英国作家、ダイアナ・ウィン・ジョーンズのファンタジー小説『魔法使いハウルと火の悪魔』を原作とした「ハウルと動く城」は、宮崎駿監督のスタジオジブリ作品の代表作の一つです。原作とはひと味違う宮崎駿監督のテイストがてんこ盛りの作品に仕上がっています。そんな魅力溢れる「ハウルの動く城」についてのネタバレと感想をご紹介します。
Contents
「ハウルの動く城」の作品情報
タイトル:ハウルの動く城
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
原作:「魔法使いハウルと火の悪魔」
製作:鈴木敏夫
公開日:2004年11月20日(日本) 2006年6月10日(アメリカ)
声の出演:倍賞千恵子/木村拓哉/美輪明宏/神木隆之介/我修院達也/大泉洋/大塚明夫/原田大二郎/加藤治子 など
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映画の作品情報についての感想
この作品は、前半部分は原作に割と近い内容なのですが、後半部分に「戦争」の話が盛り込まれるなとで、原作との原型はほとんど留めていません。しかし、原作者のダイアナ・ウィン・ジョーンズは「ハウルの性格を変えないように」とだけ注文を付けただけで、この映画を観たときに「とても素晴らしかった」と感想を述べています。
「ハウルの動く城」のキャスト
主人公に倍賞千恵子を起用し、主人公が老婆になってもとても清潔感のある味わいを醸し出しています。また、火の悪魔に起用した我修院達也が憎めない味わいを存分に出していて、この作品に一つの色付けをしています。もちろん、木村拓哉や美輪明宏など芸達者な人たちを起用したことでこの作品が生き生きとしているのです。
「ハウルの動く城」のあらすじとネタバレ
ソフィーがハウルに出会う
母親のハニー(声:八十川真由野)が経営する「ペンドラゴン」という名の帽子屋でお針子として働くソフィー(声:倍賞千恵子)は、妹のレティー(声:香月弥生)に会いに行く。
ソフィーはレティーから教えられた住所を頼りに裏道を歩いていると、突然、兵隊2人に絡まれるのである。
ソフィーが困っているところに、突然、美青年の魔法使いのハウル(声:木村拓哉)がソフィーを助け、そして、空中を歩くのだ。
荒地の魔女の呪い
ソフィーがハウルと出会ったことで荒地の魔女(声:美輪明宏)がソフィーの後を付けているとも知らずに、帽子屋に帰ってきてドアの鍵を閉めると、鍵を閉めていることもものともせずに荒地の魔女が帽子屋に入ってきて、ソフィーに呪いをかけたのである。
ソフィーは荒地の魔女の呪いで老婆になってしまったのだ。これが現実だと観念するとソフィーは帽子屋を出て行き、荒地へと当て所もなく行く。
カブの案内でソフィーがハウルの動く城に住まう
そこでソフィーは自分で立つ不思議な案山子のカブ(声:大泉洋)に出会い、カブはソフィーの後をついて行く。
ソフィーは、ハウルの動く城にカブの案内で潜り込むことに成功する。ソフィーは暖炉の火のそばに座り、その火は火の悪魔カルシファー(声:我修院達也)と名乗る。
カルシファーはハウルとの契約に縛り付けられて、ソフィーにその契約の謎を解いて自由にして、と頼むが、ソフィーは眠ってしまう。
翌朝、ドアをノックする音で目が覚めたソフィーではあるが、マルクル(声:神木隆之介)が二階から降りてきたので、寝ているフリをしていた。
ソフィーがカルシファーを操りフライパンでベーコンを炒めているとハウルが帰ってきて、ソフィーにあなたは誰かと問い、ソフィーはこの城の掃除婦のソフィーばあさん、と言い、それきりで話は終わる。
荒地の魔女はハウルの心臓を狙っていた。翌朝、ハウルに掃除も大概に、とマルクルに忠告をし、城の外へと飛び立ったのである。ハウルは鷲のような異形の姿となって、一人戦闘を止めようと飛行軍艦を破壊するなど、孤軍奮闘しているのである。
一仕事終わって、ソフィーは湖畔で、じっと心穏やかに椅子に座って過ごすのであった。そして、ソフィーとマルクルは回転式のスイッチを変えて港町に買い出しに行く。
買い物の途中、ソフィー等は攻撃を受けて今にも沈みそうな軍艦が寄港するところに出くわす。
走って城にソフィー等が戻ると、ハウルがバスルームから飛び出してきてソフィーに怒り出すのだ。
それは、それまで美しい金髪だった髪の色が、橙色に変わり、ハウルは絶望のどん底に落ちるのであった。
そして、ハウルの髪の色は黒くなり、闇の精霊を呼び出し、ハウルは緑色の液体を身体から発するのである。
ソフィーは緑色の液体を垂れ流すハウルをものともせず、バスルームに連れて行くのであった。
ハウルはソフィーに荒地の魔女が怖い、と言い、ハウルの部屋は全てまじないのもので一杯であることを告白する。
ソフィーがサリマンの元へ
そして、話はハウルの魔法の師匠であるマダム・サリマン(声:加藤治子)のことになり、ハウルはソフィーがハウルの母親としてハウルの代わりにサリマンのもとに行ってと懇願する。
ソフィーはペンドラゴンの母親としてサリマンに会いに行くのである。ハウルは、別れ際にソフィーに指輪を渡し、いつもそばにいるから大丈夫、とソフィーを送り出すのであった。
王宮に入るとソフィーの後をついてくる犬がいることに気付く。その犬をソフィーはハウルと思い込み、サリマンの元へと歩くのであった。と、そこに輿に乗る荒地の魔女に会うソフィー。
使い魔の魔力が効かないので、荒地の魔女は巨漢を支えるのにやっとの細い脚で、階段を上り始める。ソフィーは荒地の魔女を追い越してゆく。
やっと階段を上り終えた荒地の魔女は老けていた。ソフィーと荒地の魔女は、王宮へと入って行くのであった。
すると、椅子があり、我先にと荒地の魔女がその椅子に座ると、ついてきていた犬がその部屋から立ち去り、ソフィーもその後をついて行くと、小姓が現れ、ソフィーはこちら、と別の部屋へと案内するのであった。
荒地の魔女は、カーテンから姿を現した巨大なランプの明かりに囲まれ、荒地の魔女の影が輪を作って踊っているような輪の中で悶えるのだ。
一方、ソフィーはサリマンの前に案内される。サリマンの傍にはソフィーがハウルと思い込んでいた犬のヒン(声:原田大二郎)が伏せていた。
ソフィーとサリマンが話していると魔力を抜かれ見る影もない老婆に姿を変えた荒地の魔女が連れてこられ、ハウルもそうなるとサリマンは警告する。
と、その時にフライングカヤックに乗った国王(声:大塚明夫)が現れるのだ。しかし、本物の国王が現れる。最初に現れた国王がハウルであることがばれ、ハウルを捉えようとするサリマン。強力な魔力でハウルの異形の姿をソフィーに見せるのであった。
その時、サリマンはハウル目掛けて杖を投げるが危機一髪、ソフィーの帽子を貫いただけで、ハウル等はフライングカヤックに乗って逃げるのだ。
指輪の光の方向にソフィーはフライングカヤックを操って飛び去るのであった。城に大穴を開けて無事にソフィー達は城に帰還する。その夜遅くにハウルは城に戻ってくる。
寝ているときはうら若き乙女の姿をしているソフィーは、ハウルが戻ってきたのに気付き、ハウルの元へと行くのであった。
夢でソフィーがハウルに愛の告白
ソフィーはハウルを助けたいと言い、ハウルに愛を告げる。が、ハウルは飛び立ってしまう。
しかし、それは全て夢なのだ。翌日、ハウルが現れ、引っ越しをすると言う。引っ越しは地面と部屋の中に魔法の絵文字を書いて、カルシファーを持ったハウルが部屋の絵文字の中で、カルシファーを燃え立たせるだけで終わるのであった。
回転式のスイッチの色が変わり、ドアをハウルが開けるとそこにはお花畑の絶景が広がっているのだ。
そこに飛行軍艦が爆弾をたくさん積んで飛んで行く。ハウルが飛行軍艦にいたずらをして一部操縦不能にすると、それに気付いたサリマンの手下が、ハウルとソフィーを追ってくる。
異形の姿になったハウルは飛翔し、ソフィーは宙を走るのであった。そして、ドアまで走れ、と、ハウルに言われ、手を離されたソフィーはドア目掛けて走るのであった。
翌朝、ソフィーの母親のハニーがやってきて、巾着袋を部屋に置いて立ち去る。めざとい荒地の魔女は、そそくさとその巾着袋の中身を物色し始める。
すると、サリマンが送り込んだ魔法の黒い鰻のような覗き虫を掴んでカルシファーに投げ込み食べさせると、カルシファーは一気に火力を失い、煙を吐き出すだけになってしまう。
尚も、巾着袋を物色する荒地の魔女は葉巻を見つけ悦ぶ。葉巻に火を付け深々と火を付けて葉巻を吸う荒地の魔女。
空襲が始まる。ソフィーは店を見に駆け出すが、飛行軍艦から爆弾が投下され、そのうち一発がソフィー目掛けて落下するが、ハウルが現れ、爆弾にしがみつき爆弾は不発。ソフィーを助ける。
ソフィーは異形のハウルに抱きつく。城に戻ったハウルとソフィー。カルシファーからハウルは覗き虫を取り出し、再び、カルシファーの火力を元通りにする。
そして、再び、ハウルは戦場に飛び立とうとするが、しかし、ハウルは守るものができたんだ、それは君だ、とソフィーに言い残すと、ハウルは戦場に飛び立って行くのであった。
サリマンの追っ手がハウルの城を見つけていたので、ソフィーは城がこのままではハウルが戻ってこられないと引っ越しすることを決意する。
ソフィーが動く城の引っ越しをする
ソフィーがカルシファーを暖炉から外へと連れ出すと、城は崩れ落ちガラクタの山となる。ソフィーはガラクタの山の中に入り込み、雨漏りがする中、カルシファーに湿った木の切れ端を与えて引っ越しを提案するのだ。
カルシファーはソフィーの目とかがないと引っ越しできないと言い、ソフィーはこれはとお下げ髪を差し出すのであった。
カルシファーがお下げの髪を切り取りそれを食べると、カルシファーの火力が断然増して、小ぶりの動く城が動き出す。
カルシファーが心臓とかであれば、もっと凄いことができると言うと、荒地の魔女はカルシファーに心臓を見つけて、それを握りしめるのだ。
それを見たソフィーはカルシファーを荒地の魔女から取り戻そうとするが、荒地の魔女は放さない。とっさにソフィーはカルシファーに水をかけてしまう。
すると、城は崩れだし、ソフィーとヒンはマルクル等とはぐれてしまうのであった。谷底でソフィーはカルシファーに水をかけたことを悔いて泣き出すのである。
ソフィーがハウルの子ども時代へ行く
すると指輪が光を放ち、ある方向を指す。ソフィーはヒンの呼びかけで光に気付き、その光が指す方向にドアがあるのを見つけ、その暗黒の中へと飛び込むのであった。
そこは、時空を超える通路で、ソフィーはハウルの子ども時代に行く。そこで、ハウルを見つけたソフィーはうら若き乙女の姿でハウルの元へと駆け出すのであった。
ハウルは流れ星を受け止め、それを呑み込むのだ。そして、胸からカルシファーが出るのをソフィーは見るのであった。
と、その時に指輪ははち切れて、ソフィーはヒンとともに闇の穴に落っこちてしまうのであった。
時空を飛び越える空間を涙ながらに歩くソフィー。元の世界に戻るとドアは消え、目の前に異形のハウルがうずくまっているのであった。
ソフィーはハウルにキスをし、カルシファーのところに連れてって言うと、ハウルは巨大な鷲のような脚を出して、ソフィーとヒンを乗せて、カルシファーのところへと飛び立つのだ。
いかだに二本脚のようなボロボロの姿になっていた城の残骸にハウル達が帰還するとハウルは倒れ込む。
荒地の魔女からカルシファーを譲り受けたソフィー。それをハウルの胸に押し込むと、カルシファーが自由の身となるのだ。
魔法が解ける
しかし、カルシファーの魔法が解けた城の残骸は谷を滑り落ちる。そこにカブがつっかえ棒になろうと必死に城の残骸を止めようとするが、カブはポキッと折れて、城の残骸は谷底に引っかかり、止まるのであった。
ありがとうと、カブにキスすると、カブの呪いが解け、隣の国の王子に姿が戻るのだ。と、ハウルが目覚め、ソフィーは心は重いのよ、と言い、ハウルに抱きつく。
その時に、ヒンがサリマンに連絡し、ハッピーエンドで終わったことを伝えるのであった。そして、サリマンは戦争を終わらせるのだ。
そこへ、カルシファーが戻ってきて、みんなといたいと言い、今度は飛べる動く城を作り上げて、ハウルの動く城は空を飛んでいるのであった。ハウルとソフィーは口づけを交わし、映画は終わる。
「ハウルの動く城」の感想とまとめ
「ハウルの動く城」は戦時下を舞台に美青年の魔法使いハウルと荒地の魔女に呪いをかけられ、老婆にされてしまったソフィーの純愛物語であり、また、ファンタジー物語でもあります。
とはいえ、ここは一筋縄ではいかない宮崎駿監督ならではの色付けがなされていて、それは宮崎駿マジックとでも呼ぶべきとんでもない想像力に満ち溢れています。
前半部は原作にほぼ近い内容ながら、戦争という題材は宮崎駿監督独自の脚色で、この映画を単純なファンタジーアニメに終わらせないところは、流石の一言です。
しかしながら、例えばソフィーが何の疑いもなく、ハウルの動く城に住まうことになったのかなど、細部に関してはあっさりと遣り過ごしていて、ストーリー展開が幾分分かりづらいと言うことが、欠点と言えば欠点です。
それでも、この作品は、単純な主題ながらもとても広がりを持った舞台背景を基盤に、それぞれのキャラクターが生き生きとしていて、観ていて全く飽きない面白い映画に仕上がっています。
特に、アンチエイジングなどと言って若作りをし、また、歩かなくなった現代人を皮肉ったような荒地の魔女の存在は、この作品に人生訓のような不思議な味わいを加えていて、見応えたっぷりです。
そして、何よりもソフィーに倍賞千恵子さん、ハウルに木村拓哉さん、荒地の魔女に美輪明宏さん、カルシファーに我修院達也さん、マルクルに神木隆之介さんを起用したことはずばりと当たっていて、それぞれの人がそれぞれのキャラクターに命を吹き込んでいます。
とくに倍賞千恵子さん、木村拓哉さん、美輪明宏さん、そして我修院達也さんは、特筆すべきもので、キャラクターにぴったりです。
中でも倍賞千恵子さんの起用は、ソフィーにまさに相応しいと言え、ソフィーが老婆になっても決して清潔感を失わず、可愛らしいおばあちゃんのままであるのは、倍賞千恵子さんならではのものではないかと思います。
ソフィーがうら若き乙女のときは言うまでもなく、倍賞千恵子さんの可憐で凜とした美しさを失わない声の演技には、惚れ惚れとします。
また、ハウルは木村拓哉さんしかあり得ないと思わせるほどにキャラクターに合っていて、色気がある美青年を見事に演じています。
また、美輪明宏さんの怪演ぶりは、この作品に深みを与えていて、荒地の魔女は美輪明宏さん以外に演じられないのではないかと思わせるほどです。
また、我修院達也さんのお茶目な演技も忘れ難く、戦時下が舞台ながらも深刻さを取り除くに十分な妙味を存分に発揮しています。
ハウルが言う、「守るべきものができた、それは君だ」とソフィーに言ったときにはこれ以上の愛の告白はないと思わせるほどに鳥肌もので、この一言を言わせるために「ハウルの動く城」は製作されたのではないかと思えるほどに鮮烈な印象を残し、非常に後味のいい映画に仕上がっています。
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