世界最大のスーパーヒーローシリーズ“マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)”の牽引役のひとりであり、シリーズの中核である『アベンジャーズ』の一員でもあるアイアンマン。
今回はアイアンマンの単独シリーズとしては3作目、MCU全体では7作目となる『アイアンマン3』についてのあらすじとネタバレ、動画の無料視聴方法も紹介します。
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『アイアンマン3』の作品情報
タイトル:アイアンマン3
原題:IRON MAN 3
監督:シェーン・ブラック
脚本:ドリュー・ピアース/シェーン・ブラック
原作:スタン・リー/ラリー・リーバー/ドン・ヘック/ジャック・カービー
製作:ケヴィン・ファイギ
公開:2013年5月3日(アメリカ)、2013年4月26日(日本)
出演:ロバート・ダウニー・Jr/グウィネス・パルトロー/ドン・チードル/ジョン・ファヴロー/ポール・ベタニー(声の出演)/タイ・シンプキンス/レベッカ・ホール/ステファニー・ショスタク/ジェームズ・バッジ・デール/ベン・キングズレー/ガイ・ピアース/マーク・ラファロ など
過去2作で監督を務めてきたジョン・ファヴローは製作総指揮に退き(ハロルド・“ハッピー”・ホーガン役としての出演は続行)、代わりに映画『キスキス,バンバン』でロバート・ダウニー・Jrと組んだことのあるシェーン・ブラックがメガホンを執っています。
『アイアンマン3』のキャスト
主演のロバート・ダウニー・Jrを始め、「アイアンマン」シリーズのレギュラー陣はほぼ続投しています。
今回のゲスト悪役としてガイ・ピアースとオスカー俳優のベン・キングズレーが参戦、『アベンジャーズ』シリーズからはハルク/ブルース・バナー役のマーク・ラファロが本作ラストで特別出演しています。
『アイアンマン3』のあらすじ・ネタバレ
スタークのファン
アイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)は、とある著名人が言った「人は自ら悪魔を創る」という言葉を思い出していた。
時は1999年の大晦日に遡る。
スイス・ベルンの技術会議のパーティーに参加したスタークは酒の勢いで植物学者のマヤ・ハンセン(レベッカ・ホール)を口説き、ホー・インセン博士(ショーン・トーブ、第1作でアイアンマン誕生を手助けした人物)の挨拶に対しても軽くあしらってしまったのだ。
その後、マヤを伴って会場を出ようとするスタークに、彼の熱烈な大ファンだという冴えないオタク風の科学者アルドリッチ・キリアン(ガイ・ピアース)がコンタクトを求めてきたのだが、スタークは相手にすらしようとしなかった。
キリアンは「アドバンスド・アイデア・メカニックス(A.I.M.)」というチームまで結成しており、スタークは一応名刺だけは受け取り「5分後に屋上で話を聞こう」と告げて立ち去ったのである。
ところが、スタークはキリアンとの約束をすっぽかし、ホテルの一室でマヤが研究しているという、植物の細胞を使って免疫力や再生能力を高めるというプロジェクトの話を聞き、ボディガードのハロルド・“ハッピー”・ホーガン(ジョン・ファヴロー)を部屋の外へ出すとそのまま一夜を明かしたのだった。
年が明けて2000年。誰もがミレニアムの到来を喜ぶなか、キリアンは屋上に取り残されたまま存在すら忘れ去られていたのだ。
後になって、スタークはあの日“悪魔”を生み出してしまったことを後悔していた。
ニューヨーク決戦後のスターク
2008年のアフガニスタンでの一件(『アイアンマン』参照)以来すっかり遊びをやめたスタークは正義のヒーロー“アイアンマン”として生まれ変わり、スーパーヒーロー集団『アベンジャーズ』の一員としても活動していたのだった。
現在のカルフォルニア・マリブのスターク邸。
異星人集団“チタウリ”とアベンジャーズの死闘を経て、スタークはその後遺症から不眠症を患い、72時間不眠不休で最新型スーツ“マーク42”のテストを繰り返していたのである。
テロ集団「テン・リングス」
この頃、世界各地のアメリカ軍関連施設などを狙った爆弾テロが相次いでいた。
かつてアフガンでスタークを拉致したテロリスト集団「テン・リングス」がテレビの電波をジャックして犯行声明を出し、リーダーのマンダリン(ベン・キングズレー)はアメリカを非難し、マシュー・エリス大統領(ウィリアム・サドラー)に対して「私の居場所は決して誰にも掴むことはできない」などと挑発するメッセージを発したのだった。
アメリカ政府はテン・リングスに対抗するため、キャプテン・アメリカのスーツのような星条旗カラーを施したウォーマシンの改良型“アイアン・パトリオット”(変身者はスタークの親友ジェームズ・“ローディ”・ローズ大佐(ドン・チードル))を投入するも、未だにマンダリンに繋がる手掛かりは得られず、また爆発物の痕跡すらも見つからなかったことから捜査は難航していたのだ。
スタークはローディと食事に出かけ、テン・リングス壊滅の協力を願い出たが、ローディはスタークの不眠症を心配して難色を示したのである。
そこにアイアンマンのファンだという小さな子供たちがサインを求めてきたのだが、子供が描いたアイアンマンの絵を見たスタークは突然発作を起こし、相棒の人工知能J.A.R.V.I.S.(声:ポール・ベタニー)から重度のパニック障害を患っていることを指摘されてしまったのだった。
エクストリミス
スタークがオーナーを務める大企業「スターク・インタストリーズ(以下スターク社)」本社。
スタークの恋人でスターク社社長のペッパー・ポッツ(グウィネス・パルトロー)と警備部長となったハッピーが会社の警備について語り合っていた時、あのキリアンが訪れたのだ。
ポッツは見違えるほどスタイリッシュになったキリアンに驚きながらも、現在研究中のプロジェクトがあるということで見せてもらうことにしたのである。
キリアンは自らの脳細胞の構図をリアルタイムのデータベース化したホログラムを提示、人間の脳の未使用領域を活用して能力を飛躍的に向上させる特殊な細胞“エクストリミス”の概要を説明、ペッパーに共同研究開発を持ち掛けるのだった。
キリアンとその側近でやたらと態度のでかいエリック・サヴィン(ジェームズ・バッジ・デール)を怪しんだハッピーはスタークに連絡するが、スタークはキリアンのことを全く覚えておらず、全く関心を示さなかったのだ。
ポッツは研究成果が軍事目的に転用されることを恐れてキリアンの申し出を断り、ハッピーは引き揚げていくキリアンの車のナンバープレートを控えておいたのである。
スターク邸に戻ったポッツをアイアンマン(マーク42)が出迎えた。
ポッツは変身を解除しようとしない“彼”に疑問を感じ、地下室に行ってみると、実はスタークがマーク42の遠隔操作の試験をしていたのだった。
今まで自分を監視していたのかと詰め寄るポッツに、スタークはニューヨークの戦い以来すっかり精神不安定になってしまったことを打ち明けたのだ。
その夜、スタークはチタウリとの戦いで死にかけた時の悪夢にうなされ、自動モードのマーク42に叩き起こされたが、生活の全てをアイアンマンスーツに依存するスタークにポッツは呆れ果ててしまったのである。
チャイニーズ・シアター爆破
ハッピーはサヴィンを尾行してチャイニーズ・シアターにやってきた。
そこでは、サヴィンがタガート(アシュレイ・ハミルトン)に謎のスーツケースを渡していたのだった。
ハッピーはわざとタガートにぶつかり、彼が落としたケースの中にあった薬品らしきものを持ち帰ろうとしてサヴィンに詰め寄られたのだ。
ハッピーとサヴィンは殴り合いになるが、サヴィンは全くダメージを受けず、体格に似合わぬ怪力でハッピーを投げ飛ばしてしまったのである。
その時、薬品を摂取したタガートの身体が高熱を帯びながら赤く光り出し、大爆発を起こしてしまった。
巻き込まれて重傷を負ったハッピーは、タガートが遺したドッグタグと、一瞬のうちに傷が回復していくサヴィンの姿だった。
その日、マンダリンはまたしても電波ジャックで犯行声明を出し、次は“卒業式”と称してエリス大統領を直接狙うと宣言したのだ。
マンダリンへの宣戦布告
ハッピーを見舞ったスタークは、病院に殺到したマスコミを通じて「お前の命もクリスマスまでだ。私は逃げも隠れもしないからいつでも来い!」とあえて自宅の住所を公表してまでマンドリンに宣戦布告を宣言したのである。
スタークはJ.A.R.V.I.S.と共に、CIAやFBI、S.H.I.E.L.D.のデータベースなどからマンダリンの情報を集め、一連の爆破テロはいずれも爆発物の痕跡を一切残さないという共通点があることを確認、更に突き詰めてみると意外にもマンダリンが関与していない同様の事件があることに気付いたのだった。
それは、テネシー州のある町でチャド・デイヴィス(ジェームス・ラックリー)という軍人が焼身自殺したという事件であり、一連のテロ同様に周辺の温度が摂氏3000度の超高熱だったというのだ。
現地に向かおうとしたスタークだったが、自宅を公表したことによりスターク邸はマスコミのヘリに取り囲まれていたのである。
その時、スターク邸にかつてスイスで一夜を過ごしたマヤが訪ねてきたのだった。
スタークとポッツの出迎えを受けたマヤはマンダリンに命を狙われているらしく、話したいことがあると告げた次の瞬間、スターク邸はミサイル攻撃を受けたのだ。
マスコミに偽装したサヴィンの仕業だったのである。
スタークは咄嗟にポッツにマーク42のスーツを装着させ、マヤを連れて外に逃がすと、遠隔操作でマーク42スーツを回収してアイアンマンに変身、まだ飛行機能も武装も未完成ながらも敵のヘリを3機中2機撃墜したが、遂にスターク邸は破壊され、アイアンマンは瓦礫と共に海中に沈んでしまうのだった。
少年ハーレーとの出会い
辛うじて海から這い上がり、サヴィンの目を掻い潜って落ち延びたアイアンマンだったが、雪のテレシー州ローズヒルに差し掛かったところでパワー切れを起こして不時着してしまったのだ。
スタークは寒さをしのぐため、とある店先の人形のポンチョを剥ぎ取り、近くの民家に故障したマーク42スーツを運び入れたのである。
間もなくして、民家に住む少年ハーレー・キーナー(タイ・シンプキンス)が帰ってきた。
ハーレーはスタークがアイアンマンだと知って興奮したのだが、彼が手にした新聞ではスタークは死んだことにされていたのだった。
ハーレーは機械いじりが大好きでマーク42スーツに興味深々なのだが、彼の両親は6年前に失踪しており、学校ではいじめられっ子であった。
スタークはいじめっ子対策の道具を条件にハーレーに協力を求めたのだ。
スタークはハーレーに、デイヴィスが焼身自殺したという場所に案内してもらった。
ハーレー曰く、デイヴィスは頭がイカれて爆弾を作り自爆したといい、巻き添えになった人を含めて6人が死亡したというのだが、スタークはその痕跡が5人分しかないことに疑問を抱くのだった。
スタークはデイヴィスの母(デイル・ディッキー)を訪ね、彼女から機密ファイルを入手することに成功した。
ファイルにはデイヴィスのほか、チャイニーズ・シアターで自爆したタガートの写真があり、スタークは彼らが人体実験に利用されたことに気付いたのだ。
その時、保安官に扮したサヴァンの手下の女エレン・ブラント(ステファニー・ショスタク)がスタークに襲い掛かって来た。
アイアンマンに変身できないスタークは脅威の回復能力を持つエレンに苦しめられるが、たまたま入り込んだ店のガスと灯油を使ってエレンを爆死させたのだった。
サヴァンはハーレーを人質に取り、スタークにファイルを渡すよう要求したが、ハーレーはスタークがくれたいじめっ子対策の道具を使って難を逃れたのだ。
スタークはマーク42スーツをハーレーに預けると、更なる真相を探るために町を後にしたのである。
その頃、ポッツはアイアンマンマスクの通信機能でスタークが生きていることを知り、マヤに事情を聞こうとしたが、マヤは自身がマンダリンの部下であること、そしてマンダリンはキリアンと手を組んでいることを明かしたのだった。
マンダリンの正体
マンダリンはまたしても電波ジャックを仕掛けてエリン大統領を脅し、人質を処刑する様を全世界のメディアに配信したのだ。
電波ジャックの発信源はパキスタンであることが判明、専用機“エア・フォース・ワン”にいる大統領は直ちにローディを現地へと向かわせたのである。
スタークは機密ファイルから、被害者がキリアン率いるA.I.M.と関わりがあることを知り、アイアン・パトリオットに変身してパキスタンで活動するローディに連絡を取ると、近くで開催されていたミスコンテスト(審査員役でスタン・リーがカメオ出演)のテレビ中継車に忍び込み、アイアンマンのファンだというテレビマンのゲイリー(アダム・パリー)の協力を得てネットにアクセス、デイヴィスやエレンらはエクストリミスの被験者であること、適応できない者は全身から火を噴いて爆発してしまうことを知ったのだ。
しかし、マヤを自宅に匿っていたポッツはキリアンに拉致され、偽の発信源情報に騙されたローディはキリアンの手下に捕らえられてしまったのだった。
スタークは電話越しにハーレーにJ.A.R.V.I.S.と協力させながらマーク42スーツの修理を依頼、通信網をジャックさせた結果、マンダリンはフロリダにいることを突き止めたのだ。
パニック障害の発作に襲われたスタークはハーレーの「何か作ってみたら?」とのアドバイスで立ち直り、ホームセンターで道具を調達して即席の武器を作り、マイアミのアジトに乗り込んだのである。
スタークは遂にマンダリンを見つけるが、恐れをなしたマンダリンは正直に事情を打ち明けるのだった。
マンダリンの正体は売れない役者のトレヴァー・スラッテリーであり、“マンダリン”はキリアンがでっち上げた架空の人物だったのだ。
処刑の映像などもアジトのスタジオで撮影したでっち上げであり、スラッテリーはテン・リングスとは何の関係もなかったのである。
スタークはスラッテリーからキリアンについて聞き出そうとしたところ、背後から現れたサヴィンに殴られて気絶させられてしまったのだった。
アイアンマン復活
捕らえられたスタークは、マヤがキリアンと組んでいたことを知り、かつて理想に燃えていたはずの彼女の変貌を嘆いたのだ。
そこにキリアンが現れ、かつてスイスで味わった屈辱を語ると、ポッツにエクストリミスを投与する様子のホログラム映像を見せつけたのである。
ところが、マヤはキリアンに反旗を翻し、キリアンはあっさりとマヤを射殺してしまうのだった。
そしてキリアンは自らエクストリミスを取り込んで得た能力でローディの変身を強制解除、パトリオットスーツを奪うと、サヴァンに自ら反テロ戦争を誘発して世界市場を手に入れる野心を明かしたのだ。
その時、ハーレーはようやくマーク42スーツの修理を完了、スーツはスタークのもとに転送され、アイアンマンに変身したスタークは見張りの者を倒しながらローディと合流したのである。
アイアンマンとローディはスラッテリーから逃げたキリアンの行き先を問い詰め、彼らがフロリダ沖の埠頭へ向かったこと、そしてキリアンはロドリゲス副大統領(ミゲル・フェラー)と裏で繋がっていることを明かすと、スタークらに所有する高速ボートを提供するのだった。
その頃、サヴァンはパトリオットスーツを装着、まんまとエア・フォース・ワンに乗り込むと乗務員や警備員らを殺していき、エリス大統領にパトリオットスーツを着せてキリアンのもとに送ったのだ。
その直後、アイアンマンがエア・フォース・ワンに駆け付けてサヴァンを倒し、機外に投げ出された13人の乗務員を全員救出したのである。
実はこのアイアンマン(マーク42)はスタークが遠隔操作していたものだった。
そして、瓦礫と化したスターク邸の地下からは大量のスーツが無傷のまま発見されたのだ。
クリスマスの決戦
クリスマスの夜。
スタークとローディはポッツとエリス大統領が捕えられたフロリダ沖の埠頭に潜り込んだ。
一方のキリアンはエリス大統領を処刑するため、再びパトリオットスーツを着せて巨大タンカーに吊るし上げていたのである。
スタークは残存する全てのスーツを遠隔操作で呼び寄せ、エクストリミスを投与された兵士たちと戦わせたのだ。
スタークはアイアンマンに変身してポッツを救い出そうとするが、キリアンの特殊能力の前に苦しめられてしまうのだった。
ローディはエリス大統領を救出するとパトリオットに変身して飛び去っていった。
スタークはようやくポッツを見つけ、手を差し伸べようとしたが、ポッツは燃え盛る炎の中へと転落してしまったのである。
愕然とするスタークは「私なら助けられた」というキリアンに怒りを爆発させ、スーツを何着も着替えるという奇策で立ち向かっていった。
そしてようやく飛んできたマーク42スーツを確認したスタークはそれをキリアンに到着させると、J.A.R.V.I.S.に命じて自爆させたのだ。
しかし、それでもキリアンはしぶとく生き残り、「私がマンダリンだ!」と叫んでスタークを殺そうとしたその時、エクストリミスによって超人と化していたポッツがスタークを助けたのだった。
スーツの1機は誤ってポッツを標的と認識してしまったが、ポッツはスーツの右腕を捉えて装着すると、必殺技“リパルサー・レイ”でキリアンを葬り去ったのである。
全てが終わり、我に返ったポッツは改めてスーツの威力に驚き、もう二度とスーツ開発に対して文句は言わないと誓ったのだ。
スタークは必ずポッツを元の身体に戻すと約束すると、J.A.R.V.I.S.に命じて残存する全てのスーツをクリスマスの花火代わりに自爆させるのだった。
スタークとポッツは夜空を彩るスーツの花火を見上げながら愛を確かめ合ったのである。
新たなる出発
スタークは振り返る。
「純粋な理想や探究心から始まったものが過ちへと変わる。人は自ら悪魔を創る。だが、進化を止める必要はあるのか。科学が危険だと言う人々は“胸の中に破片がない”連中だ。そして今、私もそうなる」
ロドリゲス副大統領やスラッテリーは警察に逮捕された。
スタークはポッツの治療法を見つけ、彼女は元の常人に戻ることができたのだ。
スタークはペースメーカー代わりだった胸のアーク・リアクターを外し、心臓近くに達したミサイルの破片を取り除く手術を受けて元の健常な人間に戻ったのである。
ハッピーはようやく意識を取り戻し、ハーレーの自宅にはスタークからお礼として最新鋭の電子機器や車、作業用ロボットなどが贈られたのだった。
スタークは瓦礫がすっかり片付けられた我が家の跡に向かい、不要になったアーク・リアクターを海に投げ捨て、わずかに残った機材を回収して走り去った。
完全に不眠症やパニック障害などを克服したスタークは「アイアンマンスーツは私にとっては現実逃避でも趣味でもない、いわば“繭”だった。そして今、私は生まれ変わった。たとえ自宅やスーツが奪われようと、私がアイアンマンであることに変わりはない」と、改めてヒーローとして戦い続ける決意を新たにしたのである。
エンドロール後
スタークは全てを語り終え、胸のつかえが取れたとほっとするのだった。
(本作で描かれた出来事は全てスタークの回顧だったのである)
しかし、スタークの話を聞いていたはずの、アベンジャーズの一員でスタークの親友でもある“超人ハルク”ことブルース・バナー博士(ブルース・バナー)はすっかり眠りこけてしまっており、冒頭のスイスでの出来事しか覚えていなかったのである。
スタークは、再び居眠りを始めたバナーを前に、最初からもう一度話を始めたのだ。
(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』に続く)
『アイアンマン3』の感想とまとめ
“マーベル・シネマティック・ユニバース”のトップバッターとして先陣を切った『アイアンマン』シリーズ。
見事に期待以上のヒットとなってシリーズの起爆剤となり、後の『アベンジャーズ』へと繋がる強固な流れを築き上げてくれました。
アイアンマンの単独作品シリーズも本作で区切りの3作目となり(ただし、主演のロバート・ダウニー・Jrは、当時スキャンダルで苦境に立たされていた盟友メル・ギブソンを救うため「彼が監督をしてくれるのなら“アイアンマン4”もあり得る」と発言しています)、主人公トニー・スタークが困難を乗り越えて新たな人生に向かう姿が歴代アイアンマンスーツの総出動と共に描き上げられています。それは、才能がありながらも自身の抱えるトラブルにより低迷を余儀なくされ、このアイアンマンシリーズを機に立ち直って再ブレイクを果たしたロバート・ダウニー・Jrの歩みにも重なる部分があるのではないでしょうか。
大金持ちで高飛車、根っからのプレイボーイでどう見てもスーパーヒーローとは思えない人生を歩んできたトニー・スタークが、アイアンマンの力を手にし、アベンジャーズの個性豊かな仲間たちとの出会いを通じて成長していく姿はまさに“中年の鑑”でもあり、時には弱さも見せたり、実は仲間想いな一面を見せるなど人間味溢れる彼の姿には少なからずも共感を覚えた方も多いのではないかと存じます。
本作で区切りを迎えたアイアンマンは、今後のマーベル・シネマティック・ユニバースにおいてはキャプテン・アメリカと並んでアベンジャーズの中心的存在となり(『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』では戦いの発端を作ってしまった責任を取って離脱するも、『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で離脱したキャプテン・アメリカに代わって再びリーダーになっています)、『スパイダーマン ホームカミング』においては若きスパイダーマンを導く存在となり、『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』においてはスパイダーマンやドクター・ストレンジ、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと手を組んで宇宙最強の男サノスに戦いを挑んでいくことになります。
そして2019年に公開を控えるアベンジャーズ完結編『アベンジャーズ/エンドゲーム』においてはサノスとの戦いに敗れたトニー・スタークが宇宙を漂うという衝撃的な予告編が公開されています。今後のアイアンマンの行方に乞うご期待です。
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