映画『ビューティフル・ボーイ』あらすじ・ネタバレ!無料動画を視聴する方法も紹介

2016年度、63,630人が薬物の過剰摂取で死亡したアメリカ。この何倍もの人々が現在も苦しむ麻薬中毒について描かれたのが、『ビューティフル・ボーイ』です。自分達の経験を実名で回顧録として出版したジャーナリストのデヴィッド・シェフと当事者のニコラス・シェフ。2人の視点を丁寧に織り交ぜた実話の映画化です。『キック・アス』や『それでも夜は明ける』等を手掛けたブラッド・ピットの製作会社が出資。

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『ビューティフル・ボーイ』作品情報

タイトル:ビューティフル・ボーイ

原題:Beautiful Boy

監督:フェリックス・バン・フュルーニンゲン

脚本:フェリックス・バン・フュルーニンゲン、ルーク・デイヴィス

原作:デヴィッド・シェフ『Beautiful Boy: A Father’s Journey Through His Son’ Addiction』ニコラス・シェフ『Tweak: Growing Up on Methamphetamines』

製作:ブラッド・ピット、テデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー

公開日:2018年10月12日(アメリカ)、2019年4月12日(日本)

出演者:スティーヴ・カレル、ティモシー・シャラメ、モーラ・ティアニー、エイミー・ライアン

『ビューティフル・ボーイ』概要

本作の監督を務めたフェリックス・バン・フュルーニンケンは、原作を読み映画化したいという意向を持ちます。アカデミー賞外国語映画賞にノミネートされた自身の作品『オーバー・ザ・ブルースカイ』同様、人生を祝う事がテーマであるため、暗い影の部分も描く必要があると話します。また、フュルーニンケンは、シェフ父子と友人関係に発展する程親しくなった事で、より濃密な脚本を完成させています。

キャスト

主人公のデヴィッド・シェフを演じたのは、『フォックス・キャッチャー』のスティーヴ・カレル。息子・ニコラスに扮するのは、『君の名前で僕を読んで』で大注目を浴び、本作の熱演でゴールデン・グローブ賞助演男優賞にノミネートされたティモシー・シャラメです。義母役には、『ER』のアビー役でお馴染みのモーラ・ティアニー。

『ビューティフル・ボーイ』あらすじ・ネタバレ

デヴィッド・シェフは病院へ電話して2日前から行方が分からない18才の息子・ニコラス(ニック)が運び込まれていないか尋ねる。息子の名前と容姿の特徴を伝えるが、該当者なしと言われた。

前妻のヴィッキーに連絡してニックの事を説明するが、お互い口論になってしまうだけだった。アトリエで絵を描いていた妻のカレンの所へやって来たデヴィッド。状況を察したカレンは、何も言わずにデヴィッドを抱きしめる。

ニックが12才の時、デヴィッドとカレンの間に息子が誕生。ニックは、病院で初めて会う弟・ジャスパーを胸に抱き目を輝かせる。その光景をデヴィッドとカレンは微笑ましく見つめていた。

その後夏季休暇を迎え、ロサンゼルスに居る母と過ごすニックをデヴィッドは空港へ送る。搭乗ゲートで父息子は抱きしめ合う。デヴィッドは、楽しく過ごせと声を掛け、「何よりも」とニックに言う。そして、ニックもまた「何よりも」と返した。

麻薬中毒更生施設へ

行方が分からなかったニックが自室で寝ている所をデヴィッドが見つける。2人は、麻薬中毒者の更生施設を訪れた。嫌がるニックだったが、父のためにやると言い中へ入る。ニックの体内に大量の麻薬が残っている事が検査で分かり、即刻治療が必要となった。

施設側は、最悪なのは、ニックが現実を受け入れていない事だと指摘。そして、成功率は25パーセントから80パーセントで、状況と人によると示唆された。28日間のプログラムに参加する事になり、デヴィッドとニックは「何よりも」と言い合って別れた。

面会日、大きな改善が見られたと報告を受けるデヴィッドとカレン。ニックは、帰宅せずに社会復帰施設へ入所し、就職を目指すので進学はしないと話す。どんな仕事かと尋ねるデヴィッドに、ニックは独立したいと明かした。

しかし、ニックは、自由時間中に更生施設から逃げ出してしまう。揺り戻しは回復へ向かう一部だが外へ出た入所者の責任は取らないと施設担当者から聞いたデヴィッドは、車で息子を探しに行く。大雨の中、路地に座り込むニックを見つけた。

以前、進学するためニックが6つの大学へ願書を提出したある日、父子はマリファナを吸いながら午後を過ごした。麻薬について訊かれたデヴィッドは、過去に自分も試した事があると認め、気をつけるよう忠告する。

ニックは、馬鹿げた日常で受けるストレス発散のため、時々パーティーで麻薬を試すだけだと話す。話を聞いた父は、その時理解を示すのだった。

メタンフェタミンの恐ろしさ

デヴィッドは、強力な中毒症状を引き起こすメタンフェタミン(メス)について調べ始める。更生施設へ戻ったニックは父に嘘をついていた事を認め、数年あらゆる麻薬を常用し、特に一番気分が良くなるメスが好きだと話す。

デヴィッドは、マリファナの吸い過ぎだと思っていたため動揺する。理由を問い詰めるが、答えられないニックに対し、デヴィッドは更に苛立ってしまう。割って入るカレン。ニックは謝り続けた。父は、また必ず自分を取り戻せると息子に言葉を掛けた。

ある日、グループ会合に参加したニックは、仲間から励まされて進学を決意。デヴィッドは大学の寮まで息子を送り届ける。新生活を楽しみローレンと親しくなった。彼女の家族に夕食へ招待されたニックは、トイレで薬瓶を漁り、選んだ1粒を飲み込む。

生活は次第に荒れ始め、ニックは麻薬を注射器で自分の腕に打つようになる。学校が休みになり帰省するニックを、幼い弟と妹が大喜びで迎えた。グループ会合へ行くと言い、ニックは父の車を借りて夜外出。翌朝、ジャスパーの貯金8ドルが無くなっていた。

デヴィッドはニックにジャスパーの貯金を盗ったのかと尋ねる。落ち着かない様子のニックに、麻薬でハイになっているのかと更に訊く。ニックは、父と義母に息が詰まると怒鳴り出て行ってしまう。デヴィッドは、自分の問題をすり替えるなと怒鳴り返す。

デヴィッドは、専門家のブラウン医師を訪ね、ニックについて相談した。医師はメスの脅威を説明。メスの中毒者の立ち直る確率は、1桁だと伝えた。デヴィッドは、通りに立つ麻薬中毒者の若い女性を食事を誘い、情報を集めようと試みる。

最愛の息子を救いたい

そして、街で麻薬を買い求め、自らも試して見るのだった。ニックから連絡が入り、デヴィッドは、4才のニックをよく連れて来たカフェで待ち合わせる。現れたニックは、責任を持ってやるべき事をやり、5日前に麻薬を断ったと話す。

ニックは、状態は良好だがお金が要ると言う。サンフランシスコは、誘惑が多いのでニューヨークへ行くお金が必要だと説明するニック。デヴィッドは、ランチを食べながら先ず話をしようと言うが、ニックの様子は明らかにおかしい。

お金の無心をするニックに、デヴィッドは自分と家に帰り助けを求めようと諭す。禁断症状にあるニックは苛立ち、親権はデヴィッドではなく、母親のヴィッキーが得るべきだったと言い放つ。父は、過ちを犯した自分に腹を立てるのは分かると理解を示す。

ニックは、全てコントロールしようとするのを止めろと怒鳴り、ホテルの部屋をとって一緒に食事をしようと言うデヴィッドを拒絶して席を立った。その後、麻薬の過剰摂取で救急治療を受けたニックは、本気で麻薬を断つ決心をしたと父に告げた。

デヴィッドは、費用は前より掛かるが実績のある更生施設をヴィッキーと手分けして探す。前妻は、デヴィッドに少し休むように気遣い、自分が今後はニックを引き受けると申し出た。

ニックが8才の時、ヴィッキーと時間を過ごすため、前日にデヴィッドは荷物を詰める。幼い息子を寝かしつけながら『ビューティフル・ボーイを』子守唄に歌った。空港で見送るデヴィッドに対し、ニックは不機嫌。

母親に会う事は嬉しいが、父親と離れたくないのだった。どれだけ愛しているか分かるかとデヴィッドから尋ねられたニックは、横に首を振る。デヴィッドは、言葉では表せない位「何よりも、お前を愛している」と息子に話した。

過剰摂取後、ロサンゼルスへ

ヴィッキーは、ロサンゼルスの新施設へ入所したニックの面倒を見始める。個人に付いてサポートする施設の後継人にも恵まれ、ニックは少しずつ自分を取り戻していく。

入所者の前で自分の体験を語ったニックは、麻薬中毒が病気という概念も有るが、と前置く。過剰摂取で救急治療を受けた病院で抱えている問題は何かと尋ねられたニックは、アルコール中毒と麻薬中毒だと答えたエピソードを紹介する。

その時、自分の問題をそう解釈して治療したのが間違いだと指摘された。ニックは、心に空いた黒い大きな穴を埋める方法を見つける事が必要だと気づいた胸の内を明かす。ニックは、14ヶ月間麻薬を断ち、更生施設でアルバイトをしており、両親に感謝を述べた。

久し振りにサンフランシスコの家を訪れるニック。庭のスプリンクラーで弟や妹と一緒にふざけて遊ぶニックを、デヴィッドは嬉しそうに見つめた。脳に深刻な影響をもたらすメスだが、2年経過すると回復する部分もある事が分かり、デヴィッドとカレンは喜び合う。

前触れの無い再発

ロサンゼルスへ戻る日、ニックは家族と抱き合って別れる。運転を途中で止め、ニックは後継人に電話して辛い胸の内を吐露する。現実を生きる事にうんざりだと言い、まるで自ら進んで癌になったみたいだと話す。励まされてもニックの心には響かなかった。

街をふら付いていたニックは、大学で親しくなったローレンに遭遇。2人は路上で売人から麻薬を買い自分達の腕に注射する。ニック失踪の連絡を受けたデヴィッドは、息子を探しにロサンゼルスへ向かうため荷物を詰めた。

カレンは、幼い子供を抱えた自分達もデヴィッドを必要としていると訴える。息子を心配するデヴィッドは、板挟みのフラストレーションでカレンを怒鳴ってしまう。行動が理性的ではなく、ニックを救う事は出来ないとカレンに言われデヴィッドは絶句した。

デヴィッドは家族を連れてジャスパーの水泳大会へ出かけた。留守中、ニックはローレンを連れて訪れる。庭のドアを破って押入ると、父の書斎を物色した。机の上には、デヴィッドが書いた回顧録が置いてある。

ニックが1週間黙って家を空けた頃の事が綴られていた。「ニックはペンネよりスパゲッティ派。僕の息子を見かけませんでしたか?僕の美しい息子。会いたいと伝えてください」

家の前に車が停まるのを見たニックは、ローレンを連れて慌てて家を出るが、ジャスパーにその姿を目撃される。デヴィッドは後を追いかけるが、ニックは目の前をかすめるように車で走り去った。この一部始終を見たカレンは、ニックの後を車で追う。

バックミラーでカレンが居って来るのが分かるものの、ニックは車を走らせる。距離を保ちながら後を走るカレンの目から涙がこぼれた。途中で諦めたカレンは車を停め、泣きじゃくった。デヴィッドは、幼いなりに混乱を理解する子供達を慰める。

自分以外誰も決められない選択

日が暮れ、ニックは車内でローレンに心肺蘇生を施す。緊急通報し、麻薬の過剰摂取で助けが必要だと救急車を呼んだ。ローレンは意識を取り戻すが、到着した救命士は緊急手当てが必要だと告げてローレンを病院へ搬送。

ニックは、父に電話を掛ける。自分が悪かったと言い、更生施設ではなく、家に帰りたいと懇願した。デヴィッドは、自分はニックを助けられないと突き放し、施設の後見人へ連絡を入れ、必要な支援をしてもらうよう話し電話を切った。

肩を震わせて嗚咽するデヴィッド。書斎の壁に飾っていたニックの写真を外し戸棚へしまった。ニックから連絡を受けたヴィッキーは、デヴィッドに電話する。介入しなければニックは死んでしまうと前妻は訴えた。

デヴィッドは、自分達が何をしても効果は無く、介入してもニックは死ぬだろうと言った。息子の役に立てなかったと嘆くデヴィッドに対し、カレンと一緒によくやってくれたとヴィッキーは労をねぎらう。

自分は決して息子を諦めないが助けが必要だと泣くヴィッキーに、デヴィッドは、人を救う事などできないと諭す。しかし、ヴィッキーは、側には居てあげられる筈だと呟いた。

デヴィッドとカレンは支援者の会合へ出席し、過剰摂取で友人を失った女性の話に耳を傾けた。人柄の良かった友人を忍び、女性は涙が止まらない。その頃ニックは、父が幼い自分をよく連れて来たカフェに居た。

ノートに気持ちを書いた後トイレの個室へ行き、注射針の跡が無数に残る自分の腕に大量の麻薬を注射した。床に座り込んだニックの足が痙攣を始める。横に倒れたニックの体が揺れ、動かなくなった。

病室の待合室に座るヴィッキー。デヴィッドがやって来て、2人は抱きしめ合う。デヴィッドがニックの様子を尋ねた。担当医師が体内に取り込んだ麻薬量を考えれば、生き延びたのは奇跡に近いと話が合った事をヴィッキーは伝えた。

足取りのおぼつかないニックを支えながら、デヴィッドは息子を連れて病院の中庭へ出る。椅子に腰掛ける父子。ニックは、抑えようとするが感情が溢れて涙が止まらなくなる。父は、息子の背中に手を伸ばして撫で、抱き寄せた。

‐現在、50才以下のアメリカ人における死亡原因のトップは、薬物過剰摂取である‐

‐大きな支援と驚異的な自己努力により、ニックは1日ずつ積み重ね、現在麻薬を断ってから8年が経過-

‐中毒治療の現場は甚だしい資金不足であり、規制の環境整備も未熟な中、休む事無く薬物中毒の蔓延と闘う人達が全コミュニティに広がる‐

‐この病に苦しむ当事者、ご家族、そして失った故人を悼む方々へ、救済は存在します‐

『ビューティフル・ボーイ』を観た感想

胸が締め付けられるような辛い映画です。両親のデヴィッドやヴィッキーだけではなく、義母のカレン、そして幼い弟と妹も皆ニックの薬物中毒の影響を大きく受け、家族であるからこそ心を痛め苦悩に苛まれます。

ニックが麻薬に手を出す理由や、引き金となる状況を理解したいと見入る内に、それが問題ではない事に気づかされます。父親が離婚した事、再婚した事、そして母の違う弟や妹との生活。これらどの要素もニックを麻薬に駆り立てた要因ではないのです。

シングルマザーに育てられ、苦労して育つ少年少女が皆麻薬に手を出す訳ではなく、真っ直ぐに育つ人達も多く存在します。そして、ニックの家庭は裕福であり、暴力も無く家族関係も大変良好でした。

劇中にもある通り、ニックにも分からないのです。最初は軽い気持ちで友人達と遊びの延長でマリファナを吸う。そして、最初の量ではハイになれなくなり、より強力な麻薬へとエスカレートし、行き着いたのがメス・日本では通称シャブです。

父のデヴィッドも若い頃に麻薬を試したと息子に話す場面があります。決定的に違うのは、ニックの場合、麻薬が引き起こす高揚感が好きだった事であり、これが止めなかった理由と現実を受け入れなかった理由です。

死にたいほどの絶望感に苛まれる実害の大きい麻薬。特に本作で取り上げられているメタンフェタミンは、社会問題になっている大変危険な麻薬で、1919年日本人科学者によって発見されました。現在のアメリカでは容易に手に入ってしまいます。

望めばいつでも買える社会環境で既に中毒である10代の少年が拒絶しきれない欲求と闘うのは、個人の意志力だけでは難しいという事がよく分かります。一度中毒症状になると、何年止めていても揺り戻しが起きるため日々の努力が不可欠だと言われています。

ニックも同様に、1年以上断っていたにも拘らず、再び手を出す経緯が描かれています。これが麻薬中毒患者にとって重要な現実であり、きちんと描きたかった部分だと監督のフェリックス・バン・フュルーニンゲンはインタビューで答えています。

デヴィッドがニックへ手を差し伸べる事を拒否する場面は、本人が決意しない間は救えない辛い現実もまた突き付けています。何よりも愛した息子が死を選ぶかもしれない可能性を受け入れなければならない残酷なシーンです。

圧巻の演技を見せたニック役のティモシー・シャラメ。演じる上で、ニックが麻薬に走る理由は演じるつもりは無かったと話します。麻薬中毒者に対する固定観念ではなく、ニックという人間を演じたと答えた頭脳明晰で聡明な才能溢れる23才です。

本作がきっかけとなり、シェフ父子はメディアに登場し、麻薬問題に対する社会の意識を高めようと精力的に活動しています。社会問題に光を当てた映画であり、エンディングに流れる主題歌・サンファの『Treasure』が深い余韻を残します。

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