アメリカが世界に誇る2大コミックの一角「DCコミックス」のスーパーヒーローの中でも、スーパーマンと並ぶ代表的なキャラクター“バットマン”。
今回はバットマンの実写版映画第6作目にしてクリストファー・ノーラン監督の“ダークナイト”三部作の第2作である『ダークナイト』についてのあらすじとネタバレ、感想についてご紹介します。
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『ダークナイト』の作品情報
タイトル:ダークナイト
原題:The Dark Knight
監督:クリストファー・ノーラン
脚本:クリストファー・ノーラン/ジョナサン・ノーラン
原作:ボブ・ケイン/ビル・フィンガー『バットマン』
製作:クリストファー・ノーラン/チャールズ・ローヴェン/エマ・トーマス
公開:2008年7月18日(アメリカ)、2008年8月9日(日本)
出演:クリスチャン・ベール/マイケル・ケイン/モーガン・フリーマン/ゲイリー・オールドマン/アーロン・エッカート/マギー・ギレンホール/チン・ハン/エリック・ロバーツ/キリアン・マーフィー/ヒース・レジャー など
監督は前作『バットマン・ビギンズ』に引き続きクリストファー・ノーラン、脚本はノーラン監督の実弟であるジョナサン・ノーランが本作から参加、兄と共同で執筆しています。
ノーラン監督は本作よりプロデューサーも兼任しており、音楽は前作に引き続きハンス・ジマーとジェームズ・ニュートン・ハワードが共同で担当しています。
『ダークナイト』のキャスト
主演のクリスチャン・ベール(バットマン)、助演のマイケル・ケイン(アルフレッド執事)、モーガン・フリーマン(フォックス)、ゲイリー・オールドマン(ゴードン警部)は前作から続投、ヒロインのレイチェル役は前作のケイティ・ホームズからマギー・ギレンホールに交代しています。
本作では『バットマン』(1989年)でジャック・ニコルソンが演じて以来となるバットマンの永遠のライバル“ジョーカー”をヒース・レジャーが演じています。なお、レジャーは本作の公開を見ることなく2008年1月22日に急逝、死後にアカデミー助演男優賞が贈られています。
『ダークナイト』のあらすじ・ネタバレ
ジョーカー、ゴッサムシティに降臨
ゴッサムシティ。
ピエロの覆面を被った強盗団が銀行を襲撃する事件が発生した。
“ジョーカー”なる人物から依頼されたという強盗団は巨大金庫からマフィアの裏金を奪って逃げようとするが、一団の中にジョーカー(ヒース・レジャー)本人が混じっており、ジョーカーは強盗たちを始末すると大金を独り占めして逃走していったのである。
バットマンの自警活動
ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)は表の顔は超巨大企業「ウェイン産業」のオーナー、裏の顔は“バットマン”として、執事のアルフレッド・ペニーワース(マイケル・ケイン)、ゴッサム市警内の唯一の理解者であるジム・ゴードン警部補(ゲイリー・オールドマン)の協力を得ながら街の自警活動をしていた。
この日もバットマンは、スケアクロウ(キリアン・マーフィー)や偽バットマンが絡む犯罪組織の取引現場に乗り込み、バットモービル“タンブラー”の遠隔操作を駆使して一味を捕らえることに成功したのだった。
バットマンはマフィアの裏金を押収したゴードンに接触、ジョーカーの次の狙いがマフィアの資金洗浄に加担している市内5ヶ所の銀行にあると睨んだのだ。
ウェイン邸が破壊されて以来(前作『バットマン・ビギンズ』参照)、ブルースとアルフレッドはウェイン産業の本社ビルや会社所有地内の秘密のアジトを拠点としていたのである。
ブルースは悪党との戦いで負った傷の手当てをしながら、テレビのニュースを賑わす地方検事ハービー・デント(アーロン・エッカート)の話題に目を向けるのだった。
ゴッサムの新たな希望
デントはブルースの元恋人レイチェル・ドーズ検事補(マギー・ギレンホール)と交際しており、共にマフィアの超大物サルヴァトーレ・マローニ(エリック・ロバーツ)を立件すべく法廷で論戦を繰り広げていた。
マローニを立件できなかったデントはゴードンに会い、腐敗の進む警察は信用できないとして独自に捜査する考えを示したのだ。
その頃、ウェイン産業は香港の実業家ラウ(チン・ハン)率いるベンチャー企業との提携交渉に臨んでいたが、疲れ果てたブルースは会議中に居眠りしてしまった。
ブルースの態度に不信感を抱く会計士コーマン・リース(ジョシュア・ハート)に、ブルースの協力者であるルーシャス・フォックス(モーガン・フリーマン)は職務に専念するよう諭したのである。
会議終了後、ブルースはフォックスと二人きりになり、ラウの会社が違法行為に加担しているとしたうえでバットマンスーツの改良を極秘裏に依頼するのだった。
ブルースは自らの経営する高級レストランでデントとレイチェルに会い、裏で活動するバットマンとは異なり正々堂々と悪と戦うと主張するデントの姿勢に感銘を受け、資金面での協力を申し出たのだ。
バットマン、香港へ
ジョーカーに資金を奪われたマローニ、ギャンボル(マイケル・ジェイ・ホワイト)、チェチェン人ボス(リッチー・コスター)らゴッサムのマフィアの大物たちは一堂に会して緊急会議を始めていた。
実は香港マフィアの大物であるラウは香港に向かうプライベートジェットからのテレビ通話で会議に参加、警察の一斉捜査が始まる前に資金を安全な場所へ移したことを明かしたのである。
ところが、会議の場に突然ジョーカーが現れ、バットマンとデントがマフィアたちの脅威になっている現実を告げると、ラウに対してバットマンには警察の管轄外は通用しないと忠告、そして全マフィアの資金の半分と引き換えにバットマンを殺すことを提案したのだった。
ジョーカーの人を喰ったような態度にキレたギャンボルは懸賞金50万ドルでジョーカーを殺すよう部下たちに指示したのだ。
一斉摘発に失敗したゴードンとデントは、ゴッサム市警の屋上で“バットシグナル”を掲げてバットマンを呼び寄せ、警察や検察の内部にマフィアとの内通者がいる可能性を示唆したのである。
ラウさえ確保できれば裁判で証言させるというデントの言葉を聞いたバットマンは、香港に乗り込んでラウの身柄を確保することにしたのだった。
ブルースはフォックスから新装備と軽量化されたバットマンスーツを受け取り、アルフレッドに飛行機を調達させると、バレエ団のトップスターのナターシャ(ベアトリス・ローゼン)との駆け落ちを装って香港に出発したのだ。
一方、ギャンボルの手下を買収したジョーカーは死体を装って彼に近づき、ナイフを突きつけて恐怖で支配、まんまとギャンボルの組織を乗っ取ることに成功したのである。
先回りして香港入りしたフォックスはラウとの商談と称して会社ビル内の警備システムを探り、セキュリティが強化されているをブルースに伝えた。
バットマンに変身したブルースは夜の闇に紛れ、フォックスがセキュリティを妨害している隙に近くの高層ビルから滑空してラウのビルに潜入、ラウの身柄を確保してゴッサムに連れ帰り、ゴードンに引き渡すことに成功したのだった。
ジョーカーの次なる作戦
レイチェルはラウを取調べ、金の在り処こそ得られなかったもののマフィアたちの情報を証言させることに成功したのだ。
デントは資金洗浄の罪でマフィア全員の起訴を決断、市警はゴッサム中のマフィア総勢549名を逮捕したのである。
しかし、法廷でマフィアたちを裁く裁判長の資料の中に、トランプの“ジョーカー”のカードが紛れ込んでいたのだった。
デントはゴッサム市長のアンソニー・ガルシア(アンソニー・ガルシア)にマフィア検挙の報告をしていたところ、市庁舎にジョーカーのメイクにバットマンの恰好をした男の絞殺体が吊るされたのだ。
その頃、アルフレッドと共にデントへの資金提供パーティーの準備をしていたブルースは、テレビのニュースで事情を知ったのである。
テレビを乗っ取ったジョーカーは、バットマンに対して世間に正体を明かすよう要求、さもなくば毎日死人が出ると宣言するのだった。
ブルースは予定通りパーティーを開催、会場のビルにはデントがレイチェルを伴って現れた。
ブルースはデントの功績を讃えるスピーチを行い、その後レイチェルにこれで安心してゴッサムの治安を彼に託せると語ったのだ。
デントは意を決してレイチェルにプロポーズしようと考えたが、彼女は未だにブルースとデントとの間で揺れ動いているのだった。
同じ頃、ジョーカーは次なる標的をデント、サリロ判事(ニディア・ロドリゲス・テラチナ)、ジリアン・ローブ市警本部長(コリン・マクファーレン)に決め、ゴードンら市警は身辺警備に追われていたが、サリロ判事は車に仕掛けられた爆弾で爆殺され、ローブ本部長も毒を盛られて殺害されてしまったのだ。
ジョーカーは手下を率いてパーティー会場に乱入、ブルースは急いでデントを安全な場所へ隠すとバットマンに変身、レイチェルに絡んできたジョーカーと対峙するが、ジョーカーはレイチェルを人質に取ってバットマンに正体を明かすよう要求してきたのである。
バットマンはジョーカーに突き落とされたレイチェルを救ったが、ジョーカーには逃げられてしまった。
一方、判事や本部長が殺害されたことで裁判が滞ることを恐れたデントは無理にでもラウに証言させようと迫るのだった。
ブルースはアルフレッドと共にジョーカーの行動や目的を探り、アルフレッドはウェイン家に仕える前の体験から、世の中には金や損得だけでは動かない者もいると諭したのだ。
ジョーカーは次の標的をガルシア市長に定める一方、ウェイン産業の閉鎖された部門の勘定を調べていたリースは、その部門からタンブラーの設計図が見つかったことからバットマンの正体はブルースだと推測、フォックスに詰め寄るも逆にかわされてしまったのである。
バットマンの正体
ゴッサム中心部ではローブ本部長の葬儀パレードが行われていた。
葬儀には厳戒態勢のもとデントやレイチェル、そしてガルシア市長も参列しているのだった。
ブルースは葬儀会場近くの部屋を探っていたところ、そこには警官数名が武器や制服を取り上げられて縛り付けられていたのだ。
警官に変装していたジョーカーはガルシア市長に向けて発砲したが、ゴードンは市長を庇って銃弾に倒れてしまったのである。
バットマンは取り乱すデントを匿い、明日会見を開くよう要請したのだ。
ブルースはレイチェルのもとを訪れ、ジョーカーを止める唯一の方法として明日のデントの会見で自らの正体を明かすことを伝え、彼女にキスをするが、レイチェルはもう二度と一緒にはなれないと告げたのである。
アルフレッドはバットマンスーツや装備などを封印するブルースに引き続き自警活動を継続するようアドバイスするが、ブルースは「バットマンの限界が分かった」と意志を変えることはなかったのだった。
翌日、ブルースが見守るなかでデントは記者会見を開き、何とバットマンの正体は自分だと発表してしまったのだ。
ブルースは予想外のことに驚きを隠せず、デントはその場で警察に逮捕されたのである。
会見をテレビで見たレイチェルはアルフレッドにブルースの真意を問い、いつか開けてほしいとブルース宛ての手紙を託したのだった。
拘置所に移送されることになったデントは必ずやジョーカーが護送車を襲撃することを予感しており、駆け付けたレイチェルとキスを交わしたのだ。
護送車が厳重な警備体制のもと出発するが、デントの読み通りジョーカー一味は奪ったトラックで襲撃をかけてきたのである。
ブルースはデントを救出するためバットマンに変身、タンブラーを駆ってジョーカー一味の前に立ちはだかったのだった。
ジョーカーはロケットランチャーで執拗に護送車を狙ってきたが、タンブラーは護送車を庇って被弾、走行不能に陥ってしまったのだ。
バットマンは脱出用バイク“バットポッド”で脱出、その直後にタンブラーは自爆したのである。
バットマンはジョーカーの乗るトラックを横転させ、這い上がったジョーカーは自分を殺してみろと挑発するが、不殺の誓いを立てているバットマンはジョーカーを殺すことができなかったのだった。
ジョーカーはバットマンの仮面を剥ごうとしたその時、死を偽装して護衛の警官に扮していたゴードンがジョーカーを逮捕したのだ。
ジョーカーは署内の拘置所に拘束され、ガルシア市長はゴードンの功績を讃えて新たな市警本部長に任命したのである。
究極の選択
ゴードンとバットマンはジョーカーを尋問するが、ジョーカーは予め警官を買収しており、デントとレイチェルを誘拐したことを明かした。
バットマンの執拗な拷問に対してもジョーカーは終始挑発的な態度を取り、「片方を助ければ片方が死ぬ」と予告するのだった。
デントとレイチェルはそれぞれ別々の場所に監禁されており、いずれの場所も大量のガソリン缶と時限爆弾が仕掛けられていたのだ。
ジョーカーから二人の居場所を聞き出したバットマンはレイチェルを、ゴードンはデントを救出するためにそれぞれの場所へと向かったのである。
ところが、バットマンが向かった先で捕えられていたのはデントであり、バットマンはジョーカーの罠にハメられたことに気付くのだった。
レイチェルはゴードンの救出も間に合わずに爆死、デントもバットマンに連れられて脱出する際に建物の爆発に巻き込まれて顔の半分に大火傷を負ってしまったのだ。
その頃、ジョーカーは捕まった手下の腹に仕掛けていた爆弾を爆発させ、ラウを連れて警察署から脱走したのである。
レイチェルがブルースに宛てた手紙にはこう書かれていた。
「私はデントと結婚します。あの日、あなたはバットマンが不要になれば一緒になれると言ったけども、私にはあなたがバットマンであることを捨てられないことが分かるし、そう望んでいます。これからは友人として・・・私への信頼を失ってもゴッサム市民への信頼は失わないで・・・生涯の愛をこめて」
アルフレッドはあえてブルースには手紙を渡さず、傷心のブルースにゴッサムはバットマンを必要としており、それはレイチェルの望みであったと諭すのだった。
トゥーフェイス誕生
デントの入院する病院に見舞いに行ったゴードンは、彼に署内の内通者の情報を教えるよう頼むが、絶望のあまり治療を拒んだデントは顔半分が醜い形相と化しており、自らをかつてのあだ名である“トゥーフェイス”と呼ぶよう命じたのだ。
マフィアから奪った金を山積みにしたジョーカーはその上にラウを座らせ、ガソリンを撒いて大金もろともラウを焼き殺したのである。
ちょうどその頃、ウェイン産業を去ったリースはテレビ番組に出演、バットマンの正体を明かそうとしていたが、ジョーカーはテレビ局に電話をかけ、もうバットマンの正体には興味がなくなったとして60分以内にリースを殺さねば病院を爆破すると脅迫してきたのだった。
ゴードンはゴッサム中の病院に部隊を投じて避難を命じ、自らは部下数名を率いてリースの確保に向かった。
ブルースはあえてバットマンには変身せず、ランボルギーニで現場へと急行したのだ。
テレビ局でリースを確保したゴードンたちだったが、正面玄関にはリースの命を狙う一般市民が大挙していたのである。
ブルースはリースを車で護送中のゴードンに「用心せよ」とメッセージを送り、アルフレッドに警察関係者などで入院している者がいないか片っ端から調べさせたのだった。
その頃、看護師に変装したジョーカーはデントの病室に忍び込み、言葉巧みに彼の怒りを煽って洗脳していったのだ。
妻が入院しているというゴードンの部下までもがリースの命を狙うなか、1台のピックアップトラックが護送車を狙っていることに気付いたブルースは、体当たり攻撃を自らのランボルギーニを盾にして防いだのである。
ジョーカーは病院を爆破、避難する人々を乗せたバスに紛れて逃亡したのだった。
ゴッサムシティを巻き込んだゲーム
ジョーカーは拉致した記者を使ってテレビ局をジャック、全てのゴッサム市民に対して“ゲーム”を開始すると宣言、従わない者は即刻ゴッサムから去るよう脅迫したのだ。
但し、ゴッサムに通じる全ての橋やトンネルには爆弾を仕掛けているのである。
その頃、復讐の鬼と化したデントは片っ端からレイチェルの死に関与した者たちを探し出し、コイントスの結果次第で容赦なく殺害していった。
バットマンは極秘裏に開発していた、全てのゴッサム市民の電話や通信を盗聴できるシステムを使って非合法にジョーカーの居場所を探し出す決意を固め、フォックスに唯一のアクセス権を託したのだった。
市側は市民を避難させるためフェリー2隻を調達、1隻には一般市民、もう1隻には囚人を乗せたのだが、ジョーカーは2隻ともに爆弾を仕掛けており、両方のフェリーには起爆スイッチが用意されていたのだ。
ジョーカーは船に連絡を入れ、12時にフェリーを2隻とも爆破すること、そして片方が起爆スイッチでもう一方のフェリーを爆破すれば助かると告げてきたのである。
ジョーカーはバスの乗客を人質に取り、とある高層ビルに立て籠った。
盗聴システムでジョーカーの居場所を特定したバットマンだったが、ジョーカーは人質にピエロの覆面を被せて手下に見せかけ、手下に医師の格好をさせていたのだった。
バットマンは人質を傷付けぬよう、突入してきたS.W.A.T.部隊を退け、ジョーカー相手に死闘を繰り広げた。
一方、両方のフェリーは最終的に互いを爆破することを拒否、そして12時を迎えたその時、バットマンはフェリーの爆破を阻止するとジョーカーを捕らえたのだ。
ジョーカーはなおもバットマンに「俺とお前は同類だ」と嘲り、ゴッサムを絶望させる最後の仕上げとしてデントを洗脳したことを明かした。
バットマンはジョーカーに「一生精神病院で過ごせ」と告げてその場を去り、間もなくジョーカーはS.W.A.T.部隊に逮捕されたのである。
その頃、レイチェルを罠にハメた人物を捉えたデントは、コイントスの結果により殺さない代わりに、ゴードンの妻バーバラ(メリンダ・マックグロウ)と子供たちを誘拐させたのだった。
ダークナイト
ゴードンはデントにレイチェルが殺害された場所へ呼び出された。
現れたデントはゴードンの弁明を拒絶、ゴードンの家族に銃を向けたのだ。
デントは駆け付けたバットマンに「公正に決める」としてコイントスを行い、手始めにバットマン向けて発砲したのである。
続いてデントはゴードンの息子の運命を決めようとコイントスしようとしたが、バットマンは隙を突いてデントに飛びかかり、ゴードンの息子を救った際にデントとバットマンは階下に転落、デントは打ち付けられて即死したのだった。
ゴードンは息子を助けてくれたことをバットマンに感謝しつつ、デントが犯罪者として死んだことで「ジョーカーの勝ちだ」と嘆いたのだ。
バットマンはデントが命がけで守ろうとしたゴッサムの希望を想い、「私は英雄などではない。私が彼ら(デントに殺された者たち)を殺した」と自らデントの罪を背負い、ゴードンに今すぐ警官隊を呼んで自らを追わせるよう命じたのである。
ゴードンはデントの葬儀で彼の功績を讃える弔辞を読み、バットシグナルを叩き壊すのだった。
アルフレッドはレイチェルの手紙をブルースに渡すことなく燃やし、フォックスは証拠隠滅のため盗聴システムを破壊したのだ。
ゴードンは、バットマンは悪いことをしていないという息子の問いに対し、「彼は英雄じゃない。沈黙の守護者、闇の監視者、そして“ダークナイト”だ」と、バットポッドで走り去るバットマンを見つめながら答えたのである。
『ダークナイト』の感想とまとめ
ティム・バートン監督、マイケル・キートン主演の『バットマン』(1989年公開)を起点とする四部作から一転、クリストファー・ノーマン監督の手によって生まれ変わった“バットマン”シリーズ、通称“ダークナイト”三部作。
新たなバットマン像を提示した前作『バットマン ビギンズ』(2005年公開)から3年、本作はシリーズで初めてタイトルから“バットマン”の文字が消え、より一層ダークでリアルな世界観が事細かに描かれ、前作を遥かに超える大ヒット作品となり、DCコミックス作品としては初めて全世界興行収入10億ドルを突破する快挙を達成しました。
本作の見所はもちろんバットマンの最大にして永遠のライバル“ジョーカー”の登場であり、本作でジョーカーを演じたヒース・レジャーは主役のバットマンはもちろんのこと大御所俳優陣を擁した作中の全ての登場人物、そしてスクリーンの向こう側のファンをも食うかのような圧倒的な存在感を示し、一切の濁りもない純粋な“悪”を全身全霊の演技で体感し、更には正義の象徴であったハービー・デント検事(演:アーロン・エッカート)すらも悪の道に引きずり込むといった独壇場を見せ、“バットマンの敗北”という衝撃的なラストを招くとともに、本作の19年前にジャック・ニコルソンが演じたジョーカーとは全く違った新たなジョーカー像を創造することに成功しました。
惜しくもヒース・レジャーは作品の公開を待たずにこの世を去り、途中でノーラン監督作『インセプション』を挟んだとはいえ続編『ダークナイト ライジング』の公開までに4年もかかったことから、現場ではヒース・レジャーの穴を埋められる俳優が中々現れず(最終的にトム・ハーディの器用で乗り切りましたが)、彼の不在のショックがどれだけ強かったのかが伺えます。
昨今の“DC・エクスンテッド・ユニバース”に取り込まれた現行のバットマン・シリーズは、最大の目玉だった『ジャスティス・リーグ』の不振に加えて5代目バットマンのベン・アフレックの降板により暗礁に乗り掛かりつつある状況ですが、本作を含む“ダークナイト・トリロジー”は過去作品のリブートがオリジナルを超えるという好例であり、スーパーマンやワンダーウーマン、アクアマンやフラッシュなど“超人”の力を借りずとも(ダークナイト・トリロジーには特殊能力を持つ超人が一切登場しないのも特徴です)ヒーロー作品が単独で成立し自己完結しうる例を知らしめたといっても過言ではないでしょうか。
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