映画『グリーンブック』あらすじ・ネタバレ!動画の無料視聴方法も紹介

「グリーンブック」は2019年度のゴールデン・グローブ賞 ミュージカル・コメディ部門の作品賞受賞作品。舞台は1962年のアメリカ。天才音楽家のドナルド・シャーリーが人種差別の激しい南部へツアーに行くため、黒人である自分の護衛として用心棒のトニーを雇います。批評家からも高い評価を得た本作は、実話を映画化した笑い溢れる感動の物語。アカデミー賞のノミネートは間違いないと言われています。

今回はそんなグリーンブックのネタバレと動画の無料視聴方法をご紹介します。

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『グリーンブック』作品情報

タイトル:グリーンブック

原題:Green Book

監督:ピーター・ファレリー

脚本:ニック・ヴァレロンガ、ピーター・ファレリー、ブライアン・ヘインズ・クリー

製作:ニック・ヴァレロンガ、ピーター・ファレリー、ブライアン・ヘインズ・クリー、クワミ・L・パーカー、ジム・バーク、チャールズ・B・ウェスラー、

公開日:2018年11月16日(アメリカ)、2019年3月1日(日本)

出演者:ヴィゴ・モーテンセン、マハーシャラ・アリ、リンダ・カーデリーニ、セバスティアン・マニスカルコ、ディミター・マリノフ、ニック・ヴァレロンガ

『グリーンブック』概要

主人公・トニーの実息であるニック・ヴァレロンガは長年父と友人・ドンの話を映画化しようと奔走。脚本、執筆、そして製作に参加しています。物語の内容を聞いた『メリーに首ったけ』のピーター・ファレリーは、監督業を即決。ニックは父にインタビューして録音し、ドンにも面会。母・ドローレスは、ツアー中にトニーが郵送した手紙を託します。脚本の原案は証言を基に書かれました。

キャスト

主役のトニー・ヴァレロンガを演じるのは、『ロード・オブ・ザ・リング』のヴィゴ・モーテンセン。天才ピアニスト、ドン・シャーリーに扮するのは、『ムーンライト』でアカデミー賞助演男優賞を受賞したマハーシャラ・アリです。そして、トニーの妻・ドローレスには、テレビドラマ『ER』のサマンサ役でお馴染みのリンダ・カーデリーニ。トニーの実息ニック・ヴァレロンガも出演。

『グリーンブック』あらすじ・ネタバレ

1962年、ニューヨーク。人気のナイトクラブ・コパカバーナは、今夜も盛況で満席。店内で客達が喧嘩になると、オーナーはトニーを大声で呼ぶ。トニーは男の襟首を掴んで外へ放り出す。男が挑発して来ると、トニーは容赦なく男の顔を殴った。

街の大物が店を訪れる。トニーは帽子を隠し自分が見つけた様に装ってチップを貰う。翌日から改築工事に入るため数カ月店は休業となる。明け方帰宅したトニーは、野球を見ながら大声でヤジを飛ばす親戚達の声で目が覚めた。

トニーの妻・ドローレスを心配してみんなで来たと義兄が言う。トニーが台所を覗くと、黒人2人が修理を終えようとしていた。舅が黒人を蔑み、娘を1人にして寝るなとイタリア語で文句を言う。

2人はドローレスからレモネードを貰い、礼を言って喉を潤すと家を出て行く。トニーは、汚そうにグラスを持ち上げごみ箱に捨てた。食後にゴミ箱を開けたドローレスは、呆れて首を横に振りグラスを取り出す。

家族を養うための臨時仕事

店の改装が終わるまで臨時の仕事を必要としていたトニーに、ドクターが運転手を募集しているので面接があるとナイトクラブのオーナーから連絡が入る。カーネギーホールの最上階に在るオフィスへ行くと数人の男性が外で面接待ちをしていた。

インド人に中へ案内されたトニーは豪華な調度品で埋まった部屋に目を奪われる。そこに現れたのは、背が高く品の良いドン・シャーリー博士。職業を訪ねられたトニーは広報だと答えた。

玉座に腰掛けたドンは音楽家で、コンサートのため南部へ行くので運転手が必要だと説明。黒人に仕える事に抵抗は無いかと訊かれたトニーは、激しく否定。妻と自分が数日前、黒人を家に招いて一緒に酒を共にしたと作り話。

ドンは、ツアーはクリスマスまでの2ヶ月間を要し、更に、仕事は車の運転だけではなくスケジュール管理や洗濯、そして靴磨きも含むと話す。トニーは席を立ち頑張って見つけろと部屋を出ようとする。

ドンは、実はトニーの腕っぷしを見込んで、面接に来るよう手配させていた事を明かす。しかし、トニーは、自分は使用人ではないので誰の靴も磨かないと腹を立て、外に居た中国人と南部で何処まで行けるか運を試せと口汚い。

翌朝、ドンはトニー宅に電話をする。トニーが2ヶ月家を空けて自分とツアーに回る事について異論が無いかドローレスに尋ねるためで、トニーの要求した額を支払うと告げた。生活資金を稼ぐためと夫婦は同意。

出発の日、レコード会社はトニーに前金として半分を払い、スケジュール通り全日程のコンサートを完了すれば残りの半分を払うと話す。そして、「黒人運転手向け グリーンブック」と書かれたツアーガイドを手渡す。

道中、人種隔離政策を取る南部で黒人が宿泊するホテルの手配に利用するよう説明し、新車の鍵をトニーに渡した。ドローレスは、出来るだけ手紙を書くようトニーに約束させ、クリスマスには帰宅するよう念を押した。

トニーはカーネギーホールへ到着。ドンとトリオを組むチェロのオレグとベースのジョージが自己紹介する。バンドではなく、トリオだとジョージは説明するが、トニーは意味が分からないものの知ったかぶり。

そこへ、ドンと秘書が荷物を持って現れる。車に乗り込むドンの足に膝掛けを置いた秘書は、側に置かれた荷物に視線を落とし、トニーに積み込めと顎をしゃくって指示。動かないトニーを諦め、秘書が荷物を積んだ。

人種差別者と天才音楽家ドン

ドンは、会場に着いたら先ず契約通りスタインウェイのピアノが用意されている事を確認するようトニーに指示。そして、チェーンスモーカーのトニーに、後ろで息が出来ないので車内で煙草を吸わない様に言った。

トニーは、煙は自分の肺に行くから心配するなと返すが、ドンはありがとうと言うのみだった。トニーは仕方なく窓から煙草を捨てる。オレグ達が車を並走し、最初のコンサート会場であるピッツバーグで落ち合うとドンとロシア語で言葉を交わして先を行く。

ドイツ語だと思い込むトニーは、自分がドイツに従軍した時の話を始める。ロシア語だと言うドンを無視して、幾つかドイツ語の単語が聞き取れたと自慢。ロシア人はずる賢いので、キューバ人も併せて爆弾を落としておけば良かったと止まらない。ドンはウンザリ顔。

レストランに立ち寄ったトニーとドン。煙草を吸いながら食事するトニーは、この仕事が決まって直ぐにドローレスがドンのレコードを購入した話をする。オルファンズ(孤児)の曲だとトニーは言う。ドンは理解できない。

トニーは、たくさんの子供が表紙だったと補足。ドンは、オペラの「オルフェウス」であり、子供ではなく悪魔だと答えた。トニーは眉をひそめ、よっぽどの悪がきだったんだなとコメントして食事を口に運ぶ。

山中の車道を走る中、トニーは用を足したいと車を止めた。一端降りたトニーは車に戻り、ドンを一瞥し置いてあった財布をポケットにしまう。ドンの顔が険しくなる。ペンシルバニア州、ピッツバーク。

ドンは経費だと言ってトニーにお金を渡し、無くなる前にまた知らせてくれと話す。夜半、コンサート前にドンが観客の前で紹介される。3才で初めてコンサートを開き、心理学、音楽、文学芸術それぞれで博士号を取得。

過去14ヶ月の間にホワイトハウスに招かれ、2回トリオでリサイタルを開いた。拍手が止むと、ドンはスタインウェイのピアノでクラシックとポップスを混ぜた音楽を弾き始めた。オレグとジョージの管弦楽と共にドンが奏でる美しい曲に聴き入るトニー。

トニーはモーテルで初めてドローレスへの手紙を書いた。「元気か?俺はちゃんと食ってる。殆どハンバーガーだけどな。だから、良く食ってないとか心配するな。シャーリー博士がピアノを弾く所を見た。黒人みたいは弾き方じゃないぜ。天才って感じだ」

ラジオでリトル・リチャードの曲が流れ、ドンは誰なのかと尋ねる。トニーは、リトル・リチャードだと答えた。更に、ドンは、トニー・リップと言うニックネームの由来を訊く。トニーは、ブロンクスで一番口からでたらめを言う事から友人が名付けたと答えた。友達に嘘つきだと言われて気分を害さないのかとドンが尋ねる。

トニーは、自分は嘘つきではないと声を上げた。でたらめは言うが人の嫌がる仕事をすると言うトニーに、ドンはそこに誇りを感じているのかと溜息をつく。トニーは、それでこの仕事を得たとしたり顔。

トニーは、ドンがチャビー・チェッカーの曲やアレサ・フランクを知らない事に、自分の人種じゃないかと仰天。煙草を買うため、トニーは小さな商店に立ち寄る。店の外に天然石が売られていた。道に落ちていた天然石を見つけたトニーはポケットに入れる。

それを見ていたオレグがドンに報告。車に戻ったトニーに盗んだ石を戻せとドンが言った。トニーは、やっぱりロシア人はずる賢いと捲し立て、拾っただけで盗んでいないと反発。ドンの断固とした態度に、トニーは諦めて天然石を箱へ持って行く。

インディアナ州ハノーバー。大学の広い公会堂の舞台に古びたピアノが置かれているのを見たトニーは、契約違反だと担当に文句を言う。しかし、担当はインディアナ州にスタインウェイは2台も無いと横柄な態度を取る。トニーは担当を殴りピアノを調達させた。

満席の会場を見ながら、トニーは満足そうな表情で音楽に乗って体を動かす。アイオワ州シーダーラピッズを過ぎ、トニーは食事中にドローレスへ手紙を書く。ドンが覗き見ると、あちこちボールペンで間違え箇所を塗りつぶしてあった。

フライドチキン

ケンタッキーの州境を超えるトニーとドン。家族構成を尋ねたトニーに、ドンは兄弟が1人居るが常にコンサートツアーに出ているので疎遠になり、結婚も壊れてしまったと答える。そこへ、ケンタッキーチキンの看板が見えてきた。

トニーは興奮して車を寄せる。食べるかと訊かれ、僕は結構だとドンは答えた。ケンタッキーの鶏肉は新鮮に違いないと言ってトニーは運転しながら鷲掴みにしてチキンを頬張る。再度勧められたドンは、一度も食べた事が無いと断った。

トニーは、軍隊で黒人はフライドチキンを食べていたと反発。ドンは、他の黒人が好む音楽を自分も好きになる必要はなく、同じ物を食べる必要もないと言いかけるが、トニーは鶏肉を掴んで後ろ手に伸ばし、ドンの鼻先に突きつけた。

強引なトニーに対し、ドンは膝掛けに脂が垂れると嫌がる。食べなければ後部座席に投げ込むとトニーに言われ、狼狽したドンはお皿もフォークも無いと更に抵抗。しかし、押しの強いトニーに根負けして仕方なく2本の指で摘まむように受け取った。

恐る恐る1口食べたドンは満更でもない。不衛生に思えるとこぼしながらも完食したドンは、もう1つチキンを受け取った。残った骨はどうするのかとドンが尋ねると、トニーは窓を開けて外に放り投げる。笑ったドンは、同じように窓から骨を捨てた。

それで良いんだと調子に乗ったトニーは、続けて飲み干したジュースのカップも窓からポイ。ドンの顔が引きつる。車道に転がるジュースのカップ。リスが片づけると文句を言うトニーが車をバックしてカップを拾う。

到着したルイズビルのモーテルは、酷い設備だった。「黒人に限定」の看板が掛かっている。グリーンブックを手に説明と違うと文句を言うトニーだが、ドンは事を荒立てない。

ドンが部屋の外でお酒を飲んでいると、集まった黒人達が仕立ての良いスーツを着たドンをからかう。友人に会いに行くとその場を取り繕い、ドンは出かけた。自分のモーテルでくつろぐトニー。財布の側には、戻した筈の天然石が置いてある。

そこへ、ドンがトラブルに巻き込まれたと、ジョージが駆け込んで来た。バーへ急いだ2人の目の前に、白人達に囲まれたドンが襟首を掴まれていた。トニーが手を離せと怒鳴る。ナイフを取り出して尚もドンを脅す白人に対し、トニーは弾をぶち込むと脅す。

状況の悪化を嫌った店主がショットガンを取り出すと、白人達はドンから手を放した。酔ってふら付くドンを抱きとめたジョージが一緒に店を出る。トニーは、腰に手を回したまま店を後にした。

ドンをモーテルまで送り届けたトニーは、ここが何処か分かっているのかと怒る。ドンは地理は関係なく、トニーが住む近所のバーでも同じ扱いを受けるだろうと静かに話す。トニーは、今後自分無しで何処へも行くなと釘を刺した。

ドンは、本当に銃を携帯しているのかと訊く。トニーは、はったりだと答えた。ノースカロライナ州ローリー。広大な敷地の豪邸でパーティーが開催されている中、主人がドンとトリオを紹介する。

大広間のダイニングの晩餐会で、主人がドンの好きな食べ物が今夜の夕食だと話す。「お手製のフライドチキン」と発表を聞き、引きつるドン。トニーが笑顔を向けて来る。リサイタルは盛大な拍手で盛り上がった。

インターミッションでトイレへ入ろうとしたドンを主人が呼び止め、トイレはあそこだと外を指差す。庭に小さくて古い簡易トイレが建っていた。モーテルに戻って用を足すが30分は掛かるとドンが挑む。

主人は逡巡した後、待ちますと言った。モーテルまで戻り用を足した後、ドンはリサイタルを終わらせ、主人達と握手。それを見たトニーは、自分があんな扱いをされたらリビングの床に用を足すとジョージやオレグに呟く。

オレグは、北なら3倍のギャラが支払われるが、ドンは敢えて南部もツアーに回ると話す。翌日、休憩中にトニーはドローレスへ手紙を書いていた。ドンは、まるで身代金要求みたいに見えると言い、手紙の書き方の手ほどきを始める。

ドローレスへのラブレター

「鹿、ドローレス。」これは動物だと言ってスペルをDearと教え、読み進めたドンは、内容が情けなすぎると読むのを止めた。何が言いたいのかと訊かれたトニーは、ドローレスが恋しいと話す。ドンの言葉通りトニーは書き始める。

「僕達の間に存在する距離は僕の魂を破壊する。君の居ない時間や経験は意味が無いものだ。君に恋した事は自分にとって一番容易だった。君以外の事はどうでもいい。出会った日から君を愛し一生愛し続ける」。手紙を読んだドローレスは涙目で感動した。

テネシー州のメンフィス。トニーは友人のドミニクに出くわす。ドンをチラッと見た友人はイタリア語で話し始め、ドンを差別用語で侮辱。仕事なら2倍の給料を払い世話するから後でバーへ来いとトニーを誘った。

夜、ドミニクから電話で呼び出されたトニーが部屋を出ると、外にドンが待っていた。今から飲みに行くと言うトニー。ドンは、ドミニクと?彼の申し出を受ける前に話をしようとイタリア語で話す。トニーは呆気にとられた。

これまでトニーが素晴らしい仕事をしてくれていると前置きしたドンは、責任は増えるが、巡業公演のマネージャー職とそれに伴う昇給を申し出た。真摯な表情のドン。トニーはかぶりを振って、週125ドルと経費で合意したのだからそれで良いと話す。

俺は何処にも行かないぜと笑うトニー。ドミニクには、断るつもりで会いに行く所だと付け加えた。ドンは安堵の表情を浮かべた。ロビーでお酒を酌み交わしすトニーとドン。

クラシック音楽に情熱を持つドンだが、レコード会社からまだ黒人のクラシックピアニストは認知されていないので、ポピュラー音楽の方が受けると説得されたと悔しそうに明かす。トニーは、観客はドンの音楽に感動し、ドンだけが弾けるのだと熱く語った。

その後もトニーはドンの言葉をそのまま手紙に書く。ドローレスは、親戚に読み上げ、女性達は感動。男性達もトニーの手紙を褒める。1人が家系だと言い、祖先がシスティーナ礼拝堂の壁画を描いたダ・ヴィンチの手伝いをしたらしいと話す。

ミケランジェロだろとトニーの義兄が突っ込み、それと手紙を書く事とどういう関係があるのかと更に突っ込む。その親戚は、つまり芸術家肌って意味だと答えた。

サンダウン・タウンの一夜

アーカンソー州でコンサートをこなし、ルイジアナ州やミシシッピー州の複数の街でコンサートを終えたある大雨の晩、トニーは道に迷ってしまう。すると、背後から警察車両に止められた。

トニーに車を降りるよう要求した警察官はドンを見た後、サンダウン・タウンを夜になってうろつくなと言った。トニーは、サンダウン・タウンとは何だと尋ねるが、その警察官は無視してドンを車から降ろして身元を確認しろと部下に命じた。

トニーがイタリア系だと知った警察官は、それでドンの運転手をしているんだなと蔑み、お前も黒人か?と最も差別的な呼称をした。トニーが警察官を殴る。2人は留置場に拘束された。

ドンは、容疑無しに自分を拘留出来ない筈だと警察官に話しかける。殴られた警察官は、サンダウン・タウンに足を踏み入れた容疑だと口汚く罵った。ドンは、自分には電話を掛ける権利が有り、自分の弁護士と話がしたいと訴えた。

それまで無視していた所長の指示で、ようやく電話のある所へ連れてこられたドンは、ダイヤルを回す。留置場へ戻されたドンは、暴力は必ず負け、最後に勝つのは威厳だとトニーに説く。

そこへ電話が鳴る。電話を受けた所長は、いきなり低姿勢。ドンが誰に連絡を入れたのか州知事から聞かされた所長は動揺を隠せず、自分の部下が殴られたと言い訳。州兵の出動は必要が無く、直ぐに釈放しますと所長は慌てて答えた。

反発する部下に対し、首になりたくなければ早く釈放しろと所長が怒鳴った。警察署を後にしたトニーとドン。ロバート・ケネディに救われたトニーはご機嫌だった。ドンは、司法長官を困らせる立場に立たせた事が恥ずかしい事だと声を荒げる。

トニーは、ケネディがそれで給料を貰っているんだと息巻く。ドンは目を剝き、彼と兄はこの国を変えようとしていると怒った。トニーは、ドンに対する扱い方が気に入らなかったと主張。それに対し、警察官に言われた事で腹を立て殴ったんだとドンは指摘。

更に、人生ずっと差別に耐えて来たのは自分であり、トニーも一晩くらい我慢できたはずだと続けた。トニーは、金持ちの為にコンサートを開き城の王座に腰掛ける大物のドンは自分の人種の事を何も知らないと猛反発する。

親の時代からブロンクスに住む自分の方がよっぽど黒人だとトニーが言った所で、ドンは車を降りてしまう。追いかけて来るトニーに対し、ドンは1人で城に住む気持ちが分かるのかと怒りを露わにした。

金持ちの白人は、ドンが舞台を下りれば直ぐ元通り黒人として差別。黒人の様に振舞わないドンは黒人からも受け入れられない。白人でもなく黒人でもないなら、いったい自分は何者なのだとドンは沈痛な表情だった。トニーは何も言えなかった。

お金より大切なもの

コンサートの最終地、アラバマ州バーミンガム。湖の畔に在る邸宅に「クリスマスコンサート、ドン・シャーリー トリオ」の横断幕。到着したドンとトニーをクラブのマネージャーが歓迎する。必要な物が有れば何でも揃えますと言ってドンを狭い倉庫に案内した。

備え付けた小さな机の上に鏡が立てかけてあり、マネージャーはドンの楽屋だと呼ぶ。お腹を空かせたトニーに、先にレストランで食事を始めてくれとドンは言った。豪華なレストランで食事を取るトニー、オレグ、そしてジョージ。

トニーは、ドンが狭い倉庫へ案内された事に触れ、こんな扱いによく耐えられるもんだと呟いた。オレグは、6年前の1956年、ナット・キング・コールがバーミンガム市立公会堂に招待されてコンサートを開いた日の事を語り始めた。

演奏が始まるや否や白人グループの男達に襲われたナット・キング・コールは、舞台から引きずり下ろされ、酷い暴力を振るわれた。

以前、ドンが敢えて南部でツアーをする理由をトニーが尋ねた事に触れたオレグは、天才なだけでは不十分で、人の心を変えられるのは勇気だと語った。何度も頷くジョージ。そこに、タキシードに着替えたドンが3人の座るテーブルへ向かおうとする。

白人の客達と食事をする事は禁止されていると店長がドンを止めた。トニーは、ドンが今夜演奏する主役だと説明。マネージャーが近づいて来て、クラブの規則に理解を求め、楽屋で食べるか他のレストランを教えると話す。

ドンは、ここで食事が出来ないのなら演奏は取りやめると静かに言った。困り果てたマネージャーは、トニーと話をしたいと2人きりになり、ドンを侮辱するつもりは無いがこの地域のしきたりだと主張。

更に、NBAチャンピオンを招待した時も、ここでは食事をさせなかったと言って、トニーに賄賂を渡そうとする。腹を立てたトニーは、マネージャーの襟を掴んで壁にぶつけた。それを見たドンがトニーを制止して、もしトニーが望むなら自分は演奏すると言った。

全てのコンサートをこなさなければ、残りの給料が支払われない事を考慮したドンの言葉に対し、トニーは早くここを出ようぜと言った。連れ立ってレストランを出て行く2人の後をマネージャーが必死に追いかけ、契約を反故にするのかと怒鳴った。

お腹を空かせた2人は、開いていたジャズ・バーへ来る。全員黒人の店内で、バーテンは、トニーが警察官だと勘違い。ドンは本日のおすすめを2人分注文し、懐から札束を取り出してお金を払った。タキシードに身を包むドンに、バーテンは職業を尋ねる。

トニーが世界一のピアニストだと紹介。バーテンは、説明しないで見せてくれとドンにピアノを指差した。一瞬躊躇するドンだが、クラシック音楽を弾く。拍手喝采に包まれ、笑顔のバンドメンバーが楽器を手に演奏を始める。

ジャズの音程を聞きながら、ドンはピアノで伴奏を即興し、バーの客が楽しそうに踊り出す。店を出たドンとトニー。1ヶ月に1度ギャラ無しでやりたいと嬉しそうなドン。そして、今から急げばクリスマスイヴにニューヨークへ帰れるとトニーに言った。

車のそばまで近づき、トニーがいきなり銃を抜いて宙に2回発砲。すると、隠れていた2人組が姿を見せ逃げて行く。呆気にとられるドンに、バーで札束を見せるもんじゃないとトニーは忠告した。

ニューヨークへ車を走らせるトニーだが、眠気と戦えなくなっていた。次に可能なモーテルで宿泊しようと訴えるトニー。一方、自宅ではクリスマスを祝う親戚一同が集まる中、ドローレスはご馳走を大皿に盛っていた。

クリスマス

ブロンクスの通りに2人の車が入って来る。疲れた表情をしてハンドルを握るドンが、後部座席で熟睡するトニーを家に到着したと起こす。車に乗り込もうとするドンに、家族に会って行けとトニーが誘う。ドンは、メリークリスマスと言い残し、1人車で去って行く。

帰宅したトニーを義兄がシェイクスピアのお帰りだと声を掛け、2ヶ月ぶりに戻ったトニーをみんな歓迎する。嬉しそうなドローレス。その頃、ドンはカーネギーホールのペントハウスで1人過ごしていた。トニーが盗った天然石をいじるドン。

旅の話を聞かせろと言う親戚がドンを差別用語で呼称する。トニーは、そんな呼び方は止めろと真剣な目で親戚を見つめた。感心するドローレス。そこへ義兄が招待した隣人が訪れる。玄関を閉めようとしたトニーは、シャンパンを持ち佇むドンに気が付く。

ドンを抱きしめ、よく来てくれたと嬉しそうなトニー。中へドンを招き入れドナルド・シャーリー博士だと紹介した。顔を向けた全員が固まる。戸惑いながら、ドンはメリークリスマスと挨拶した。

義兄が皿を持って来いと呼び掛け、台所に居たドローレスが満面の笑顔でドンに走り寄る。ドンは、ご主人をお借りしましたと感謝を述べた。ドローレスはドンを抱きしめ、手紙の手伝いをしてくれてありがとうと耳に囁いた。ドンの顔が思わずほころんだ。

‐ドナルド・シャーリー博士は、作曲、ツアー、そしてレコーディングを続ける。ロシアの作曲家イーゴリ・ストラヴィンスキーは、ドンの演奏技術は神技と評した-

‐コパカバーナの仕事に戻ったトニーは、後に支配人に就任‐

‐トニーとドンは長く友情を育み、2013年、時を開けず2人は他界した‐

『グリーンブック』を観た感想

コメディ&ハートフル両方の要素を含む完璧な脚本と見事な演出。これだけ質の高い映画は非常に稀です。しかも実話と言う説得力に加えて卓越した演技力を見せる2人の俳優、ヴィゴ・モーテンセンとマハーシャラ・アリ。リンダ・カーデリーニも素晴らしい。

天才ピアニスト、ドン・シャーリーは、筆舌し難い扱いを受けると分かっていながら、敢えて3分の1のギャラを承諾して南部のツアーへ出かけます。差別は家庭で教わると言われますが、トニー・リップことトニー・ヴァレロンガも黒人を差別する家で育ちます。

絶えない嫌がらせを受けるドンを守るトニーですが、週125ドルの仕事としてこなしているのであってヒーローではありません。125ドルと言えば現在の1000ドル以上に相当し、高給の仕事だったのです。

本作においても、決してトニーを英雄として描写しているのではなく、車と言う狭い環境で2ヶ月時間を過ごす異なる2人がお互いに理解を深め友人となるプロセスを物語っています。ドンは博士号を3つ保持する天才ピアニスト。

トニーは、バーの用心棒で殆ど教育も受けていません。公民権運動が起きていたアメリカの60年代初頭、黒人と白人だったと言う事実がドラマを生み、どちらにも属せないドンの苦悩を丁寧に描いています。

長年、この2人の話を映画化しようと考えていたトニー・ヴァレロンガの息子、ニック・ヴァレロンガは、ドン・シャーリーに自分が亡くなった後にして欲しいと頼まれたと明かし、今回映画化に踏み切りました。

公民権運動時代のアメリカは凄まじい人種差別でよく知られていますが、現在も終わった訳ではありません。トニーを演じたモーテンセンは、映画を観た人達からアメリカを取り巻く状況は殆ど変ってないという感想を聞かされています。

それを受けた監督のピーター・ファレリーは、鑑賞後希望を抱いてもらいたいと会見で語りました。ドンに出会う前のトニーを丁寧に描いた理由は、彼の成長を観客に理解してもらうことで、人は変れるとメッセージを贈っているのです。

劇中に登場するサンダウン・タウンは、今もアメリカに複数存在します。日暮れまでに有色人種は出て行かなければならない町の呼称で、この地域の役所も含め全員白人のみ。人種差別者達は自分達を隔離し他の人を排除しています。

ミラノのスカラ座で開いたコンサートは絶賛され8ヶ国語を話す天才音楽家ドナルド・シャーリー博士。黒人というだけの理由で拒絶する彼等は、博士の芸術を知る事も無く人生を終える選択をしている訳です。

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