宮崎駿監督のスタジオジブリ制作の大人気アニメ映画「となりのトトロ」は、まだ、テレビのない時代の日常をとても丁寧に描いています。田舎に引っ越してきた草壁家の姉妹が主人公の作品で、子どもの時にしか会えないと言われる不思議な生き物・トトロと姉妹との交流を通して牧歌的な時代の日本の原風景を夢に満ちあふれた宮崎ワールドにして見せています。
Contents
「となりのトトロ」の作品情報
タイトル:となりのとトトロ
監督:宮崎駿
脚本:宮崎駿
製作:原徹
公開日:1988年4月16日
声の出演:日高のり子/坂本千夏/糸井重里/島本須美/高木均/龍田直樹/北林谷栄 など
作品情報についての感想
宮崎駿監督の初め構想では、ヒロインは一人の女の子だったのが、相当の難儀の末にサツキとメイという二人の女の子になったのです。これが宮崎駿監督の構想力の凄さと思われ、また、「となりのトトロ」は宮崎駿監督が長く温めていた構想がやっと実現した作品なのです。時代背景は1953年と言われていますが、テレビがない時代の日本の原風景がしっかりと描かれています。
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「となりのトトロ」のキャスト
草壁サツキに日高のり子、草壁メイに坂本千夏という声優として名だたる人を起用する一方で、サツキとメイの父親の草壁タツオに糸井重里を起用するなど、宮崎駿監督の声の出演者にとことんこだわるその姿勢が表れています。これはこの作品を上質のものにしたばかりでなく、牧歌的な雰囲気をも醸し出していて、宮崎駿監督のこだわりは成功していると言えます。
「となりのトトロ」のあらすじとネタバレ
オープニングは井上あずみさんが歌う「さんぽ」で幕を開ける。「さんぽ」が終わると宮崎アニメならではの世界が一気に広がる。かつての日本の原風景に三輪自動車で引っ越しする草壁一家の描写が緻密に描かれる。
引っ越し
途中、三輪自動車に家具などがどっさりと積まれた荷台に乗っている長女のサツキ(声:日高のり子)がキャラメルを取り出し、助手席の父親のタツオ(声:糸井重里)と妹のメイ(声:坂本千夏)に渡す。
田園風景と里山がしっかりとある田舎に草壁一家は引っ越してくるのである。途中、引っ越し先の管理をしている家の人にタツオが挨拶し、引っ越し先の入り口に三輪自動車が到着する。
引っ越し先の家を見て、ボロボロな家なのを「ボロー!」とメイが叫んでいながらもうれしそうなのだ。
崩れた石灯籠のところに来ると巨木を見て感心し、木の雨戸を開けているタツオにそれが楠だと教わるのだ。
サツキとメイが雨戸が開いた家の中を見ると家の中に何かがあるのをサツキが見つけ、それがどんぐりであるのと分かる。メイも見たがると、上からメイの所にどんぐりが降ってくるのであった。
タツオからお勝手を見てきてと言われたサツキは、駆け出し、それをメイが追うのであった。しかし、お勝手の鍵を開けてみると、お勝手には何かが、さっと動き、あっという間に消えたのだ。
まっくろくろすけ
タツオがそれはまっくろくろすけと言い、サツキとメイは不気味がるどころかうれしくしょうがないのだ。
タツオに二階への階段を見つけて、と言われたサツキとメイ。サツキが階段の扉を見つける。
二階は真っ暗。と、そこへ上からどんぐりが転がって落ちてくる。まっくろくろすけがいると思ったサツキとメイは二階に上がると「アー!」と叫ぶ。
後ろで何かがこそこそと動いたような気がしたサツキとメイ。サツキは急いで二階の窓を開ける。と、メイがまっくろくろすけが壁の隙間に潜り込むのを見るのだ。
タツオに何かいる、と言うサツキは、タツオが家具を運ぶ途中に転んだのを見て急いで二階から降りるが、メイは壁の隙間をじっと見ている。
メイが壁の隙間に人差し指を差し入れると、まっくろくろすけが飛び出して消えたのであるが、一匹だけメイの元へと落ちてきて、メイはそれを捕まえ、サツキに見せようと一階に降りる。
と、そこに引っ越し先の管理をしている家のおばあちゃん(声:北林谷栄)が手伝いに来ていて、メイは恥ずかしがる。
サツキがきちんとおばあちゃんに挨拶をする。その時にメイは手を広げてみるとすすだらけなのだ。足の裏もすすだらけで、サツキの足の裏もすすで汚れていたのであった。
おばあちゃんはそれはススワタリだと言うのだ。家をすすだらけにする妖怪とまでは言わない存在で、直に家から引っ越すとのこと。
引っ越し作業の途中、管理している家の子どものカンタ(声:雨笠利幸)が何かを持ってきて、ぶっきらぼうにサツキに渡すのだ。
カンタが持ってきたのはおはぎでなのである。引っ越しが終わると、引っ越し屋さんとおばあちゃんを家族で見送るのであった。
その夜、タツオが夕食の支度をし、そして、お風呂を焚くためにサツキが枯れ枝の山から枝を拾うと急に強風が吹いて、サツキが持っていた枯れ枝は吹き上げられる。
サツキは枝を再び拾い上げて、急いで家の中へと戻る。家族三人で風呂に入っていると、強風で、家が揺れ、ガタン、と屋根から音がするのであった。
タツオが大声で笑うと怖くないと言うと、タツオが大声で笑い出し、そして、サツキも笑い出すが、サツキにくすぐられて結局メイも笑い出し、タツオがふざけると三人は大笑いするのである。
七国山病院へ
と、風はいつしか止んでいたのだ。翌朝、洗濯を済ませ、三人で母親のお見舞いに自転車で行く。その日は田植え休みなのであった。
七国山病院に入院している母親・靖子(声:島本須美)に抱きつくメイ。サツキは新しい家がお化け屋敷と母に耳打ちする。
靖子はお化け屋敷が好きだといい、ほっとするサツキとメイ。医師と話していたタツオも来て和やかな雰囲気に病室は包まれる。
翌朝、サツキが朝食の準備をしていると、タツオが起きてきて、寝坊した、とサツキに呟くが、サツキはテキパキと家事をこなし、朝食と弁当を作るのであった。
メイにも弁当を作り、メイはうれしくてしょうがない。すると、「サツキちゃん」と呼ぶ声がし、サツキが「はあい」と答える。それは、もう出来たサツキの友達が学校に一緒に行こうの誘いの呼びかけだったのである。
オタマジャクシを見つけたメイは、それを取ろうとすくえるものを探すが、底が抜けたバケツを見つける。
その底を除くとメイはどんぐりを見つけるのである。どんぐりを拾うとまた、どんぐりがあり、どんぐりが次々と見つかるのであった。
メイがトトロに出会う
それを拾っているメイ。すると、半透明の小さな白い不思議な生き物(小トトロ)が現れるのだ。メイはその後を追いかける。
小トトロは家の床の下に逃げ込み、メイはすかさず床の下を覗く。すると、何かを背負った別の不思議な生き物(中トトロ)の影が見えたのである。
中トトロと小トトロはメイの背後からこっそりと逃げ出す。中トトロが背負っていたものk中身のどんぐりがこぼれ落ちたのでメイがそれに気付く。
メイは走って逃げる中トトロと小トトロの後を走って追いかける。藪に逃げ込んだ中トトロと小トトロは藪に出来ているトンネルを走って逃げていたのである。メイはそれを見て、帽子が脱げたのも知らずに一目散に追いかけるのであった。
中トトロと小トトロは巨木の楠に開いている穴に逃げ込み、メイは見失うが、穴にどんぐりが落ちているのを見つける。
それを拾おうとメイは手を伸ばすが、誤ってその穴に落ちてしまうのであった。すると、不思議な空間に落っこちたのであった。
チョウチョが何匹も飛び、苔にびっしりと蔽われ何か不思議な大きな生き物(トトロ)の尻尾のようなものがメイの目の前にあったのである。
メイはその尻尾をなでてみると、動くので、その尻尾にしがみつく。すると、トトロが寝返りを打ちメイはトトロの腹の上にやってきたのである。
首元までメイは来てトトロの鼻の下を撫でるとトトロは下でペロリとなめ、更にメイの好奇心に火が付く。メイはトトロの鼻をくすぐるとトトロはくしゃみをするのであった。
メイがトトロにあなたは誰、と尋ねるとトトロは何かを叫ぶ。それをメイにはトトロと聞こえたのである。そして、メイはトトロの腹の上で寝てしまう。
サツキが学校から帰ってくる。メイの帽子を見つけ、サツキは藪の中でメイを見つける。メイはぐっすりと寝ていたのである。
メイを起こすと、メイはトトロに会うために藪の中のトンネルを走るが、トトロの穴には通じず、庭に出てきてしまう。
サツキとタツオは笑うが、メイは本当にトトロがいたと意見を曲げないのだ。そして、タツオが森の主にはいつも会えるわけではないと諭すのであった。
その後、親子三人で森の主に挨拶に行き、これからもよろしく、とタツオが言うのだ。
翌日、タツオが大学へ行くので、メイをおばあちゃんに預け、学校に行ったサツキ。しかし、サツキが恋しくなってしまったメイは学校に来てしまう。
仕方なく、メイも教室でサツキと一緒に授業を聞くことに。帰り道、雨に降られ、サツキとメイは雨宿りしていると、カンタが通り過ぎて、サツキに無理矢理傘を渡し駆け出すのであった。
カンタがおいていった傘を差して帰るサツキとメイ。家に着くとカンタに傘を返しに来て、父親のタツオを迎えにバス停に行く。
サツキもトトロに出会う
しかし、タツオはいつものバスには乗っておらず、サツキとメイは次のバスを待つことに。眠くなったメイを背負ったサツキのもとにトトロがやってくる。
トトロにタツオの傘を渡すとトトロは大粒の雨だれが傘に落ちたときの音に興味津々で、仕舞いにはドンと飛び上がって雨だれをざあっと落とすのであった。
トトロが大声で叫ぶとそこにバスが来るのである。それはネコバスで、トトロがネコバスに乗り込むのであった。その前にトトロは、メイに葉っぱで包んだお土産を渡す。
ネコバスは風のように走り去ったのであった。その後、直ぐに、バスが来て、タツオが降りてくる。サツキとメイはネコバスとトトロにあったことに興奮していたのであった。
トトロがくれたお土産は、たくさんの木の実で、それを庭に植えたのである。メイはいつ芽が出るのか待ち遠しくて仕方がない。
ある日の夜、サツキは目が覚めてトトロと中トトロと小トトロがお祈りをしているのを目にする。メイを起こし、サツキとメイはトトロ達と一緒にお祈りを捧げると木の実が芽吹き、そして、それが急速に成長し、大木になるのであった。
トトロは独楽を回し、それに乗って、中トトロと小トトロはトトロに抱きつき、それを見たメイもトトロに抱きつき、最後にサツキもトトロに抱きつくのだ。
すると、独楽は飛び上がり、風に乗るように飛翔するのであった。ひとっ飛び終えたサツキたちは木のてっぺんの枝で笛を吹いているのである。
翌朝、大木はないが、木の実は芽吹いていて、夢だけど夢じゃないと、サツキとメイはうれしくてしょうがないのであった。
とある日、サツキとメイはおばあちゃんとトウモロコシを取っていたのである。畑で野菜を取って小川に水で冷やした野菜。サツキとメイはキュウリを囓るとそこにカンタがやってきて電報を渡す。
七国山病院からの電報
その電報は 七国山病院からのもので連絡をと書かれてあったのだ。サツキはおばあちゃんの本家で電話を借りることになり、走って行くのである。メイも後を追う。
電話で父親のタツオに連絡を取ったサツキは、お母さんが具合が悪くなり、一時帰宅が伸びたことをメイに告げると、やだとメイが駄々をこねる。
家に帰ったサツキとメイは何をする気も起きず、そこへおばあちゃんがやってきて、さつきを慰めるのであった。
メイが行方不明になる
しかし、さつきは泣き出すのであった。それを見ていたメイは一人家を出てトウモロコシを抱えて七国山病院へと向かうのであった。
メイがいないことに気付いたおばあちゃんとサツキ。サツキはメイが七国山病院へ向かったと思い、駆け出すのであった。
自転車でカンタがやってきて、池でサンダルが見つかったとサツキに告げ、カンタが七国山まで行くからと、サツキに言い、サツキは駆け足でサンダルが見つかった池に急ぐのであった。
サツキは池に付くとサンダルを見、そのサンダルはメイのじゃないというと安心したのか、サツキとおばあちゃんは座り込む。
サツキはトトロになんとかして貰おうと思い立ち、藪のトンネルを走り出し、トトロに出会うのであった。
泣き出すサツキを見てトトロは楠のてっぺんにサツキとともに飛んで行き、ネコバスを呼ぶのであった。ネコバスは直ぐにやってきて、サツキを乗せる。
サツキがネコバスに乗る
ネコバスは行き先を「めい」として、風のように走り出す。田んぼの上を走り、森の中を木がよけて走り、高圧電線の上を歩いて、サツキをメイの元へと送り届ける。
ネコバスの前で抱き合うサツキとメイ。そして、サツキとメイを七国山病院へと連れて行くのであった。
和やかにタツオと話している靖子の姿を見て安心するサツキとメイ。メイは「おかあさんへ」と彫ったトウモロコシを病室の窓辺におく。
それにタツオが気付き、靖子は松の枝の上でサツキとメイが笑った気がしたと言うのであった。
ネコバスに乗って家に帰ったサツキとメイはおばあちゃんのところに駆け寄り、メイはおばあちゃんに抱きつくのであった。
そして、サツキ、メイ、おばあちゃん、そして、カンタは並んで帰路につくのであった。ここで、最後に井上あずみさんが歌う主題歌「となりのトトロ」が流れ、靖子が帰ってきて、靖子と三人で風呂に入り、靖子と三人で寝て、絵本を読んでいる様などが描かれ、映画は終わる。
「となりのトトロ」の感想とまとめ
「さんぽ」のバッタや毛虫、クモなどのいたずら心あふれる絵のタッチの中、メイのみが本編の絵のタッチのままひたすら、歩いているオープニングと本編の余りにも緻密な絵のタッチのギャップにまず、驚かされます。
そして、その緻密な絵のタッチが宮崎駿監督の独特の世界に一気に引き込むのです。テレビがまだない時代の日本の原風景が一気に広がり、観るものは宮崎ワールドに魅了されずにはいられないのです。
三輪自動車での引っ越しの様なども非常に丁寧に描かれていて、観るものは「となりのトトロ」の世界に連れ去られます。
引っ越しが楽しみでしょうがないサツキとメイは、宮崎駿監督が其のキャラクターの創出に最後まで悩んだとは思われないほどに生き生きと描かれていて、観ていてとても心が和むのです。
ボロボロの引っ越し先にまっくろくろすけがいるところから宮崎駿監督の世界が花開きます。それには、描くのに非常に難しいだろう日常がしっかりと描かれていなければ、ファンタジーを描くのは無理があり、それを宮崎駿監督は難なくやってのけてしまうのです。
これは脚本の素晴らしさもありますが、宮崎駿監督の想像力の賜です。絵で日常を表現することはとても難しいと思えるのですが、この作品では微に入り細に入り日常の暮らしが描かれています。
これも「となりのトトロ」で宮崎駿監督が描きたかったものの一つに思い、あの頃の日本人はしっかりと生きていたんだという思いが宮崎駿監督の胸にあったのは間違いありません。
そんな中での奇妙な生き物のトトロの存在です。トトロもなんとも言えない魅力に満ちていて、こんな生き物を生み出す宮崎駿監督の想像力は感嘆するほかありません。
トトロは派手な動きは全くありませんが、その存在感はとても際立っていて、途中の傘を差して雨音に興奮する様や、ネコバスの登場、そして、最後のネコバスの活躍など、最後にたたみかける宮崎ワールドはこの作品でも健在です。
「となりのトトロ」では普通の日常が描かれているのですが、どの場面も興味は尽きません。きっとこれが日本の原風景だと言うこととそれは関係していて、その中をサツキとメイが生き生きと生きている様に感動すら覚えてしまうのかも知れません。
「となりのトトロ」の対象は子どもと思われますが、宮崎駿監督作品は大人が観ても自然に感情移入が出来てしまうところにその凄みがあります。
黒澤明監督もネコバスには感動したらしいのですが、その想像力たるややはり宮崎駿監督でしか成し遂げられない不気味さがありながらもとても可愛らしいキャラクターにしてしまう手捌きは、凄いの一言なのです。
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