿を目撃したのである。

ハリーは地下にある“ウィセンガモット法廷”での懲戒尋問に出頭、ファッジはハリーの主張を一蹴して一方的に責め立てたのだった。

しかし、ハリーの弁護についたダンブルドアは証人としてフィッグおばさんに証言させ、法令の「生命の危機に瀕した際に限り魔法の使用を認める」との文言を引用、陪審員による多数決の結果、ハリーは無事に無罪放免を勝ち取ったのだ。

ホグワーツに向かうため、騎士団の面々と駅に向かったハリーは、見送りに来たシリウスから初代“不死鳥の騎士団”の写真を託され、次世代の騎士団を担えと励まされたのである。

恐怖の新任教師

ホグワーツに着いたハリーは、ドラコの嫌味にムキになりロンらに制された。
途中、ハリーたちは“変人”呼ばわりされている女子生徒のルーナ・ラブグッド(イヴァナ・リンチ)と知り合い、一緒の馬車で学校へと向かうのだった。

恒例の歓迎会食の席で、ダンブルドアは不在にしているルビウス・ハグリッド(ロビー・コルトレーン)の代わりの魔法生物飼育学教授にグラブリー・プランクが、闇の魔術に対する防衛術の新任教授にはドローレス・アンブリッジ(イメルダ・スタウントン)が就任すると発表したのだ。

アンブリッジはハリーの尋問の時にもいたファッジの部下であり、ハリーや生徒たちの不安をよそにアンブリッジはこれから魔法省が積極的にホグワーツの運営に関与することを示唆したのである。

ハリーは自分やダンブルドアを中傷する新聞記事を鵜呑みにする同級生のシェーマス・フィネガン(デヴォン・マーレイ)らと衝突してしまった。
その夜、ハリーはまたしてもヴォルデモート卿の悪夢に苛まれるのだった。

変貌するホグワーツ

教壇に立ったアンブリッジは、シューマスが飛ばした紙飛行機を魔法で燃やし、これから開催される“普通魔法レベル試験(O.W.L、通称:フクロウ試験)”の趣旨を説明すると、「危険のない方法」として実技を伴わない教科書のみの授業を始めたのだ。
理論だけではヴォルデモート卿のような強敵に対抗できないと物言いをつけたハリーに対し、アンブリッジはヴォルデモート卿の復活を否定したうえで、特殊な羽ペンで「嘘をついてはいけません」と書かせ、それが左手の甲に傷として浮かび上がるという“書き取りの罰則”を課したのである。

ロンの双子の兄フレッド(ジェームズ・フェルプス)とジョージ(オリバー・フェルプス)は食べれば授業をサボれる“ズル休みスナック”を生徒たちに配って歩くなか、ハリーの手の傷に気付いたロンとハーマイオニーはダンブルドアに訴えようとするが、ハリーは彼に迷惑はかけたくないと制するのだった。

ハグリッドがいないことを寂しがるハリーは森を散策すると、ルーナが魔法生物と接しているところを目撃したのだ。
これらの魔法生物はハリーとルーナにしか見えず、彼女が言うには“死”を見た者にしか見えないということである。

ヴォルデモート卿の復活を信じるルーナは、ハリーが孤立させられているのはヴォルデモート卿の狙いなのではと指摘するのだった。

その後、ミネルバ・マクゴナガル(マギー・スミス)はアンブリッジの強硬路線を批判するが、アンブリッジは魔法省の権威を盾に“授業改革”と称して猛威を振るい、自ら高等尋問官に就任すると次々と厳しい校則を設けて生徒たちを縛り付けようとしたのだ。

アンブリッジはスネイプにも冷淡な態度を取り、自分に恐ろしい危機が迫っていると予言した占い学教授のシビル・トレローニー(エマ・トンプソン)を追放しようとしてダンブルドアの怒りを買ってしまったのである。

ダンブルドア軍団

アンブリッジに強い不満を抱くハリー、ロン、ハーマイオニーはシリウスと暖炉の炎を通じて交信、ダンブルドアが軍団を結成して魔法省に盾突くと妄想を抱いたファッジはホグワーツの生徒に戦闘訓練を受けさせないつもりでいること、ヴォルデモート卿が動き出したことにより行方不明を遂げた者が相次いでいることを知らされたのだった。

「今は君たちで乗り切るんだ」とシリウスに促されたハーマイオニーはアンブリッジに内密で防衛術を習得する決意を固め、魔法の村ホグズミードにある古びたパブ”ボッグス・ヘッド”にハリーやロン、賛同者を集め、ハリーを講師役とする“ダンブルドア軍団”を結成したのだ。

ハリーたちの動きを察知したアンブリッジは早急に手を打ち、学生による全ての組織活動を禁止し、違反者は容赦なく退学処分にすると宣言したのである。
そんな中、ハリーの同級生ネビル・ロングボトム(マシュー・ルイス)は校内に偶然にも、本当に必要なときに現れる“あったりなかったり部屋”を見つけ、ハーマイオニーはこの部屋を練習場所にすることに決めたのだった。

ハリーはこれまでの修羅場を潜り抜けた経験を踏まえ、仲間たちに防衛術の呪文を伝授していった。

アンブリッジは独断で更なる校則を発令、規則違反者には尋問を課すと宣言、新たに“尋問官親衛隊”を結成すると管理人アーガス・フィルチ(デイビッド・ブラッドリー)やドラコらを加入させたのだ。
ハリーたちは親衛隊の目を欺きながら魔法に磨きをかけていき、健闘を称え合うと共に冬休み中も密かに自習を行うことを誓い合ったのである。

ハリーは、魔法省で働く母をクビにするとアンブリッジから脅されたチョウ・チャン(ケイティ・リューング)を慰め、二人は初めてのキスを交わすのだった。

後になって、ハリーはロンとハーマイオニーに、あの時チョウが泣いていたと振り返ったのだ。
ハリーやハーマイオニーは、チョウは未だにヴォルデモート卿に殺されたセドリック・ディゴリー(ロバート・パティンソン)への想いを捨て切れないでいることに気付いていたのである。

その夜、ハリーはアーサーがヴォルデモート卿の蛇“ナギニ”に傷付けられる夢を見るのだった。
夢の話を聞いたダンブルドアはすぐさま騎士団に連絡するなど対策に追われ、自分の身に何が起こっているのかと問うハリーの声には耳を傾けられなかったのだ。

代わりにスネイプがハリーの問いに答え、ヴォルデモート卿と魔法でぶつかり合った際に“絆”が生まれてしまったとし、このままだとハリーの心はヴォルデモート卿に操られる危険性があるため、スネイプはハリーに心への侵入を防ぐ魔法“閉心術”を伝授することにしたのである。

クリスマス休暇

ロンドンの騎士団本部でクリスマス休暇を過ごしていたハリーやハーマイオニー、ロン一家の元に退院したアーサーが戻ってきた。
ハリーらはシリウスも交えてクリスマスパーティーを楽しんだ後、シリウスはハリーにこの本部は元々はブラック家の自宅であり、自分は両親の狂信的な純血主義を嫌がって16歳の時に家出したこと、従姉には悪に染まった魔女ベラトリックス・レストレンジ(ヘレナ・ボナム=カーター)がいることを明かしたのだ。

ハリーは、ヴォルデモート卿との繋がりのせいで自分は悪に染まりかけているのではないかと不安をこぼすが、シリウスは「君は悪人ではない。悪いことが重なっただけなんだ。誰もが心に光と闇を抱えている。どちらを選ぶかだ。人はそこで決まる」と励まし、全てが解決したらハリーを養子に迎えると約束したのである。

ベラトリックス脱獄

年は明け、ハリーたちはホグワーツに戻った。
ハグリッドが戻って来たことを知ったハリー、ロン、ハーマイオニーは彼の小屋に向かうが、そこではアンブリッジが全身傷だらけのハグリッドを問い詰めているところだった。

アンブリッジが帰った後、ハグリッドはハリーたちに、ダンブルドアからの極秘指令で巨人を味方につけるべく交渉していたことを明かし、ヴォルデモート卿の軍団“死喰い人(デスイーター)”も巨人の国に来ていたことを打ち明けたのだ。

ハグリッドは、間もなくホグワーツに“嵐”が吹き荒れようとしていることを感じ取ったのである。

それから間もなく、魔法界の刑務所アズガバンに特別監視下で収監されていた、死喰い人となっていたベラトリックスら10人の囚人が脱獄する事件が発生した。
魔法省はシリウスが脱獄の手引きをしたとの見解を示したが、これまで魔法省の発表を信じ切っていたシューマスは一転してハリーたちを信じると言い出したのだった。

ネビルはハリーに、騎士団員だった両親(ジェームズ・ペイトン、リサ・ウッド)はベラトリックスから“磔の呪文”による拷問を受けたものの決して口を割らなかったと明かし、両親を誇りに思うというネビルをハリーは「ご両親のためにも頑張ろう」と励ましたのだ。

シューマスを仲間に加えたダンブルドア軍団は、ハリーの熱心な指導のもと防衛術の訓練に励んでいったのである。

新校長アンブリッジの独裁

ある日、ダンブルドア軍団の訓練場所はチョウの密告によりアンブリッジに突き止められてしまい、ハリーたちはドラコら尋問官親衛隊に捕らえられてしまった。
ダンブルドアは自分が軍団結成を指示したと発言して全ての責任を背負い、駆け付けたファッジはダンブルドアをアズカバンに連行しようとしたが、ダンブルドアは現れた不死鳥フォークスに助けられてその場を去ったのだった。

アンブリッジはホグワーツの新校長に就任、極端な校則を乱発して圧政を敷き、尋問官親衛隊を優遇してそれ以外の生徒たちを恐怖の独裁政治で縛り付けたのだ。

ハリーは裏切ったチョウを冷たく突き放し、ロンとハーマイオニーにダンブルドア軍団の解散を示唆したところ、ハグリッドが現れてハリーたち3人を“禁じられた森”に誘ったのである。
そこには魔法省に住処を追われたケンタウロスの群れがおり、ハグリッドは自分が解雇される前にと父親違いの弟である巨人グロウピーをハリーたちに紹介するのだった。

ハーマイオニーは乱暴者のグロウピー手懐けることに成功、ハグリッドは自分の唯一の家族であるグロウピーの面倒を見てくれるようハリーたちに頼んだのだ。

ハリーは引き続き、スネイプと共に閉心術の訓練に打ち込んでいた。
ハリーの心の弱さを見抜いたスネイプは「お前は父そっくりだな。傲慢な怠け者だったよ。お前の父は卑劣な男だった」と言い放ったところ、反論したハリーは逆にスネイプの心の中を読み、若き日のスネイプ(アレック・ホプキンス)がハリーの父ジェームズ(ロビー・ジャーヴィス)から執拗ないじめを受けていたことを知ってしまったのである。

父の意外な一面を垣間見てしまったハリーに、取り乱したスネイプは「訓練は終わりだ。出ていけ」と告げるのだった。

アンブリッジから体罰を受けた生徒を慰めたフレッドとジョージは退学を決意、アンブリッジに一矢報いるべく“フクロウ試験”の最中に箒に乗って校内を飛び回り、魔法の花火を打ち上げて試験をブチ壊し、校内に掲げられていた校則を破り捨てて去っていったのだ。

生徒たちはフレッドとジョージに拍手喝采を送ったが、その最中でハリーはシリウスが“あるもの=予言”を欲しがるヴォルデモート卿から拷問を受けていること、それが魔法省の神秘部にあることを察知したのである。

アンブリッジをやっつけろ

ハーマイオニーは、ハリーが見たものはヴォルデモート卿による罠かもしれないと忠告するが、ハリーは唯一の家族であるシリウスを助けるため、煙突飛行ネットワークを使って魔法省に乗り込もうとしたがアンブリッジに捕まってしまったのだった。

ハリーは自白を強要する“真実薬”を飲まされそうになるが、薬はダンブルドア軍団の訓練場所を吐かせるためチョウに飲ませたことから在庫はなく、ハリーはスネイプに「“パットフッド”(シリウスが犬に変身した時の別名)は“あれ”の隠し場所で捕まった」と彼にしかわからないメッセージで危機を伝えたのだ。

アンブリッジは違法行為の“磔の呪い”でハリーを尋問しようとしたが、ハーマイオニーは“ダンブルドアの秘密の武器”の在り処を話すと告げ、アンブリッジを禁じられた森の奥深くへと案内したのである。

そこには魔法省に恨みを持つケンタウロスたち、そしてグロウピーが待ち構えており、アンブリッジを捕らえて連れ去っていったのだった。
その際、ハリーは醜く命乞いをするアンブリッジに「嘘をついてはいけませんから」と突き放したのだ。

神秘部の戦い

ハリーとハーマイオニーは、“ゲーゲー・トローチ”を使って難を逃れたロンとその妹ジニー(ボニー・ライト)、ネビル、ルーナと合流した。
ハリーは一人で魔法省に乗り込むつもりだったが、ロンたちは「一人で背負うなよ。こういう時のためのダンブルドア軍団じゃないの?」と協力を申し出、一行はルーナが手懐けていたドラゴンの背に乗って魔法省のあるロンドンへ向かったのである。

神秘部に乗り込んだハリーたちは、保管庫の中でハリーの名が記された「闇の帝王を破る力を持つ者が現れる。両者は互角なれど、その者は帝王の知らぬ力を持つ。一方が生きる限り、他方は生きられぬ」という“予言”を発見したのだった。

しかし、その場にルシウスとベラトリックスが死喰い人を引き連れて現れ、ハリーに秘められた謎を明かすことを条件に“予言”を奪い取ろうとしたのだ。
ハリーたちは防衛術を駆使して死喰い人の追跡を逃れようとしたが捕らえられてしまい、ハリーは仲間たちを人質に取られ、やむなく“予言”をルシウスに渡そうとしたその時、シリウスが駆け付けてルシウスに殴り掛かったのである。

“予言”は粉々に砕け散り、更にはマッド・アイら不死鳥の騎士団も駆け付け、死喰い人との激しい戦いが幕を開けたのだった。

ハリーとシリウスは連携してルシウスを追い詰めたが、ベラトリックスはシリウスに“死の呪い”を放ち、シリウスは死の世界へと吸い込まれていったのだ。

逆上したハリーはルーピンの制止を振り切ってベラトリックスを追い、杖をかざしたところ、現れたヴォルデモート卿がハリーに“死の呪い”を使うよう挑発したのである。
その直後、その場にダンブルドアが現れ、ヴォルデモート卿と凄まじい魔法戦を展開、その隙にベラトリックスは姿を消すのだった。

壮絶な激闘の最中、ヴォルデモート卿は姿を消してハリーの心の中に入り込もうとするが、ハリーは激しい葛藤の末に仲間たちとの絆を再認識し、「弱いのはお前だ。愛も友情も知らない哀れな奴だ」と言い放ち、ヴォルデモート卿を心から追い払ったのだ。
ヴォルデモート卿は「貴様は全てを失うのだ」と捨て台詞を吐いて去っていったのである。

騒ぎを聞いて駆け付けたファッジや魔法省の人々はヴォルデモート卿の復活は真実であったことに気付き、ハリーとダンブルドアの疑いは晴れたのである。

守るべきもの

これまで魔法省に圧力をかけられていたマスコミもヴォルデモート卿の復活を大々的に報じ、ファッジの権威は失墜、アンブリッジは停職処分となってホグワーツを追われ、ダンブルドアは校長に復職したのだった。

学期が終わり、帰り支度をしたハリーはダンブルドアに会い、“絆”を利用しようとするヴォルデモート卿の関心を削ぐためあえてハリーを遠ざけていたこと、そしてこれ以上ハリーを苦しめられないために“予言”のことをあえて語らなかったことを知らされたのだ。

ハリーは、持ち物を隠されてしまい探しているルーナと遭遇、ルーナはシリウスの死を悼むと共に母の言葉「失ったものは戻ってくる。意外なところから」をハリーに贈って励ましたのである。

ハリーはロンとハーマイオニーに改めて戦う覚悟を示すと、「僕たちはヴォルデモート卿にはないものを持っている。それは”守るべきもの”だよ」と語り、ロンドン行きの特急に乗り込むのだった。

『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』の感想とまとめ

いよいよシリーズも後半戦に突入、今後に向けた新たな伏線として最強の敵・ヴォルデモート卿に対抗する2つの組織“不死鳥の騎士団”“ダンブルドア軍団”が登場、更にはホグワーツ魔法魔術学校の教師セブルス・スネイプ(演:アラン・リックマン)とハリーの父との過去の知られざる因縁(これこそが最重要キーワードのひとつとして後々のシリーズの鍵を握ることになります)などが描かれる反面、これまでのシリーズで描かれてきたスポーツ“クィディッチ”のシーンが省かれるなど、これからのシリーズがより一層ハードでシリアスなダークファンタジー色に染まっていく前兆を色濃く描き出しています。

本作のヴィラン(悪役)といえば、前作『炎のゴブレット』で大々的に復活を果たしたヴォルデモート卿に加え、本作より新たに参戦したハリーの後見人シリウス・ブラック(演:ゲイリー・オールドマン)の従姉でありながらも悪に身を落としたベラトリックス・レストレンジ(演:ヘレナ・ボナム=カーター)が出番は少ないながらも今後のシリーズに向けてアピールしたわけですが、これらのヴィランを差し置いて圧倒的な存在感を示したのは、やはりシリーズきっての“嫌われ者”である“女帝”ドローレス・アンブリッジ(演:イメルダ・スタウントン)で間違いないでしょう。

原作者J・K・ローリング先生が“個人的に嫌いな人物”をモデルに創作したというこの“ドローレス・アンブリッジ”、“ガマガエル”と評される醜悪な性格を隠すかのようにピンク基調のコーディネートや子猫の絵画などでカモフラージュした姿が印象的であり、名前の由来は“ドローレス(Dolores)”がラテン語で“苦しみ”“痛み”“嘆き”を表す「dolor」、“アンブリッジ(Umbridge)”が英語で“憤り”“不快”“陰”を現す「Umbrage」から来ているなど、ヴォルデモート卿に匹敵する“純粋な悪”を体現したかのような強烈すぎるキャラクターとなっています。

『ヴェラ・ドレイク』で人知れず違法な堕胎の手助けをする悲劇の主人公を演じ、英国アカデミー賞やヴェネツィア国際映画祭、ヨーロッパ映画賞など数々の映画賞を受賞した名優イメルダ・スタウントンがこれまた憎ったらしいまでの怪演で演じあげたアンブリッジは、本来ならばハリーやホグワーツなどを援護する立場でありながらも腐敗ぶりが明らかになった“魔法省”の権威を盾に暴虐の限りを尽くし、ホグワーツ校長の座を乗っ取ると圧政を敷いて生徒たちを恐怖で支配するなど徹底的なヒール(悪役)に徹し、その裏側でアンブリッジに内密で魔法の腕を磨き上げていくハリーたちの奮闘をより一層際立たせることにも成功しています。

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