映画『女王陛下のお気に入り』あらすじ・ネタバレ!動画を無料視聴する方法も紹介

女王陛下のお気に入りには演技力に高い評価を得ている3人の俳優、オリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、そしてエマ・ストーンが出演している。18世紀初頭のイギリス王室で、アン女王の寵愛を得て権力を握ろうと攻防を繰り広げる2人の女性の闘いを描いており、正に西洋版大奥。批評家から絶賛され、3人は数々の映画賞にノミネートされており、オリヴィア・コールマンはゴールデングローブ賞のコメディ・ミュージカル部門で主演女優賞を受賞。本作は、2019年度第91回アカデミー賞で、10部門にノミネートされています。

『女王陛下のお気に入り』作品情報

タイトル:女王陛下のお気に入り

原題:The Favourite

監督:ヨルゴス・ランティモス

脚本:トニー・マクナマラ、デボラ:デイヴィス

製作:ヨルゴス・ランティモス、セシ・デンプシー、エド・ギニー、リー・マジデイ

公開日:2018年11月23日(アメリカ)、2019年2月15日(日本)

出演者:オリヴィア・コールマン、レイチェル・ワイズ、エマ・ストーン、ニコラス・ホルト、ジェームズ・スミス

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『女王陛下のお気に入り』概要

2015年に製作、監督、そして脚本を書いた『ロブスター』でカンヌ国際映画祭の審査員賞を受賞し、大きな脚光を浴びたギリシャ人フィルムメイカーのヨルゴス・ランディモスが監督を務めます。本作の製作がプロジェクトとして始まったのは9年前。最初から関わっていたランディモスのアイデアが多く取り入れられた脚本であり、ランディモスが起用したオーストラリア出身のトニー・マクナマラが仕上げました。

キャスト

これまで数々の映画祭で女優賞を獲得しているオリヴィア・コールマンがアン女王、『ナイロビの蜂』でアカデミー賞助演女優賞を受賞したレイチェル・ワイズがサラ・チャーチル、そして『ラ・ラ・ランド』でアカデミー主演女優賞に輝いたエマ・ストーンがアビゲイル・ヒル役。女優賞受賞俳優達の豪華キャストです。

『女王陛下のお気に入り』あらすじ・ネタバレ

1708年、フランスと戦争下にあるイギリス。戦費はかさみ、これ以上戦闘を続けるのは財政的に厳しい状況であった。しかし、宮廷の生活は華やかで、貴族達は豪華な食事を楽しみ、アヒルを競争させて娯楽に興じていた。

イギリスを動かす影の権力者

健康に不安のあるアン女王が全幅の信頼を置くサラ・チャーチルは、事実上の権限を持ちあらゆる決定を下していた。そんなある日、サラの従妹アビゲイル・ヒルが仕事を求めて宮殿を訪れる。サラは、アビゲイルを最下位の下働きとして雇った。

アン女王がロシア代表団と会合するため準備をして執務室を出てくる。張り切ってお化粧した女王の顔を見たサラは、アナグマみたいだとコメント。泣き出しそうになる女王に鏡を渡して自分の顔を見させ、自分が代わりに対応するので自室へ戻れとサラは言った。

アン女王は持病の痛風で苦しみ、女官達は生の牛肉で足を湿布するが一向に改善されない。庭で見つけた薬草で薬を作ったアビゲイルは、警備官に嘘をついて女王の寝室に忍び込み、足に薬を塗った。

その行為を見咎めたサラは、アビゲイルをむち打ちの刑に処する。しかし、薬草が女王の痛風に効果が出たと分かり、サラは、褒美としてアビゲイルに狭いものの自室を提供し、自分個人の召使いに昇格させた。

女王側近の2人の政治家、ロバート・ハーレーとシドニー・ゴドルフィンは、フランスと平和協定を結ぶことを検討し女王の決断を仰ぐ。しかし、サラは女王の決定として土地の税金を2倍に引き上げて戦争続行を命ずる。ロバートはサラに反発。

協定は財政圧迫を防ぎ人命も失わずに済むと主張し、女王に直談判すると興奮してその場を後にした。ゴドルフィンは女王の決定に従う意向を示すが、ロバートを敵に回すなとサラに忠告した。

平和協定をイギリスに優位な条件で結ぶため、もう一勝するべくサラの夫ジョン・チャーチルは軍隊を率いて前線へ向けて旅立った。その姿を見送る女王とサラの傍らで、アビゲイルはわざと咳き込み、薬草を集めた際に風邪を引いたと話し手柄をアピール。

舞踏会の席でロバートは女王に増税について再考を求め、女王は同意して現行のままと命じた。その晩、蔵書を眺めていたアビゲイルは、サラと女王がレズビアンの関係にある現場を目撃。忍び足で部屋を抜け出すとロバートに遭遇する。

宮廷では友人が必要だと言い、ロバートはサラや女王の動向を探って報告するようアビゲイルに打診した。翌日、サラは言葉巧みに女王を操り、国会で増税の発令をするよう日程を組む。暇な女王は、一日トランプや17羽の兎と遊び食べてばかりいた。

サラは、王室で使う食料品まで厳密に精査して経理を管理する。ロバートが帳簿を一読し、漏れ1つ無く完璧だとコメント。そこへ警備がサラを呼びに来た。やる事が無い女王はへそを曲げ、サラに休みを取り自分の相手をしろと駄々をこねた。

召使いの野望

国会が開かれ、忙しいサラはアビゲイルに女王の相手をさせる。召使いの立場であるアビゲイルを最初は相手にしない女王だが、自分が失った子供17人の代わりに可愛がる兎の話をするうちに心を開く。

2人が親しくなり過ぎたと感じたサラは、アビゲイルのお守り役の任を解く。ロバートに役立つ情報提供を求められたアビゲイルは、サラの説得で女王が国会で増税を発表するつもりだと明かす。

他に情報はないのかと訊かれ、アビゲイルは泣く振りをしてベストを尽くしていると訴えその場をしのいだ。増税発表当日、国会で壇上に立つ女王。ロバートは舞踏会での会話を利用する。

生活困窮にあえぐ下級層の暴動を取り上げ、女王が増税しない英断を下したと先に発表。外国で勝利しても国内で飢えては元も子もない事を理解する女王の見識だと皆の前で称えた。増税を口にできない女王は意識を失って倒れる芝居を打つ。

15才の時、ギャンブル好きの父親に借金の形で売られたアビゲイルは狡猾だった。戦争と増税等政治に忙しいサラを出し抜き、女王を誘惑し身体の関係を持つことに成功する。これを知ったサラは、直ぐアビゲイルに解雇を言い渡す。

しかし、アビゲイルは鼻血が出るまで自分の顔を本で殴り、女王に泣きついて自分の味方に付けた。サラはアビゲイルが自分の本を盗んだ罪で宮廷から解雇したと報告するが、女王はアビゲイルを自分の個人的な女官にしたと告げた。

子供の頃から女王を知るサラは反撃に出る。2人にしか分からない思い出話や冗談で会話を盛り上げて親密感を取り戻し、アビゲイルに差がある事を見せつけた。対抗しようとするアビゲイルは、ベッドの用意をすると言って女王に2人だけの時間を示唆する。

サラは、すかさず女王の好きなシェリー酒で晩を過ごそうと割って入り、アビゲイルに付け入る隙を与えない。嫌がっていた兎も女王の前では撫でて見せるサラだった。危機感を持ったアビゲイルは、女王の部屋へ訪れたサラに出すお茶に薬を混ぜた。

手段を選ばず蹴落とす

苦しい生活を強いられる人民の生活を更に苦しめると増税に難色を示す女王。アビゲイルの意見を訪ねた女王に苛ついたサラは、1人乗馬に出かける。途中気分が悪くなり落馬するが、足に手綱が絡みつきサラを引きずったまま馬が林の奥へ走り去ってしまう。

サラは娼婦宿で目を増さす。顔中怪我を負い感染症を引き起こしていた。一方、アビゲイルは上手く女王に取り入り、サミュエル・マッシャム男爵との結婚にこぎ着け、文無しの女中から男爵夫人の地位を手に入れるのだった。

女王が送った捜索部隊に発見され宮廷に戻るサラ。アビゲイルは、自分はもはや召使いではないと勝ち誇った。サラは、女王にアビゲイルを追放するよう説得するが、女王は聞き入れない。更に、顔に深い傷を負ったサラをベッドから突き落とした。

翌朝、追い詰められたサラは、増税とアビゲイルの追放を実行しなければ、女王が自分宛に書いた書簡を公表すると脅す。手紙の内容は、2人の深い関係が記述されている物だった。その後、自分の行動を後悔したサラは、書簡を暖炉にくべる。

しかし、女王は、サラが仕切っていた王室の財務管理の権威を取り上げるだけではなく宮廷追放処分にした。サラの最後の訴えも女王は拒否。そして、裏でアビゲイルと手を組んだロバートが新首相になり、女王はフランスとの平和協定を決定した。

アビゲイル・ヒルの本性

この後、自分の事しか頭にないアビゲイルの好き放題と贅沢が始まる。役職を追われたゴドルフィンはサラを訪ね、宮廷の事情を報告した。親書を女王に送り関係修復を勧めた。サラは悔しさを呑み込んで女王へ手紙を書いて送る。

しかし、女王宛の郵便物を検閲していたアビゲイルは、サラからの手紙を見つけて燃やしてしまう。そして、サラが宮廷の財務を握っていた際、横領して夫へ流していたと言う嘘を女王に吹き込むのだった。真に受けた女王は、サラと夫の国外追放を命じる。

ある午後、ベッドに寝そべる女王を横目に、アビゲイルは本を片手に女王が可愛がる兎を足で踏みつけた。痛みで叫ぶ兎の泣き声を聞いた女王は、血相を変えてベッドを下りる。アビゲイルに足を揉めと命じた。

顔が引きつるアビゲイルだが、跪き言われた通り足を揉み始める。アビゲイルが横になった方が良いと助言すると、女王は、勝手に口を開くなと言い放つ。一瞬鋭い視線で見上げ、アビゲイルは女王を睨み付けた。

尚も足を揉むアビゲイルを見下ろした女王は、眩暈がするので掴む物が必要だと言ってアビゲイルの髪を鷲掴み、自分が女王であると誇示する。掴まれた痛みで思わず顔を歪めるアビゲイルだったが、無言のまま女王の足を摩り続けた。

『女王陛下のお気に入り』を観た感想

シンプルな物語を面白くさせているのは、何と言っても3人の役者達です。ヒステリックで自分に自信が無く簡単に騙されてしまうアン女王を演じたオリヴィア・コールマンの演技は圧倒的な迫力であり、エマ・ストーンの嫌な女像も苦笑するほど見事でした。

頭がよく野心家のサラ・チャーチルは女王に無能の烙印を押し、イギリス王室だけではなく国を統治。しかし、幼少時から知るアンの事を大切に思っているのが分かります。その微妙な描写をレイチェル・ワイズが巧みに表現しています。

終盤、職を解かれ、更に宮廷を追放されたサラが女王の下へ直談判に訪れる場面で、「私は、嘘は言わない。それが愛よ」と訴えます。これは事実で、本当に相手を思うからこそ、耳が痛い事も敢えて言う方が愛情です。誉めそやすのは簡単なのです。

アビゲイルを演じたエマ・ストーンもこの点に触れ、彼女の親しい友人はストーンが間違っていると思えばその様にはっきりと言ってくれるので感謝していると話します。しかし、人を見抜く力を持たないアン女王は、アビゲイルの策略にはまってしまいます。

興味深いのは、この人間模様を遠巻きに見ている男性達です。女性達は殆どお化粧をしない中、カツラを被り白粉や頬紅を顔に塗って常に着飾っています。今でも刑事裁判の法廷でカツラを被る事が義務化されているイギリス。他国と違う面白い習慣です。

本作の登場人物は、実在の人間。戦争による財政難で国中が困窮する中、宮廷では驚くべき贅沢をしており、いつの時代、そしてどこの国でも国民はそっちのけという状況は全く変わっていない事もよくわかります。

3人の女性が物語の中枢となる映画は非常に稀であり、特にこの部分が魅力的だったと、それぞれ演じた3人はインタビューで語っています。そして、監督を務めたヨルゴス・ランティモスも同様のコメントを残しています。

また、ランディモスは、映画製作では珍しく3週間のリハーサルを実現させました。これは、出演する俳優達に演じる人物について更なる深い発見を促す試みです。

エマ・ストーンは、他の監督と異なり、ランティモスはどう表現するかを俳優に命ずるのではなく、自由に演じさせてくれたと明かします。尚、アカデミー賞主演女優賞を受賞しているストーンは、オーディションを受けてアビゲイルの役を獲得しました。

風変わりなオーディションをする事で知られるランティモスですが、ストーンには出産時の様な呼吸をしながら台詞を読ませ、ロバート・ハーレーを演じたニコラス・ホルトには、部屋に力場が在ると想像させ、それを彫刻するよう指示されたそうです。

この時代のイギリス史を知らなかったランティモスの手腕が高評価を得る中、出演俳優達は撮影終了した事が寂しかった程楽しい現場だったと称賛の声を寄せており、今後の作品に期待が集まっています。

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